介護資格の制度改正
介護資格のキャリアパス
2012年度までは、介護の現場では「ホームヘルパー」「介護職員基礎研修」「介護福祉士」の3つの資格が混在し、介護福祉士へのキャリアアップまでのルートがわかりづらい状況でした。
制度改正後は、介護職の基礎的な資格である「初任者研修」、その上級資格である「実務者研修」、そして国家資格の「介護福祉士」という、わかりやすい内容に一新しました。更に、介護福祉士の上級資格として「認定介護福祉士」が誕生しました。これにより、介護職のキャリアは図のようにステップアップできるようになります。
介護福祉士の資格取得ルート
介護福祉士に関して、受験資格・資格取得ルートが大きく変更されました。介護福祉士資格を取得するには大きく分けて、以下のの3つがあります。
・介護福祉士の養成施設を卒業、資格取得「養成施設ルート」
・福祉系高校を卒業、国家試験を受験「福祉系高校ルート」
・実務経験3年以上、国家試験を受験「実務経験ルート」
このうち、「養成施設ルート」では国家試験を受験せずに介護福祉士資格を取得することが可能でしたが、2022年度以降は「養成施設ルート」でも国家試験の受験が必須となりました。2017~2021年度の養成施設卒業者については、経過措置が取られることとなり、暫定的に5年の期限が付いた介護福祉士資格が授与されます。期限が切れた後も介護福祉士の資格を継続するには、5年間現場で勤め続けることで国家試験なしで資格を取得できます。
また、2016年度より「実務経験ルート」での国家試験の受験資格として、3年以上の実務経験に加えて「実務者研修(450時間)」の受講が義務付けられました。実務者研修の修了者は介護福祉士国家試験のうち実技試験が免除され、介護福祉士資格取得後に「喀痰吸引等研修」を受講する必要がなくなりました。
認定介護福祉士
新たに誕生した認定介護福祉士は、介護職の最上位資格となります。超高齢化社会を迎えようとしている日本ですが、そこで問題となるのが高齢者の介護・医療ケアの供給不足、介護ニーズの複雑化です。国は、地域包括ケアシステムを掲げ、高齢者が住み慣れた地域で自分らしい暮らしを最期まで続けられるように、地域包括ケアシステムの構築を推進しています。
認定介護福祉士は、地域包括ケアシステムのなかで、介護と医療の連携を行うなど、介護現場だけでなく事業所内の幅広い役割を期待されています。
介護の資格の選び方
初任者研修と実務者研修どちらを先に受講する?
年齢や経験に関係なく働ける介護業界への第一歩として学ぶ資格の代表格が介護職員初任者研修です。元々広く普及していたホームヘルパー2級の内容をベースに、より実践的な内容になっています。まったくの初心者でこれから介護職につく方や、介護事業所に就職したばかりの方は、まずこちらを受講するのが一般的です。
一方介護資格の第2ステップである実務者研修も未経験で受講できることをご存知でしょうか?介護福祉士を目指すためには、絶対に取得しなければならない実務者研修を未経験から受講する方も増加しています。最初からどちらも受講することを決めている場合は、初任者研修を飛ばして実務者研修にしてしまうのもありです。
懸念点としては、費用と期間です。初任者研修修了者の320時間と比べて、未経験者は450時間を連続した期間で学ぶ必要があります。期間が長い分一度に払う金額も高めです。
トータルコストは大きく変わらないので、ご自身の就業状況や時間の確保の都合で決めるのがよいと思います。
介護福祉士とケアマネジャーの違いは?
まず業務内容が違います。介護福祉士は居宅サービスや施設サービスにおいて介護職員(福祉施設介護員)としての活動を主とします。その中でリーダーや現場責任者などメンバーを指導する役割もこなします。
ケアマネジャーは、居宅介護支援におけるケアプランの作成や、施設に常駐する介護支援専門員(施設ケアマネ)としての活動が主です。 次に試験制度や受験資格が違います。介護福祉士は国家資格でケアマネは民間資格です。
受験資格については複雑なので詳しい解説は省きますが、介護福祉士は実務経験3年と実務者研修修了です。ケアマネは介護福祉士などの資格に基づく実務経験5年です。つまりケアマネのほうが長い実務経験を必要とします。
同じ職場で勤務していても、それぞれの役割があるので、働きながら必要な資格を目指していけば良いと思います。
介護業界の事務職とは?
居宅介護サービスなどの現場において、介護保険請求事務などの業務を行うのが介護事務です。安定した仕事ゆえにあまり欠員がでない職種ではありますが、一度就職できてしまえば継続して働くことができます。
介護事務に関する資格はいくつか種類がありますが、受験資格は特にありませんので、どなたでも取得できます。介護保険制度の知識はもちろん、介護や社会福祉の基本的な知識を広く身につけることができるので、すぐに事務職として働く予定がない方でも、資格を持っていて損のない民間資格です。