2015年、日本児童養護実践学会は「児童養護福祉士資格」を新設し、3月より初の認定講座を開催すると発表しました。
今回は、資格創設の目的や背景、そして関連する児童福祉関連の資格や仕事についてご紹介します。
児童養護福祉士資格が新設!
日本児童養護実践学会は、独自の「児童養護福祉士資格」制度を創設、3月から初の認定講座を開催します。
同学会は、資格の創設にあたり「児童養護の領域において優れた養育とソーシャルワークの技術と知識を用いて、水準の高い実践のできる人材の育成を行う」ことを目標としています。
認定資格は、専門性の高さに応じて初級、中級、上級の3ランクとしていますが、初年度の認定講座は初級のみ。
対象は、2015年度採用に向けた大学生、就職希望者、児童指導員任用資格、保育資格取得予定者などです。
講座の科目は、児童養護の関連法を学ぶ基礎、人権、尊厳など児童の理解、児童の援助、演習・実習の4科目となっています。
資格創設の背景〜社会的養護の現状〜
社会的養護(保護者のない児童や、保護者に監護させることが適当でない児童を、公的責任で社会的に養育し保護すること)が必要な児童は全国で4万6千人いるとされています。こうした事態となってしまう大きな原因は“虐待”。実際に、児童養護施設に入所する理由で一番多いのは「親からの虐待」なのです。
また、児童相談所に報告される児童虐待の数は、1990年の1,372件だったものが2013年には73,765件まで増加。約20年で53倍以上に拡大しています。
心に傷を負った子どもは非行等の問題行動を起こすことが多いため、その背景や心理を正しく理解して長期的な支援を行う必要があります。その為には、児童養護に関する高い専門的知識やスキルが必要なのです。
さらに近年では、子ども達の「あたり前の生活」を保障するために家庭的養護(里親など)が推進されており、養護施設についても小規模化が推奨されています。それに伴い、配置する職員の数を増加させる必要があり、児童養護のスキルや経験のある方の需要がこれからますます高まると予想されます。
その他児童養護に関する資格
●児童指導員
児童養護施設などの施設で働く職員。施設で生活する子ども達を、保護者に代わって援助、育成、指導します。
任用されるには”◎指定の養成校卒業者、◎社会福祉士・精神保健福祉士・教員免許の有資格者”などの要件が存在します。
●児童福祉司
児童相談所の職員。福祉の手が必要な子ども達の置かれている環境を調査し、子どもや保護者の話を聞き、立ち直れるように援助します。
任用されるには”◎大学で「心理学、教育学、社会学」を専攻し卒業後1年以上の実務経験を積む、◎医師や社会福祉士などの有資格者”などの要件が存在します。
●児童自立支援専門員・児童生活支援員
児童自立支援施設(不良行為をしたり、するおそれがある児童や、家庭環境等から生活指導を要する児童を入所または通所させる施設)の職員。生活寮の中で子どもたちと生活を共にし、彼らが社会で生きる力を身に付けられるよう支援します。
児童自立支援専門員に任用されるには”◎児童自立支援専門員養成施設の卒業者、◎3年以上の実務経験者”などの要件が、
児童生活支援員に任用されるには”◎保育士の資格所持者、◎3年以上の実務経験者”などの要件が存在します。
参考URL
▼児童養護福祉士の資格を創設 3月から学会が独自に(福祉新聞)
▼一般社団法人 日本児童養護実践学会
▼社会的養護の現状について(厚生労働省)
▼児童養護のいま(特定非営利活動法人ブリッジフォースマイル)