介護の現場における人手不足は深刻です。このたび、厚生労働省は、この人材不足の解消を目指し、介護の資格が取得しやすくなるよう制度を変更する方針を固めました。
どうなる!?介護の資格
2013年4月にホームへルーパー2級講座が廃止され、同等の資格を得るための研修として「介護職員初任者研修」が始まりました。現在の制度では、初心者から介護職を目指す場合、最短130時間の研修で取得できる「介護職員初任者研修」を修了することが一番の近道となっています。
厚生労働省の方針では、今後、「介護職員初任者研修」をこれまでより短期間で修了できるようにカリキュラムを修正するか、もしくは短期間で取得できる新しい資格をつくるとしています。介護資格を取得しやすくすることで、出産・育児を終えた女性や、退職後の再就職や社会貢献を考える高齢者など、幅広い人材に介護職を目指してもらおうというねらいがあります。
また、外国人についても介護福祉士の資格を取得した場合は国内で介護の仕事ができるようにするという案もあり、今月中にも有識者らによる新しい専門委員会を開始して議論を進めていく見通しです。
資格を取得しやすくすることで人手不足は解消されるのか?問題点も。
資格のハードルを低くすることが人材確保につながるのか、疑問の声もあります。
厚生労働省所管である公益財団法人 介護労働安定センターの「平成25年度 介護労働実態調査結果(資料提供:平成26年8月11日)」によると、介護事業所・介護従事者を対象に行ったアンケートの結果、介護職員の採用が困難である原因の1位は「賃金が低い(55.4%)」、2位が「仕事がきつい(身体的・精神的)(48.6%)」となっています。
介護サービスを運営する上での問題点としても「良質な人材の確保が難しい(54.0%)」「今の介護報酬では人材の確保・定着のために十分な賃金を払えない(46.9%)」という回答が突出しており、また、労働条件などの不満では「人手が足りない(45.0%)」に次いで、「仕事内容のわりに賃金が低い(43.6%)」という回答が挙げられています。
仕事の負担の大きさに対して、介護職員の賃金が低いことは以前から問題視されてきました。待遇面を解決しないことには人材が定着しないのではないかと、資格制度の変更を否定的にみる意見も上がっています。
介護の資格・仕事がこれからどうなるのか、今後の動向が注目されます。
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参考URL
▽YOMIURI ONLINE記事
http://www.yomiuri.co.jp/politics/20141014-OYT1T50114.html
▽平成25年度 介護労働実態調査結果について(公益財団法人 介護労働安定センター)
http://www.kaigo-center.or.jp/report/pdf/h25_chousa_kekka.pdf