介護職員初任者研修がしんどいと言われる6つの理由
介護職員初任者研修が「しんどい」「きつい」と言われる理由を6つ紹介します。
理由1:合計130時間の研修が苦しい
理由2:レポートや課題などの提出が大変
理由3:実技演習が慣れない
理由4:働きながらの取得がしんどい
理由5:理解度が深まりにくく覚えられない
理由6:介護業界の現実を知り不安や葛藤を感じてしまう
それぞれの内容について見ていきましょう。
合計130時間の研修が苦しい
介護職員初任者研修の学習内容は、厚生労働省の指針に基づいたものです。ですが、学習内容とカリキュラムは、厚生労働省の指針のもと、各都道府県が実施要綱に沿って指定の養成機関が決めています。
基本的には、以下の研修項目を総計130時間にわたるプログラムとしています。
研修項目 | 研修時間数 |
---|---|
職務の理解 | 6時間 |
介護における尊厳の保持・自立支援 | 9時間 |
介護の基本 | 6時間 |
介護・福祉サービスの理解と医療との連携 | 9時間 |
介護におけるコミュニケーション技術 | 6時間 |
老化の理解 | 6時間 |
認知症の理解 | 6時間 |
障害の理解 | 3時間 |
こころとからだのしくみと生活支援技術 | 75時間 |
振り返り | 4時間 |
合計 | 130時間 |
この長時間の研修は、初心者が質の高い介護を提供するための基礎知識や技術をしっかり身につけることを目的としていますが、その長さゆえに多くの受講者が「しんどい」と感じることが多いのです。
レポートや課題などの提出が大変
介護職員初任者研修においては、単に授業を受講するだけではなく、レポートの提出や課題の取り組みも求められる場合があります。これらの課題は、受講者が学んだ内容をどれだけ理解しているのか、そして、実際の現場でどのように活用できるのかを確認するためのものです。レポートや課題の回数は、受講する場所にも異なりますが、3回〜5回程度です。
忙しい日常の中で、これらのレポートや課題に取り組むのは簡単ではありません。特に、研修と並行して他の仕事や家庭の責任を持つ人にとっては、研修だけでなく課題の完成や提出の締め切りに追われることも、「しんどい」と感じることが少なくありません。
「介護職員初任者研修のレポート」について紹介しています。詳細を知りたい方は、そちらもあわせてご一読ください。
実技演習が慣れない
介護職員初任者研修の中で、多くの受講者が難しく感じるのは実技演習です。実技演習は、実際に体を使っての動作や手技が求められるため、初めての方にとっては習得するまで時間がかかります。
・入浴介助
・食事介助
・衣服の着脱介助
・オムツ交換の方法
・ベットから車いすへの移乗
介護の現場で頻繁に行われる技術を習得することは、一度や二度では難しく、繰り返しの練習が必要です。加えて、実技研修では単に技術だけを学ぶのではなく、利用者の感じる不安を最小限に抑えることが求められます。さまざまなスキルが求められるため、姿勢や考え方も同時に学ぶ必要があります。
普段とはまったく異なる動作をするため、50代や60代で初任者研修にチャレンジしている方の中には、「しんどい」と感じる方もいます。
働きながらの取得がしんどい
初任者研修では、普段の仕事に加えて研修への出席や学習、課題の提出など、多岐にわたる負担が受講者にかかります。そのため、時間管理や体調面での調整が難しく、精神的・肉体的にも大きな負担となります。
また、研修後の復習や実技練習の時間も確保する必要があり、休日や休暇を犠牲にしなければならないケースも少なくありません。こうした状況の中で、日常の業務の質を維持しつつ、研修の内容をしっかりと吸収するのは「しんどい」と言えるでしょう。
理解度が深まりにくく覚えられない
理解度が深まりにくく、覚えられず挫折してしまう方もいます。初任者研修には幅広い内容が詰め込まれており、介護業界の制度や現状の高齢者問題などを学べます。しかし、「一度に研修内容のすべてを覚えるのは難しい」と感じる受講者も多いです。また、短時間の研修だけでは、実技の部分は身につけにくいと感じることもあります。
介護業界の現実を知り不安や葛藤を感じてしまう
介護職員初任者研修を受講する過程で、介護業界の現実に触れることが増え、その現実が思っていたものと異なる場合、受講者は不安や葛藤を感じるでしょう。
・人手不足
・業務量の多さ
・利用者とのコミュニケーションの難しさ
・介護現場のストレス など
さまざまな現実的な課題が存在します。研修を通じて、これらの問題点や困難について学ぶことで、理想と現実のギャップに戸惑ったりして「やっていけるのかな」と、自分がこの業界で長く働けるのか不安に思うこともあるでしょう。
特に、研修内容が実際の現場と一致しない場合や、現場の厳しさを想像以上に感じる場合は、心の中に大きな葛藤を抱えながら向き合わないといけないと感じるでしょう。これは、受講者にとって一つの辛い部分です。
初任者研修がしんどいことは知恵袋でも言われている
初任者研修が「しんどい」と感じることについて、取得する価値があるのかYahoo!知恵袋で見かけた意見を紹介します。
相談1:初任者研修を取得する価値があるのか
このままでは生活が厳しいので、介護職員初任者研修を受講して介護の仕事につこうかと考えています。
今は失業中なので、ハローワークで選考試験に受かれば教材費と実習服代、検定料だけで、講習の受講料は無料になります。
介護職員初任者研修とは、昔のホームヘルパー2級と聞きました。
この資格があれば、介護の職につくには有利ですか?
資格が無いよりはマシっていう程度なのでしょうか?
それから、介護職は大変だと思いますが、どんな苦労がありますか?
女性が一生の仕事をするには、体力的に無理が生じるのでしょうか?
引用 Yahoo!知恵袋
介護職員初任者研修を修了した私としては、介護業界で働く場合、初任者研修は取得しておくべき資格です。「介護職員初任者研修がしんどいと言われる6つの理由」でお伝えしたとおり、未経験の方は初任者研修の取得までしんどいと感じることがあります。
無資格でも働ける介護施設はありますが、資格を持つことで現場に知識を持って入れる利点があります。それは、ストレス軽減やキャリアアップはもちろん、仕事に対する自信にもつながるでしょう。
これから介護の仕事に就こうと考えている人は、ぜひ初任者研修を取得してから、介護の仕事に就きましょう。
相談2:初任者研修は途中で辞める人はいるのか
介護職員初任者研修を現在受けてるのですが、授業も難しく、介護の仕事も自分には出来そうもないので研修を途中で辞めてほかの仕事を探そうかと考えてます。
私のように研修を途中で辞める方とかいるのでしょうか?
引用 Yahoo!知恵袋
介護現場の実情や受講したスキルが思っていた業界と異なり、落胆して途中で辞めたいと感じる人もいます。多くの人が介護の仕事に対して期待を持ちながら研修を開始します。
しかし、研修中に介護現場の厳しい実情を知ると、事前の期待との間に大きなギャップを感じることがあるのです。また、研修は130時間という長い時間がかかり、その間に多くの知識や技術を習得する必要があります。
この内容やペースについていけないと感じる方もいます。
初任者研修を修了した著者が語る乗り切れる方法
初任者研修は時間と労力がかかるものですが、乗り切る方法を知っておけば、精神的負担を軽減して修了することが可能です。実際に初任者研修を修了し、介護福祉士の資格を取得した私の経験から、初任者研修を乗り切る方法について紹介します。
クラスメイトとコミュニケーションをとる
まず提案したいのが、クラスメイトとのコミュニケーションです。研修を受ける際、多くの人が介護についての知識がない状態で研修を受けます。新しい環境での不安や緊張は当然ですが、この状況を逆手に取ってクラスメイトとの関係を深めることが大切です。
私自身も初任者研修を受けた際、最初は緊張していましたが、徐々にクラスメイトとのコミュニケーションを増やすことで、学びやすい環境を作れました。疑問や不安な点が出てきた際には、クラスメイトと一緒に解決策を模索したり、共通の悩みを共有することで研修の厳しさを少しでも軽減できます。
また、働きながら資格を取得しにくる方もいるので、介護の仕事に就いたことがない方は話を聞いてみるのも良いでしょう。研修の内容は専門的なものも多いため、情報を共有することで、理解度を深める手助けにもなります。
わからない点は講師に質問する
初任者研修中は介護の基本だけでなく、さまざまな知識を習得しないといけないため、一度に理解するのは難しいでしょう。こうした時、講師に積極的に質問をすることが重要です。講師は専門的な知識や実務経験を持っています。
質問を恐れず、積極的に講師に質問することで、研修の内容をより深く、より実践的に学べます。また、講師からの回答やアドバイスをもとに、自らの理解を確認し、復習する習慣をつけることも大切です。
研修修了後の自分の姿を想像しモチベーションをあげる
初任者研修がしんどく感じる時、資格取得した将来の姿を想像することで、モチベーションを維持するのは効果的な方法です。初任者研修を終え、実際の現場で活躍する自分の姿を頭に描くことで、研修中の困難や疲れを乗り越える原動力となります。
・利用者の方との笑顔あふれるコミュニケーションをとる姿
・実際の現場での業務をスムーズにこなす姿
・チームとして連携し成果を上げる姿
想像するのは、具体的なシーンを思い描くことがおすすめです。上記のような想像は、単に研修を終えるためだけでなく、実際の業務においても大きなモチベーションとなります。
初任者研修が向いている人の特徴
介護職員初任者研修は、介護の現場での基本的な知識や技術を習得するための研修です。そのため、特定の属性や経験に限らず多くの人が受講できます。しかし、研修を受ける際にスムーズに取り組める人の特徴は、以下のとおりです。
・介護業界に興味がある人
・人とのコミュニケーションが好きな人
・忍耐力がある人
・学ぶ意欲が高い人
これらの特徴は、介護の現場で求められるものとして挙げられますが、必ずしもすべてを兼ね備えていなければならないわけではありません。研修を受けることで、これらの特徴やスキルも育てていくことも可能です。
初任者研修に落ちる人の特徴
初任者研修に落ちる人の特徴は以下のとおりです。
・受講意欲が欠如している人
・時間管理や学習計画をするのが苦手な人
・コミュニケーションが苦手な人
・受け身の姿勢な人
初任者研修は、130時間受講すれば修了となりますが、受講する場所によっては簡単な修了試験を用意しているところもあります。
座学だけでなく「ベッドメイキングや体位交換」や「衣類の着脱」といった実技試験もあるため、真剣に受講していないと試験に落ちてしまうでしょう。
介護職員初任者研修試験に落ちたとしても再試験がある
介護職員初任者研修試験は、研修を受講した後に行われる試験で、この試験に合格することで初任者研修の修了と認定されます。試験に落ちたとしても、再試験を基本的に何度でも受けることが可能です。
再試験に向けては、まず前回の試験での自分の弱点や間違えた箇所をしっかりと確認することが大切です。その上で、それらの部分を中心に復習を行い、不安を解消していくことが求められます。
再試験が有料となっているところもあるので、申し込み前に確認してみると良いでしょう。
よくある質問
最後に初任者研修がしんどいことに関する、よくある質問に回答します。
・初任者研修のテストは難しいですか?
・介護初任者研修を取るとどうなりますか?
・実技演習が慣れない
・初任者研修の勉強時間はどのくらいですか?
初任者研修のテストは難しいですか?
初任者研修のテストは、これまで学習した内容を習得できているかを確認するための内容です。そのため、研修中にしっかりと内容を理解し、適切な復習を行えば、難しくは感じないでしょう。
介護初任者研修を取るとどうなりますか?
初任者研修を取得すると、介護の基本的な知識と技術を習得している方と判断されます。そのため、無資格の方よりも介護職員や利用者様、家族にも安心感を与えられます。
初任者研修の勉強時間はどのくらいですか?
介護職員初任者研修の受講期間は130時間です。受講する場所によって異なりますが、1日の講習時間は一般的に休憩時間を入れて7時間程度です。週4日通えれば最短1ヶ月で、週1回の場合は約4ヶ月で修了します。
課題が出された場合、2時間から3時間程度の自習時間が必要となるでしょう。
初任者研修の合格点は何点ですか?
介護初任者研修試験の合格点は、100点満点中70点以上です。初任者研修の試験は国家試験のような本格的なものではなく、研修内容をしっかり把握できているか確認するものです。リラックスして挑むようにしましょう。
まとめ
介護職員初任者研修がしんどいと言われる理由は以上の通りです。初任者研修は、130時間の座学と実技を受講しなくてはいけません。また、課題もあるため、プライベートの時間を削りながら自宅学習する必要があることから、挫折する人もいるでしょう。
しかし、初任者研修は一人で挑むのではなく、周囲には一緒に資格取得に向けて頑張るクラスメイトやわからない点を教えてくれる講師がいます。不安なことや疑問点があったら、すぐに聞くことで、モチベーションを保ちながら初任者研修を修了できるでしょう。