動物介護士(ペット介護士)の将来性は?
犬・猫の平均寿命
犬・猫の平均寿命は何歳くらいだと思いますか?種類などにもよりますが、犬、猫ともに15歳近く生きるとされており、平均寿命が長くなっていることでペットケアなどの需要も高まっています。
一般社団法人ペットフード協会の「令和3年全国犬猫飼育実態調査」によると、2010年から2022年にかけて犬・猫の平均寿命は伸びており、2022年では犬の平均寿命は14.76歳、猫の平均寿命は15.62歳となっています。
特に、外に出ない猫の平均寿命は16.02歳と長く、長期的なペットの世話が必要となっています。
ペット業界の動向
近年、ペットビジネスの市場は増大傾向にあります。経済産業省の「商業動態統計」によると、新型コロナウイルスの感染が拡大した2020年にペット・ペット用品の販売額が増大しました。さらに総務省の家計調査では、家計におけるペット向けの支出は2015年から2020年まで増加しています。
コロナ禍では、在宅時間が増えたことから、ペットと過ごす時間が増えたり、癒やしを求めて新たにペットを迎える人が増えたと考えられています。このような背景から、ペットビジネスは堅調だとうかがえます。
一方で、ペット飼育における飼い主の高齢化という課題がみられます。一般社団法人ペットフード協会の「2021年(令和3年)全国犬猫飼育実態調査 結果」によると、犬を飼育している60代は11.7パーセント、70代は9.2パーセント、猫を飼育している60代は10.8パーセント、70代は7.8パーセントいます。
犬も猫も平均寿命が15歳近いため、ペットが高齢になったとき、飼い主自身も高齢になってしまい世話が難しくなることがあります。
介護サービスの1つとして、ホームヘルパーが利用者の自宅で生活を支援する訪問介護がありますが、ペットの世話は日常生活の援助の範囲をこえるサービスと区分され、介護保険の対象外となります。
このような状況から、飼い主が高齢になった際のペットの世話は、重要な課題となっています。
動物愛護法の改正
2013年に改正された動物愛護管理法には、「所有者の責務に、終生飼養や適正な繁殖に係る努力義務を加える」ということが明記されました。このことは、飼い主がペットを最期まで看取る責任があることを意味しています。そのため、ペットを飼育する際は、ペットが高齢になったときのことまで考える必要があります。
先ほどご紹介した、ペットの寿命が伸びていることや、飼い主の高齢化を踏まえると、さまざまな事情からペットを最期まで看取ることが困難な方もいると考えられます。そのような方にとって、シニア期を迎えたペットの介護需要は高まると想定されます。
動物介護士(ペット介護士)の給料は?
就職先によって異なりますが、一般的に月給約13万円から約15万円だといわれています。年収計算では、約150万円から約180万円となります。
国税庁の「令和3年分民間給与実態統計調査」によると、日本の平均年収は443万円であるため、動物介護士(ペット介護士)の給料は、平均よりも低いという現状です。
動物介護士(ペット介護士)とは?
動物介護士(ペット介護士)は、シニア期を迎えた犬や猫などのペットを介護する仕事です。人間と同じように、ペットも老化による病気や筋肉の衰えなどから介護が必要になったり、寝たきりになったりすることがあります。そのような状態のペットが、快適に暮らせるようにサポートをする役割を担います。
活躍の場は?
動物介護士(ペット介護士)の知識やスキルはさまざまな場所で活かすことができます。
動物介護ホーム
シニア期を迎えたペットが終生の時間を過ごす施設を動物介護ホーム(老犬・老猫ホーム)といいます。動物介護ホームでは、自宅で介護することが難しい犬や猫たちを預かって、適切な介護を行います。施設によっては、ショートステイや一生涯にわたるお世話など、さまざまな形態があります。
ペットショップ
ペット介護の知識を持っていると、ペットショップに訪れる飼い主に対して、相談にのったり、ペットの健康をサポートしたりできます。ペットフードの選び方や薬の飲ませ方のアドバイスをするなど、幅広い専門知識を活かして、ペットショップでの活躍が期待できます。
動物病院
高齢のペットが動物病院を訪れる際、ペット介護の専門知識は役立ちます。ペットの増加に伴い、高齢化した犬や猫のケアをする機会は増えているため、動物介護士(ペット介護士)の活躍が期待できます。
独立するなら?
日本の平均年収より動物介護士(ペット介護士)の仕事は収入が低いため、収入アップを目指すために独立する方法もあります。
動物介護士(ペット介護士)の知識やスキルを活かして、ペットホテルや動物介護ホームを開業することで、自宅でシニアペットをお世話できない飼い主をサポートできます。
開業には、ペットを預かるための施設や設備、開業に必要な資格などが必要なため、独立をする際はしっかりと準備をすることが大切です。
動物介護士(ペット介護士)の仕事内容は?
動物介護士(ペット介護士)の仕事は、シニア期を迎えたペットの介護をすることです。日常生活が困難になったペットが快適に暮らせるように、次のようなサポートを行います。
食事のサポート
筋肉が衰えることで、立ち上がったり首を曲げたりすることが困難になり食事が上手にできなくなることがあります。そこで、食器の位置を調整したり、注射器を使って食事を介助したりして、サポートします。
散歩のリハビリ
足腰が弱くなり、歩くことが困難になると散歩に行きたがらなくなってしまいます。そこで、歩行を補助するウォーキングベルトを使うなどして、無理がないように散歩をさせたり、リハビリを行ったりします。
排せつのサポート
立てなくなってしまうと、ペット自身でトイレができず、不衛生になったりストレスを感じさせたりしてしまいます。排せつできるように下半身を支えて、トイレをうながします。
寝たきり状態のストレスを軽減
衰弱すると寝たきりになってしまうこともあります。ずっと寝ていると床ずれによる炎症が起きてしまうため、身体に負担がかからないように寝返りを打たせてあげて、ペットのストレスを軽減させます。
動物介護士(ペット介護士)になるには?
資格は必要?
動物介護士(ペット介護士)になるために、必須となる資格はありません。しかし、シニア期を迎えたペットを介護するには、高齢期の動物の特性や栄養管理などの専門知識、介護のスキルなどを身につける必要があります。
愛玩動物看護師との違い
動物介護士(ペット介護士)に似た職業として、愛玩動物看護師があります。どちらも動物の健康をサポートする仕事ですが、仕事内容やできることが異なります。動物介護士(ペット介護士)の主な仕事は、シニアペットの介護、愛玩動物看護師の主な仕事は動物の診療の補助や看護です。
愛玩動物看護師は、国家資格の取得が必須であり、資格を持っていないと「愛玩動物看護師」と名乗ることはできません。主な仕事内容は次のとおりです。
診療の補助
獣医師の指示に従って、診療の補助を行います。業務は多岐にわたり、採血や投薬、マイクロチップの挿入やカテーテルによる採尿などを行います。診療の補助を行えるのは、獣医師以外では、「愛玩動物看護師」の資格を持っている人だけで、独占業務となります。
ペットの世話・看護
入院している犬や猫の世話をしたり、診断を伴わない検査を行ったりします。
ペットの飼育に関するアドバイスやその他の支援
ペットが健康に暮らせるよう、爪切りや歯磨きなどの日常の手入れについてアドバイスをしたり、人間と暮らす際に必要なしつけを指導したりします。その他にも、動物を取り入れた教育やセラピー活動への支援を行います。
動物介護士(ペット介護士)と愛玩動物看護師は、仕事内容やできることが異なるため、違いをしっかり理解しましょう。
働きながら動物介護士資格を取得できる?
動物介護士(ペット介護士)には、民間の資格が複数あります。通信講座で取得を目指せる資格もあるため、現在働いている方も取得可能です。
専門学校への通学やスクーリングが必要な資格では、働きながら勉強することは難しいですが、通信講座はご自身のスケジュールに合わせて学習を進められるため、社会人の方にもおすすめです。
資格取得の最短ルートは?
動物介護士(ペット介護士)の資格は最短約2ヶ月の学習期間で資格取得を目指せます。主な5つの資格についてご紹介します。それぞれ資格試験や認定課題に合格することで資格を取得できますが、資格取得までに必要な学習期間をまとめました。
資格 | 学習期間 |
---|---|
動物介護士 | 約4ヶ月 |
犬猫介護アドバイザー | 最短約2ヶ月 |
ペット介護インストラクター | 最短約2ヶ月 |
老犬介護士 | 約5ヶ月 |
動物健康管理士 | 約4ヶ月 |
上記5つの資格の中では、犬猫介護アドバイザーとペット介護インストラクターは受験資格に特に制限はないため、誰でも受験可能です。
また、特定の講座を受講しなければいけないといった規定もないため、独学で試験に望むこともできます。ただし、一般者向けの書籍やテキストがあまり販売されていないため、独学よりも通信講座を受講するほうが効率よく試験対策ができます。
動物介護士(ペット介護士)に役立つ資格は?
動物介護士
概要
日本能力開発推進協会が認定する民間資格で、シニア期の犬や猫を介護する知識やスキルを証明します。
受験資格・取得方法
受験資格は、認定教育機関などが行う教育訓練でカリキュラムを修了することです。カリキュラム修了後、随時在宅で資格試験を受験し、合格することで資格を取得できます。
学習内容
学習内容は、シニア期の動物に関する基礎知識についてです。
- シニア期の基礎知識
- シニア期の介護に関する基礎知識
- シニア期の病気の基礎知識
犬猫介護アドバイザー
概要
日本生活環境支援協会が認定する民間資格です。犬と猫の介護に関する知識を身につけているか証明します。
受験資格・取得方法
受験資格は特になく、誰でも受験可能です。2ヶ月に1回程度開催される試験に合格することで資格を取得できます。尚、資格試験は在宅受験です。
学習内容
犬と猫の介護について学習します。
- 寝たきり状態になったペットの対応
- 食事を拒む場合の対処法識
- 排泄の介助の方法
- 介護マッサージの方法 など
ペット介護インストラクター
概要
日本インストラクター技術協会が認定する民間資格です。ペット介護インストラクターとしての犬や猫の介護に関する知識を証明します。
受験資格・取得方法
受験資格は特になく、誰でも受験可能です。2ヶ月に1回程度開催される試験に合格することで資格を取得できます。尚、資格試験は在宅受験です。
学習内容
犬と猫の介護について学習します。
- 小型犬/中型犬/大型犬の介護の基本知識
- 猫の介護の基本知識
- 排泄の誘導・補助の方法
- 食事の選び方
- 流動食の与え方
- 室内環境の整え方 など
老犬介護士
概要
日本キャリア教育技能検定協会が認定する民間資格です。通信講座の受講で取得を目指せるマスターライセンスの他に、実技スクーリングの修了で目指せるインストラクターライセンスもあります。ここでは、通信講座で目指せるマスターライセンスについてご紹介します。
受験資格・取得方法
「老犬介護士養成専門講座」を修了した上で、認定課題で一定水準の知識、技能を満たすと資格を取得できます。
学習内容
老犬を介護する際に必要な知識を学習します。
- 老化の症例
- 認知症について
- 終末介護
- ペットロス症候群
- ドッグトレーニングの基本 など
動物健康管理士
概要
日本ペット技能検定協会が認定する民間資格です。動物病院での獣医師の補佐や現場での疾病・感染予防の主務者として業務を行える力を育成します。
受験資格・取得方法
受験資格は、協会指定のカリキュラムを修了することです。カリキュラム修了後、筆記試験に合格することで資格を取得できます。
学習内容
ペットの疾病予防に重点をおいた活動や助言を行えるよう、犬や猫の健康管理に必要な知識を学習します。
動物介護ホーム施設責任者
概要
日本能力開発推進協会が認定する民間資格です。動物介護施設を開設し、運営する際に必要な設備や管理方法などの知識を身につけているか証明します。
受験資格・取得方法
受験資格は、協会が指定する教育機関などの教育訓練でカリキュラムを修了することです。カリキュラム修了後、随時在宅で資格試験を受験し、合格することで資格を取得できます。
学習内容
動物介護施設の開設に必要な知識を学習します。
- 動物介護施設に必要な設備、施設管理に関する基礎知識
- 動物介護施設運営に関する基礎知識
動物介護士(ペット介護士)の難易度
多くの資格は、70パーセント以上の得点率で合格となります。それぞれの資格について、合格に必要な評価の基準についてまとめました。
資格 | 合格の基準 |
---|---|
動物介護士 | 得点率70パーセント以上で合格 |
犬猫介護アドバイザー | 得点率70パーセント以上で合格 |
ペット介護インストラクター | 得点率70パーセント以上で合格 |
老犬介護士 | 認定課題で一定水準の知識、技能を満たすと合格 |
動物健康管理士 | 得点率不明 |
動物介護ホーム施設責任者 | 得点率70パーセント以上で合格 |
上記資格の学習期間は6ヶ月以内と、比較的短い期間であるため、しっかりと試験対策をすれば資格取得も難しくはありません。
カリキュラムがしっかりと組まれた通信講座を活用することで、学習がスムーズに進み、効率よく試験対策ができます。気になる資格がある方は、ぜひ検討してみてください。
まとめ
ペットビジネスの増加やペットと飼い主の高齢化などから、動物介護士(ペット介護士)の仕事の重要性は高まると予想されます。動物と関わる仕事をしたいと考える方は、ぜひ動物介護士(ペット介護士)の専門知識について学習してみてはいかがでしょうか。
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