VMDという視覚を通じてお客様の購買意欲を喚起する、売り場づくりの方法論を学びます。
はじめは何となくブラブラ歩いていた通行客の目や気持ちに働きかけ、注目させ、店内に引き込み「買いたい」「買おう」と思わせる仕組みがVMDのシステムです。
今回はこのVMD研修を国立科学博物館内のミュージアムショップで行ってきました。
研修概要
- 人数:約25名
- 場所:ミュージアムショップ
- 期間:1日
- 対象:ショップスタッフ
- ディスプレイディレクター/空間プランナー
二宮 一司さん -
百貨店・専門店・その他ブランドショップ等におけるディスプレイデザイン・VMD計画・コンセプトワークのディレクション、メーカーの新作発表会や展示会ブースの企画・設計・施工等を手掛ける。JDCAスクール講師・JDCA協会理事。
- ジャパンディスプレイクリエイターアカデミー(JDCA)
ディスプレイ・VMD・売り場づくりの研修・セミナー -
ジャパンディスプレイクリエイターアカデミーでは、商空間を中心とした「衣・食・住」のディスプレイ基礎・VMD理論・売り場作りをはじめ、陳列事例のデモンストレーションが学べます。プレゼンテーションテクニック・カラーコーディネイト・POP制作・演出アイテムの制作実習等、企業ニーズに合わせたカリキュラムをカスタマイズして実施いたします。
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午前はディスプレイ配置の基本を学び、午後は実際に手を動かしながらショップのディスプレイを改善しました!
- ディスプレイの
基本と美しい
陳列のコツ -
売場づくりの基本は、買い手にとって見やすく、選びやすい売場。商品数の多い売場で特にありがちなのが、商品を詰め込み過ぎてしまい、商品説明をするPOPもあらゆる所にあり何がポイントか分からない状況。売り手の気持ちが全面に出てしまい、主役であるはずの商品の存在感が薄れてしまいます。この講師の説明に「思い当たる…」と頷くショップスタッフ。店頭に全商品を出すのではなく、商品を並べる際も「間」を作ることで、商品価値を高め、美しい陳列になる方法を説明しました。
また、ディスプレイの基本構成を3パターン紹介。ミュージアムショップで販売している商品を使い、講師がデモンストレーションを行いました。ミュージアムショップでは、子供でも買えるお土産から、高価な鉱物・化石まであらゆる商品を扱っています。そのため「誰に・何を・売りたいか」を意識することで、ディスプレイが変わってきます。 - わくわくさせる
売り場を作るには? -
「商品(モノ)」はもちろん「想像(時間)」「体験(時間)」もお客様は店舗で買っている、と意識したことありますか?例えば「展示でみたものを家で調べたいな」という想いも含めてお客様は商品を買っているのです。商品を売るということは、生活・仕事・夢などにつながります。そのきっかけを作るのがディスプレイの役目である、と二宮講師は言います。
「恐竜の模型を買った小学生が考古学者に」「科学の本を買った大学生が世界的な科学者に」といった可能性や夢をミュージアムショップは秘めています。お客様を幸せに、そしてワクワクさせるような売場を作ることが、また来たくなるお店になります。という講師の言葉に、真剣な様子で聞いている受講者が多くいました。 - 1時間で
売り場改善を実施 -
午後は店舗へ移動し、チームごとに担当売場を割り振り、午前中に学んだ店づくりのコツを踏まえて実際に売場改善を行いました。(研修は博物館の休館日に実施しました)制限時間は1時間。什器の棚を外し、決められた売場の陳列を大きく変えるチームもありました。チームごとに話し合いながら、時間ギリギリまで改善を行いました。「いつも気になってた箇所が綺麗になった!」などの声が聞こえてきたのが印象的でした。実際の店舗で働いているショップスタッフということもあり、日頃手を付けたくても出来なかった箇所を改善できたことに、大きな収穫があったようです。
下記にご紹介するのは、研修前の売り場(Before)と1時間で受講者が行った売場改善(After)です。
商品を減らして見やすく・わかりやすく! 思いきって商品数を減らしたことで、圧倒的に見やすくなりました。また、商品と商品の間に空間を作ることで、商品グループが明確になり、混在していた売場が整理されました。また「タオルの触り心地を確かめたい」という買い手の気持ちを考慮して、サンプルを手に取りやすい場所に置いたのも素晴らしいですね。
平面的な印象だった棚を、まとまり感のある立体的な売り場に! 真ん中にオレンジ色のファイルを持ってきたことで、ベージュの商品が多い中で、アクセントになり売場のまとまりが出ました。また関連商品であるHACHI(ハチ)のぬいぐるみを置いたことで「HACHI(ハチ)コーナー」ということが一目でわかることも、売場作りに置いて大切なポイントです。HACHI(ハチ)が買い手側を向いているので、売り場に動きが出ました。
[川崎 信之様]
一般財団法人
全国科学博物館振興財団管理課長・ショップ店長
商品数も多く、ターゲットが幅広いため売場のまとまりを出すことに苦労していました。土日は家族連れが中心ですが、高価な化石や鉱物も扱っているので年配の方もいらっしゃいます。また社会科見学などで訪れる学生の団体もいるので、売り場が雑然としてしまうことも多々あります。講師の方には研修前に売場を見ていただき、売り場の課題をお伝えしました。それを基に午前中は売場づくりの基礎を解説頂き、内容濃く大変参考になりました。
また午後の実践は、スタッフが意欲的に売場改善を行っていました。日々の業務に追われ、売り場作りについて皆で考える機会がありませんでした。聞くと、スタッフには「触っちゃいけない」「変えちゃいけない」という意識があったようで、この研修がきっかけで意識も変わり、売り場に変化が出ています。各々が思っていたことを話し合い、実際に売場を変えてみるという行動を、この研修がもたらしてくれたことに感謝しています。
国立科学博物館
ミュージアムショップ
「科学への道案内」をコンセプトに展示と隣接した空間を、グッズを介したサイエンスコミュニケーションの場として育てていくことをめざしている。書籍、教材、科学玩具、文具、生活雑貨、食品など約3,000種のグッズを取りそろえている。通販サイトも展開中。
住所:東京都台東区上野公園7-20(国立科学博物館 日本館地下1階)
HP:https://www.kahaku.go.jp/userguide/access/shop/