5月中旬、自民党の教育再生実行本部が教員免許の国家資格化を含む提言をまとめ政府に提出しました。教員免許を国家資格にする目的は?国家資格化した場合、現行の資格制度と何が変わるのか!?詳しく見ていきたいと思います。
教員免許を国家資格にする理由は?
5月中旬に提出された教育再生実行本部の資料では、教師の質の向上を図るための対策として、現在は都道府県・政令指定都市ごとに異なっている教員採用試験を全国共通の試験にし、教員免許を国家資格にするという案を打ち出しています。
そのほかにも、教師の養成・採用・研修の方法についての見直しや、教師育成指標の策定など、教師の力量を高める施策が考えられてます。
現行の制度では、一般的に大学などで教職課程の単位を修得することで教員免許を取得し、その後、公立の小中学校・高等学校に勤める場合は都道府県・政令指定都市で実施される教員採用試験を、私立の学校に勤める場合は学校ごとの採用試験などを受験する流れになっています。
一方、教育再生実行本部の案では、大学などで教職課程を履修したのち国家試験を受験、さらに1〜2年程度の研修を受けることで教員免許を取得できるようにするとしています。医師免許取得のような流れを想定しているということです。
また、教員免許取得後の採用試験は面接のみの実施とするなど、筆記試験・論文等が必要な現状の教員採用試験より簡素なものが考えられています。現在の教員採用試験の役割を、国家試験と採用試験に分ける流れになります。
〜教員免許取得の流れ〜
■現状:教職課程→教員免許取得→教員採用試験
■教育再生実行本部の案:教職課程→国家試験→研修(1〜2年)→教員免許取得→採用試験
人材不足の心配も
教育再生実行本部の案には、教員免許を国家資格にすることで資格の社会的価値を高め、なおかつ教員の質を向上させるねらいがあります。しかし、提案が実現した場合、これまでより資格取得のハードルが高くなる上、教員免許取得までに要する期間も長くなるため、結果的に教員を志願する人が減り、人材不足を招くのではないかと言った懸念もあります。
提言では、教員免許の国家資格化のほかにも、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカー、部活動指導員、学校司書、ICT支援員ら専門スタッフの積極的な登用や、地域と学校の連携の強化などさまざまな提案が挙げられています。
教員免許の国家資格化は実現するのか。実現する場合いつからか。国家試験の内容はどうなるのか。今後の動きが注目されます。
参考URL
教育再生実行本部 第四次提言
http://jimin.ncss.nifty.com/pdf/news/policy/127697_01.pdf
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