介護事務に資格は必要?
介護事務の仕事内容
介護事務のメインの仕事は、「介護報酬請求業務(レセプト作成)」と呼ばれるデスクワークです。
介護保険制度により、介護を必要とする人が介護サービスを利用した場合に負担する費用は1割。残りの9割については、市区町村などの自治体から介護サービスを提供した事業者に支払われます。この9割の介護報酬を請求するのが介護事務の仕事です。(※利用者の所得が一定以上の場合には、利用者が2割負担、自治体が8割負担となります。)
介護報酬の支給を受けるには、前月に実施したサービスの詳細を記載した「介護給付費明細書」「介護給付費請求書」を作成し、毎月10日までに自治体に送付する必要があります。
介護事務の仕事の範囲
介護事務の仕事の範囲は事業所や施設によってまちまちです。人員が不足している介護施設が多いため、介護事務の主要な仕事である介護報酬請求業務のほかにも、電話対応や窓口業務、介護職員やケアマネージャーの補佐、シフト管理、備品の管理や発注、経理業務など、幅広い活躍が求められる場合があります。事務系の職種とはいえ、介護サービス利用者やご家族への対応、介護職員やケアマネージャーとの連携が求められるため、臨機応変な対応やコミュニケーション能力が不可欠です。
一方、規模の大きい施設などでは、デスクワークに集中できる環境で、複数の介護事務員が分業して介護報酬請求業務を担当することもあります。
関連記事:介護事務の「仕事内容」とは?具体例で紹介していきます。
介護事務のメリット
働き方を選びやすい
介護事務の求人には、正社員のほか、パートタイマーを募集するものもあります。扶養内で働きたいという希望もかないやすく、家庭を優先した働き方も可能です。午前中だけ・子どもが幼稚園に行っている間だけという働き方をしている人もいます。家事や育児をおろそかにしたくない場合でも働きやすいのが介護事務の仕事です。また、派遣社員として働くという方法もあります。幅広い年代の人が働いている職場でもあり、若いから優遇されるということもあまりありません。働き方に関しては、面接の時に自分の事情と職場が求めていることが合うかどうか確認しておくのがおすすめです。
夜勤・休日出勤が少ない
介護事務の仕事場は、夜勤や休日出勤などがあまりなく、雇用環境が安定しています。自治体への介護報酬請求の〆切が毎月10日のため、月末から月初にかけては繁忙期となりますが、スケジュールを立てて仕事に取り組みやすいと言えます。
短期間で資格取得を目指せる
介護事務の通学講座では初心者から最短3日で合格を目指せる講座があります。通信講座では標準学習期間を4ヶ月程度と設定しているところが一般的ですが、通信学習のペースは自分次第のため、短期で資格取得を目指すことも可能です。就職に役立つ資格をできるだけ早く取りたいという方にはとてもおすすめの資格と言えます。
資格・試験に挑戦しやすい
介護事務の資格試験は年齢・学歴など受験資格の制限を設けていないものがほとんどです。試験はテキストやノートを見ながら回答できるものが多く、暗記の必要がありません。合格率は、「介護事務管理士」で60%程度。しっかり準備して臨めば難しい試験ではありません。2ヶ月に1回のペースで実施される試験もあり、自分のタイミングで試験を受けることができます。万一、不合格になった場合でもすぐに再挑戦が可能です。
また、介護事務資格の中には、指定の講座を修了することで無試験での資格取得ができるものもあります。初心者から確実に資格を取得したい方は、講座での資格取得を検討するのもいいでしょう。
持つべき資格
介護事務の求人は無資格、未経験から応募できるものが多く、就職するのに必ずしも資格が必要というわけではありません。しかし、介護事務の資格取得者歓迎という求人は多く、勤務先によっては取得している資格によって手当がつく場合があります。就職活動でアピールできること、知識を身につけておくことで就職後もスムーズに仕事を始められることを考えると、資格を取得しておいて損はないでしょう。 その他、介護事務の求人ではWordやExcelなどパソコンの操作スキルや経理の知識が求められる傾向があり、日商簿記やMOSの資格を取得しておくと就職や仕事上でより有利になります。
介護事務資格の種類
介護事務の資格は複数存在し、すべて民間資格となります。「ケアクラーク®」「介護事務実務士®」「介護報酬請求事務技能検定試験」「介護事務管理士技能認定試験」などが特によく知られています。そのほかにもいくつか資格がありますが、基本的にはどの資格を取得しても介護事務の知識があることを証明できます。
業務には介護事務の基礎知識だけでなく、コンピュータスキルや専用ソフトを使った明細書作成の実務能力も求められるため、単純に資格を取るだけでなく、講座内容をしっかり身につける意識が重要です。この項目では、介護事務の資格として認知度の高い資格の詳細をまとめます。
介護事務管理士®
介護事務管理士®は、「JSMA(株式会社技能認定振興協会)」が認定する介護事務資格。協会は、介護事業や、医療事務講座・調剤事務講座などの運営を行う株式会社ソラストと提携があり、介護事務資格以外にも医療事務、調剤事務、医師事務作業補助者、メディカル・ケア・サポーター(看護助手)など様々な資格試験を実施しています。
試験は、マークシート形式10問の学科試験と、レセプト点検と3枚のレセプト作成を行う実技試験で構成されています。受験資格は特になく、どなたでも受験できます。
受験料は税込みで6,500円。全国31ヵ所の主要都市で試験を受けられます。株式会社ソラストによる介護事務講座や試験問題集、ユーキャンによる通信講座などで試験対策が可能です。
関連記事:介護事務管理士とは?
ケアクラーク®
ケアクラーク®は「一般財団法人 日本医療教育財団」の認定する資格です。一般財団法人
日本医療教育財団では医療・介護・福祉分野の体制整備や技能向上を目指して活動しており、技能審査認定の事業としては介護事務のほかにも医療事務、調剤事務、歯科助手、ベビーシッターなどの技能認定試験を実施しています。
ケアクラーク技能認定試験には学科試験・実技試験があり、学科は択一式の出題で25問、実技は介護給付費明細書作成の2問となっています。受験資格はなく、どなたでも受験が可能です。
受験料は6,900円(税込)。試験会場は47都道府県に設けられ、お近くの会場で受験できます。ケアクラーク®の試験対策講座としてニチイにて通学講座、通信講座の開講があります。
関連記事:ケアクラークとは?技能認定試験の受験資格・難易度・合格率など解説します。
介護報酬請求事務技能検定
介護報酬請求事務技能検定は、医療事務・介護事務・調剤事務の講座を運営する「日本医療事務協会」が主催する資格試験です。
試験は学科試験と診療報酬明細書作成の実技試験の出題で、受験料は6,600円(税込)。日本医療事務協会が認定する介護事務講座を修了した方、もしくは受験申請のあった高校・専門学校・短期大学・大学の方のみ受験が可能です。
日本医療事務協会で介護報酬請求事務技能検定対応の通学講座、通信講座を開講しています。
関連記事:介護報酬請求事務技能検定試験とは?
介護保険事務士
介護保険事務士とは、介護保険の保険金請求事務のプロとして必要十分な知識・技能があることを証明する資格です。
つしま医療福祉研究財団が介護保険事務士の商標登録を取得し、介護保険事務士養成講座の企画を行うとともに、認定資格証の付与を行っています。
関連記事:介護保険事務士とは?
介護事務実務士®
介護事務実務士®は「特定非営利活動法人 医療福祉情報実務能力協会(略称:MEDIN)」による認定資格です。MEDINは医療福祉の分野やメンタルケアに関する能力検定試験を実施しており、介護事務のほかにも医療事務、調剤事務、看護助手やメンタルケアカウンセラーの資格認定試験を行っています。
試験は学科試験20問、明細書作成が3問、受験料は7,700円となっています。試験は協会の教育指定校における団体受験のみの実施です。
介護事務実務士®は、試験に合格する以外にも、指定の通信講座を修了することで資格の取得が可能です。ヒューマンアカデミー/通信講座の介護保険請求事務講座が介護事務実務士®の資格取得に対応しており、修了すれば無試験で資格が取得できます。
関連記事:介護事務実務士とは?
介護事務 資格取得の最短ルートは?
通学3日+試験が最短取得ルート
日本医療事務協会の介護事務通学コースは、3日間のスクーリングで取得できます。週1回の通学になるので、実質の受講期間は2週間から1ヶ月が目安になります。ニチイの介護事務通学コースは、平日か土日の週1回コースだと1.5ヶ月、短期の週2回コースだと3週間が目安になります。EDC医療福祉学院は4日間のスクーリングで1ヶ月が目安になります。
通信講座は通学コースより期間が長めになります。例えば、日本医療事務協会の通信コースは1ヶ月、ヒューマンアカデミーの通信コースは4ヶ月、ニチイの通信コースは4ヶ月、ユーキャンの通信コースは4ヶ月です。
介護事務 おすすめ通信講座
-
ニチイ/通信ケアクラーク®の資格が取得できます。自分のペースで学習でき、最短2ヵ月で取得も可能。
-
日本介護事務協会/通信介護報酬請求事務技能検定試験の資格が取得できます。万全の課題添削・質問対応もあり、合格率は85.4%。
-
生涯学習のユーキャン介護事務管理士®の資格が取得できます。在宅受験が可能なので、自宅で学習できる通信講座の良さを十分に体感できます。大手ならではのサポートも。
-
ヒューマンアカデミー/通信講座介護事務実務士®の資格が取得できます。介護保険請求事務ソフトを使って、実務を体験学習できます。
- 通信講座の資料請求
介護事務試験の難易度・合格率
資格によって難易度・合格率は異なります。
介護事務資格には介護事務管理士・ケアクラーク・介護事務実務士など複数の資格が存在します。そのため、資格によって難易度や合格率は異なります。
しかしながら、各資格の合格率は50%~70%ほどの資格が多いため、難易度としては低めでしょう。また、試験によってはテキストの持ち込みも可能なため、事前の準備をしておけば、恐れる必要はありません。下記の記事で介護事務の試験について詳しく紹介しているので、参考にしてください。
関連記事:介護事務試験の受験資格・日程・難易度・合格率を紹介!
独学で介護事務資格を目指すことは可能?
独学で介護事務資格を目指すことは可能です。
独学で介護事務資格を目指したい。そんな風に思っている人もいるのではないでしょうか。介護事務資格は難易度も高くなく、資格によっては試験にテキストの持ち込みも可能です。このようなことから比較的独学でも目指しやすい資格と言えるでしょう。
しかしながら独学にはメリットとデメリットが存在します。独学のメリットは費用が安く済むこと・自分のペースで勉強を進めることができることが挙げられます。デメリットとしてはテキスト選びが難しいことやモチベーションの維持が難しいことが挙げられます。ご自身のタイプによって、スクールに通うか、独学するか決めると良いでしょう。
確実に合格するにはスクールに通うか通信講座の受講がおすすめです。まずは資料を請求して複数のスクールを比較・検討するのはいかがでしょうか。
関連記事:独学で介護事務資格を目指すメリット・デメリット
働きながら介護事務資格を取得することはできる?
働きながら介護事務資格を取得することは可能です。
介護事務資格には受験資格がありません。そして通信講座や通学講座、独学など、学習方法も選べるため、働きながら資格取得を目指すことが可能です。通信講座であれば、自宅にいながら自分のペースで勉強できますので、仕事に行く前や夜間、昼休みなどを利用して試験対策することができます。通学講座の場合は平日の夜や土日コースも充実しているため、ご自身のスケジュールに合ったコースを選ぶことが可能です。
関連記事:働きながら介護事務資格を取得できる?
介護事務の給料・年収
給料の目安は年収250万~400万円ほどになります
介護事務として働く場合、年収は250万円前後です。勤務先によっては資格手当やボーナスが支給される場合があり、年収300万円~400万円程度になることもあるようです。
パートやアルバイト・派遣社員などの場合は、地域差もありますが、大体時給800~1,200円程度になります。こちらも勤務先によっては、資格手当などが上乗せされることがあります。
関連記事:介護事務の気になる給料・年収は?給料・年収アップの方法も紹介!
介護事務に向いている人とは
介護分野で活躍したい方、人の役に立ちたい方
介護事務の仕事は介護施設・事業所を運営する上で欠かせない存在です。縁の下の力持ちとして介護現場を支えるやりがいがあり、介護福祉の分野で活躍したい方、人の役に立つ仕事をしたい方に向いています。介護事務は未経験から資格取得や就職を目指すことができ、介護・福祉の分野で働くための第一歩におすすめです。また、介護事務はデスクワーク中心なので体力に自信のない方でも就職しやすい仕事と言えます。
ライフスタイルに合わせて働きたい方、家事や育児と仕事を両立させたい方
介護事務は正社員、パートタイム、派遣社員など多様な求人があり、ライフスタイルに合わせて働き方を選びやすくなっています。週1回~週2回から勤務できるところ、勤務時間や日程を相談できるところも多く、子育て中の主婦の方も家庭と両立して仕事を続けられます。また、介護事務のスキルは全国共通なので、引っ越しなどがあっても次の職場を見つけやすいのが特徴です。
スキルアップしたいホームヘルパー、介護職員の方
介護事務の資格は、スキルアップを目指す介護職員の方にもおすすめです。仕事の幅が広がるのはもちろん、介護サービスの利用者から介護保険に関する質問が来た時もしっかり答えられるようになります。 介護のケアプラン作成にかかわる介護保険の知識が身につきますので、将来ケアマネジャーやサービス提供責任者を目指す方にも役立ちます。
介護の業界で長く仕事を続けたい方
体力が必要な介護の仕事と異なり、介護事務はデスクワークが中心。介護事務の資格は、年齢を重ねても介護・福祉の分野で活躍したい方、体の負担を考えて将来的にデスクワークの仕事にシフトしていきたい方に向いています。
将来のために、家族のために、介護保険について詳しく学びたい方
自分の将来のために、あるいは家族のために、介護サービスを上手に利用したい方にも介護事務の資格が有用です。介護事務の勉強を通して介護保険制度についての知識を身につけておけば、いざご自分やご家族に介護が必要になった時も安心して介護サービスを活用できます。
関連記事:介護事務に向いている人の特徴とは?具体的事例で紹介します。
>> 介護事務(ケアクラーク)の通信講座を探す
介護事務の資格を目指せるおすすめスクール
ヒューマンアカデミー/通信講座(通信)
【介護保険請求事務講座】修了と同時に資格を取得!
スクールホームページ:
ヒューマンアカデミー/通信講座
試験データ
項目 | 内容 |
---|---|
資格・試験名 | 介護事務管理士技能認定試験 |
試験日 |
【2022年3月 在宅試験】 【2022年11月 在宅試験】 【2022年9月 在宅試験】 【2022年5月 在宅試験】 【2022年7月 在宅試験】 【2022年1月 在宅試験】 |
試験区分 | 民間資格 |
主催団体 | JSMA 技能認定振興協会 |
受験資格 | 特になし |
合格率 | 約50% |
出題内容・形式 | ■学科試験 ・試験内容:マークシート(択一式)・・・10問 ・出題範囲:1.法規(介護保険制度、介護報酬の請求についての知識) 2.介護請求事務(介護給付単位数の算定、介護報酬明細書の作成、介護用語についての知識) ■実技試験 ・試験内容:介護給付費明細書・・・点検1枚、作成3枚 ・出題範囲:介護給付費明細書を作成するために必要な知識。(居宅サービス、施設サービス) |
検定料 | 6,500円(税込) |
問い合わせ先 |
JSMA 技能認定振興協会事務局 https://www.ginou.co.jp/qualifications/kaigo-jimu.html 〒108-8210 東京都港区港南1-7-18 A-PLACE品川東6F TEL:03-5715-3533 |