保育士の養成学校とは?
厚生労働大臣指定の保育士を養成する学校、およびその他施設
保育士の養成学校はその名のとおり、保育士を養成するための学校です。
保育士になる基本的な流れとしては、この保育士養成学校に通うルートとなります。
ちなみに、正しくは「指定保育士養成施設」といい、「厚生労働大臣指定の保育士を養成する学校、またはその他の施設」のことを指します。
保育士の養成学校では、保育士資格の取得に必要な科目が指定されており、その授業科目の単位を履修し、保育園と児童福祉施設両方での校外学習を修了、卒業すると保育士国家資格の受験が免除されます。
つまり、指定保育士養成施設を卒業すれば、誰でも必ず保育士資格の取得が可能だということです。
なお、それ以外の方法で保育士資格を取得したい場合は、都道府県の実施する保育士試験を個別で受験して合格する必要があります。
>>保育士国家試験について詳しくはこちら
多くの大学や短期大学、専修学校が厚生労働省の指定保育士養成施設の指定を受けており、2018年(平成30年)4月1日時点では、これに該当する学校・施設は北海道から沖縄まで全国で680校ほどあります。
施設によっては通信教育部や夜間部を設けている場合もあります。
保育士養成学校ではどのようなことを学習するの?
保育の本質・目的や保育内容、保育実習など
保育士養成学校では、保育士養成課程を構成する各教科目の目標および教授内容について、5つの系列と1つの特例教科目を定めています。
養成学校の学生はこれらの課程のなかで、保育の本質や目的、心理学、保育指導など、保育士になるために必要なさまざまなことを学びます。
その大まかな内容は、下記のとおりです。
保育の本質・目的に関する科目:
保育原理、教育原理、子ども家庭福祉など全7項目
保育の対象の理解に関する科目:
保育の心理学、子ども家庭支援の心理学、子どもの食と栄養など全5項目
保育の内容・方法に関する科目:
保育の計画と評価、保育内容総論、乳児保育Ⅰなど全10項目
保育実習:
保育実習Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ、保育実習指導など全5項目
総合演習:
保育実践演習
※特例教科目:
(幼稚園教諭免許状を有する者の保育士資格取得特例)
福祉と養護、子ども家庭支援論、保健と食と栄養、乳児保育
保育士養成学校に通うメリットは?
保育士養成学校に通うメリットはいくつかあり、ここでは主な3点をご紹介します。
(1)卒業と同時に保育士資格が取得できる!
保育士養成学校に通う一番のメリットは「卒業と同時に保育士資格が取得できる」ことです。
保育士養成学校を卒業すると、厚生労働省が定める基準を満たしていると認められるため、確実に国家資格である保育士資格が取得できます。
保育士資格は各自で資格試験を受けて合格することでも取得できますが、実は決められた一定の学歴や勤務経験の条件を満たさなければ受験資格を得られず、資格を取りたいと思ったタイミングで受験できない場合もあります。
しかし、受験資格を満たせない場合でも、保育士養成学校に通うことで保育士資格を取得できるのです。
さらに、保育士養成学校の学部・学科によっては卒業時に保育士資格と同時に「幼稚園教諭免許」が取得できる場合があります。
ちなみに保育士養成学校の大学を卒業した場合、幼稚園教諭1種免許が取得でき、短期大学と専門学校では幼稚園教諭2種免許が取得できます。
(2)卒業後すぐに保育現場に出ても安心!
保育士養成学校を卒業するメリットは他にもあります。
保育士養成学校では、保育士試験と互換性がある必修科目が設定されており、あらかじめきちんと設定されたカリキュラムで保育士としての専門科目と教養科目を学ぶことができます。
また、保育士養成学校の必修科目のなかには「実習」が含まれるという特徴もあります。
実習で実際の保育の現場に赴き、実践的な経験を積むことができるため、社会に出たときに個人で試験に合格した人よりも即戦力になれる可能性が高いのです。
いくらテキスト上で保育士の知識だけを得ても、現実に保育の現場で子どもたちとの関わりや、援助をするということは想定外のことはたくさん起こるものです。
実際に子どもたちと接した経験、その業務に携わる経験などのほか、子どもたちが集まる場所の雰囲気や、構造、注意すべきことを、実際の保育現場で学ぶことは保育士として社会に出るときの漠然とした不安を軽減させ、すぐにプロの保育士として働けるという自信へとつながります。
(3)就職面でのサポートも万全!
保育士養成学校のなかでも、古くからある学校や地域との交流に積極的な学校などを選んだ場合、就職に有利になることがあります。
保育士養成学校としての伝統校であったり、地域密着型であったりする学校は、これまでの卒業生の就職実績、就業実績を多く持っています。
つまり、同じ学校を卒業した先輩たちが保育の現場で頑張っている、保育士としての実績を積み、信頼を得ていることが、その保育士を育成した学校の評価につながっているのです。
また、実習先になっている保育施設や、地域からの信頼も得ていることが多いため、その学校の教育を受けた卒業生であれば信用してもらえたり、直接学校に求人が寄せられたりすることも多くあります。
こうした面からも、保育士養成学校を卒業した方が就職面でのサポートを受けられ、有利になることがあるといえます。
保育士養成学校を選ぶ際のポイントは?
4年制大学・短大・専門学校の特徴をチェック!
これまで、保育士養成学校は全国に多数あり、その学校を卒業するメリットについてお話ししてきました。
そのなかで、大学(4年制大学)・短期大学・専門学校がある点にも触れましたが、それぞれの学校の何が魅力なのでしょうか。
今回は上記の学校に通信制大学も含めて、その特徴をまとめていきます。
4年制大学
まず、4年制大学からです。
在学期間が長いため、ほかの養成学校と比較して時間的な余裕があり、しっかりと深く学ぶことができます。
また、複数の学部がある大学を選べば、教養科目を選択する場合に他学部の授業を含めて広い範囲から選ぶことが可能です。
さらに、学校によってはさまざまな資格を取得できるコースや授業が設定されている場合があり、教員免許、社会福祉士(受験資格)など、保育士資格以外でも保育に関係の深い資格を取得できることもあります。
それによって保育関連以外の就職や、他学部・他大学の編入がしやすくなるというのも特徴です。
短期大学
次に短期大学です。
短期大学は在学期間が通常2年間のため、短期間で専門科目、実技科目、実習を学び終えることができます。
もっと余裕をもって学習したい、他の資格も取得したいという場合は、3年生のコースを設置している学校もあります。
また、4年制大学に比べて学費が安いことも特徴です。
>>保育士を目指せる大学・短大について詳しくはこちら
専門学校
専門学校には、卒業までに保育士資格に加えて幼稚園教諭資格も取得できる指定校と、幼稚園教諭の資格を追加で取る併修校の2つがあります。
短期大学と同じく2年もしくは3年という短期間のため、短期間での資格取得を目指すため実践に特化したカリキュラムが多い傾向にあります。
こちらも4年制大学と比較して学費が安くなります。
>>保育士を目指せる専門学校について詳しくはこちら
通信制大学
最後に通信制大学です。
通信制大学は現在他の職に就いていたり、家庭環境などで通学が難しかったりする方でも卒業できることが最大の特徴です。
大抵の場合スクーリングはおこなわれますが、通常の学校に比べて通学期間がかなり少なく、隙間時間や休日などに自由な時間に勉強ができるため、自分のペースで保育士資格を取得することができます。
また、他の保育士養成学校と比較した場合、一番費用が抑えられるのが通信制大学です。
保育士養成学校選びで困ったら?
複数の学校で複数検討されることをおすすめします。
保育士養成学校は全国各地に複数あり、どの学校にしようか悩むこともあるでしょう。
通学するうえでのアクセス面や学費など、できる限り複数の学校でしっかりと比較検討しながら決めることをおすすめします。
保育士の資格取得を目指せるおすすめスクール
ヒューマンアカデミー / 通信講座(通信)
ココがポイント!「見る&聴く&書く」の3方向学習法で最短6ヶ月で保育士試験合格を目指せる
スクールホームページ:
>>ヒューマンアカデミー / 通信講座
四谷学院通信講座(通信)
ココがポイント!四谷学院だけの55段階学習と親身なサポートで初心者からでも保育士に!
スクールホームページ:
>>四谷学院通信講座
ヒューマンアカデミー(通学/全国)
ココがポイント!国家資格免除!週2.5日・2年間で保育士資格が取得できる!
スクールホームページ:
>>ヒューマンアカデミー/通学
関西保育福祉専門学校(通学/関西)
ココがポイント!選べる学びのスタイル【昼間/夜間主/長期(3年)履修】
スクールホームページ:
>>関西保育福祉専門学校
監修者プロフィール
白梅学園大学 子ども学部 教授。
短大・大学など保育者養成校数校での専任講師や教授の経験を経て、現在は白梅学園大学子ども学部子ども学科・同大学院子ども学研究科教授を務める。
保育学、幼児教育学を専門とし、主に家庭における絵本の活用や保育士養成プログラムの開発に注力。
【主な経歴】
※代表的なご経歴のみ抜粋
・筑波大学大学院 人間総合科学研究科 修了
・淑徳大学 総合福祉学部 教育福祉学科 教授
・白梅学園大学 子ども学部 子ども学科 教授
【代表著書】
・『絵本から広がる遊びの世界 読みあう絵本』(風鳴舎)
・『絵本を読みあう活動のための保育者研修プログラムの開発 ―子どもの成長を促す相互作用の実現に向けて―』(ミネルヴァ書房)
ほか多数
【所属学会】
・日本保育学会
・日本乳幼児教育学会
・日本保育者養成学会
ほか多数
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