キャリアコンサルタントの資格は役に立たないという意見を見かけるのはなぜ?
キャリアコンサルタントの資格を持っているにも関わらず、一般的なキャリアについてのアドバイスや転職に関するヒントだけを提供してしまっているだけの場合です。実際のキャリアチェンジにつながるような「有益なアイデア」や「キャリア戦略」のサポートができてない場合、そのキャリアコンサルタントの資格は役に立たないといわれるケースが多いです。
こういった事例が多いことから、口コミなどで「キャリアコンサルタントの資格は取得しても意味がないよ」と言われてしまっていることが多くなっています。
さらに、キャリアコンサルタント自身のキャリアの経験や知識が乏しく、その結果としてキャリアについてのアドバイスが不適切な場合も、そのコンサルタントの資格は役に立たないといわれてしまうでしょう。
その一方で、キャリアコンサルタントの資格をうまく活用して働いている方もたくさんいます。
資格が役に立つかどうかは、その人次第ともいうことができるでしょう。
キャリアコンサルタント資格が役に立たないといわれる3つの理由
キャリアコンサルタント資格が役に立たないといわれる理由は、主に3つあります。
それは、「資格がなくても就職支援の仕事に就ける」、「業務独占資格ではない」、「資格取得に費用と時間がかかる」です。それぞれについて解説しています。
理由1:資格がなくても就職支援の仕事に就けるから
キャリアコンサルタントの資格がなくても就職支援や人材紹介の仕事に就くことは可能です。
そのため、資格を取得することには意味がないと考える人が多いようです。
しかし、相談者から見た場合、スキルを証明する国家資格を持った相手に相談するのと、資格を持たない相手に相談するのでは、信頼性に差が出てくるのも事実でしょう。
また、キャリアコンサルタント資格取得の過程で身につけられる知識や技術は、相談業務の中で直接活かすことができます。
キャリアコンサルタントの資格取得を推奨している企業も多く、資格手当がつく場合もあります。
仕事に就くという観点ではなく、キャリアアップや自身の活躍を考えた場合、キャリアコンサルタントの資格は大いに役に立つでしょう。
理由2:資格取得に時間と費用がかかるから
厚生労働省が認定するキャリアコンサルタント養成講座は、150時間以上の講習をおこなうことが義務付けられています。実務経験がない場合は、この養成講座の受講が国家試験受験の条件になります。
そのため、少なくない時間がかかることは事実です。
また、養成講座の受講には30万円前後の費用がかかり、別途で試験の受験費用なども必要になります。これに関しても安いとは言い難いでしょう。
しかし、学ぶための時間は決して無意味なものではありません。
資格取得のために受講する養成講座では、キャリア支援の体系的な知識から実際の相談業務のロールプレイングまで、実務で役立つスキルを身につけることができます。
現在就職支援の仕事に就いている方も、その業務をブラッシュアップすることができるでしょう。
就職支援や人材業界で長く活躍したいと考えている方にとっては、そのために支払う時間や費用が無駄なものにはならないのではないでしょうか。
給付金制度の利用で受講費用の最大70%が還元される!
キャリアコンサルタント養成講座のほとんどは、国によるキャリア開発の助成金「教育訓練給付金制度」のひとつ、「専門実践教育訓練給付金」の対象となっています。
専門実践教育訓練給付金の対象講座は、条件を満たしていれば受講料のうち最大70%の給付金を国から受け取ることができます。
例えば30万円のキャリアコンサルタント養成講座を受講した場合、最大21万円の給付を受けることができます。つまり、実質9万円程度の費用で受講することが可能です。
こちらの制度を利用することで、キャリアコンサルタント資格取得のための費用負担を大きく軽減することができるでしょう。
受給するには、雇用保険の被保険者期間などの条件を満たし、申請手続きをおこなう必要があります。
受講をご検討の方はこちらの制度も積極的に利用することをおすすめします。
関連記事 専門実践教育訓練給付金について詳しく
資料請求(無料) 教育訓練給付金制度対象のキャリアコンサルタント講座
理由3:業務独占資格ではないから
キャリアコンサルタントは国家資格ですが、医師や弁護士などとは異なり「業務独占資格」ではありません。
業務独占資格とは、保有者にのみ一定の職務を許可している資格を指します。
資格を持っていなくても大学生の就職活動の相談には乗れますし、求職者にアドバイスをしたからといって「違法」とはなりません。
そのため、キャリアコンサルタント資格を持っている価値があまりないと感じる方もいるようです。
キャリアコンサルタントは、資格保有者以外はその名称を名乗ることが禁止されている「名称独占資格」に分類されます。
そのため、自身をキャリアコンサルタントと称して仕事をおこなえるのは資格保有者のみです。
特に独立してキャリア支援をおこなう場合などは、資格を取得し、キャリアコンサルタントとして活動することで社会や相談者から信頼されやすくなるでしょう。
そういった意味では、「役に立たない」とはいえないかもしれません。
キャリアコンサルタントの資格は役に立たない?
キャリア相談や支援に携わる人には大いに役立つ!
国家資格キャリアコンサルタントを取得すれば、「コンサルタントとして独立・起業できる」、「コンサルタントの職務で仕事をすることができる」、「就職活動をするうえで必ず有利に働く」ということはありません。転職・就職のために資格を取得した人にとっては当が外れた形となってしまうため、ネット上では「役立たない」という評判をみかけます。
キャリアコンサルタントの資格は就職や転職の相談といった実務に携わっている人が、自らの能力を高めたり、相談スキルのレベルを確認したりするのに役立ちます。すなわちコンサルタントとしての能力の確認・向上に有用です。
キャリアコンサルティングの理論やスキルは知っておいて損になることはありません。相談や指導のレベルをアップさせたい人にとって、国家資格キャリアコンサルタントの取得は必ず役に立つといえます。
キャリアコンサルタント資格が役に立った事例
実際にキャリアコンサルタントを取得し人材紹介会社で活躍するS・Kさん(30代前半)に資格は実際にどんなことに役立つのかを伺いました。
資格取得の経緯と取得後に感じたこと
人材派遣会社で勤務していた時に社内でキャリアコンサルタント国家資格の保持者が多く、資格を持っていると社内や業界内で評価されると感じたことが資格取得のきっかけでした。
資格取得のために学んだことは、現在の仕事で実際に求職者と面談する際に役立つと感じることが多いです。
また、面談した方に親身になって話を聞いてくれるなど、資格を評価していただいたこともあり、学んでよかったと思います。
この資格を目指すことで自己分析などのワークやヒアリングの技法などを学ぶことができます。
そのため、 人の話をきくのが好きで仕事として活かしたい方はもちろん、自分の将来について迷っている方や転職回数が多い方も持っていて損のない資格だと思います。
事例1:Aさん、職歴10社以上、40代女性
早期退職を繰り返し、40代で職歴が10社以上の方がおりました。
退職理由をお伺いしたところ、「自分に合わないと感じた」とのこと。
何が自分に合わなかったのか、過去の仕事について、当時何が楽しかったか、どんなことにやりがいを感じていたのか、苦手だと感じたことなどをこちらから質問し、1社1社当時の自分を振り返っていただきました。
お話を聞く中で、Aさんは接客の仕事は好きだけど、数字やノルマが伴う仕事はプレッシャーを感じて精神的につらくなるということ、また男性が多い職場だと仕事のことを相談しづらく自分で抱え込んでしまう、という傾向にあることがわかりました。
その点をAさんにお伝えしたところ、納得する部分が多いとのことでした。
仕事を探す軸となる部分も、ご自身の中では明確ではなかったということも判明し、「自分に合う仕事を一から探す」のではなく、「自分が今までの経験を通してできそうなこと、続けられそうな環境は何かを考える」という方向性にシフトすることによって、ご自身も今までの経験が無駄ではなかったということに自信を持つことができたご様子でした。
キャリアコンサルタントの講習で身につけたカウンセリングの知識・スキルが、質問でAさんの悩みがどんな理由によるものかを深掘りすることに大いに活かせました。
事例2:Bさん、職歴1社、20代女性
新卒で保育園に入社し、保育士として勤務を始めたが転職を考えているとのこと。
お話をお伺いする中で「園の方針が自分に合わない」というワードが会話の中で何回も出てきました。
「園の方針が自分に合わない」ということはどういうことか、Bさんの見解をお伺いすると、「園長先生の保育方針が合わない」ということを指していることがわかりました。
Bさんの務めている園では園長先生が独断で決めていく場面が多く、職員の意見をあまり聞いてもらえず、もやもやする場面が多いとのことでした。
また、Bさんが理想とする職場は職員同士の意見を積極的に交換し合える風通しの良い職場であることも同時にわかり、どんな園だったらそれが実現できるのか、一緒に考えるきっかけになることができました。
Bさんの言葉からどのような職場で働くことが最良なのかを探っていく技術は、キャリアコンサルタントの資格取得の中で身につけられたように思います。
本当に意味がない?キャリアコンサルタントの資格を取得するメリット
今後も高まるキャリア相談の需要に対応できる
現在実務についていない人や就職や転職を目指す人にとって、キャリアコンサルタントの資格が無用の長物であるというわけではありません。なぜなら、キャリアコンサルタントに対する需要は今後も右肩上がりに増え続けるからです。
社会的な需要が高まることで、キャリアコンサルタントの価値もより向上していくことが予想できます。
一度就職した会社に定年まで在籍するという日本型雇用慣行は、バブル崩壊とともに崩れ去りました。より良い職場を求め、あるいは自分の夢や目標の実現のために職場を変えることは珍しいことではなくなりつつあります。
また、受け入れる企業側も中途採用に前向きになっています。
転職の供給(労働者側)と需要(企業側)はともに高まりつつあり、転職市場は今後ますます盛んになるでしょう。
その一方で、自分に合っていて気持ちよく長く働ける「適職」を見つけるのは簡単なことではないでしょう。
就職後や転職後に「こんなはずじゃなかった」と失望する労働者も少なくありません。
雇用のミスマッチを解消するためには、労働者側が自分の特性を見極め、適職を探す必要があります。
そういった意味で、キャリアコンサルティングは働く人々にとって大きな意味があるといえるでしょう。
すなわち、労働者たちを適職に導き、企業にとって有用な人材を供給する「仲介者」の重要性は今後ますます高まります。就職・転職の希望者にとっても、受け入れる側の企業にとっても、ガイド役としてのキャリアコンサルタントへの需要は高まるといえるでしょう。
相談者から信頼されやすくなる
キャリアコンサルタントの資格を取得しておくことで、相談者から信頼を得やすくなるでしょう。
就職や転職といった人生の重要な選択については、その道のプロフェッショナルに相談したいと思う方が多いのではないでしょうか。
適切なアドバイスをしてくれると期待できる相手であれば、自身の悩みも打ち明けやすくなるでしょう。
キャリアコンサルティングの専門職であることを証明する国家資格であるキャリアコンサルタントを保有していれば、相談者も安心して頼ってくれるはずです。
個人でも活躍しやすくなる
キャリアコンサルタントを取得することで、資格を取らずにキャリア支援をおこなう場合に比べてフリーランスや副業といった個人での活動もおこないやすくなるでしょう。
キャリアコンサルタント資格を取得し、キャリアコンサルタント名簿へ登録した方は、キャリアコンサルタントと利用者のマッチングを図る検索サービス「キャリコンサーチ」へも登録できます。
実際にこちらのサービスを通して就職支援施設でのセミナー講師などの業務を依頼されることも多いようです。
また、資格の更新時などに最新の求人市場動向やキャリア開発の最新情報を得られることもフリーランスの方にとっては大きなメリットといえるでしょう。
キャリア相談の専門家として独立し、個人の相談業務以外にもさまざまな形でキャリア支援にかかわりたいと考える方には特に恩恵が大きいのではないでしょうか。
参考 特定非営利活動法人キャリア・コンサルティング協議会 キャリコンサーチ
活かせる場所が幅広い
キャリアコンサルタントの資格は、人材紹介会社や人材派遣会社といった人材業界だけでなく、人事・管理職など業界を問わずに活かせる場所が幅広いことも魅力です。大学や高校などでのキャリア相談は近年注目されており、大学のキャリアセンターで勤務するキャリアコンサルタントも多数います。
人材紹介会社や人材派遣会社
求職者を適職に導く人材業界のキャリアアドバイザー、転職エージェントとして働く場合は、キャリアコンサルタント資格を十二分に活かすことができるでしょう。
求職者のこれまでの経験や考えを聞いて適した就職先を紹介するためには、キャリアコンサルタント資格を取得する中で身につけられるカウンセリングのスキルが役立ちます。
求人でもキャリアコンサルタント資格を保有した方を優遇するものも増えており、資格取得が好条件での転職に繋がりやすい点もメリットです。
企業の人事部や管理職
企業内で従業員のキャリア開発を推進していく人事部や管理職も、キャリアコンサルタント資格を活かせる仕事です。
従業員との面談などを通じて現状の悩みや今後どうしていきたいかをヒアリングし、共にキャリアを築いていく人事業務にキャリアコンサルタント資格は大いに活かすことができるでしょう。
厚生労働省としても、企業内でのキャリアコンサルティングの導入を支援しており、今後も活躍の場が増えていくことが予想されます。
参考 厚生労働省 企業・学校等においてキャリア形成支援に取り組みたい方へ
教育機関
大学や高校などで学生・生徒の進路相談を請け負うキャリアセンターでの業務や、キャリア教育にもキャリアコンサルタント資格が活かせます。
学生時代のキャリア形成は、社会人と比べても悩む方も多いものです。具体的なキャリアを学生に考えてもらうためには、カウンセリングの技術が必要となるでしょう。
キャリアセンターへの就職でもキャリアコンサルタント資格が優遇されることがあります。
人材業界などで働いており、ゆくゆくは教育機関で働きたいと考えている方は、自身のスキルを証明するために資格取得を検討しても良いでしょう。
フリーランス、副業
独立開業など、フリーランスとしての働き方でもキャリアコンサルタント資格を活かすことができます。
個人でキャリアの相談を受ける際も、国家資格であるキャリアコンサルタントを持っていることで相談者にも安心を与えることできるでしょう。
ハローワークなどの求職者支援機関や自治体でのキャリア相談は、キャリアコンサルタントの登録をしている方に対してつど依頼される場合が多いようです。
継続的な仕事だけではなく、単発のセミナー講師の仕事などもあります。そのため、副業としてキャリア支援をおこないたいと考えている方にも適した資格であるといえるでしょう。
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まとめ
キャリアコンサルタントの資格はすぐに就職・転職に結びつくわけではなく、どちらかというと今現在就職・転職の実務に携わっている人向けの資格です。しかし、社会全体を見渡すと転職は増え、適職探しの需要は高まりつつあります。今現在は実務に携わっていない人にとっても、キャリアコンサルタントは取得しておいて損がない資格であるといえるでしょう。
監修者プロフィール
2015年(平成27年)日本キャリア開発協会CDA、キャリアコンサルタント技能士2級を取得
同年、合同会社オフィスエスステップを設立
現在は大手金融機関・通信会社の新人研修や管理職研修に携わりながら、大学生向けの合同説明会講師やカウンセリング、高校生の進路ガイダンス(進学・就職講演、面接指導など)をおこなう。
また専門学校にてキャリアデザイン授業、個人向けに個別カウンセリング・登壇講師養成講座も開講。
【保有資格】
国家資格キャリアコンサルタント、日本キャリア開発協会CDA、女性労働協会認定講師、HA(ヒューマンアセスメント)アセッサー、ファイナンシャルプランナー2級、栄養睡眠改善アドバイザー、ランニングアドバイザ―