そもそも幼稚園で英語教育は行われているの?
週に1・2回英会話を実施している幼稚園もあり!
近年、急速にグローバル化が進んでいる日本。2020年から小学校で英語授業が必修化するなど、国主導で子供の英語教育に力が入れられています。幼稚園でも週に1,2回程度英語を学習する時間を取っている所が増えてきているようです。
中学や高校、大学の受験を見据えると、幼少期から英語を学んでおいて損はありません。今まで以上に英語が重用される時代になっているからです。適齢期までに英語を学ぶ事で、より効果的に英語能力を身に付けられるという科学的なデータもあります。
実際に、英語教育に力を入れている幼稚園の例を紹介したいと思います。
千葉県にある昭和学院幼稚園では、外国人講師を招き専門のカリキュラムを組んで子供たちの学習を促進しています。全国各地で成果が証明されているGrape SEEDという4歳から12歳までの子供を対象とした特別なプログラムを採用。年少・年中・年長組の年齢に分けて、適切な学習方法を実践しています。ただ知識を学ぶだけでなく、英語を楽しく親しみやすく感じられるように工夫された内容です。
幼稚園で英語教育を実施するメリット・デメリットは?
英語を早く習熟できる反面、日本語・日本文化の未習熟の懸念あり!
幼稚園から英語教育を実施することで、もちろんメリットとデメリットはあります。子供の発育にどのような影響を与えるのか、心配に思う方も多いでしょう。幼少期から英語教育を学ぶことでどのようなメリットとデメリットがあるのか、簡単に紹介させて頂きます。
●メリット
1番は英語の抵抗感が薄れる、高い吸収力で学習できるという点です。中学から英語学習を始める人よりも、幼いころから長く英語に触れる事になるため早く習熟することができます。言語脳や認識力が固まる就学前の時点で英語教育を始めると、英語への認識力が高まるというデータもあります。逆に英語の勉強をしないまま、難しい外国語といったイメージを
持ってしまうとスムーズに学習が進まない場合も。
その他、異文化への興味関心や理解を持つことが出来るという点もあります。私たちが普段暮らしている日本というコミュニティの中では知りえない事を、英語学習は教えてくれます。外国への恐れや抵抗感を軽減し、より視野の広い人間に成長させてくれるでしょう。
●デメリット
1つ目は、英語力を獲得する前に幼児期に必要な体験がおろそかにされるということです。
母国語の日本語に触れることが大切な時期に、そのことがおろそかにされるとしたら、それは決して望ましいことではありません。
2つ目は、英語を嫌いになる可能性もあるという事です。幼少期の嫌な思い出は強く印象付けられます。英語を押し付けたり、授業で苦痛を味わうことがあれば、言語そのものに強い苦手意識をもってしまうことでしょう。いかに楽しく親しみをもってもらえるかを、一番に考えて学習を進める事が大切です。
幼稚園で実施されている英語教育の内容は?
主には、英語で歌を歌う・踊るなど
幼稚園で実施されている英語教育の内容ですが、中学や高校のように教科書を用いるようなものではありません。幼児を対象としているので、いかに英語に興味をもってもらえるか、楽しんでもらえるかをテーマにカリキュラムが組まれています。
内容としては、歌やダンスで英語の感覚を掴み、徐々に音に慣れてもらう。絵本の読み聞かせやゲームを用いて、より英語を好きになってもらう事から始めます。
更にステップアップすると、自分の名前や身の回りのものを英語で話せるように学習。基本的には、子供たちが休み時間に遊んでいるような事を英語で実践する形です。外国人講師の先生が英語と日本語を用いて、分かりやすく子供たちをサポートするので、自然に英語との距離が縮まっていきます。幼稚園によっては、外国人向けの幼稚園と交流の場を持つこともあるようです。
英語を母国語とする同じ年頃の子供たちと直に交流することで、英語のへの理解と興味関心が更に高まることが期待されます。
幼児教育においては『頭だけでなく体も使って、生活に根付いた英語を吸収する』子供たちの将来を見据えた授業が重視されています。
英語教育時間中の幼稚園教諭(先生)に求められることは?
子どもの見守り、外国人講師の補助など!
英語教育を取り入れている幼稚園では、外国人講師を招いて授業を開くことがほとんどです。幼稚園教諭は英語教育の間は、サポートの役割を担います。子どもたちが楽しく参加しているか、参加できずにいる子はいないかなど、外国人講師をサポートします。
例えば、ダンスをしたり歌ったりする場合、幼稚園にある備品を使用して音楽を流すこともあるでしょう。そうした環境の用意などは、多くは幼稚園の教員が行っています。
以上より、英語教育時間中は補助的な役割を担うので、幼稚園教諭は特に英語を使う場面はありません。外国人講師の多くは日本語を習得していますので、英語が分からなくても問題なくコミュニケーションを取ることができるでしょう。
英語教育の場面とは別に、昨今では、幼稚園の保護者の中には、英語しか使えない人がいる場合もあります。そうした場合のコミュニケーションの手段として、多少の英会話ができることは、これからの幼稚園教諭には求められることかもしれません。ただ、これは、幼稚園教諭に限らず、すべての職業に共通することですね。
幼稚園教諭の資格取得をお考えの方は
指定された大学・短大・専門学校への進学を検討しましょう。
幼稚園教諭の資格取得を目指す場合、文部科学省で指定された大学・短大・専門学校への進学が基本ルートといえるでしょう。文部科学省HPにてそれぞれの指定校一覧が公表されていますので、確認してみてください。
社会人の方には通信制大学もおすすめ!
幼稚園教諭の資格取得を目指す学校は、通学制の学校だけではありません。通信課程で目指せる学校もあります。社会人の方で、働きながら通信課程を履修して幼稚園教諭の資格取得を目指すことは可能です。
ただし、通学制の大学や短大、専門学校に比べると、選択できる学校数は決して多いとは言えないのが現状です。
監修者プロフィール
宮城学院女子大学教育学部教授。
保育のカリキュラム及び環境を専門に、保育内容、園建築、食環境などをテーマとして、保育現場と共に実践研究を進めている。
【主な経歴】
大学卒業後8年間 保育者生活を送る。
その後、宮城学院女子大学教育学部教授 (2008年4月~現在)
【所属学会】
・日本教育学会
・日本保育学会
・日本カリキュラム学会
・日本子ども社会学会
【代表著書】
『食からひろがる保育の世界』(ひとなる書房 2007)
『教育課程の理論―保育のカリキュラム・デザイン―』(萌文書林 2011)
『震災と保育Ⅰ』(ななみ書房 2016)
他多数