幼稚園教諭一種免許状とはどんな資格?
幼稚園教諭の資格取得ができる4年制大学卒業で得られる資格!
幼稚園の正教員(教諭)になるためには、公立幼稚園であれば公務員試験、私立幼稚園であれば採用試験に合格しなければなりません。それら試験を受ける前に、取得しておかなければならないのが、「幼稚園教諭免許状」です。幼稚園教諭免許状は「一種」「二種」「専修」の3種類あり、それぞれ取得方法が異なります。
●幼稚園教諭一種免許状
幼稚園教諭を養成する教育課程があると文部科学省が認めている4年生大学(教育学部、人間学部など)及び短期大学専攻科(大学と同程度の教育を行うと認められた短大)を卒業することによって取得できます。
●幼稚園教諭二種免許状
幼稚園教諭を養成する教育課程があると文部科学省が認めている短期大学(幼児教育科、保育科、こども学科など)及び専門学校を卒業することによって取得できます。
●幼稚園教諭専修免許状
幼稚園教諭を養成する教育課程があると文部科学省が認めている大学院修士課程(教育学研究科など)を修了することによって取得できます。
幼稚園教諭を養成する教育課程があると文部科学省が認めている大学院修士課程(教育学研究科など)を修了することによって取得できます。
なお、平成28年度時点の免許状種類別の教諭構成は、一種が27.2%、二種が68.0%、専修が0.5%となっています。
幼稚園教諭第一種・第二種でできる仕事内容などに違いはあるの?
できる仕事内容については、特に違いは無い!
幼稚園教諭免許状を持っているということは、幼児教育や指導法、児童心理などについて一通りの知識を持っていることを意味します。したがって、取得した免許状が一種、二種関係なく同じように幼稚園での教育業務を行うことができます。
ただし、違いもあります。その一つは待遇面の違いです。一般的には一種免許取得者の方が、二種免許取得者よりも給与は高めです。
例えば、特別区立幼稚園教諭の場合、一種の初任給(2020年度採用の場合。教職調整額、地域手当、特別手当含む、以下同じ)が約244,400円であるのに対し、二種の初任給は約222,900円です。
また、昇進上の違いもあります。一般企業と同じように園内には様々な役職があります。指導教諭、主幹教諭、教頭、副園長、園長などです。法規制上の制約があるため、二種免許状の幼稚園教諭は園長にはなれません。将来、園長を目指す場合には、一種免許状を取得する必要があります。
幼稚園教諭二種免許状から第一種免許状へ切り替えはできるの?
実務経験5年以上、指定養成機関で必要単位取得すればできる!
幼稚園教諭二種免許を持っている人の中には「幼稚園教諭としてキャリアアップしたい」「将来、幼稚園の園長になりたい」という希望を持つ人もいるかもしれません。そうした希望を叶えるためには一種免許が必要です。
だからといって、一種免許が取得できる大学に通い直す必要はありません。2つの要件を満たせば、二種免許を一種免許に切り替えることができます。
1.幼稚園教諭としての5年以上の実務経験
幼稚園教諭としての5年以上の実務経験が要件となっています。なお、産休や育休などで休職していた期間は「5年」の計算に含めることができませんので注意してください。
2.必要単位の取得
二種免許の教育課程が2年であるのに対して、一種免許の教育課程は4年です。不足する知識・教養を補うために、教育委員会や大学などが開講する「免許法認定講習・公開講座・通信教育」を受講して、単位を取得する必要があります。なお、市区町村によって求められる単位数や科目が異なりますので、事前に勤務先を管轄する教育委員会に必要な単位を確認すると良いでしょう。
幼稚園教諭【第一種・第二種免許状】の資格取得を目指すためには
幼稚園教諭資格を取得できる大学・短大への通学
幼稚園教諭の資格取得を目指すためには、幼稚園教諭を養成する教育課程があると文部科学省が認めている大学や短大などへの進学が近道です。
一種免許状を取得したいのであれば、大学か短期大学専攻科に進学しましょう。学修期間は大学の場合は4年、短期大学専攻科の場合は2年です。幼稚園教諭を養成する大学は国公私立合わせて全国に264校、短大専攻科は13校あります(平成31年4月1日現在、以下同じ)。
二種免許状の取得を目指す場合は、短期大学か専門学校に進学しましょう。学修期間は短期大学の場合は2年、専門学校の場合は2年もしくは3年です。幼稚園教諭を養成する短大は公私立合わせて全国に206校、専門学校は26校あります。
現在、仕事や育児などに忙しくて、大学や短大などに通学できないという方には通信制大学・短大に通って、働きながら幼稚園教諭の免許を取得する方法もあります。一種免許を取れる通信制大学は全国に14校、二種免許を取れる通信制短大は全国に7校あります。
保育士資格・実務経験があれば、目指しやすい!?
保育士に対する幼稚園免許の特例を活用できる!
保育士資格と保育士の実務経験がある場合、幼稚園免許が取得しやすくなる特例制度があります。幼稚園と保育所の連携を進めるとともに、幼保の一体化を促進する観点からこの特例制度は設けられました。
通常は幼稚園教諭免許を取得するために、大学で124単位、もしくは短大において62単位を取得しなければなりません。一方、保育士として働いている人が特例制度を活用すれば、必要単位数8単位で幼稚園免許を取得することができます。
この特例制度を活用するための条件は「保育士となる資格を有すること」「保育士としての実務経験が3年あること(勤務時間の合計は4,320時間)」の2つです。一種免許を取得したい場合は「学士の学位を有すること」(大学を卒業していること)という条件もクリアする必要があります。
ただし、この特例制度は、2025年3月末までですので、留意ください。
監修者プロフィール
宮城学院女子大学教育学部教授。
保育のカリキュラム及び環境を専門に、保育内容、園建築、食環境などをテーマとして、保育現場と共に実践研究を進めている。
【主な経歴】
大学卒業後8年間 保育者生活を送る。
その後、宮城学院女子大学教育学部教授 (2008年4月~現在)
【所属学会】
・日本教育学会
・日本保育学会
・日本カリキュラム学会
・日本子ども社会学会
【代表著書】
『食からひろがる保育の世界』(ひとなる書房 2007)
『教育課程の理論―保育のカリキュラム・デザイン―』(萌文書林 2011)
『震災と保育Ⅰ』(ななみ書房 2016)
他多数