幼稚園教諭免許は更新が必要?
幼稚園教諭資格の有効性を維持するには、更新が必要!
ページ冒頭で述べているとおり、幼稚園教諭資格には有効期間が存在します。この免許を更新するには免許状更新講習を受講し、修了することが必要です。これは常に移り変わる社会情勢や、刻々と変わっていく教育の在り方の中で、その時々で求められる能力や資質を教員として保持し続けるために、一定期間ごとに確実な知識や技能を身に着けるためのものです。この更新を行うことで教員一人ひとりが誇りと自信をもって教壇に立ち、社会の中で尊敬、そして信頼を得ることを目的としています。
この更新については、初めて免許状を授与された時期によって更新条件が異なります。平成21年(2009年)4月1日以降に初めて授与された免許状を「新免許状」と呼び、平成21年(2009年)3月31日以前に初めて授与された免許状を「旧免許状」と呼びます。
●新免許状をお持ちの場合
有効期間は10年です。この有効期間満了の2年2ヶ月前から2ヶ月前までの2年間で、30時間以上の免許状更新講習の受講、そして修了が必要です。
●旧免許状の場合
旧免許状には有効期間が定められていません。しかし、幼稚園教諭資格が必要な仕事をしている人、または、今後この免許が必要となる職務に就く予定の人に関しては更新講習の受講義務が課せられます。
旧免許状をお持ちの場合は、生年月日によって規定される更新講習修了確認期限を確認し、期限満了の2年2ヶ月前から2ヶ月前までの2年間で、30時間以上の免許状更新講習の受講・修了が必要となります。
幼稚園教諭免許の更新方法は?
有効期間満了日を確認し、免許状更新講習を受講!
実際に幼稚園教諭免許の更新方法について、以下で紹介します。
①新免許状保持者は有効期間の満了日を、旧免許状保持者は最初の修了確認期限を確認する。
新免許状保持の場合は、その免除状に「有効期間満了日」が記載されています。複数の免許状を保持していて、それぞれ有効期間が異なる場合は、その中で最も遅く満了する日が、すべての免許状の有効期間満了日と認められます。
旧免許状保持の場合は、必ず各自が文部科学省のホームページなどで、「最初の修了確認期限」を確認してください。
②受講資格を確認する。
更新講習を受講するためには、普通免許状又は特別免許状を持つ受講対象者であることが必要です。詳しくは文部科学省のホームページなどでご確認ください。
③受講したい免許状更新講習を選択、申し込みをする。
講習は所持している免許状の種類や勤務する学校の種類等を基に、所定の内容から選択して受講・修了することが必要です。各自で文部科学省、大学のホームページなどを確認し、自分が受講したい免許状更新講習を選択してください。この際、受験対象に該当していると証明できることが条件となります。
④各大学などで開講されている免許状更新講習を受講する。
⑤講習過程を修了する。
30時間以上の講習過程を終了した場合、各大学などから修了認定がされ、修了証明書が発行されます。
課程の一部である場合は履修認定とされ、履修証明書が発行されることになります。
⑥有効期間の更新または更新講習修了確認のための申請
⑤の修了証明書、または合計で30時間以上になる履修証明書を添付して、現職教員の場合は免許管理者に、現職教員でない場合は住所地の都道府県教育委員会に、有効期間の更新または更新講習修了確認のための申請を行います。
⑦有効期間更新証明書または更新講習修了確認証明書の発行
免許管理者より、有効期間更新証明書または更新講習修了確認証明書が発行されます。
※更新講習を受講しただけでは免許の更新とは認められません。必ず申請し、証明書を発行してもらうことが必要となりますので、十分ご注意ください。
通信でも教員免許状の更新講習を受けられる!
現在の仕事や生活の環境によっては更新講習の受講が難しいという方もいるかも知れませんが、通信で教育免許状の更新講習を受けることができます。この更新講習は「東京学芸大学」、「愛知教育大学」、「千歳科学技術大学」が連携した組織がインターネットを利用して行うもので、名称は「KAGAC」と言います。
さらにこの3大学に加え、愛媛大学、大手前大学、桜の聖母短期大学、島根大学、創価大学、北星学園大学、山梨大学の7大学が講習提供大学としてKAGACに参加しています。
このKAGACのインターネットを利用した「eラーニング」で行われる講習は、「講座(講義+模擬試験)で約45分)」が全7回と模擬試験で構成されます。「修了認定試験」の受験資格を得るには、
①各回の講座をすべて視聴
②各回の確認テストにすべて合格
③模擬試験に合格
以上、3つの要件を満たすことが必要です。
【KAGAC事務局】
〒662-8552
兵庫県御茶家所町6-42
尚、問い合わせはKAGACホームページのフォームからとなっていますので、ご注意ください。
幼稚園教諭免許更新の講習内容は?
3領域『必修領域、選択必修領域、選択領域』に関する内容!
幼稚園教諭免許更新の講習内容については、「必修領域」「選択必修領域」「選択領域」の3つに分かれています。尚、領域ごとに指定された時間の講習の受講・修了が必要です。
①必修領域について
時間数は6時間以上です。必修領域は免許状の種類とは関係なく、全員共通で受講することになります。
内容は下記すべての事項を網羅したものとなります。
・国の教育政策や世界の教育の動向
・子どもの発達に関する脳科学、心理学等における最新の知見(特別支援教育に関するものを含む。)
・子どもの生活の変化を踏まえた課題
・教員としての子ども観、教育観等についての省察
②選択必修領域について
時間数は6時間以上です。こちらはご自分の免許状の種類、勤務する学校の種類などをもとに、所定の内容から選択することになります。
下記の事項から1つ、または2つの内容で講座が開設されます。
・学校を巡る近年の状況の変化
・学習指導要領の改訂の動向等
・様々な問題に対する組織的対応の必要性
・法令改正及び国の審議会の状況等
・学校における危機管理上の課題
・学習指導要領等に基づき育成すべき資質及び能力を育むための習得、活用及び探求の学習過程を見通した指導法の工夫及び改善
・教科横断的な視点からの教育活動の改善を支える教育課程の編成、実施、評価及び改善の一連の取組
・進路指導及びキャリア教育
・学校、家庭及び地域の連携及び協働
・教育相談(いじめ及び不登校への対応を含む。)
・英語教育
・教育の情報化(情報通信技術を利用した指導及び情報教育(情報モラルを含む。)等)
・道徳教育・国際理解及び異文化理解教育
・その他文部科学大臣が必要と認める内容
③選択領域について
時間数は18時間以上です。こちらは教諭、養護教諭、栄養教諭など、対象の職種に応じた講習を選択してください。免許状を複数お持ちの場合は、旧免許状・新免許状のどちらを持っているかで選択する講習が異なる可能性があります。
内容は「幼児、児童又は生徒に対する教科指導及び生徒指導上の課題」についてです。
尚、「選択必修領域」と「選択領域」では、当該項目にご自分がお持ちの免許状の教科が明記されていなくても「履修認定対象職種」が該当する講習である場合は、教育免許の更新講習と認められます。
幼稚園教諭免許更新についての主なQ・A
講習の受講条件は?出身大学でないと受けられないの?
更新講習は、文部科学省の認定を受けている講習であれば出身大学以外でも受けられます。また、出身大学や勤務先の所在地とも関係なく全都道府県から希望の講習を選択でき、どの大学で受講するかもご自分で決められます。それぞれの課題認識に合わせて講習を選択してください。
講習の受講料はどこで支払うの?
講習の受講料は、基本的には更新講習の開設者ごとに設定されているため、金額も一律ではない場合があり、各自が選択した更新講習の開設者に直接支払うことになります。事前に自分が受講する更新講習ごとの開設者、支払い先、金額、入金方法などをご確認の上、期日までにお支払いください。
また、更新手続きの際には、都道府県教育委員会(免許管理者)に支払う手数料が別途必要となります。
修了認定試験は1回受ければ良いの?
修了認定試験、または履修認定試験は、講習ごとに実施されます。その試験で、免許状更新講習規則で定める各事項について基本的な知識技能が習得されていると認められた場合に、修了認定、または履修認定が行われることになります。
※現在、この制度については、政府が見直しを進めています。最新情報を確認してください。
監修者プロフィール
宮城学院女子大学教育学部教授。
保育のカリキュラム及び環境を専門に、保育内容、園建築、食環境などをテーマとして、保育現場と共に実践研究を進めている。
【主な経歴】
大学卒業後8年間 保育者生活を送る。
その後、宮城学院女子大学教育学部教授 (2008年4月~現在)
【所属学会】
・日本教育学会
・日本保育学会
・日本カリキュラム学会
・日本子ども社会学会
【代表著書】
『食からひろがる保育の世界』(ひとなる書房 2007)
『教育課程の理論―保育のカリキュラム・デザイン―』(萌文書林 2011)
『震災と保育Ⅰ』(ななみ書房 2016)
他多数