リンパマッサージを副業にするのに資格は必要?
実は、リンパマッサージを副業にするのに必須となる資格は特にありません。ただし、資格がなくてもできる施術には制限があります。施術に関しては、「柔道整復師」や「あん摩マッサージ指圧師」などの国家資格がないと行えないものがあるため、できること・できないことをあらかじめ理解しておくことが大切です。
施術内容の違いの例
項目 | 柔道整復師 | あん摩マッサージ指圧師 | 整体師 |
---|---|---|---|
必要な資格 | 国家資格「柔道整復師」 | 国家資格「あん摩マッサージ指圧師」 | 特になし |
施術内容 | 手技を使って応急的・医療補助的方法でケガの治療 | 力を入れた刺激を身体に与える指圧・マッサージ | 体重をかけて痛みを感じない程度の施術 |
さらに、「マッサージ」という言葉は「あん摩マッサージ指圧師」が行う施術について使われます。そのため、資格がない者が施術する際は「マッサージ」の言葉を広告や看板に使うことはできません。このようなルールに違反しないためにも、整体院の名称や施術内容のガイドラインの確認が必要です。
また、リンパマッサージを行うためには、施術の技術や身体に関する知識などが必要です。実際に働く際は、民間資格を取得したりスクールなどで技術を習得したりと、リンパマッサージについて学ぶ必要があります。
リンパマッサージを副業にする方法 3選
副業としてリンパマッサージを始める方法をご紹介します。
求人情報(アルバイトや業務委託)を探す
整体院やリラクゼーションサロンの求人情報に応募して、整体師として働く方法です。アルバイトやパート、業務委託、契約社員などさまざまな雇用形態から、ご自身に合った職場を探しましょう。
「ホットペッパービューティーワーク」「リジョブ」などの美容業界やリラクセーションに特化した求人サイトもあります。幅広く職場を探したい方は活用してみてはいかがでしょうか。
また、店舗を構えている職場で整体師として働く以外にも、オンライン・対面レッスンを提供する「ストアカ」のようなサービスを活用して働く方法もあります。整体師向けにリンパマッサージのスキルや知識を提供したり、リフレッシュしたい方向けに自宅でできるレッスンを提供したりと、講師として働くことも可能です。
訪問・出張マッサージを始める
お客さまの自宅などに出向いてマッサージを行う訪問・出張マッサージを始めるという方法です。専門店に所属してお客さまの自宅や宿泊先に出張する以外にも、個人で訪問・出張マッサージを開業する方もいます。店舗を構えないため、費用を抑えて始めることができます。
個人で開業する場合は、全て一人で対応する必要があり、まずはお客さまを集めるところから始まります。どうやってお客さまを見つけようかと悩んでいる方はマッチングサービスを利用してみてはいかがでしょうか。
近年では、審査に合格したセラピストとお客さまのマッチングを行う「HOGUGU」のような出張リラクゼーションアプリが登場しています。個人で活動したい方はこのようなサービスを活用してみるのも1つの手です。
開業する
自身で施術スペースを用意して、開業するという方法です。集客や運営、備品の準備など全てご自身で行う必要がありますが、料金設定や勤務時間、コンセプトなどもご自身で設定できるため自由度を持って働くことが可能です。
テナントスペースを施術場所にする以外にも、レンタルサロンやシェアサロンのように時間単位で貸し出されているサロンを活用したり、自宅の一部をサロンにしたりすることで、費用を抑えて開業することも可能です。
開業届や申告書の提出など、必要な手続きがあるため、あらかじめしっかり準備をすることが大切です。
リンパマッサージを副業にした際の収入は?
収入は働き方によって変わりますが、「求人ボックス 給料ナビ」のデータによると、リフレクソロジーのアルバイト・パートの平均時給は1,087円、派遣社員の平均時給は1,425円です。整体院やリラクゼーションサロンによっては歩合制を採用している職場もあり、その場合は施術件数やお客さまからの指名数によって報酬が変わります。
個人で訪問・出張マッサージを始めたり、開業したりする場合は、料金をご自身で設定できるため、ご自身の裁量で働けます。
リンパマッサージを副業にするメリット
比較的時給が高い
主要なアルバイト・パートと比較すると、リフレクソロジーの平均時給は高い傾向です。
・アルバイト・パートの平均時給
- リフレクソロジー
- 1,087円
- コンビニエンスストア
- 1,055円
- ホールスタッフ
- 1,047円
- 一般事務
- 1,034円
リンパマッサージ師として活躍するためには施術スキルが求められますが、その分、他の業種よりも比較的高い収入が期待できます。エリアや職場によっては、時給が1,200円から2,000円で募集しているところもあり、高時給で働ける職業といえます。
自宅での開業が可能
施術スペースを確保できれば、自宅で開業することが可能です。新たにテナントやレンタルサロンを借りる必要がないため、費用を抑えて始められます。施術にあたり、ベッドやシーツ、バスタオルなどの備品の用意は必要となりますが、テナント契約や月々の賃料といった負担を軽減できます。また、自宅が職場になることで通勤する必要がなく、勤務時間や勤務日数もご自身で調整できるため、自由度が高い働き方が可能です。
開業費用を抑えられる
店舗を持たない訪問・出張マッサージは、開業費用や経費を抑えることが可能です。お客さまの自宅や宿泊先などに出向いて施術をするため、家賃や光熱費といった経費がかかりません。
店舗を持つ場合は、立地条件によって集客率が左右されることがありますが、訪問・出張型の場合はご自身の移動範囲を広げることでお客さまと出会えるエリアを広げられます。
初期費用を抑えて開業しやすいのと同様に撤退もしやすいというメリットがあります。副業を辞めたいと考えた際に、施術場所を原状回復する必要がなく、事業の撤退がしやすいです。
「個人で開業したいけど、あまり費用をかけられない」「事業の失敗を考えるとハードルが高い」と考える方は、訪問・出張マッサージを検討してみてはいかがでしょうか。
リンパマッサージを副業にする前の準備!おすすめの資格は?
リンパドレナージュ(マッサージ)の資格は、主に医療用と美容・リラクセーション用に分かれます。医療目的ではリンパ浮腫治療に用いられ、美容・リラクセーション目的では老廃物やむくみを排除することで美容効果や疲労回復を図ります。
オリエンタルリンパドレナージュセラピスト
インターナショナル美容鍼灸協会が認定する資格で、リンパドレナージュの知識とスキルの習得を証明します。オリエンタルリンパドレナージュとは、リンパの流れを整えて、むくみやだるさを解消するリンパドレナージュに、中医学の考えを取り入れたメソッドです。
取得方法
ヒューマンアカデミーの通信講座「オリエンタルリンパドレナージュ」を修了すると認定証が発行されます。講座には、単科コースとして「フルボディケア」「小顔リフトアップケア」「ヘッドヒーリングケア」「美脚ヒップアップケア」の4つがあります。
学習内容
フルボディケアコースの例
リンパの流れに沿って全身のケア方法を学びます。
- オリエンタルリンパドレナージュ基礎知識
- オリエンタルリンパドレナージュ基礎技術 など
リンパケアセラピスト
日本能力開発推進協会が認定する資格で、身体のしくみや精油の効能などの知識、リンパトリートメントの技術を身につけたセラピストであることを証明します。リラクセーション・美容業界で働く方だけでなく、医療・福祉に従事する方のプラスαのスキルとしても推奨されています。
取得方法
認定教育機関などが行う教育訓練で全てのカリキュラムを修了した後、在宅試験で合格すると資格を取得できます。尚、資格試験は70パーセント以上の得点率で合格です。
学習内容
基礎知識はもちろんのこと、オイルを使った施術についても学習します。
- 身体の仕組み
- アロマオイル、キャリアオイルの基礎知識
- リンパケアの基礎知識
- リンパケアテクニック
- リンパケアの応用
リンパケア検定
日本リンパ協会による検定で、リンパに関する幅広い知識や安全なリンパケアを学習できます。リンパケアを正しく安全に行うための手技・医学的知識を身につけます。
取得方法
年に2回程度の資格試験を受験し、7割以上の正解率で合格すると、合格証が発行されます。尚、2級に合格することで1級の受験資格を得られます。
学習内容
2級は初心者向け、1級はさらに踏み込んだ内容となっています。
2級:自分と家族のケアを目的とした基本知識の学習。
・リンパ体操
・表情筋リンパ体操
・セルフリンパマッサージの方法 など
1級:セラピストや介護士、看護師、医師を対象とした医学的な知識の学習。
・細胞と組織
・器官系の役割
・症状別ケア
・他人へのセラピー、法律 など
リンパリファインセラピスト
国際セラピスト支援振興協会及びグローバルボディケア総合学院が認定する資格で、リンパの知識・技術を学べます。ツボや経絡などの東洋医学の考え方が取り入れられたメソッドを身につけられます。
取得方法
指定の通信講座を受講し、確認問題の提出により資格を取得できます。
学習内容
実技と理論の両方を学習します。
・実技修業科目
- 下肢全体オイリング
- 背中全体オイリング
- 腕全体オイリング
- 美容ストレッチング
- リンパ経絡調整法
- むくみ解消トリートメント
- 老廃物除去トリートメント
- 押圧調整法 など
・理論修業科目
- リンパ療法の歴史
- リンパ健康法理念
- リンパ組織について
- 重要リンパ節について
- リンパ節・リンパ球について など
ICAA認定リンパ浮腫専門医療従事者
一般社団法人ICAAが認定する資格で、チーム医療としてリンパ浮腫の患者へリンパドレナージュや圧迫療法などを行う専門家であることが認定されます。
取得方法
医師、看護師、理学療法士、作業療法士のいずれかの国家資格を持っている者が、「リンパ浮腫研修」と実技研修を受講後、認定試験に合格することで資格を取得できます。
学習内容
リンパ浮腫専門医療従事者として医療現場で必要な知識・技術を学習します。
- リンパ浮腫基礎総論
- 用手的リンパドレナージ基本手技と基本施術
- 用手的リンパドレナージ基本施術
- 続発性リンパ浮腫ドレナージ
- 多層包帯法 など
医療リンパドレナージセラピスト
日本医療リンパドレナージ協会が認定する資格で、国際リンパ学会で標準的治療法と認められている「複合的理学療法」のスキルを身につけられます。
取得方法
医師、正看護師、理学療法士、作業療法士、あん摩マッサージ指圧師の国家資格を持っている者が、「医療リンパドレナージセラピスト養成講習会」を受講後、修了試験に合格することで資格を取得できます。国家資格を取得中の学生は、別途手続きを行うことで、医療リンパドレナージセラピストの受験資格を得られます。
学習内容
養成講習会は初級・中級の2段階構成です。
・初級講習会
理論(リンパ管系解剖、生理、浮腫総論など)
実技(MLD基本手技、運動療法など)
・中級講習会
理論(臨床総論、臨床各論、圧迫療法など)
実技(MLD基本手技、運動療法など)
Dr.Vodder Academy International 認定マニュアル・リンパドレナージ(MLD)
オーストリアDr.ボッダーアカデミーが主催する国際的な資格で、エミール・ボッダー博士が開発した「マニュアル・リンパドレナージ(MLD)」を身につけられます。Level 1、Level 2、Level 3の3種類があります。
取得方法
Level 1の例
コースの受講と試験によって資格認定証が発行されます。コースの受講には次の受験資格を満たす必要があります。
(A)解剖生理学と(B)ボディマッサージを学んだ方がコースの受講が可能です。
(A)解剖生理学を学んでいるとみなされる条件
1.基礎解剖生理学30時間以上(通信可)
2.AEAJ認定アロマセラピスト資格保持者
3.医師、看護師、助産師、准看護師、歯科医師、保健師、柔道整復師、理学療法士、作業療法士、鍼灸師、マッサージ師、薬剤師などの国家資格保持者
(B)ボディマッサージを学んでいるとみなされる条件
1.JEAのモジュール1トリートメント(実技)を修了した者
2.他のスクールで27時間以上のボディマッサージコースを修了した者
3.AEAJ認定アロマセラピスト資格保持者
4.オステオパシー、カイロプラクティック、クラニオセクラルセラピー、ロルフィングなどの認定資格保持者
5.(A)の3に該当する者は薬剤師を除き、ボディマッサージの経験がない場合でも条件を満たしたこととする
学習内容
解剖生理学をベースに、リンパにはたらきかける手技を学習します。
- リンパ学
- 基本手技
- 全身の基本トリートメントの手順 など
リンパ浮腫療法士 (Lymphedema Therapist:LT)
日本リンパ浮腫治療学会が認定する資格で、医療従事者としてリンパ浮腫の診療に必要な知識・スキルを持った専門家であることを証明します。
取得方法
書類選考と認定試験に合格することで資格を取得できます。尚、受験資格は次の4つの条件を全て満たすことです。
・医師、看護師、理学療法士、作業療法士、あん摩マッサージ指圧師のいずれかの資格を持つ者
・上記資格を取得後、2年以上の実務経験を有していること
・リンパ浮腫治療に関する研修を修了していること
・リンパ浮腫の実施症例を5例以上積んでいること
学習内容
リンパ浮腫治療に関する研修では座学と実技指導で学習します。
- リンパ管系解剖学、生理学
- 浮腫の概論
- 用手的リンパドレナージ
- 圧迫療法 など
リンパマッサージ師に向いている人
コミュニケーションが好きな人
リンパマッサージ師は接客業でもあるため、「会話をするのが楽しい」「話を聞くのが好き」という方にとって、リンパマッサージ師は向いているといえます。
リンパマッサージ師は、お客さまと直接関わる仕事のため、コミュニケーションをとる機会はたくさんあります。例えば、施術前にお客さまの身体の調子をヒアリングしたり、施術内容を説明したりします。
時には施術中にお客さまから身体の不調や悩みなどの相談を受けることもあります。そのような際に、質問やアドバイスするといった基本的なコミュニケーションスキルが求められます。
また、お客さまの中には、リラックスや癒しを目的にリンパマッサージを受けにくる方もいるため、雑談をする機会も多くあります。お客さまの疲れを癒やすために、傾聴スキルやお客さまの心に寄り添った言葉がけなどの対応が期待されます。
体力に自信がある人
リンパマッサージ師は、基本的に立ったまま施術を行います。手や指を使って刺激を与えたり腰をかがめて施術をしたりと、体力を必要とする仕事でもあります。
設定されたコース内容によって異なりますが、1回のリンパマッサージには30分から90分ほどの時間がかかります。さらに、サロンによっては2時間ほど施術時間を設けているところもあります。
お客さまの利用が多い人気店や土日などの予約が入りやすい日は、施術が終わり次第すぐに次のお客さまの施術をしなければいけないこともあります。体力に自信がある人は仕事をする際の強みとなります。
臨機応変な対応が得意な人
お客さまごとに身体の不調やリンパマッサージを受ける目的、受けたい施術内容などが異なるため、一人ひとりに合った施術を行う必要があります。そのために、施術前のヒアリングをしっかりと行い、カウンセリング内容を踏まえて臨機応変に対応することが求められます。
また、施術中にリクエストや要望の変更を受けたりすることもあります。時にはお客さまがカウンセリングで伝えそびれていたことを、後からリクエストされることもあるかもしれません。予約時間やコースの時間・内容は決まっているため、お客さまの要望に応えながら時間内に施術を終わらせられるよう、その場の状況に合わせて対応することが大切です。
自己管理ができる
副業としてリンパマッサージ師になるには、自己管理のスキルも大切です。本業と両立するためには、ご自身の体調管理や仕事量を調整する必要があります。副業を無理せず続けるためにも、本業と副業のスケジュール調整やプライベートの時間の確保といった予定管理を行い、ワークライフバランスを意識しましょう。
また、リンパマッサージの仕事は体力が必要な面があるため、ご自身の身体のメンテナンスも大切です。忙しいときは、ついつい自分のことを後回しにしてしまいがちですが、仕事を長く続けるためにはご自身の健康に意識を向ける必要があります。
自分で行動できる
副業を始めるにあたって、主体的に考えたり行動したりする場面はたくさんあります。例えば、次のようなことを考えて準備を進める必要があります。
- 副業として働く期間・仕事量・目標の収入はどれくらい?
- どのような形態で副業を始める?(アルバイト/業務委託/独立など)
- 開業するならどのようなサービスを行う?(店舗型/訪問・出張型)
- 集客方法や運用はどうする?
- 活用できるアプリやサービスはあるか? など
本業やプライベートな時間に支障をきたさないよう計画的に進めたり、副業の仕事を増やせるよう工夫をしたりと、自分から考えて行動できると、仕事のチャンスが広がります。
リンパマッサージの需要は?
現代はストレス社会といわれ、ストレスは現代人にとって身近な問題となりました。1日のうちの多くの時間を仕事に費やしている社会人は、身体の疲労を抱えやすく、身体の不調改善・リラックスを目的に、リラクゼーションサロンや整体院などを利用する人は多いです。
「デスクワークで肩こりがつらい」「最近残業が続いてストレスが溜まっている」といった悩みを抱えている人は少なくありません。
このような状況に対して、リンパマッサージは、体内に溜まった老廃物や毒素を流すことで、肩こりなどの症状改善や免疫力の向上、美容効果などが期待されています。疲れが溜まっている現代人にとってリンパマッサージは非常に効果的な施術の1つだといえるでしょう。このように、心と身体の健康維持のために、整体やリラクセーションへの注目が高まっています。
さらに、ヨーロッパでは、リンパトリートメントを医療現場で活用している国もあり、リンパ浮腫治療に対して保険適用の医療行為としてリンパドレナージュが行われています。日本ではまだ保険適用になっていませんが、医療従事者の中にもリンパについて学ぶ方がおり、医療行為としての効果が期待されています。
このように、リンパドレナージュ(マッサージ)は医療や美容・リラクセーションなど、幅広く活用されています。
リンパマッサージを副業にする際のポイント
トラブルに巻き込まれないためにも事前の確認が大切です。特に、初めて副業を行う方は、準備や手続きに漏れがないか注意しましょう。
本業の就業規則を確認
近年、副業への注目が高まっていますが、企業の中には副業を禁止しているところも少なくありません。しかし、法律では民間企業の副業は禁止・制限されていません。
むしろ、2018年に厚生労働省のモデル就業規則が改定され「許可なく他の会社等の業務に従事しないこと。」という規定が削除されました。
ただし、厚生労働省「モデル就業規則」令和5年7月版には次のように記されています。
(副業・兼業)
第70条 労働者は、勤務時間外において、他の会社等の業務に従事することができる。
2 会社は、労働者からの前項の業務に従事する旨の届出に基づき、当該労働者が当該業務に従事することにより次の各号のいずれかに該当する場合には、これを禁止又は制限することができる。
① 労務提供上の支障がある場合
② 企業秘密が漏洩する場合
③ 会社の名誉や信用を損なう行為や、信頼関係を破壊する行為がある場合
④ 競業により、企業の利益を害する場合
情報漏洩や利益損害など業務上支障をきたす場合は、副業や兼業が禁止・制限されることがあります。副業の内容が、これらの条件に該当しないか注意が必要です。
さらに、会社が作成する就業規則は労働契約の内容にもなるため、就業規則で副業が禁止・制限されていないか確認をとる必要があります。禁止されているにも関わらず副業を行った場合、会社への契約違反になる可能性があり、ペナルティやトラブルにつながる恐れがあります。そのため事前に就業規則を確認し、必要な場合は上司の許可をとることが大切です。
尚、公務員の副業は、国家公務員法と地方公務員法で制限されています。
確定申告が必要な場合も
副業の年間所得の合計が20万円を超える場合は、確定申告が必要です。ここで注意が必要なのは、収入と所得の違いです。アルバイトやパートなどで得た給与は収入、収入から必要経費を引いた額が所得となります。
個人でリンパマッサージの仕事をした場合の例は、次のようになります。
収入
お客さまからの売上
必要経費
オイルやタオルなど施術に使う備品、店舗の賃料・光熱費など
所得
収入から必要経費を引いた額
例えば、収入が95万円だったとしても、必要経費が80万円もかかっていたら、所得は15万円となり確定申告は不要となります。所得の合計が20万円を超えるときは、税務署への確定申告を忘れずに行いましょう。
尚、税務署に出向かなくても「e-Tax」(国税電子申告・納税システム)を使えば、インターネット上での手続きが可能です。
できる施術内容
リンパマッサージは資格がなくても始められる仕事ですが、できる施術内容などに制限があります。「柔道整復師」や「あん摩マッサージ指圧師」などの国家資格がないと行えない施術や決まりがあるため、資格を持っていない場合は注意が必要です。
例えば次の内容は「柔道整復師」の資格がないとできません。
- 手技を使って応急的・医療補助的方法でケガの治療を行う。
- 看板や広告に「ほねつぎ」や「接骨」の名称を使う。
- 利用者が骨折や脱臼、打撲、捻挫(肉ばなれを含む)の施術を受けた場合に医療保険が適用される。
しかし、近年では整体院の増加によって競争が激しくなっており、一部の店や事業主が誇大広告で集客しようとする実態があります。そのため現在、厚生労働省は検討会を設けて広告ガイドラインを作成しています。
特に個人での活動や開業を行う予定の方は、現行の法令や厚生労働省の今後の動きに注目して、ルールを把握するように心がけましょう。
怪しい求人に注意
副業への注目が高まる一方で、副業詐欺の被害も危険視されています。副業を紹介する手数料という名目でお金をだまし取ったり、副業に必要と偽って高額な商品を売りつけたりする詐欺被害が報告されています。さらに個人情報が流出すると、別の詐欺事件に巻き込まれる恐れがあります。
このような被害に遭わないためにも、怪しい求人情報には注意が必要です。求人情報を探す際には、「楽して稼げる」「高額時給」などの記載や、登録料などの初期費用を請求する求人、実態のない会社・運営元の求人には安易に手を出さないようにしましょう。
万が一トラブルに遭った場合は、国民生活センターや消費生活センター、警察などに相談しましょう。
個人情報の取り扱いに注意
国家資格の「柔道整復師」や「あん摩マッサージ指圧師」は業務の中で知った人の秘密を他に漏らしてはいけないという守秘義務が規定されています。違反した場合は、懲役や罰金に処されます。
資格がなくてもできるとはいえ、リンパマッサージの仕事も同様にお客さまの個人情報の取り扱いには細心の注意が必要です。個人で開業した場合、サロンカルテやお客さまの記録などはご自身で保管しなければいけません。保存や管理には十分に気をつけましょう。
また、お客さまの氏名や連絡先のほかにも、施術中の雑談で知った個人情報は、正当な理由がないのに他に漏らしてはいけません。個人情報の漏えいは、お客さまの不利益につながるだけでなく、ご自身の信用失墜にもなります。
まとめ
リンパマッサージの仕事は資格がなくても始めることはできますが、サービスの質を向上させるためにも、資格取得を目指したりスクールに通ったりしてスキルアップすることは大切です。
「興味はあるけれど何から学んでいいか分からない」「独学で勉強してきたけれど、仕事にできるか不安」という方は、ぜひ資格取得などを通じて学習を始めてみてはいかがでしょうか。
現在、整体師として本業で働いている方も、新しく勉強を始めてみると、施術の幅を広げることができるかもしれません。興味のある方は、今回ご紹介した資格に挑戦してみてください。
事前の準備をしっかりと行うことで、副業がスムーズに始められます。副業の準備を進める際は、ぜひ今回ご紹介した内容を参考にしてみてください。