動物介護士(ペット介護士) に向いている人は?
動物が好きで勉強熱心な人
動物の世話をする動物介護士(ペット介護士) の仕事は、動物好きな人に向いています。この仕事は、日常生活が困難になったペットたちが快適に暮らせるように、食事や排せつのサポート、散歩のリハビリなどを行うため、動物と向き合う機会が多いという特徴があります。健康状態や個性もさまざまなペットと接するため、動物の命を尊重し、思いやりを持って世話をすることが求められます。
また、ペットを介護する際には、介護スキルだけでなくシニア期を迎えた動物の発達や行動、病気の基礎知識などさまざまな知識が必要です。正しいケアをするためには動物の個性に合わせた臨機応変な対応も求められるため、常に新しい情報を吸収しようとする姿勢が大切です。動物に興味を持って、真摯に向き合おうと努力できる人は動物介護士(ペット介護士) に向いていると言えます。
観察力がある人
動物は自分の状態や症状を言葉で伝えられないため、世話をする動物介護士(ペット介護士)の観察力が重要です。話せない動物に代わって、犬や猫たちが「どんなことを求めているのか」「どうしたら快適に過ごせるのか」考えることが求められます。
そのためには、動物の様子を観察することが大切です。日々の食事や運動量の変化、皮膚の状態や呼吸の仕方、排せつ物の状態など、いつもと違うところがないか、細かな違いに気を配ることが、体調の変化や病気の早期発見につながります。
小さな変化に気がついたり、普段の様子の違いから異変を察知できるなど、観察力がある人は、健康をサポートする動物介護士(ペット介護士)に向いています。
コミュニケーションが得意な人
動物介護士(ペット介護士)は動物とコミュニケーションをとることはもちろんですが、人間とのコミュニケーションも大切です。
飼い主からペットの状態を聞いたり、飼い主からの相談にアドバイスをしたりと、飼い主とのコミュニケーションは必須です。また、職場によってはチームで動物の世話をしたり、医療機関や行政などと連携したりすることもあります。
相手から必要な情報を聞いたり、動物の状態を適切に伝えたりと、コミュニケーションスキルは欠かせません。
動物介護士(ペット介護士) に向いていない人は?
体力に自信がない人
動物の世話には体力も必要です。病気や年齢による衰えなどから、ペットは自力で立てなくなったり、寝返りが打てなくなったりします。そのような場合、動物介護士(ペット介護士) はペットの下半身を支えたり寝返りを打たせたりとサポートを行います。少ない力で犬や猫の身体をサポートできるよう、介助にはコツがありますが、やはり力仕事であることには変わりありません。
また、動物の種類によって身体の大きさや体重はさまざまです。小型犬のチワワは約1キログラムから3キログラムの体重ですが、超大型犬のセント・バーナードは約54キログラムから91キログラムもあります。
自分の体重より重い犬の世話をすることもあるため、動物介護士(ペット介護士) の仕事をする際は体力をつけることが大切です。
気配りが苦手な人
動物介護士(ペット介護士) の仕事には、細やかな気配りが求められます。動物は自身の状態や症状を話して伝えることができないため、動物介護士(ペット介護士) が動物の気持ちをくみ取らなければいけません。
例えば、ずっと同じ大勢で寝ていると床ずれができてしまうため、こまめに寝返りを打たせてあげたり、食事の際に首を曲げにくい様子なら食器の位置を変えたりと、犬や猫たちが困っていることは何か、どうして欲しいのか考えて行動することが大切です。
また、シニア期を迎えたペットに対して、介護の悩みや将来への不安を抱える飼い主は少なくありません。動物介護士(ペット介護士) として、飼い主から相談を受けたり悩みを聞いたりすることもあるでしょう。相手の気持ちに寄り添うことで、ペットやその家族たちが最後まで穏やかに過ごせることを手助けできます。
臨機応変な対応が苦手な人
生き物を世話する際には、しばしば予期せぬことが起こります。そのようなときは落ち着いて臨機応変な対応をすることが求められます。
日中は元気だったけれど夜になって動物の体調が急変する、ということも起こるかもしれません。そのときの状況によって必要な対応は変わるため、状況を素早く把握して、今何をしなければいけないのか考えて行動することは、動物の命を守ることにつながります。
動物介護士(ペット介護士) はどんな仕事?
仕事内容は?
動物介護士(ペット介護士)は、シニア期を迎えたペットの介護を行う専門家です。人間と同じように動物も年齢を重ねることで、病気を患ったり身体の機能が衰えたりします。そのため、うまく身体を動かせずに日常生活が困難になってしまうこともあります。
そのような犬や猫たちが最期まで穏やかに暮らせるように、動物介護士(ペット介護士)はサポートやリハビリを行います。例えば、次のような介護を行います。
食事の介護
ペットの年齢や状態によって食事の内容や与え方などが異なります。年齢に合ったペットフードや流動食を用意したり、食事時間の調整や注射器を使った食事の介助など、動物の健康をサポートします。
歩行の介護
筋肉の衰えや下肢麻痺などで歩くことが困難になることもあります。歩行を補助するウォーキングベルトを使ったリハビリや車いすの活用など、ペットの歩行をサポートします。
排せつの介護
ペットが自分の力でトイレができなくなったり、おもらしの症状が出たりすることがあります。思うように排せつができないときは、下半身を支えてトイレをさせたり、刺激を与えて排せつを促したりします。また、おもらしをしてしまう場合は、ペットに合ったオムツを選んで活用します。
寝たきり状態のストレスを軽減
衰弱して寝たきりになったときは、床ずれによる炎症を防ぐために、寝返りを打たせます。こうすることで、ペットの身体の負担やストレスを軽減させ、安心して過ごせるようにサポートします。
活躍の場は?
動物介護士(ペット介護士)の専門知識やスキルを活かして活躍できる代表的な職場を3つご紹介します。
動物介護ホーム
シニア期を迎えたペットが終生の時間を過ごす動物介護ホームという施設があります。動物介護ホームでは、犬や猫たちを預かって世話をしたり、適切な介護を行ったりします。ペットを預かる方法や期間は施設によって形態が異なります。数時間単位から預かるショートステイや一生涯にわたるお世話などさまざまです。
ペットショップ
自宅でペットを介護する方は、必要なペット用品を飼い主自身が用意することになります。そのような方がペットショップを訪れた際には、動物介護士(ペット介護士)の専門知識を活かして、ペットフードの選び方や薬の飲ませ方などのアドバイスを行えます。
動物病院
近年では、ペットの飼育数が増加しています。それに伴い、動物病院では高齢化した犬や猫が訪れる機会が増えています。このような状況から、高齢のペットが動物病院を訪れた際には、動物介護士(ペット介護士)の専門知識の活用が期待されます。
平均給与は?
月給計算では、約13万円から約15万円だといわれています。そのため、年収は約150万円から約180万円となります。国税庁の「令和3年分民間給与実態統計調査」によると、日本の平均年収は443万円です。動物介護士(ペット介護士)の給料は、日本の平均年収よりも低いというのが現状です。
動物介護士(ペット介護士) になるには?
動物介護士(ペット介護士) になるために、特に必要な資格はありません。とはいえ、シニア期を迎えたペットを世話するにあたり、動物の特性や病気の基本的知識、適切な介護の方法などのスキルが求められます。そのため、動物介護に関する資格を取得するなどして、必要なスキルを身につけることが最初のステップとなります。
就職をする際は、ご自身が働きたい求人情報を探して応募しましょう。動物介護士(ペット介護士) の活躍の場は、動物介護ホームやペットショップなどさまざまです。職場によっては、未経験歓迎のところや実務経験者優遇、資格取得を条件にしているところなどありますので、条件を事前に確認しましょう。
動物介護士(ペット介護士) に必要なスキルは?
動物の基本的な知識
犬や猫たちの世話をするためには動物に関する基本的知識を身につけていることが大切です。年齢における身体や行動の変化、犬・猫別にかかりやすい病気や病気のサインなど、犬・猫の老化に関する知識は介護の基礎となります。
動物介護のスキル
実践的な動物介護のスキルは動物介護士(ペット介護士)に必須です。犬や猫も、筋肉や聴力・視力の低下など身体の機能の衰えから、これまで通りの生活が困難になることがあります。そこで、動物介護士(ペット介護士)が食事や排せつ、歩行などの介護を行います。
一口に食事のサポートといってもさまざまです。
・体調や年齢に合った食事の選び方
・食事時間の調整
・食欲増加への対策
・流動食の作り方や与え方
・誤嚥事故の対策
・嘔吐をした際の対処方法
・食事を拒む際の対処方法
・点滴による栄養補給の方法 など
犬・猫たちの状態に合わせたサポートが必要なため、さまざまな介護方法を身につけることが大切です。
また、日常生活のサポートのほかにも、動物の問題行動に遭遇する場面もあります。例えば犬は認知機能が低下すると、攻撃性が増して威嚇をしてしまう、夜鳴きや徘徊をしてしまうといった、いわゆる認知症の症状が現れます。このような行動への対応方法も学んでいく必要があります。
動物介護士(ペット介護士) におすすめな資格は?
動物介護士
概要
日本能力開発推進協会による民間資格です。「動物介護士」の資格では、シニア期を迎えた犬・猫の介護に必要な知識やスキルを証明します。
受験資格・取得方法
受験資格は、認定教育機関などが行う教育訓練でカリキュラムを修了することです。年齢制限はないため、どなたでも資格取得を目指せます。尚、カリキュラムを修了した後、在宅で受験できる資格試験に合格すると資格を取得できます。在宅受験は得点率70パーセント以上で合格できるため、しっかりと試験対策を行えば、合格可能です。
学習内容
シニア期の動物に関する基礎知識について学びます。
・シニア期の基礎知識
・シニア期の介護に関する基礎知識
・シニア期の病気の基礎知識
犬猫介護アドバイザー
概要
日本生活環境支援協会による民間資格です。犬猫介護アドバイザーとして、犬・猫の介護に関する知識が身についているか客観的に証明できる資格です。
受験資格・取得方法
受験資格は特にありません。年齢や学歴、実務経験などの制限がなく、誰でも受験できます。資格試験は、2ヶ月に1回ほど開催されます。資格試験は在宅での受験で、得点率70パーセント以上で合格です。
学習内容
犬と猫の介護について学習します。
・寝たきり状態になったペットの対応
・食事を拒む場合の対処法
・排泄の介助の方法
・介護マッサージの方法 など
ペット介護インストラクター
概要
日本インストラクター技術協会による民間資格です。ペット介護インストラクターとして、犬・猫の介護に関する基本的な知識が身についているか証明する資格です。
受験資格・取得方法
受験資格は特にありません。年齢や学歴、実務経験などの制限がなく、誰でも受験できます。2ヶ月に1回ほど開催される在宅の試験に合格すると、資格を取得できます。尚、得点率70パーセント以上で合格です。
学習内容
犬と猫の介護について学習します。
・小型犬/中型犬/大型犬の介護の基本知識
・猫の介護の基本知識
・排泄の誘導・補助の方法
・食事の選び方
・流動食の与え方
・室内環境の整え方 など
通信教育で取得を目指せる
上記でご紹介した「動物介護士」「犬猫介護アドバイザー」「ペット介護インストラクター」はいずれも通信教育で学習できる資格です。通信教育は、自分のペースで学習を進めることができ、学習場所も自由というメリットがあります。通信教育は効率よく試験対策を進められるため、育児や仕事などでまとまった学習時間を確保できないという方にもおすすめです。興味がある方はぜひ挑戦してみてください。
動物介護士(ペット介護士) の魅力は?
動物介護士(ペット介護士) は、犬や猫たちの健康のサポートに直接携われるという魅力があります。
2013年に動物愛護管理法が改正され、「所有者の責務に、終生飼養や適正な繁殖に係る努力義務を加える」ということが明記されました。すなわち、飼い主はペットを最後まで看取る責任が明らかになったということです。
このような背景から、シニア期を迎えたペットへの介護やケアの重要性が高まっています。しかし、さまざまな事情から家庭でペットを介護することが難しい方もいます。そのような方に向け、動物介護ホームの必要性も増加していることからも、動物介護士(ペット介護士) は犬や猫たちだけでなく飼い主の支えにもなっているといえます。
動物介護士(ペット介護士) はペットの健康サポートに直接関わることができるため、食事を取れなかった犬・猫たちが食べられるようになったり、リハビリで散歩ができるようになったりと、ペットの様子の変化を身近で見守ることができます。
動物介護の現場であるため、ペットが亡くなってしまう場面に立ち会うこともあるでしょう。しかし、犬や猫たちが最期まで快適に暮らせる手助けができるのは、動物介護士(ペット介護士) のおかげです。動物介護士(ペット介護士) の手厚い介護は、動物や飼い主たちの大きな支えになっているのです。
まとめ
動物介護士(ペット介護士) に興味がある方で、「向いている人」の特徴に当てはまった方は、ぜひ動物介護に関する学習や資格取得に挑戦してみてください。
中には、「向いている人」の特徴に当てはまらなかった、「向いていない人」の特徴に当てはまってしまったという方もいるかもしれません。現在の自分に足りない点があったとしても、今から勉強したり練習したりして身につけることは可能です。苦手分野を克服しつつ、ぜひ動物介護の学習に挑戦してみてください。