産業カウンセラー試験内容は?
学科試験(筆記60問)・実技試験(ロールプレイング、口述試験)あり!
産業カウンセラーの試験内容としては大きく分けて2つ、学科試験と実技試験が設けられています。
◎学科試験について
試験範囲として5つの分野から出題されます。
①産業カウンセリング概論
(産業カウンセラーの歴史や役割、関係法令などの基本)
②カウンセリングの原理および技法
(理論や技法と言った実践的な知識)
③パーソナリティー理論
④職場のメンタルヘルス
⑤事例検討
これら5つの分野を学科試験1と学科試験2に分け出題されます。
学科試験1は解答時間90分。基礎的な学識が問われる内容となり、5択のマークシート方式を40問解くことになります。
学科試験2は解答時間60分でマークシー方式20問。事例への対応能力や対話分析能力が問われます。
◎実技試験について
次に実技試験についてです。
受験者同士でのロールプレイングや試験官との口述試験が行われます。産業カウンセラーとしての【基本的態度・適切な技法・自己理解的側面・社会的貢献】これら4つの能力が問われます。学科試験と異なり、知識を身に付けているだけでは評価されませんので注意が必要です。誰でも出来る対策としては、服装のチェック、言葉遣い、聞き取りやすい発声を心がける等でしょうか。また、ロールプレイングでも口述試験においても、相手が人であることを忘れないでください。
◎合格基準について
合格基準は学科、実技共に概ね6割以上の得点となっています。試験は毎年1回、1月下旬に開催されています。詳細は9月頃に発表されますので忘れずに確認しましょう。
2023年度においては、学科試験は2023年6月25日(日)、実技試験は7月1日(土)・2日(日)に実施される予定です。
◎試験科目免除について
産業カウンセラー試験では、特定の条件を満たすと試験科目が免除される場合があります。学科試験のみ合格した人は、翌年と翌々年は学科試験が免除されます。同様に実技試験のみ合格した場合も、翌年と翌々年は実技試験が免除。また、受験と同じ年度、もしくは前年度に産業カウンセラー養成講座を修了し、一定の評価が下されたものは実技試験が免除されます。
産業カウンセラー試験に受験資格はあるの?
大学にて指定科目の履修、指定講座の修了など受験資格あり!
産業カウンセラー試験には、以下3つの受験資格が設けられています。
①日本産業カウンセラー協会が開催している産業カウンセリングの学識及び技能を習得するための講座を修了していること
現在協会で開かれているのは、産業カウンセラーに関するeラーニング制の講座。6か月コースと10か月コースが用意されており、試験日程に合わせて受講希望者が選べる形になっています。実際に通学して面接の体験学習を行ったり、eラーニングを通して授業を受けたりする内容です。通学場所は、全国各地にある教室を選択できるシステムになっているので、気になった人は問い合わせてみると良いでしょう。
②大学院で指定学部、指定科目を修了していること
具体的には、大学院研究科において心理学隣接諸科学、人間科学、人間関係学のいずれかの名前を冠する専攻を修了し、その上で産業カウンセリング関連科目を20科目以上取得しなければいけません。科目は群に細かく分けられ、それぞれ規定が定められていますので注意が必要です。
※尚、社会人としての職業経験が3年以上ある場合には、必要単位が緩和されます。
③大学において公認心理師となるために必要な科目のうち、指定の科目を履修していること
指定の科目の履修については、卒業した大学が公認心理師コースを開始した年度以降に履修した単位に限られています。
大学院や大学での履修科目が問われる条件をクリアすることは、大学に在学中の方でも簡単ではないかもしれません。よって、受験資格を満たすものを保有していない人は、1つ目の条件を推奨します。ネックは費用と期間ですが、大学に通うよりは負担はありません。
産業カウンセラー試験の合格率・難易度は?
合格率は、学科試験・実技試験ともに60%前後
2022年度産業カウンセラー試験を例に紹介すると、受験者数は1,120人に対して合格者は654人、合格率は58.4%でした。半数以上の受験者が合格している事からも、決して難しすぎるという試験ではないように思えます。
しかし、産業カウンセラー試験では学科と実技でも難易度が分かれている点に注意が必要です。2022年度試験の場合だと、学科試験の合格率が65.0%だったのに対し、実技試験では61.1%となっています。テキストや過去問である程度の対策がとれるマークシート方式の学科試験に対し、暗記だけでは得点がとれない実技試験。黙々と記述をしていけば良い学科試験とは違い、口述しなければいけないので雰囲気にのまれやすいのも難点です。
例年の試験でも同様に、学科と実技では合格率に差が生まれています。
受験資格を見れば分かるように、受験者達は大学の専門教育を修了した者か専門講座で知識を身に付けた人たちばかりです。そのような人達であっても、半数近くの人が試験に落ちているのが現状となっています。
過去受験した人たちの意見を聞いてみると、協会から販売されている教科書だけでは解けない問題も何割かあるようです。学科試験1では基礎的な知識が問われますが、2割程度は他分野の知識が必要となる設問があります。教科書の範囲を取りこぼしてしまうと、合格基準である6割以上の得点が困難です。過去問を読み取り勉強範囲を広げるか、教科書を徹底的に読み込むか対策を絞りましょう。
そして問題は実技試験。受験者達とのロールプレイングや口述試験は難関です。テーマと相手の考えをくみ取り、落ち着いて試験に挑むことが大切です。緊張してしまうと、どうしても会話のテンポが早くなりがちなので意識して落ち着かせると良いでしょう。
産業カウンセラー試験を受けるには?
産業カウンセラー養成講座の受講が一般的!
産業カウンセラーの試験を受けるためには、ご紹介した3つの受験資格のうち1つをクリアしなければなりません。
これから受験をお考えの方にとっては、産業カウンセラー養成講座を受講・修了して受ける方法がスムーズと言えるでしょう。
受講するにあたり、申し込み期日も決まっています。しっかりと確認し、余裕を持って受講申し込みされることをおすすめします。