心理カウンセラーとは?
カウンセリングなどの心理療法で悩みの解決をサポートする仕事!
心理カウンセラーは、カウンセリングなどの心理療法をおこないながら、相談者が抱えるストレスや悩みのサポートをおこないます。
その際、相談者に一方的に指示を出すのでなく、相談者自身が問題を解決できるように導いていく役割を担います。
相談者と対面して、相談者を取り巻く環境や心理状態を把握しなくてはならないため、心理学やカウンセリングに関するさまざまな知識が必要です。
ときには相談者の家族や関係者の話を聞き、連携を取りながら心理サポートをしていきます。
ストレスやメンタルヘルスが社会的な問題となっている日本では、心理カウンセラーによる支援は今後もさらにニーズが高まっていくと考えられます。
心理カウンセラーになるには?
資格がなくても心理カウンセラーを名乗ることはできますが、カウンセリングには専門的な知識・技術が必要になります。
カウンセリングの知識・技術を身につけるためには、主に以下の方法で学習することができます。
通学制もしくは通信制大学、大学院で学ぶ
心理系科目を設置している大学や大学院で専攻科目を学ぶ方法です。
心理について体系的に学習することができます。
通学スクールで学ぶ
心理カウンセラー育成やカウンセリングを教えているスクールで学びます。
カウンセラーとして活躍できる実践的なスキルを身につけられるでしょう。
通信講座で学ぶ
心理カウンセラー資格取得を目指せる通信講座で学びます。
仕事や家事などと両立しながら知識を身につけることができます。
心理カウンセラー資格の種類を解説
国家資格の公認心理師、民間資格の認定心理士・臨床心理士など複数存在
公認心理師は、心理職では日本初、かつ現在では唯一の国家資格です。
「公認心理師」は名称独占資格であり、権威性の高い資格のひとつとされているので、 専門性を活かして、保健医療・福祉・教育・司法・産業などの幅広い分野での活躍が期待できます。
心理学部・大学院など、教育機関での学習が必要な民間資格は、「認定心理士」「臨床心理士」などが有名です。
心理系の仕事といえば「心理カウンセラー」や「スクールカウンセラー」などのカウンセリングの業務が有名です。
カウンセラーという名称自体は、特に法律で定められていないため、資格を持っていなくても、誰でも名乗ることができます。
資格1.メンタル心理カウンセラー
メンタル心理カウンセラー®資格とは、一般財団法人日本能力開発推進協会が主催する民間資格です。
心理学の基礎、カウンセリングの理論とその実践技術を学べる、メンタルケアの入門的な資格です。
メンタル心理カウンセラー®資格は検定試験に合格する必要がありますが、その受験資格も定められています。
協会指定の認定教育機関などでおこなう教育訓練の全カリキュラムを修了することで受験資格が得られます。
検定試験はカリキュラム終了後に協会ホームページより申し込み、受験料5,600円(税込)を振り込みます。
手続きの確認がとれてから約2週間で検定試験問題と解答用紙が送付されてくるので、在宅での受験が可能です。
得点率70%以上で合格となり、答案受付後から約1ヶ月で合否の結果が送付されます。
合格者にはJADP認定メンタル心理カウンセラー®の称号が付与され、認定証が発行されます。
カウンセリングに関する知識や技能を備えていることを証明でき、履歴書に書くことができます。
学校や医療現場、福祉施設、一般企業などで求められる心理カウンセラーとしての知識や技能を持ちます。
人間関係に悩んだり、環境ストレスを抱える人に対して、心理学の知識に基づいたカウンセリングをおこなうのが主な仕事です。
メンタル心理カウンセラーは、悩みを抱える相談者と一緒に問題解決のための支援をする役割が求められています。
初心者から目指すことができる資格のため、初めて心理を学ぶ方にもおすすめです。
資格2.ケアストレスカウンセラー
ケアストレスカウンセラーは一般財団法人職業技能振興会が認定する民間資格です。
メンタルヘルスにかかわる基礎的な知識を身につけ、ストレスによるメンタルの疾患が疑われる方への対応やメンタル疾患をどのように予防していくかなどを学ぶことで、こころのケアができるスキルを習得します。
すべてに共通する基礎的な知識を学べる「ケアストレスカウンセラー」から、「青少年」「高齢者」「企業中間管理職」と、対象に合わせた専門的なこころのケアを体系的に学習できます。
それぞれの分野を学んでいくことで、さまざまな状況で悩みを抱えた方々に対して効果的なカウンセリングを行えるようになるでしょう。
全国220会場以上のテストセンターで実施されるCBT形式試験(Web試験)へ合格することで認定資格を取得できます。
資格取得後も希望者に向けたフォローアップ研修を開催しています。
カウンセリングの経験がなく、実際にどのようにカウンセラーとして活動すればいいかわからない場合は、実践形式でカウンセリング業務を身につける機会も用意されています。
資格取得後もスキルアップし、カウンセラーとしての実力をつけていけることもこの資格のメリットといえるでしょう。
資格3.メンタルヘルス・マネジメント検定®
メンタルヘルス・マネジメント®検定試験では、職場での役割に応じて必要なメンタルヘルスケアに関する知識や対処方法が学べます。
仕事や職場でのストレスは今や大きな社会問題となっており、社員のメンタルヘルス・マネジメント、つまり心の健康を管理する取り組みは企業にとって重要なものとなっています。
学習範囲としてはメンタルヘルスの一次予防(メンタル疾患を未然に防ぐこと、その健康を増進すること)に重点を置いており、組織全体でのメンタルヘルスケアを促進する内容となっています。
厚生労働省策定の「労働者の心の健康の保持増進のための指針」を受け、大阪商工会議所と施行商工会議所が実施しています。
Ⅰ種(社内のメンタルヘルス対策推進)、Ⅱ種(部門内、部下のメンタルヘルス対策推進)、Ⅲ種(従業員自らのメンタルヘルス対策推進)の3コースがあり、希望のコースを受験できます。
検定試験合格後、所定の手続きをおこなうと合格証明書が発行されます。
主催 大阪商工会議所
資格4.こころ検定®
こころ検定®は、人の心の動きが生活や社会に対してどのような影響を与えるかを、基礎心理学を中心に学べる検定です。
一般財団法人日本こころ財団が主催し、2018年8月より文部科学省後援検定事業として認可されています。
こころ検定®は4級から1級までの等級があります。4級はこころと向き合う、3級はこころを成長させる、2級はこころに触れる、1級はこころを援助する、といった学習目標が定められています。
等級によって、教育・子育て・産業・地域コミュニティ・医療・福祉・自分の成長など、さまざまな場面で活用できます。
4級から2級は誰でも受験でき、併願も可能です。
テストセンターでのCBT試験(WEB試験)に合格すると受験日から約30日程度で合格証が発送されます。
1級の受験は、2級合格者もしくはメンタルケア心理士®資格登録者であることが条件になります。
テストセンターでのCBT試験に加え、会場試験として実技・口述試験がおこなわれます。
会場試験は合否発表日に学会から合否通知書が郵送されます。
また、2級合格者はメンタルケア心理士®、1級合格者はメンタルケア心理専門士®の資格登録申請も可能です。
資格5.公認心理師
公認心理師は、日本初の心理職の国家資格です。
名称独占資格であり、「公認心理師」や「心理師」のつく名称は公認心理師以外では使用できません。
心理に関する支援を必要としている人やその関係者への相談や助言のみでなく、心の健康に関する知識を普及するための教育や情報提供も活動内容としています。
保健医療、福祉、教育、司法、産業などの幅広い分野での活躍が期待されています。
公認心理師は、国民の心の健康の保持増進に寄与することを目的として2017年9月に施行された「公認心理師法」を根拠に、2018年より試験が開始されました。
公認心理師の受験資格をえるためには、4年制大学で指定科目を履修したあと、大学院にて指定科目を履修する、または指定施設での2年以上の実務経験が必要です。
また、これらと同等以上の知識と技術があると認定された場合も受験が認められます。
公認心理師を目指す場合は、指定科目が履修できるか、条件を満たしているのかを事前に確認しておきましょう。
受験資格の詳細については指定試験機関および指定登録機関である、一般財団法人公認心理師試験研修センターのホームページでも確認できます。
試験に合格し、登録をすることによって、「公認心理師」の名称を用いて活動できます。
参考 公認心理師について詳しく
資格6.認定心理士
認定心理士とは、公益社団法人日本心理学会によって、大学で心理学に関する標準的な基礎知識や技術を習得していることを認定される民間資格です。
4年制大学を卒業後、修了した単位を申請することで認定が受けられ、資格試験はありません。
卒業後に他の大学や通信制大学などで追加で修了した単位も合わせて申請できます。
認定心理士の資格申請は郵送かWeb上でおこないます。
これまでの申請方法は郵送のみでしたが、一部の証明書などを郵送すれば、日本心理学会ホームページの認定心理士申請システムからWeb申請が可能です。
申請後、単位認定基準に基づいた審査がおこなわれ、合格の場合は認定料振込を経て、認定証・IDカードが付与されます。
また、卒業後時間が経過しても申請できるので、社会人になってから認定心理士の資格取得を目指す方は大学時代に習得した必要単位を確認してみてください。
心理に関する仕事をしていない場合でも、認定心理士資格は心理学の知識の証明となるため、就職・転職時のアピール材料の1つとなります。
大学で心理学関連科目を習得した方は、資格申請を考えてみてはいかがでしょうか。
参考 認定心理士について詳しく
資格7.臨床心理士
臨床心理士は、公益財団法人日本臨床心理士資格認定協会が認定する民間資格です。
臨床心理学に基づく知識や技術を用いて心の問題に取り組む心理専門職であり、1988年から資格認定がおこなわれてきました。
臨床心理士資格の取得には、臨床心理師養成に関する指定大学院もしくは専門職大学院を修了し、資格試験に合格する必要があります。
試験合格後、資格登録証明書の発行手続きを完了すると資格が認定されます。
また、5年毎に資格更新が義務づけられており、常に専門知識習得、能力の維持向上が求められます。
臨床心理士は、相談者の立場から問題の所在を明らかにし、それぞれの特徴に応じてさまざまな臨床心理学的技法で心の支援をおこないます。
また、個人のみではなく地域社会全体での活動も専門業務とされています。
臨床心理士による心の支援活動は、スクールカウンセラー・子育て支援・高齢者支援などがあり、医療・保健・福祉・教育など多くの分野で活動されています。
また、協会によると、個人で相談所を開設する私設臨床心理士も増加傾向にあるようです。
医療機関やスクールカウンセラーの求人では、臨床心理士を条件としている場合も多いため、これらの仕事を目指す方は取得をおすすめします。
参考 臨床心理士について詳しく
資格8.交流分析(TA)
交流分析とはTA=Transactional Analysisの哲学が基盤になる、自分と他者を分析して理解するための理論です。
自分と他者のそれぞれを理解することで、よりよい関係を構築できる心理療法として知られています。
団体ごとに認定資格が違いますが、より初学者向けの認定資格として代表的なのはNPO法人日本交流分析協会が認定する「交流分析士」と、職業技能専門教育研究機構が認定する「TA(交流分析)カウンセラー」です。
どちらも指定講座の受講後に認定試験に合格し、認定を受けることで資格が取得できます。
「交流分析士」の講座は日本交流分析協会支部やTAカレッジにて、「TA(交流分析)カウンセラー」の講座は全国のヒューマンアカデミーの校舎にてそれぞれ受講が可能です。
交流分析は、営業職や接客業など人と接する機会が多い仕事に就いている方、保育士、看護師、介護士の方に向いていると言われていますが、自己理解のために学ぶ方も多いです。
その他に日本交流分析学会が認定する「日本交流分析学会認定 交流分析士」という資格がありますが、こちらは交流分析の実戦経験なども問われますので、よりプロ向けの資格となります。
資格9.SNSカウンセラー
SNSカウンセラーとは、2017年に発足された全国SNSカウンセリング協議会により認定される資格です。
コミュニケーションツールの変化とともに、SNSカウンセリングの需要が高まる社会状況において、安心・安全なSNSカウンセリングを提供できる人材として全国SNSカウンセリング協議会が保証することを目的とした資格登録制度となります。
心理カウンセラー資格(公認心理師・臨床心理士・産業カウンセラー・認定心理カウンセラー・プロフェッショナル心理カウンセラー・ガイダンスカウンセラー)を持っている方は、
SNSカウンセラー養成講座を修了することで、認定登録の申請ができます。
その他の隣接国家資格(キャリアコンサルタント・精神保健福祉士・社会福祉士)をお持ちの方は、SNSカウンセラー養成講座とカウンセリング講座50時間以上を修了することで、認定登録の申請が可能です。
SNSカウンセラーは遠隔でのカウンセリングが可能で、今後需要が見込まれる資格です。
心理カウンセラー資格をお持ちでない方も、今から取得を目指すことで活躍できるチャンスが多くあるでしょう。
資格10.EAPメンタルヘルスカウンセラー
EAPメンタルヘルスカウンセラーは、労働者を対象とした、こころの健康を総合的にサポートするエキスパートです。
EAPとは組織に属する従業員のメンタルヘルスケア対策のことを指し、「従業員支援プログラム(Employee Assistance Program)」の頭文字をとった略語です。
対個人のメンタルヘルスカウンセリングと、その個人が所属する企業への支援(EAP)をあわせて行い、労働者のこころのケアを行っていきます。
ほかにも、メンタルの不調予防・早期発見やメンタルヘルスカウンセリングの実施、うつ病などのこころの病気で休職をされた方への復職に向けたサポート、企業へのEAPコンサルテーションやEAP構築など、幅広い業務に携わることができます。
EAPメンタルヘルスカウンセラー資格は、特定非営利活動法人EAPメンタルヘルスカウンセリング協会が認定しています。年2回の試験では、学科試験と実技試験が設けられています。受験資格があり、受験資格を得るには同協会が認定するカリキュラムを修了する必要があります。資格を取得することで、EAP・メンタルヘルス分野の専門家として、さまざまな場所での活躍が期待できるようになります。
主催 特定非営利活動法人EAPメンタルヘルスカウンセリング協会
資格11.プロフェッショナル心理カウンセラー
プロフェッショナル心理カウンセラーは、長年の実績を持つ心理カウンセラーや養成スクールが検討を重ねて創り上げた資格です。
プロフェッショナル心理カウンセラーは、カウンセリングの専門家として活動します。カウンセリングでは、クライアントの話を傾聴し、理解し、問題の解決に導くための支援を行います。
先述のように心理カウンセリングのプロが編成したカリキュラムを履修するため、資格を取得した後は幅広い分野の心理問題に対応できます。例えば、うつ病、不安症、発達障害、依存症、家族問題などです。また、活躍の場も広がり、企業や学校などの組織で、メンタルヘルスのサポートを行うケースもあります。
このように多様な心理カウンセリングに対応するため、プロフェッショナル心理カウンセラーは、人の心を深く理解し、サポートする能力が求められます。認定校でプロフェッショナル心理カウンセラーの技量に足りる知識・技術を身に付けましょう。
資格12.メンタルトレーニング検定
メンタルトレーニング検定は、個人や組織が正しいメンタルトレーニングを行う知識や技術を身に付ける資格試験です。3級・2級・1級の順に難度が高くなります。最終的には1級を取得するとメンタルトレーナーとして独立を目指すことも可能です。
3級、2級については目標の達成や生産性の向上、最大限のパフォーマンスをを引き出すことを目的として資格取得に取り組まれています。これらの目的はビジネス、アスリート、受験勉強などにおいて共通であるため、資格を取得した後も様々な場面で応用が利く資格であることは、この資格の魅力の1つですね。
資格13.メンタル士心理カウンセラー(R)
メンタル士心理カウンセラー(R)は、心のケアを中心とした技術水準向上やスキルの社会的地位の確率を目的に試験実施と認定証発行をおこなっている日本メディカル心理セラピー協会(JAAMP)が認定する民間資格です。
人間関係や仕事、恋愛、ストレスなどのさまざまな悩みを抱えている人へカウンセリングを通して、問題解決に向けたサポートをおこないます。相談者自身で問題解決にむかえるように、さまざまな悩みに対応する知識を用いて助言をするカウンセラー資格です。
心理学の基礎知識、心理的ストレスの特徴や症状や症状別の回復に向けた治療方法などを理解しており、カウンセラーとして活動するために必要な能力が十分に身についているとされた場合に認定されます。
資格検定試験は自宅からの受験が可能であり、インターネットから申込みます。試験への合格は70%以上の評価が必要です。 合格後は協会ホームページに設けられている合格者専用ページから認定証、認定カードの発行申込が可能です。
資格14.メンタル心理インストラクター(R)
メンタル心理インストラクター(R)は、教える力を中心とした技術者としての能力を認定している日本インストラクター技術協会(JIA)が認定する民間資格です。
メンタル心理のインストラクターとして、心理学やカウンセリングに興味のある方に向けて、カルチャースクールや在宅でのカウンセリングなどで講師活動ができます。
カウンセリングや心理学の知識とともに、相談内容や背景にある問題への働き方、問題への理解、改善点の検討、共感的理解の方法、助言などといったカウンセリングに関する理解ができているとされた場合にインストラクターとして認定されます。
資格検定試験は自宅からの受験が可能です。年6回実施、5日間程度の試験期間が設けられており、期間中に回答用紙を協会へ返送します。試験への合格は70%以上の評価が必要です。合否の発表や認定証の発行などは、全てインターネット上でおこなうことが可能です。
試験では、インストラクターとしての基礎知識、適度なサポート、社会復帰を助ける支援制度などが問われます。日程や試験内容は協会ホームページにて公開されています。
心理カウンセラーの仕事内容
学校で働く心理カウンセラーの仕事内容
心理カウンセラーは、カウンセリングなどの心理療法をおこないながら、相談者が抱えるストレスや悩みのサポートをします。
その際、相談者に一方的に指示を出すのでなく、相談者自身が問題を解決できるように導いていく役割を担います。
相談者と対面して、相談者を取り巻く環境や心理状態を把握しなくてはならないため、心理学やカウンセリングに関するさまざまな知識が必要です。
また、ときには相談者の家族や関係者の話を聞き、連携を取りながら心理サポートをしていきます。
ストレスやメンタルヘルスが社会的な問題となっている日本では、心理カウンセラーによる支援は今後もさらにニーズが高まっていくと考えられます。
病院で働く心理カウンセラーの仕事内容
学校と同じくらい代表的な職場として挙げられるのが病院です。
病院やクリニックの精神科や心療内科などで、医師と連携をとり、心の病を抱えた方への心理検査やカウンセリング、その家族への相談業務をおこないます。
病院勤務ではなく、自分でカウンセリングルームを開業し、医師から紹介されたクライアントの心のケアをおこなう場合もあります。
たとえば「無気力な状態が続く」「イライラして落ち着かない」「人間関係がうまくいかない」「寝つきが悪い」「家庭・学校・職場の悩みがある」「自分の性格について悩んでいる」「人と接するのがこわい」など、さまざまな悩みを抱える相談者に対して認知行動療法や精神分析療法などの心理療法やカウンセリングをおこないます。
活躍の場は、精神科や心療内科だけとは限りません。神経内科、小児科、産婦人科などで働く場合もあります。
一般企業で働く心理カウンセラーの仕事内容
企業で働く人々の心と身体の健康を支援するプログラムをEAP(Employee Assistance Program)と呼びます。
昨今は、うつ病や過重労働によるパフォーマンスの低下が問題とされており、EAPによる心のケアに注目が集まっています。
このような企業で働くカウンセラーには大きく分けて、2とおりの働き方があります。
(1)企業内でEAPカウンセラーとして働く場合
企業内の「心の相談室」などに常駐し、従業員や経営者の抱えるさまざまな悩みに対して、カウンセリングなどをおこないます。
産業医や人事労働者とともに行動することも多いので、一般企業での就業経験があればプラスになります。
(2)外部相談機関でEAPカウンセラーとして働く場合
EAPを専門とする一般企業に在籍し、契約企業から依頼された場合のみ、カウンセリングをおこないます。
電話やメール、オンラインによる24時間サービスのあるEAP企業も多いので、カウンセラーの働く時間や形態はさまざまです。
必要とされる資格は、臨床心理士、産業カウンセラー、看護師など、企業によって異なります。
人事担当者が資格を取得し、カウンセリングをおこなうケースもあるようです。企業セミナーなどで、メンタルヘルスケアについての講義をおこなうこともあります。
児童相談所で働く心理カウンセラーの仕事内容
児童相談所の心理職は、以前は心理判定員と呼ばれていましたが、現在では児童相談所で働く心理判定員に限り児童心理司という呼び方をします。
児童虐待への介入、いじめ、不登校、非行、発達障害などのさまざまな問題を担当し、心理検査や家庭訪問などもおこないます。
地域が抱える子どもの問題解決についての中心的役割を担っています。
また、児童心理司は公務員です。大学で心理学を専攻したあと、公務員採用試験に合格する必要があります。
福祉業界で働く心理カウンセラーの仕事内容
福祉業界では、主に老人保健施設や精神保健福祉センターなどの施設に勤務します。
生活相談員として雇用された場合は、施設利用者やその家族の相談にのります。
国家資格である精神保健福祉士を取得して、就職した場合は精神障害者の生活面での支援をおこないます。
司法業界で働く心理カウンセラーの仕事内容
司法業界では法務技官(矯正心理専門職)、保護観察官、法務教官などの専門職があり、家庭裁判所や刑務所、少年院に勤務します。大学卒業後、公務員採用試験を受ける必要があります。
非行に走った少年を取り巻く環境の調査や事情聴取、事件の事実関係の調査、犯行時の責任能力の有無を判断します。
高い倫理観と冷静な判断力が求められます。
独立・開業した心理カウンセラーの仕事内容
心理カウンセラーのなかには、どこの職場にも属さず、独立開業をする方もいます。
独立開業する場合は、心理やカウンセリングの知識だけでなく、集客や経営能力も必要です。
資格取得後すぐに独立開業しても、経営は容易ではないでしょう。
ある程度どこかの職場で心理カウンセラーとしての経験を積み、人脈を作ってから独立開業するのが賢明といえます。
また、ホームページなどを作成し、自分の得意分野をアピールすることも有効です。
心理カウンセラーに向いている人
心理カウンセラーは、相談者の話に耳を傾けることが重要な仕事です。
重篤な悩みについて相談にも向き合える忍耐力が必要です。
また、相づちをうつ、相談者の発言を繰り返すといった方法で、相談者の発言を受容する姿勢が必要です。
自身で問題を整理できていない相談者に対しては、話を聞き出すテクニックも求められます。
心理カウンセラーは、適切な対応ができる冷静な判断力が求められますが、人の苦しみに共感できる優しい心も大切です。
関連記事 心理カウンセラーに向いている人の特徴
心理カウンセラーの給料・年収
心理カウンセラーの給料は、職場や保有する資格によっても異なります。
それぞれの平均の給料・年収は以下のようになっています。
職場ごとの平均収入
職場 | 平均収入 |
---|---|
病院 (心療内科、精神科、メンタルクリニックなど) |
年収300~400万円 |
企業 | 年収300~400万円 |
学校 | 年収300~400万円 |
フリーランス | 年収~1,000万円以上 (働き方によって大きく異なる) |
保有する資格ごとの平均収入
資格 | 平均収入 |
---|---|
公認心理師 | 年収300~400万円 |
臨床心理士 | 年収300~400万円 |
精神保健福祉士 | 年収350万円程度 |
社会福祉士 | 年収300~400万円 |
出典
厚生労働省 公認心理師の活動状況等に関する調査
公益財団法人 日本臨床心理士資格認定協会
公益財団法人社会福祉振興・試験センター精神保健福祉士就労状況調査結果
公益財団法人社会福祉振興・試験センター 社会福祉士就労状況調査実施結果報告書
心理カウンセラーは年収1,000万円を目指せる?
医療機関や企業に勤めて年収1,000万円を稼ぐのは難しいかもしれません。
ですが、カウンセリングの実績を積み、独立開業して人気のカウンセラーになることができれば高収入を目指せるでしょう。
カウンセリングの業務だけではなく、講演やメディア出演、書籍の執筆などの依頼が増えていけば、年収1,000万円もより現実的なものになるでしょう。
高収入を得るためには、集客や営業活動にも力を入れる必要があります。それ相応の努力が必要になることは覚えておきましょう。
心理カウンセラーのオンライン説明会を開催しているスクールは?
受講にあたっての理解を深めたり、不安を解消するためにも参加しておきたいのがスクール説明会です。
スマートフォンやパソコンを利用し、自宅にいながらオンラインで参加できる説明会が増えています。
以下のページで詳細を紹介しています。
特設ページ 自宅でも気軽に参加できる♪【オンライン説明会】を実施しているスクールをご紹介
心理カウンセラーの資格に関するよくある疑問
心理カウンセラーになるには資格が必要?
特別な資格を保有していなくても「心理カウンセラー」と名乗ることは可能ですが、効果的な支援をおこなうには、心理療法やカウンセリング知識、技術が不可欠です。
心理カウンセラーとしての能力を証明するためには、資格の取得をおすすめします。
参考 心理カウンセラーとは?
心理カウンセラーになるなら国家資格を取得すべき?
心理カウンセラーになるには、必ずしも国家資格が必要なわけではなく、民間資格のみを持つ心理カウンセラーも多く活躍しています。
スクールカウンセラーとして働くなら、民間資格の「臨床心理士」を取得すれば、仕事に就くことが可能です。
もちろん心理カウンセラーの国家資格「公認心理師」を取得することで、より活躍の幅を広げられることが期待できます。
自分の働きたい分野に必要な資格を取得するとよいでしょう。
ユーキャンで取れる心理カウンセラー資格は?
ユーキャンでは、「心理カウンセラー ベーシック」資格が取得できます。
心理カウンセラーを目指すための第1歩となる心理カウンセリングの基礎知識や主要な理論、心理学の基礎知識について身につけたことを証明できる資格です。
家族や友人など身近な方との人間関係や、悩み事に対して、活かすことができる内容を学べるため、心理カウンセリングに興味があり、生活に知識を役立てたい方におすすめです。
心理カウンセラーの資格おすすめは?
心理学の基本を学ぶ「メンタルケアカウンセラー®」や、カウンセリングの基礎理論を学ぶ「メンタル心理カウンセラー」がおすすめです。
心理カウンセラーの資格の種類は?
心理カウンセラーの資格は、国家資格や民間資格を含めると30種類以上あるといわれています。
そのなかでも代表的なのは「メンタル心理カウンセラー」「メンタルケア心理士」「臨床心理士」「認定心理士」「公認心理師」などです。
心理カウンセラー資格の選び方
心理・メンタルの資格は種類が多く、迷う方も多くいらっしゃいます。実は「国家資格の公認心理師を取るのが1番良い」とは限りません。
ここでは、学ぶ目的を「仕事に役立てる」「自分や身近な人に役立てる」に分けてご紹介します。
仕事に役立てる場合
代表的なのは病院やクリニックなどの医療機関にある相談室、学校や児童相談所、自治体の相談室や保健所などが挙げられます。 他にも、企業の中で活躍し、従業員のメンタルヘルスをトータルでケアしたり、カウンセラーとして独立したりと、 活躍の場のバラエティに加え、対象とする人も様々なのがカウンセラーという仕事。
まず、医療機関や公立学校のスクールカウンセラーとして活躍することを念頭に置いた場合、これらの募集要項には、臨床心理士の資格を求められる場合が多いようです。
臨床心理士の資格を取得するには、日本臨床心理士資格認定協会が指定する「大学院」で臨床心理に関する知識と技術を学び、必要単位を取得しなければなりません。 そのうえで臨床心理士資格試験に合格し、登録手続きを経てはじめて臨床心理士として認定をされます。
カウンセラーとして応用範囲の広い臨床心理士を取得していれば活躍の場は広がるでしょう。しかしその分、大学や大学院、受験期間などを含めると、資格取得までにかなりの時間を要します。
企業内で従業員のメンタルヘルスケアを行うカウンセラーを目指す場合、産業カウンセラーの資格があります。学校などをフィールドとした心理教育的援助のプロフェッショナル資格もあるので、スクールカウンセラーを目指す場合は、学校心理士の取得を視野に入れるとよいでしょう。
心理・メンタルを専門にカウンセラーとして活躍する以外に、その他の職業で心理的スキルを応用することも可能です。特に、医療・看護の分野で既に勤務する方や介護施設で働く職員など、多種多様な人と関わりがあるような方に、コミュニケーションを円滑にするなどの目的で、近年注目が集まっているようです。
こういった場合、心理の基本的な知識なども十分に活かせるでしょう。メンタル心理カウンセラー、メンタルケアカウンセラーなど多くの資格があるので、目的に合わせて学ぶのも良いでしょう。
関連記事:
心理カウンセラーになるには?
自分自身や身近な人に役立てる場合
仕事に結びつけて学びたい人のほかに、自分自身のメンタルヘルスのため、もしくは家族や友人など身近な人のケアのために学びたいという方も、少なくないようです。
心理学への第一歩として認定心理士の資格、心理学の知識や、話し方、話の聴き方のテクニックを認定するメンタル心理アドバイザー、心理学・カウンセリングの基礎知識のメンタル心理カウンセラー、コーチングなどにも役立つNLPトレーナーなど、心理資格はそれぞれ特徴も異なります。どういったことに役立てたいのか、目的に合わせて知識を習得していくのも一つの手でしょう。
似ている名称でたくさんの資格があるので、気になる資格は一つずつ調べたり、資料を取り寄せるなどして、目的に合わせたものを選択するとよいでしょう。
もっと詳しく:
メンタルヘルスケアに関する資格について
試験データ
項目 | 内容 |
---|---|
資格・試験名 | メンタル心理カウンセラー |
試験日 |
【メンタル心理カウンセラー】 |
試験区分 | 民間資格 |
主催団体 | 一般財団法人 日本能力開発推進協会 |
受験資格 | 協会指定の認定教育機関等が行う教育訓練において、その全カリキュラムを修了した者 |
合格率 | - |
出題内容・形式 | 在宅試験にて受験。 心理学に関する基礎知識、カウンセリングに関する基礎知識、カウンセリング能力に関する職業能力を審査の対象とします。 |
検定料 | 5,600円(税込) |
問い合わせ先 |
一般財団法人 日本能力開発推進協会 http://www.jadp-society.or.jp/jadp/index.php 〒104-0061 東京都中央区銀座7丁目12番6号 田丸屋ビル4階 |