中小企業診断士には簿記の知識はどの程度あるとよいのか?
一次試験の場合:日商簿記2級程度の知識があると有利!
中小企業診断士の試験科目には簿記に関係するものが存在します。
一次試験では「財務・会計」科目で簿記知識が求められるでしょう。
平成31年度に実施された一次試験の受験案内では「財務・会計」の設置目的について下記のような記載がなされていました。
目的を簡単にまとめると『財務・会計に関する知識は企業経営の基本であり、企業の状況把握や問題点の抜き出し作業において、財務諸表などによる分析は欠かせないものである。
また、中小企業が資金調達する機会が今後増えていく事が予想されるほか、成長戦略として他社の買収が活発になる見込みが高いため、投資評価や企業価値の算定などに関する知識も必要となるだろう』ということです。
具体的な出題内容では「簿記原理、会計帳簿、決算処理一巡(試算表・精算表の作成、決算仕訳、貸借対照表・損益計算書の作成)」といった内容でした。
以上の内容を簿記検定と照らし合わせると、一次試験で必要とされる簿記レベルは2級程度だと考えられます。
中小企業診断士試験では財務諸表の読み取りは必須ですが、複式簿記の記帳方法までは求められません。
試算表や精算表、決算整理仕訳などの穴埋め問題が出題されますので、基本的な知識を備え付けておけば問題ないでしょう。
簿記2級のレベルについて、日商簿記公式HPでは次のように記載されています。
『企業の財務担当に必須知識であり、経営管理に役立つものとして、最も企業に求められる資格の一つ。財務諸表の数字から経営内容を把握できる程度であり、商業高校において修得を期待される』。
簿記1級になると公認会計士や税理士の受験資格が得られることもあって、高度な専門知識が必要とされます。
一次試験程度であれば簿記2級で問題ありません。
二次試験の場合:日商簿記1級程度の知識があるとさらに有利!
二次試験では簿記に関する計算問題や穴埋めはありません。
「事例Ⅳ」として、財務・会計を中心とした経営課題解決に関係した問題が出題されます。
事例として与えられる企業の財務状況から受験者が財務分析を行い、問題箇所の抜き出しや改善策をまとめた上で予想財務諸表を作成するといった内容です。
二次試験では簿記に関する知識だけが問われるのではなく、情報を活用した上で記述する応用力が必要になります。
財務分析における各指標の計算方法が分かっているとスムーズに回答できますので、簿記1級の原価計算などを踏まえておくと有利かもしれません。
ただし、実際の試験には簿記1級レベルの問題はほとんど出題されないという意見もあります。また、簿記1級を合格していたとしても、中小企業診断士試験では科目免除などの優遇措置はありません。
まとめ
当ページでは、中小企業診断士にあると試験時に有利になる簿記についてご紹介をいたしました。
一次試験では「財務・会計」の科目で日商簿記2級程度の知識があれば有利になること、二次試験では科目の「事例IV」で財務・会計が中心となる、課題解決に関する応用力を問うような問題が出題されることから、簿記1級程度の知識があると有利になるということなどがわかりました。
既に日商簿記の1級、2級の資格をお持ちの方で中小企業診断士の資格取得ご検討されている方には、資格取得の際の参考にしていただけましたら幸いです。
簿記の資格をお持ちでないという方は、中小企業診断士と簿記の2つの資格を取得されることをオススメいたします。