中小企業診断士の関連資格にはどのようなものがあるの?
■[経済学・経済政策]と関連あり:経済学検定(ERE)
まず、1つ目にご紹介するのが「経済学検定(ERE)」です。
経済学検定(ERE)試験は、対象者を主に大学の経済学部・社会科学系学部の学生や、社会で活躍するビジネスパーソンとし、経済学の数理的・理論的な基礎知識の習得レベル、そして実体経済での初歩的な応用能力レベルを全国規模で判定する試験です。
試験の出題分野は、「ミクロ経済学」「マクロ経済学」「金融論」「財政学」「国際経済」「統計学」の経済学6分野を網羅した総合試験です。
この検定試験には、「ミクロ経済学」と「マクロ経済学」の2つだけが出題される、経済学ビギナーを対象とした「EREミクロ・マクロ」という試験があるのですが、この出題範囲が中小企業診断士の「経済学・経済政策」の科目に重なります。
そのため、「EREミクロ・マクロ」の試験だけでも受験しておくと、中小企業診断士の試験を受ける際に他の受験生に比べて有利になるでしょう。
経済学検定では、試験結果の偏差値によって7段階の評価をされます。
中小企業診断士の試験を受けるための前段階では、上から3番目のA判定を目指すと良いでしょう。
■[財務・会計]と関連あり:日商簿記検定(2・3級)
次に、日商簿記検定(2・3級)です。
簿記は、経営状態の把握、コストの意識などをするために必要な知識を学ぶものです。
会計知識を身につけることで財務諸表を読めるようになり、経営管理・分析を行えるようになります。
さらに、経営分析を細かく記録したり、計算や整理したりする力もつくことで、経営や財政の状況を明確に示すスキルを得ることができます。
この簿記は、中小企業診断士の「財政・会計」と範囲が重なります。
スキルアップにももちろん活かせますが、中小企業診断士試験の前段階として簿記を学ぶ場合は、日商簿記検定の2級までを視野に入れると良いでしょう。
なぜなら、中小企業診断士の「財務・会計」は、簿記3級よりは難しいものの、簿記2級よりは易しいと言われているレベルだからです。
そのため、簿記を学ぶことで中小企業診断士の科目学習はだいぶ楽になるでしょう。
また、中小企業診断士の2次試験における「事例Ⅳ」とも、日商簿記2・3級の範囲は重なるので、そこでも関連資格と言えます。
▼「簿記」の資格の詳細などについては、下記リンクよりご確認いただけます。
■[企業経営論]と関連あり:経営学検定
次に、「経営学検定(マネジメント検定)」です。
経営学検定は、「特定非営利活動法人 経営能力開発センター」が試験内容の検討から問題作成、合否判定などを行っており、「一般社団法人 日本経営協会検定事務局」が試験の実施・運営を行っています。
経営に関する基礎知識と、それを応用した経営管理能力や問題解決能力、マネジメント能力が一定水準に達しているかどうかを全国レベルで判断するための検定試験で、平成15年にスタートしました。
平成27年からは「マネジメント検定」の呼称も使用されています。
中小企業診断士試験では、「企業経営理論」との関連が強い試験となり、主に「組織の運営」について問われます。
経営学検定試験は初級・中級・上級の3つのレベルが設定されています。
中小企業診断士試験の前段階として経営学検定を学ぶ、またはダブルライセンスとしてスキルアップを狙うのなら、中級以上を目指しましょう。
中小企業診断士の試験における「企業経営理論」では、経営学検定の初級・中級と同程度の内容が出題されるため、関連資格と言われているのです。
■[運営管理]と関連あり:リテールマーケティング(販売士)検定
次にご紹介するのが「リテールマーケティング(販売士)検定」です。
リテールマーケティング(販売士)は、「日本商工会議所」が認定している民間資格です。
多様化・高度化する顧客のニーズを的確に捉え、豊富な商品知識や顧客に配慮した接客技術を強みとして、ニーズにあった商品の提供や開発、仕入、販売、物流など、流通業界で必要とされる技術や知識を学びます。
それらを効率的かつ効果的に行うことができる「販売のプロ」を認定する資格です。
この検定は、1級~3級の3つのレベルが設定されており、中小企業診断士の試験における「運営管理」と関連度が高くなっています。
また、出題範囲はほぼ同じです。
このリテールマーケティングを学ぶことで、マーケティングをはじめ、経営企画の立案や財務予測なども身につき、企業経営に関する高度な知識が取得できます。
中小企業診断士と親和性が高く、試験内容も似通っているため、関連資格と言われ、ダブルライセンスの候補として挙げられます。
▼「販売士」の資格の詳細などについては、下記リンクよりご確認いただけます。
■[経営法務]と関連あり:ビジネス実務法務検定(2・3級)
次にご紹介するのは、「ビジネス実務法務検定(2・3級)です。
この検定は、「東京商工会議所」が認定している民間資格で、「法務部門に限らず営業・販売・総務・人事など、あらゆる職種で必要とされる法律知識が習得できる資格」とされています。
また、自分の身を守るための資格とも言われています。
たとえば、取引先との契約締結の際、契約内容に不備や不利益がないかをその場で発見・判断することができれば、トラブルを未然に防ぐことができます。
正しい法律の知識を身につけることで、業務上のリスクや会社へのダメージを回避することが可能になり、結果として自分の身を守ることにもつながります。
中小企業診断士における「経営法務」と科目範囲が重なるため関連資格と言えます。
経営法務は、1次試験全7科目の中でも合格率が低いとされる難しい科目です。
ビジネス実務法務検定を学んでいれば、中小企業診断士の試験勉強にも役に立つため、前段階として取得することを検討してみてはいかがでしょうか。
その場合は、ビジネス実務法務検定では2級まで取得しておくと良いでしょう。
▼「ビジネス実務法務検定」の資格の詳細については、下記リンクよりご確認いただけます。
【ビジネス実務法務検定】の資格の詳細や試験データはこちらから
■[経営情報システム]と関連あり:ITパスポート
次にご紹介するのは、中小企業診断士の科目「経営情報システム」と関連がある、「ITパスポート」です。
ITパスポートとは、IT系の国家資格では代表格ともいえる資格で、ITに関する基本的な知識を身につけられる情報処理技術者試験の入門編の1つです。
AIやビッグデータ、IoTなど新しい技術の知識や、アジャイルといった新しい手法、経営戦略、財務や法務など経営全般の知識、さらにセキュリティ、ネットワークなどの知識や、プロジェクトマネジメントの知識に至るまで幅広い分野を学びます。
ITを利用する全ての人を対象として、情報技術に関する共通的な知識を習得し、情報機器やシステムを活用することで、安全かつ的確に業務を行っていくための資格とされています。
前述のとおり、中小企業診断士の「経営情報システム」と学習内容が重なります。
中小企業診断士試験の受験予定があり、ITやシステムなどに関わることがなかったという方は、ITパスポートを学んでみるのも良いかもしれません。
▼「ITパスポート」の資格の詳細については、下記リンクよりご確認いただけます。
まとめ
当ページでは、中小企業診断士と関連のある資格についてご紹介をしてきました。
中小企業診断士の資格取得を目指されている方は、試験科目と関連のある資格も取得できると、中小企業診断士の受験の際に有利になるでしょう。
また、既に試験科目と関連のある資格としてご紹介した資格を既にお持ちの方は、お持ちの資格や資格取得の際に学んだ知識が活かせますので、中小企業診断士の資格取得もご検討されてみてはいかがでしょうか。