医療事務の資格は独学でも取れる！おすすめの勉強方法・手順まとめ

この記事を監修したのは

内芝 修子 氏

医療事務の資格取得は独学でも可能！

診療報酬請求業務やカルテのデータ入力など、専門性の高い仕事がメインの医療事務は、多くの方が「独学の合格は難しいのでは？」と考えているでしょう。

しかし、医療事務の資格の大半は合格率50～80％と、合格難易度が低い傾向にある試験です。

資料やテキストの持ち込みが許可されている試験も多く、自分に合ったテキストを選べば、独学でも合格は十分可能です。事実、まったくの未経験の方でも努力して独学で勉強して、医療事務の仕事に就いている方はいます。

ただし、次のような要望がある人は、講座の利用がおすすめです。

独学にも講座にもメリット・デメリットがあります。お金をかけたくないからと、容易な判断で独学を選択すると、思い通りにならず後悔につながってしまいます。

「医療事務のおすすめの勉強方法とメリット・デメリット」で詳しく解説しているため、そちらを理解したうえで自分に合った勉強方法を選択しましょう。

独学は何から始めればいい？医療事務の勉強手順

医療事務の資格を独学で取ろうと決めても、何から始めたら良いか迷う人もいるでしょう。具体的な手順として、次の3つがあります。

取りたい医療事務の資格を決める

医療事務の資格は20種類以上ありますが、大別すると3つの分野に分かれます。

医療事務といえば一般的には「医科」です。特に診療科にこだわりがないなら、「医科」の資格を選ぶと良いでしょう。

もし働きたい場所がデンタルクリニックなら、「歯科」、調剤薬局なら「調剤」と目的によって資格の選び方が変わります。

また、「医科」の医療事務資格の試験でも、基本的なスキルを証明する難易度の低いものから、実務経験者でも合格が難しいレベルのものまでさまざまです。

自分がやりたいことや、将来的なビジョンなどを決めてから資格を決めましょう。もし、とりたい資格が明確ではない場合は、メディカルクラーク®の資格がオススメです。

医療機関からの信頼も厚く、比較的取得しやすい資格のため、医療事務を目指す多くの方から人気があります。

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合格までのスケジュールを立てる

独学は自分のペースや都合に合わせて勉強できますが、その分ダラダラしてしまうこともあるでしょう。

取得を目指す医療事務の資格を決めたら、明確なスケジュールを立てて、少しでも合格に近づけるようにするのが成功の秘訣です。

受験日から逆算して1日の学習時間を決め、4つの期間に区分するのがおすすめです。

以下のように医療事務資格の通信講座を利用した場合、ある程度の受講期間が設けられています。

しかし、独学は自分自身で学んでいくため、勉強が予定どおりに進むとは限りません。講座よりも1～2ヶ月ほど余裕を持ったスケジュールを立てるようにしましょう。

資格試験の合格に必要な知識・スキルを習得する

医療事務の業務は窓口対応・カルテ整理・会計・診療報酬請求（レセプト作成）など多岐にわたります。

また、医療事務資格の中には、パソコンスキルを問う内容もあります。試験に合格するにはさまざまな知識やスキルの習得が必須です。

特に、医療事務で重要なのがレセプト業務です。レセプトは診療報酬とも呼ばれ、医療施設の収入の大部分を担います。医療事務資格の試験では実技で出題される、難易度の高い部分です。

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レセプト業務に関連する知識

独学で医療事務資格の取得を目指した時、もっとも難しいのがレセプト業務に関する知識を理解することでしょう。

日本の保険診療では患者負担は1～3割で、残りの7～9割を健康保険組合、共済組合、市区町村が負担しています。患者負担分は都度請求できますが、残り7割分を都度請求することはできません。

そこで、月に一度、まとめて請求する作業を行います。これがレセプト業務です。

試験ではレセプトの作成や点検における間違い探しをします。診療報酬点数表やカルテの読み方などの専門知識が求められます。

事務処理能力とパソコンスキル

医療事務の資格には「医療事務OA実務能力認定試験」や「医事コンピュータ能力技能検定試験」など、パソコンスキルを証明するものもあります。

医療現場ではIT化が進んでおり、医療事務の仕事でもカルテやレセプトの作成はパソコンで行います。医療事務を目指すなら、タイピングやワード・エクセルなどのパソコンスキルは欠かせません。

また、医療事務は事務処理能力も求められます。書類の整理やデータ入力では、早さと正確さが必要です。

医療事務資格の学科や実技をしっかり理解していれば、現場での事務処理能力も高くなるでしょう。

窓口対応に関するスキル

医療事務は窓口業務やクラーク業務で、患者やスタッフと接する機会の多い仕事です。

医療事務の資格でも、マナーや接遇スキルを問う試験があります。たとえば「患者に質問された時にどう対応するのか」を説明する問題などです。

相手の気持ちに寄り添い、基本的なマナーを守ることが求められます。また、患者の質問に正確に答えるためには保険制度や診療報酬制度など、専門的な知識が必要な場合もあります。

医療事務の勉強方法とメリット・デメリット

医療事務資格の勉強方法として、次の3つがあります。

それぞれメリット・デメリットがあり、人によって合う勉強方法は異なります。

市販のテキストを購入して独学で学ぶ

独学は自分でテキストを購入し勉強する方法です。独学には、次のようなメリットがあります。

一方で、デメリットもあります。

独学のメリット

独学の一番のメリットは、費用が抑えられる点です。短期間で合格できれば、テキスト代と受験料しかかかりません。資格取得にお金をかけたくない、かけられない人におすすめの勉強方法と言えるでしょう。

また、手軽に資格勉強を始められるのも、独学のメリットです。気になった資格があれば市販のテキストを購入し、勉強を始めるだけです。スクールや通信講座と違って、資格を取得する期限も勉強する期間も自分で設定できます。

勉強を始めてから「医療事務は自分には合わないな」と思ったら、気軽に辞められるのも独学ならではの気軽さです。

仕事や育児などで決まった勉強時間の確保が難しい人も、独学が向いています。独学なら自分のライフスタイルに合わせて、日常生活に負担をかけずに勉強できるでしょう。

独学のデメリット

独学は、自分でスケジュールを立てて勉強を進めます。しかし、一人でコツコツ勉強するのが合わない人は、モチベーションの維持が難しく、勉強が進まない可能性が高いでしょう。

また、独学は不明点や疑問点があっても、自分で解消しなければなりません。知識のある人に聞けばすぐ解決することも、一人で調べると時間がかかる場合があります。

市販のテキストは数多くありますが、自分に合ったものや、資格の試験対策に最適なものを選べなければ、なかなか合格できません。

社会人は仕事が忙しくて勉強時間が確保できず、資格取得を目指したのに気づいたら数年経っていた、ということも多々あります。

自己管理が得意な人でないと、独学の合格は厳しいと言えるでしょう。

専門のスクールや通学講座を受講する

医療事務の資格取得を目的にしたスクールや通学講座のメリットは次の5つです。

デメリットとして大きいのは、次の3つでしょう。

スクールや通学講座のメリット

スクールや通学講座には、資格の取得を目的に作られた効率的なカリキュラムがあり、スケジュール管理もしてくれます。

過去の出題傾向や最新の情報を反映したテキストもあるので、短期間で合格したい人におすすめの勉強方法です。

プロの講師にすぐ質問できる環境も大きなメリットです。

不明点や疑問が生じた時、すぐに解決できるのでストレスがありません。独学よりも理解が深くなり、効率の良い勉強になるでしょう。

また、スクールや通学講座は、同じ目的を持った仲間が教室に集まって授業を受けます。一人で勉強するよりモチベーションを維持しやすくなるでしょう。

講座によっては、資格試験に合格後、就職支援のサービスを提供しているところもあります。講座ごとにサービスが違うので、よく調べてから受講しましょう。

スクールや通学講座のデメリット

スクールや通学講座の一番のデメリットは費用です。

専門のスクールは医療事務の知識を深く学べるうえに、関連する資格も高確率で取得できますが、100万円以上かかります。

通学講座の費用は約10万が目安で、どちらも独学に比べると大きな負担です。

また、専門のスクールは講義に通う時間が必要です。卒業まで1～2年はかかるので、社会人や時間に余裕のない人は、よほどの覚悟がないと受講は厳しいでしょう。

通学講座も受講時間は決まっています。忙しい人だと日中の受講は難しいでしょう。ただし、通学講座には夜間や短期間のコースもあるので、都合に合わせて探すこともできます。

スクールや通学講座は、地域によっては教室がないのもデメリットです。

通信講座を利用する

医療事務の資格取得の勉強方法で主流なのが、通信講座です。通信講座のメリットは次の4つです。

デメリットとして、次の3つがあります。

通信講座のメリット

通信講座の費用は2～5万円が目安で、スクールや通学講座に比べると費用が抑えられます。カリキュラムやスケジュール管理は通学講座と遜色がなく、効率的な勉強が可能です。

通信講座はWebやDVDを視聴する受講スタイルなので、自分のライフスタイルに合わせて勉強ができるのもメリットです。

また、添削課題があり、解説やアドバイス付きで返却してくれるので自分の弱点を把握できます。メールやオンラインで講師に質問できる通信講座も多く、独学よりテキストの内容を深く理解できるでしょう。

通信講座の中には、就職先の紹介や相談に乗ってくれる就職支援もあります。

通信講座は、自己管理が苦手で独学は不安だが、スクールや通学講座を受講できるほどお金がない、という人に最適の勉強方法と言えるでしょう。

通信講座のデメリット

メリットの多い通信講座ですが、最大のデメリットは強制力がなく勉強を続けられない人が多い、という点です。

通信講座は独学ほど自己管理が必要ではありません。テキストもカリキュラムも講座が用意してくれます。スケジュールどおりに受講していれば高確率で試験に合格できるでしょう。

しかし、自宅で勉強できる気楽さから受講を後回しにしてしまい、受講期間が過ぎてしまうというパターンがあります。

一人で勉強するという点で、独学と同様モチベーションを維持しづらいというのもデメリットです。

また、Webの通信講座は、タブレット端末やパソコンなどの通信機器が必要です。場合によっては「通信機器を購入して余計に費用が掛かった」という人もいるでしょう。

通信講座で資格試験に合格するには「絶対に医療事務の資格が欲しい」という強い意志が必要です。

独学で医療事務の資格取得を目指す場合の難易度は？

医療事務の資格を独学で目指す場合、資格の種類によって難易度は異なります。合格率の高い資格は試験対策がしやすく、難易度の低い試験と言えるでしょう。

代表的な医療事務の資格を3つ比較すると、差は明確です。

また、受験の開催される日数が多いほどチャレンジしやすく、合格する可能性が高くなります。自分のレベルや目的に合わせて資格を選ぶと良いでしょう。

ただし、単純に試験が簡単だから合格率が高い（難易度が低い）というわけでもありません。

「医療事務検定試験」は合格率90％ですが、主催団体が認定する講座を受講することが受験資格です。講座で試験対策を行っている分、合格率が高い可能性もあります。

関連記事 医療事務の資格試験の合格率は？自分にあった医療事務の資格を取ろう！

医療事務試験の短期合格を目指すなら講座・スクールの利用を検討しよう

医療事務の資格を短期間で取得したい方は、次のような講座・スクールの利用がおすすめです。

資格の種類に合わせたカリキュラムやテキストを用意しており、効率的に学ぶことができます。

ヒューマンアカデミー / 通信講座

ココがポイント！目指す医療事務資格に合わせて最適のコースを選べる！

スクールホームページ：
＞＞ヒューマンアカデミー / 通信講座

医療事務協会／通信（通信）

ココがポイント！実際のお仕事のフローに沿って学習できる医療事務通信講座！

スクールホームページ：
＞＞医療事務協会／通信

TERADA医療福祉カレッジ（通信）

ココがポイント！医師事務として医師の事務作業を補助し、医療の質を向上

スクールホームページ：
＞＞TERADA医療福祉カレッジ／通信

医療事務協会（通学／全国）

ココがポイント！実際のお仕事のフローに沿って学習できる医療事務通学講座！

スクールホームページ：
＞＞医療事務協会

医療事務の独学勉強でよくある質問

医療事務の資格取得を独学で目指す際によくある質問について、Q&A形式でまとめました。

医療事務で一番難しい資格試験はどれ？

数ある医療事務資格の中で最難関とされるのは、合格率約30％の診療報酬請求事務能力認定試験です。

診療報酬請求業務（レセプト作成）のスキルを問う試験で、医療に関する法規や保険制度など幅広い範囲から出題されます。2023年の合格ラインは学科が70点以上、実技が85点以上と高く設定されています。また、試験の実施は年2回しかありません。

難易度は高めですが、資格手当の対象になったり、就職・転職活動で有利になったりと、持っているとさまざまなメリットのある資格です。

関連記事 診療報酬請求事務能力認定試験の内容は？合格率や難易度について

独学でおすすめのテキストは何がある？

独学で医療事務資格の取得を目指す場合、書店やネットでテキストを購入します。

ただし、資格の試験対策となるテキストは「診療報酬事務技能認定試験」以外、ほとんどありません。基本的には、医療事務に必要な知識やレセプト業務について解説しているテキストや問題集が販売されています。

もし、取得する資格が決まっているなら、通学講座や通信講座のテキストが試験対策に最適です。資格に合わせてテキストを作っているので、合格の可能性が高くなります。

講座によっては受講の申し込みをしなくてもテキストや問題集を購入できるところもあるので、調べてみましょう。

合格を目指すには1日何時間勉強すればいいの？

独学で医療事務資格の取得を目指した場合、1日の勉強時間は資格の種類ごとに変わります。

初心者だと、合格率80％以上の難易度の低い資格で200時間かかると言われています。1日1時間、土日も休まず勉強したとしたら、6～7ヶ月はかかるでしょう。

一方で、合格率30％の「診療報酬請求事務能力認定試験」の勉強時間は、350～600時間が目安です。1日1時間の勉強を想定すると、1年～2年弱はかかります。

合格に必要な期間は下記の記事でも解説しています。参考にしてください。

関連記事 医療事務の資格試験の合格率は？自分にあった医療事務の資格を取ろう！

そもそも医療事務の資格取得に意味はあるの？

「医療事務の資格は取得しても意味がない」と言われることがあります。

医療事務の資格を取得しても、就職・転職活動で苦労した人や、実際の業務で役に立たなかったという人がいます。

しかし、医療事務の資格を持っていると、やる気や努力を採用担当者にアピールできます。無資格・未経験の人よりも書類選考や面接で有利になる可能性が高いでしょう。

また、医療事務の知識は基本的に共通です。まったく知識がない状態より専門知識や用語を知っている方が優位に立てます。

医療事務で働きたいという思いが強いなら、資格は必ず意味があるものになるでしょう。

関連記事 医療事務の資格は意味がない・いらないと言われる理由は？取得のメリット・デメリットまとめ

まとめ

本記事では独学で医療事務の資格を取得したい人に向けて、独学の手順やそれぞれの勉強方法のメリット・デメリットを比較し解説しました。

医療事務の資格は独学でも取得は可能です。

しかし、市販のテキストや問題集は、資格に合わせて作られたものがほとんどありません。試験対策となるテキストを求めるなら、資格取得を目的に作られた通学講座や通信講座のテキストを購入するのが最適です。

また、短期間で資格を取得したい人は、通学講座や通信講座を受講すると良いでしょう。

独学はすべて一人で準備し、勉強しなければなりませんが、通学講座や通信講座ではスケジュール管理もカリキュラムも用意してくれます。

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