整体師はどんな仕事?
1日の仕事の流れ
整体師は、手や指を使ってお客さまの身体を刺激して、疲れをいやしたり健康をサポートしたりする仕事です。
接骨院で働く人のある日のイメージを見てみましょう。
時間 | 仕事内容 |
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午前9:30 | 出社:接骨院のそうじをします。床やベッドを清潔にして、施術に使うタオルなどを準備します。 |
午前9:50 | 朝礼:今日の予約内容の確認や、スタッフ同士の引継ぎをします。 |
午前10:00 | 午前の営業開始:予約のお客さまの施術をします。お客さまから身体の痛いところや不調に感じているところをしっかり聞いて、手技でもみほぐします。 |
午後1:00 | 昼休み:スタッフと一緒にお昼ご飯を食べます。午後1:00から午後3:00まで休診時間のため、それぞれ自由に休み時間を過ごします。 |
午後3:00 | 午後の営業開始:予約のお客さまの施術をします。予約なしで当日いらっしゃるお客さまもいるため、対応します。予約の合間に、提出書類を作ったり、パソコンに記録を打ち込んだりと事務作業をします。 |
午後8:00 | 午後の営業終了:ミーティングをして、スタッフ同士で1日の振り返りや情報共有をします。 |
午後8:30 | 退社:手際よく片づけやそうじを終わらせ、帰宅します。 |
どんな整体師がいるの?
「整体師」に似ている仕事として、「柔道整復師」や「指圧師」などの名前を聞いたことはありませんか。「肩をもんだり腰を押したりして疲れをいやす仕事じゃないのかな?何が違うのだろう。」と不思議に思う人もいるでしょう。
実は、それぞれ施術する内容が違います。どのような種類があるか見てみましょう。
柔道整復師
柔道整復師は、日本古来の武術から発展した柔道整復術を使う専門家で、ねんざや脱臼、骨折などのケガを治療します。外科手術や薬を使わず、手技で関節のずれを正しい状態にもどすことができます。柔道整復師になるためには、国家資格の「柔道整復師」を取得しないといけません。
あん摩マッサージ指圧師
あん摩マッサージ指圧師は、あん摩やマッサージ、指圧を行う専門家です。
- あん摩…中国から伝わったとされる手技で、押す、もむ、さする、なでる、たたくことで、身体の不調を改善します。
- マッサージ…体重をかけて痛みを感じるほどの強さで刺激する方法です。
- 指圧…手指や手のひらを使って圧を加える方法です。
「マッサージ」という言葉は日常でも使いますが、厳密にいうと、痛みを感じるほど強く刺激する方法のことです。相手を傷つける危険があるため、資格を持っている人だけができる施術です。あん摩マッサージ指圧師になるためには、国家資格の「あん摩マッサージ指圧師」を取得しないといけません。
はり師・きゅう師
はり師とは、髪の毛ほどの細いはりで身体のツボを刺激して治療する専門家のことです。また、きゅう師は、きゅう(もぐさを皮ふの上で燃やして温熱刺激を与える治療法)を使って身体のツボを刺激します。はり師・きゅう師になるためには、国家資格の「はり師・きゅう師」を取得しないといけません。
その他
他にもさまざまな施術内容があります。
- 整体…骨盤や肩甲骨のゆがみを正して身体のバランスを整える施術。
- アロママッサージ…アロマオイルを使った施術。
- リンパマッサージ…身体中にめぐるリンパを刺激する施術。
どんなところで働いているの?
接骨院
接骨院は、柔道整復師が開設している治療施設です。国家資格を持つ柔道整復師がねんざや脱臼、骨折などのケガを治療します。
整体院
整体院は、骨のずれや筋肉のこりをほぐして身体のバランスを整える施設です。肩こりなどの症状を回復させたり、疲れをいやす施術をします。
訪問・出張マッサージ
接骨院などに通えない方のために、自宅や高齢者施設を訪ねて施術をする訪問マッサージや、お客さまの自宅や宿泊先に出向いてリラクセーション目的の施術をする出張マッサージがあります。お店で働くのではなく、お客さまのところへ出向いて施術します。
介護施設
老人ホームなどの介護施設では、入居者や利用者のために施術をするところもあります。高齢者の身体の痛みをやわらげたり機能訓練をしたりします。
スポーツチーム・ジム
スポーツチームやジムでは、アスリートやスポーツをする人の身体をサポートします。トレーニングによる疲れやダメージを回復させたり、パフォーマンス向上を促したりします。
中学生から整体師になるにはどうしたらいい?
実は資格がなくても整体師の仕事はできます。しかし、実際に働くときは、「身体の仕組みを理解しているか?」「正しい施術ができるか?」といった知識とスキルが求められます。
そのため、整体師として働く方の中には、資格をとったり専門学校やスクールに通って勉強したりする人が多いです。特に、「柔道整復師」などの国家資格を持っていると、できることが広がります。
まずはどんな資格があるのかを知って、これからの進路を考えてみましょう。
どんな資格があるの?
代表的な国家資格を紹介します。国家資格とは、専門的な仕事に就くときに必要な資格です。国の法律に基づいて証明される資格のため、社会から信頼の高いという特徴があります。
柔道整復師
柔道整復師として働くために必要な資格です。ねんざや脱臼、骨折などの治療をする柔道整復術を身につけられます。
受験資格・取得方法
高校卒業後、柔道整復師養成施設(専門学校・短大・大学)で3年以上勉強した後、国家試験に合格すると資格を取れます。国家試験は年に1回あり、筆記試験で行われます。
学習内容
人間の身体の仕組みから施術方法まで、次のようなことを学習します。
- 解剖学…人間の身体の構造について
- 生理学…体内の器官や生理機能などについて
- 衛生学…病気の原因や予防について
- リハビリテーション医学…リハビリテーションの基礎知識について
- 柔道整復学…骨折や脱臼などの治療方法について など
あん摩マッサージ指圧師
あん摩マッサージ指圧師として働くために必要な資格です。あん摩、マッサージ、指圧について勉強できます。
受験資格・取得方法
基本的には、高校卒業後、養成施設(専門学校・短大・大学)で3年以上勉強した後、国家試験に合格すると資格を取れます。国家試験は年に1回あり、筆記試験で行われます。
学習内容
医学や病気についての知識から施術のスキルまで、次のようなことを学習します。
- 医療概論…東洋医学や西洋医学などさまざまな医学について
- 衛生学/公衆衛生学…病気の予防や健康維持などについて
- 病理学…病気の原因や症状などについて
- 指圧理論…指圧の特徴や方法、効果などについて など
はり師・きゅう師
はり師・きゅう師として働くために必要な資格です。はりやきゅうを使った治療について勉強できます。
受験資格・取得方法
基本的には、高校卒業後、専門学校や短大、大学などで3年以上勉強した後、国家試験に合格すると資格を取れます。国家試験は年に1回あり、はり師、きゅう師それぞれ筆記試験が行われます。(同時に受験する場合は、一方の共通科目が免除されます。)
学習内容
- 解剖学…人体の構造について
- 臨床医学総論…内科、外科、整形外科的な病気について
- 東洋医学概論…はり・きゅう治療の背景となる伝統や東洋医学について
- はりきゅう理論…はり・きゅうの歴史や治療の効果について など
進路別!資格の取り方
中学校を卒業したら、どんな進路があるの?
中学校を卒業した後は、高校進学をイメージする人も多いと思います。「福祉科」などの専門科目が学べるクラスがある高校がありますが、整体師関連の資格では、基本的には「〇〇学科」に通わないといけない決まりはありません。
ただし、「柔道整復師」「あん摩マッサージ指圧師」「はり師・きゅう師」の資格をとりたい場合は、専門学校などで勉強する必要があるため、高校卒業後の進路は取りたい資格によって異なります。
専門学校
専門学校は、特定の職業に必要な力を身につけられる学校です。職業について実践的な学習ができるという特徴があります。「その職業のプロフェッショナルになりたい」「働く際に即戦力として活躍したい」と考える人におすすめです。
専門学校というと2年制の学校のイメージですが、「柔道整復師」「あん摩マッサージ指圧師」「はり師・きゅう師」の国家資格を取るためには3年以上の勉強が必要です。
また、学校によって、目指せる資格やコース内容が違います。複数の資格を目指せる学校もあるため、自分がどんな資格を勉強したいか考えて、学校選びをしましょう。
大学・短期大学
大学は、幅広く知識を学んだり、専門分野を研究したりする学校です。4年制の大学と2・3年制の短期大学があります。専門分野だけでなく一般教養などさまざまなことを学べるという特徴があります。「幅広く勉強したい」と考える人におすすめです。大学を選ぶときは、自分が学びたい学科(柔道整復学科、鍼灸学科など)がある学校かどうか調べるようにしましょう。
一般のスクール・通信講座
専門学校や大学に通わなくても目指せる資格があります。ここでは、通信講座で勉強できる民間資格を3つ紹介します。
整体ボディケアセラピスト®(日本能力開発推進協会)
身体の仕組みについて学び、施術テクニックを身につけられる資格です。肩や首のこり、腰の痛みなどの改善や、美しい姿勢づくりの施術ができるようになります。
取得方法…通信講座で全てのカリキュラムを勉強した後、試験に合格することで資格が取れます。
スポーツ整体ボディケアセラピスト(日本能力開発推進協会)
スポーツで使う部位ごとのケア方法やアフターケアテクニックなどを身につけられる資格です。スポーツをする人の身体のケアやケガ予防をサポートできるようになります。
取得方法…通信講座で全てのカリキュラムを勉強した後、試験に合格することで資格が取れます。
整体セラピスト(日本メディカル心理セラピー協会)
整体に必要な基本的なスキルを身につけていることを証明する資格です。身体の構造を理解して、正しい整体の方法を学習できます。
取得方法…試験に合格することで資格が取れます。協会が指定する通信講座があるため、初心者でも安心して勉強できます。
どんな資格を取りたいか考えて進路を選ぼう!
「国家資格をとりたい!」人は専門学校などへの進学、「民間資格を勉強してみたい!」人はスクールや通信講座で勉強する方法が挙げられます。
どんな資格をとりたいかによって、これからの進路が変わります。まずはどんな資格を目指したいか考えてみましょう。
整体師に向いている人はどんな人?
整体師に向いている人の特徴をまとめました。整体師として働く自分をイメージしながら、特徴を見てみましょう。
もしも当てはまらないことや苦手なことがあっても心配ありません。毎日の生活の中で意識して、自分の力にしていきましょう。
体力に自信がある人
整体師は体力が必要な仕事です。仕事の間は立ちっぱなしなことが多く、お客さまを施術するときは、腰をかがめたり手や指を使ったりするため体力を消耗します。そのため、体力に自信がある人は整体師に向いているといえます。
体力に自信がない人は、体育の授業や部活動などで身体をたくさん動かして身体づくりをしましょう。また、バランスのよい食事や十分な睡眠は体力づくりにつながります。今日から少しずつ意識してみましょう。
学ぶことが好きな人
学ぶことが好きな人や努力ができる人は整体師に向いているといえます。整体師は、身体の構造を理解したり、お客さまの症状に合った施術方法を身につけたりと、知識とスキルが必要な仕事です。しかし、これらの知識・スキルは一度覚えたから終わりということはありません。
お客さまの症状は一人ひとり異なるため、人によって施術方法を工夫する必要があります。すぐに身につけることは難しいため、日々勉強したり練習したりすることが大切です。
実際に、働いている整体師は、すきま時間や休み時間などにスタッフ同士で施術練習をすることがあります。そのため、学校の授業をしっかり聞く、興味のあることは調べてみるといった学習の習慣は、将来整体師の勉強をするときにも役立ちます。
人と関わることが好きな人
整体師はコミュニケーションをとる機会がたくさんあります。そのため、人と関わることが好きな人は整体師に向いているといえます。
例えば接骨院では、高齢者や社会人など年齢も性別もばらばらな人が訪れます。身体のどこが痛いのか質問したり、これから行う施術内容を説明したり、施術中に雑談したりと、コミュニケーションの機会が多いといっても、「おしゃべりでお客さまを楽しませないといけないのかな」と不安になることはありません。明るくあいさつしたり、お客さまの話をしっかり聞いたりと、思いやりをもって人と関わることが気持ちのいい接客につながります。
クラスメイトや先生、部活動の先輩・後輩、地域の人などと交流する機会を意識してみましょう。
まとめ
「柔道整復師」や「あん摩マッサージ指圧師」などいろいろな資格を紹介しました。たくさんの資格があるため、何を目指したらいいか迷ってしまう人もいるかもしれません。そんなときは、「自分に必要な資格は何?」「どんな施術を勉強したい?」と考えたり、資格や学校についてもっと調べたりしてみましょう。みなさんにぴったりの進路が見つかるよう応援しています。