柔道整復師になる方法は?
柔道整復師になるには、経験や資格、条件は必要?
柔道整復師になるためには、柔道整復師の国家試験を合格・取得しておく必要があります。そして、国家試験を受けるためには条件があります。 それは、文部科学大臣が指定した学校、ないしは都道府県知事の指定した柔道整復師養成施設で、3年以上の修業をして、所定の課程を全て修了することです。養成施設には、大学・短期大学・専門学校があります。大学のみ4年間の通学が必要です。また学校と言っても、全日制と夜間制があり、大学も私立大学と国公立大学に分かれます。養成施設に通学するという必須条件は、高等学校を卒業して、そのまま養成施設に進学する新卒者も、既に仕事をしていながら資格取得を目指す既卒者も同じです。ただし新卒者の割合は、80パーセントから90パーセント台で、既卒者よりも新卒者が有利な状況です。以前の柔道整復師は、柔道の経験者が多かったのですが、最近では少なくなっています。
柔道整復師の将来性は?
柔道整復師は、今後も社会的にニーズのある仕事です。近年は柔道整復師の資格取得者が、増えていっています。これは労働者の供給量が増えていることを意味します。
同時に、柔道整復の施設所数も上昇トレンドにあります。独立開業をする柔道整復師が多くいるためです。
また、病院や診療所での柔道整復師の求人ニーズが低迷していることも原因の1つです。今後は、柔道整復師の競争が激しくなり、柔道整復の施設所数も淘汰されていくことが予想されます。その中で、周りから求められる柔道整復師を目指す必要があります。とりわけ介護や福祉の業界では、求人ニーズが高まってきています。いわゆるディサービスや介護施設では、柔道整復師は機能訓練指導員として勤務することが可能です。また、柔道整復師の資格取得後、5年間の実務経験を経てケアマネージャーの受験資格が得ることができ、介護福祉分野の担い手としても期待されています。業界を特化すれば、柔道整復師は将来的にも可能性が拓ける仕事です。
柔道整復師に求められること
柔道整復師には、何よりもまずコミュニケーション力が必要です。幅広い年齢層や、様々な症状を持った患者を相手にして治療をしなければなりません。日常的な会話力だけではなく、患者の本音をくみ取って、適切なアドバイスをする能力が求められます。コミュニケーション力を鍛えることで、患者との信頼関係が生まれて、リピーターの獲得にもつながります。また、本来は柔道経験者が多い仕事なので、体力はあった方が良いでしょう。全身を使いながら治療に集中しなければなりません。1日仕事でハードな業務となるため体力は必要です。
柔道整復師の仕事内容は?
どんな仕事?
柔道整復師の仕事は、骨折や脱臼に対する応急処置から、筋肉や靭帯が損傷する、いわゆる挫傷、捻挫、打撲などに対する施術を、国家資格である柔道整復師の取得者が行います。このような柔道整復の施術は、日本の法律において、業務独占資格として医師と柔道整復師にのみ許可されています。また準医療行為として定めらており、保険治療が適応されています。柔道整復師の施術方法は、日本の伝統的な武術である柔術(活法や殺法)から発展・応用させた日本非観血的手術(非観血的整復術・徒手整復)古来固有の民間療法、伝統治療です。また、西洋医学のノウハウも施術には取り入れられています。
治療方法においては、外科で行われる手術や、投薬、注射、麻酔、レントゲン撮影は禁止されています。また、脱臼と骨折に対する施術には、医師の同意が必要とされています。施術は手術ではなく、非観血的療法(非観血的整復術、徒手整復)によって行われ、損傷を治療していきます。具体的な方法としては、素手で行う「整復法」と、ギブスやテープなどを用いる「固定法」、電気や光、熱など様々な刺激を加える「後療法」に分類されます。非観血的療法によって、人間が本来持っている自然治癒力を引き出していくことを目的としています。治療の流れは、まずカウンセリング・ヒアリング、カルテの記入、検査を行います。そして、施術に入ります。施術後は、アフターフォローを行いながら回復を目指していきます。
活躍の場
柔道整復師には、医師などと同様に個人で整骨院を開業する権利が与えられます。また整形外科やリハビリテーション科などがある病院に勤務する人や、介護施設で勤務する人、スポーツ選手のトレーニング指導やケガの予防、応急処置などを行うスポーツトレーナーとして活躍する人もいます。以前は、柔道の教授でなければ、資格を得られなかった柔道整復師も、法改正により柔道の心得がなくてもゼロから学び資格取得が可能になり、女性の柔道整復師も急増しています。
あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師との違い
柔道整復師の関連資格として、よく挙げられるのが、あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師です。それぞれの頭文字を取って「あはき師」と一般的には呼ばれています。「あはき師」は、それぞれ柔道整復師と同じく国家資格であり、日本的な伝統療法として知られています。3つの資格を同時に取得する方も多くいます。柔道整復師と「あはき師」の違いは、まず健康保険の適応に関して、柔道整復師は医師の同意がなくても健康保険を適応させて治療(慢性的な肩こり・腰痛は適応外)が可能です。一方で、「あはき師」は医師の同意がなければ、健康保険を適用させて施術を行うことは出来ません。
治療方法ですが、あん摩マッサージ指圧師は、肩こりや腰痛、頭痛といった慢性的な症状に対して、あん摩、マッサージ、指圧など徒手によって解消をしていきます。具体的には、身体のツボ・経絡を、押したり、揉んだり、叩いたりなど直接的な手当て・手技を施します。そして、はり師は、細い針を用いた針治療、きゅう師はもぐさを使った灸治療を行います。世界保健機関(WHO)が有効性を認めた疾患や症状には、肩こりや腰痛など日常的な身体の不調から、事故やアクシデントによるむちうちや捻挫、そして自律神経失調症や糖尿病、更年期障害などの疾患まで多数あります。いずれにしても「あはき師」は、アプローチ方法は異なりますが、どの方法もツボ・経絡を刺激する意味においては同じです。とりわけ「あはき」が、柔道整復師よりも得意とする分野は、慢性的な肩こり・腰痛になります。
開業について
医療従事者として経営者になれる資格
柔道整復師の大きな特徴は、独立開業権があることです。柔道整復師は、医療従事職に該当します。医療従事職には、医師や看護師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、保健師、鍼灸師、あんまマッサージ指圧師などがあります。この中で、独立開業が出来る資格は限られています。したがって、接骨院や整骨院などで従業員としてスペシャリストの道を極めていく方法もありますし、自らが経営者となって、接骨院や整骨院を開業する方法もあります。もし経営者としての道を選択する場合は、キャリアをある程度積んだ上で挑戦することをおススメします。経験やスキル、ノウハウも積んでいない中で、新卒者がいきなり独立開業をして、成功させることは極めて困難です。キャリアを積む場合は、修行する年数など明確なゴールを設定しておくと、段取りもしやすくなります。
独立開業前にしておきたいこと
年々、接骨院・整骨院は増加傾向にあります。ライバルとの競争は激しくなっていますし、今後もさらに生き残りをかけた接骨院・整骨院の運営が展開されていくことが予想されます。したがって、独立開業をする上では、施術のスキル・技術力だけではなく、高い経営力が求められます。とりわけ開業前に大切なのは、マーケティングです。マーケティングとは、顧客が来店する仕組みを作ることです。特に重要と言われているのは、どんな顧客に来て欲しいのかを選定するターゲティングです。どのエリアに在住していて、どんな症状で、どういった悩みや不安を抱えている患者を治療したいのか、具体的に考えていきます。ターゲット層が求めているサービスを提供することが、マーケティングの基本です。さらに、現在はインターネットマーケティングが普及しているので、インターネットを駆使した集客方法も上手に活用していきましょう。
独立開業のメリット
柔道整復師が独立開業をするメリットは、まず収入面です。従業員として働いていた時の給与よりも、何倍もの収入を得られる可能性があります。しかしながら、開業当初は思うような売上に到達しなかったり、月によって売上が変動したりすることもあります。その都度、所得が低くなり、不安定になります。収入に困らず経営に専念するためには、独立開業をする前に、少なくとも6か月以上の運転資金は用意をしておきましょう。一方で、コストを抑える努力をすると利益を生み出しやすくなります。最近、ニーズが高まっている在宅に特化した訪問サービスなどを扱えば、固定費用の削減にもつながります。また、自分が理想とする理念・サービス・経営方針の接骨院・整骨院をオープンすることが出来ます。従業員として働いていた時には味わえない充実感やモチベーションを持ちながら、経営をしていくことが可能です。
今後の開業について
厚生労働省から平成30年4月以降、「施術管理者」になるための要件として、3年間の実務経験と数日の研修実施が検討されていると発表されました。健康保険の使用ができないため、資格取得後すぐに開業するのは難しいと思われます。まだ正式に決定はしていませんが、なんらかの変更が予想されます。今後も厚生労働省などのホームページでチェックをするといいでしょう。
柔道整復師講座・スクール比較