整体師を副業にするには?
整体師は資格がなくても働ける職業です。そのため、副業の際も無資格で仕事をすることは可能です。ただし、施術内容によっては資格がないとできないことがあるため、注意が必要です。
また、整体師はお客さまの骨格を矯正したり筋肉をほぐしたりして、身体の不調をサポートする仕事です。間違った知識やスキルでは、お客さまの身体に悪影響を及ぼしてしまうため、正しい知識とスキルが求められます。そのため、整体師として活躍する方の多くは、資格取得を目指したりスクールで学んだりする方が多いです。
副業で整体師を始める方法 4選
求人情報(アルバイトや業務委託)を探す
整体院やリラクゼーションサロンなどの店舗求人に応募する方法です。雇用形態は、アルバイトやパート、業務委託などさまざまです。シフト制を採用している職場が多いため、本業とのスケジュールを調整しながら働くことが可能です。
「未経験OK」「週〇日/1日〇時間からの勤務OK」「研修制度あり」といった求人情報があるため、自身に合った条件で探してみましょう。その際、研修制度が整っている職場は、初めて整体師の仕事をする方にとって安心して始めやすいというメリットがあります。
尚、副業として働く際は、勤務先とのトラブル防止のために「副業・WワークOK」な職場かどうか事前に確認するようにしましょう。
訪問・出張マッサージを始める
店舗型ではなく、お客さまの自宅や宿泊先に出向いて施術を行う働き方もあります。訪問・出張マッサージの専門店に在籍する、「HOGUGU」などのセラピストとお客さまのマッチングサービスを活用する、個人で開業して訪問・出張サービスを行うといった方法があります。
特に個人で働く場合は、勤務地や勤務時間に縛られずに働けるというメリットがあります。ただし、いきなり開業するとなるとハードルが高いため、まずは専門店などに所属して経験を積むことが大切です。
スクール講師を始める
整体スキルを活用して、スクール講師やインストラクターの仕事を始める方法です。例えば、整体スクールや教室で講師として働いたり、リラクゼーションサロンなどに出張して店舗研修を行ったりと、整体師の育成に携わります。
他にも、オンライン・対面レッスンを開催できる「ストアカ」のようなサービスを使って、独自のレッスンを開く方もいます。整体師として培った経験は、お客さまに施術を行う以外にもノウハウの販売として活用できます。
開業する
整体師としての経験を積んで開業する方法です。賃貸テナントや時間単位で借りられるレンタルサロン・シェアサロンを活用してサロンを開く方もいれば、訪問・出張マッサージを始める方もいます。
個人で働くため、開業準備や運営を自身で行わなければいけませんが、自分の裁量で働けるというメリットがあります。
副業で整体師を始める前に!おすすめの資格は?
知識・スキルを身につける!
無資格でも整体師として働けるとは言うものの、資格を取得することは働く上で強みになります。
例えば就職活動の際、資格があると一定の知識・スキルを身につけた人材だとアピールできます。また、働く際や独立した際も、資格があるとお客さまの信頼を得やすくなります。
安全で正しい施術を行える整体師として活躍するためにも、独学ではなく基礎から知識・スキルを身につけることがおすすめです。
整体ボディケアセラピスト®
日本能力開発推進協会が認定する資格で、専門知識や施術テクニックなどを身につけたセラピストであることを証明します。リラクセーション業界や美容業界、医療・福祉関係の方にもスキルアップとして役立つ資格です。
取得方法
資格取得には、認定教育機関などが行う教育訓練で全てのカリキュラムを修了し、試験に合格することが必要です。試験は在宅で行われるため、テキストを見ながらの受験が可能です。得点率70パーセント以上で合格となるため、比較的難易度は低いです。
学習内容
身体の仕組みに関する知識や施術スキルについて学習します。
- 体の仕組み
- 骨格や関節の構造
- 神経
- 整体技術
- 症状別の対処法
リラクゼーション整体ボディケアセラピスト
日本能力開発推進協会が認定する資格で、心と身体を癒す整体スキルを身につけたセラピストであることを証明します。心をリラックスさせたり身体をほぐしたりする技術を学べます。
取得方法
資格取得には、認定教育機関などが行う教育訓練で全てのカリキュラムを修了し、試験に合格する必要があります。試験は在宅受験のため、テキストを見ながら試験に挑戦できます。丸暗記は不要の上、得点率70パーセント以上で合格のため、比較的難易度は低いといえます。
学習内容
施術スキルだけでなく、癒しの雰囲気作りやコミュニケーションスキルなども学習します。
- 体の仕組み
- 癒しの知識
- リラクゼーション整体技術
整体セラピスト
日本メディカル心理セラピー協会が認定する資格で、整体に必要な基礎知識を証明します。
取得方法
受験資格は特になく、資格試験に合格することで取得できます。試験は在宅で行われ、得点率70パーセント以上で合格のため、比較的難易度は低いといえます。協会指定の認定講座を活用すれば、効率よく学習できます。
学習内容
身体の構造や施術テクニックなど整体の基礎を学習します。
- 血液の成分と役割
- 血管の働き
- 筋肉調整テクニック
- 仙腸関節矯正テクニック
- 腰椎伸展テクニック など
ゆがみ矯正インストラクター資格
日本インストラクター技術協会が認定する資格で、整体テクニックを十分に備えた人材であることを証明します。
取得方法
受験資格は特になく、資格試験に合格することで取得できます。試験は在宅で行われ、得点率70パーセント以上で合格です。そのため比較的難易度は低いといえます。協会指定の認定講座もあるため、効率よく学習したい方は活用しましょう。
学習内容
整体に関する知識だけでなく、開業や経営についても学習できます。
- 体表構造
- 神経系のつくりと働き
- 骨格系のつくりと働き
- 循環器の働き
- 開業するための経営のノウハウ など
国家資格を目指すなら
国家資格を取得すると、施術の幅が広がります。ただし、専門学校や大学などで3年以上学習する必要があるため、取得までに時間がかかり難易度が高いといえます。長く整体の仕事を続けたいと考える方は、国家資格も検討してみてはいかがでしょうか。
あん摩マッサージ指圧師
あん摩マッサージ指圧師として働くために必須となる資格です。あん摩、マッサージ、指圧のスキルを身につけられます。
取得方法…養成施設(専門学校・短大・大学)で3年以上勉強した後、国家試験に合格すると資格を取得できます。
柔道整復師
柔道整復師として働くために必須となる資格です。捻挫や脱臼、骨折などを治療する柔道整復術のスキルを身につけられます。
取得方法…柔道整復師養成施設(専門学校・短大・大学)で3年以上勉強した後、国家試験に合格すると資格を取得できます。
副業整体師に向いている人
人と関わることが好きな人
施術を行う上でお客さまとのコミュニケーションは大切です。施術内容の案内といった基本的な接客だけでなく、お客さまから身体の不調をヒアリングしたり、症状改善のためのアドバイスをしたり、コミュニケーションをとる機会がたくさんあります。
丁寧なヒアリングや説明をすることで、「施術を受けたけれど、効果がない気がする…」「本当はもっと腰を施術してほしかった…」といったお客さまの不満を防ぐことにつながります。
さらに、お客さまの中には、リラックスや癒しを目的に整体を利用する方もいるため、施術中に雑談をする機会もあるでしょう。相手の話を聴くことや気持ちに寄り添った言葉がけは、お客さまの心を癒やす効果が期待できます。
このように、整体師には接客業の一面もあるため、人と関わることが好きな人は、整体師に向いているといえます。
自己管理ができる人
本業と両立するためには、本業と副業の仕事量やスケジュールを調整したり、自身の体調管理に気を配ったりと、自己管理をする必要があります。
特に整体師は、仕事中、立ちっぱなしや中腰の姿勢をとることが多く、体力を消耗する仕事です。長く働くためには、無理をしすぎない、しっかりと休息するといった身体のメンテナンスも大切です。
また、本業の仕事が忙しかったり、疲れが溜まったりする時期もあると思います。しかし、副業を始めると、プライベートの時間が減ってしまう方も多いです。心と身体をリフレッシュする時間を確保して、ワークライフバランスがとれた働き方をしましょう。
体力に自信がある人
整体師の仕事は体力を必要とします。基本的に立ったまま施術を行う上に、お客さまの身体をほぐす際には腰をかがめる体勢をとったり、手や指を使ったりと、体力を消耗します。
さらに、お客さまの利用が多い職場で働くと、施術が終わり次第すぐに次の予約に対応しなければいけないこともあります。そのため体力に自信がある方は整体師に向いているといえます。
主体的に行動できる人
副業を始めるには、自ら仕事を探したりスケジュールを調整したりと、主体的に行動することが求められます。特に開業を考えている方は準備しなければいけないことがたくさんあります。情報収集や事前準備を怠らないようにしましょう。
副業を始める前に考えることの例
- 副業として働く期間・仕事量・目標の収入は?
- どのような形態で働く?(アルバイト/業務委託/独立など)
- 開業するならどのような店にしたい?(店舗型/訪問・出張型)
- 事業計画や運用はどうする?
- 活用できるアプリやサービスはある? など
働き始めた後も、整体スキルを磨いたり、集客方法を工夫したりと、チャレンジし続けることで仕事のチャンスは広がります。
副業整体師の収入は?
「求人ボックス 給料ナビ」によると、整体師の平均時給は、アルバイト・パートが1,108円、派遣社員が1,453円といわれています。
職場や雇用形態によっては、指名手当や歩合制を採用しているところもあり、お客さまから受けた指名数や対応した施術件数に応じて報酬が変わります。自身の努力や工夫次第で収入アップを目指せます。
整体師を副業にする際の注意点
本業の就業規則を確認する
副業を始めるにあたって、まずは本業の職場で副業が認められているか確認しましょう。法律上は、民間企業における副業の禁止・制限はありません。
近年は副業解禁の動きが進んでいることから、副業を認める会社も増えつつあります。しかし、中には副業を禁止している企業もあるため、自分が働く会社で副業が許可されているのか、事前に確認する必要があります。
会社が定めている就業規則は労働契約の内容になるため、副業禁止の規則を破ってしまうと、契約違反になる恐れがあります。勤務先に秘密で副業を始めた場合も、発覚した際にはペナルティが課せられたり信用を失ったりと、トラブルのリスクがあります。
事前に就業規則を確認したり、上司に相談・許可をとったりしてから副業を始めるようにしましょう。
尚、民間企業と異なり、公務員の場合は国家公務員法と地方公務員法で副業が制限されています。
確定申告が必要な場合もある
副業の場合、年間所得が合計20万円を超えると確定申告が必要です。ただし、収入と所得は意味が異なるため注意しましょう。
収入…アルバイトやパートなどで得た給与
所得…収入から必要経費を引いた額
例えば、開業した場合、収入・必要経費・所得は次のようになります。
内容 | 金額(確定申告必要な例) | 金額(確定申告不要な例) | |
---|---|---|---|
収入 | お客さまからの売上金額 | 95万円 | 95万円 |
必要経費 | オイル・タオルなどの備品、店舗の賃料・光熱費など | 70万円 | 80万円 |
所得 | 収入から必要経費を引いた額 | 25万円 | 15万円 |
上記のように、同じ収入でも必要経費の額によって所得は変わります。必要経費を差し引いた所得額が合計20万円を超えるかどうか確認しましょう。
確定申告とは、税務署に所得額を報告する手続きのことです。所得に応じて所得税の額が変わるため、忘れずに確定申告を行いましょう。尚、期限までに行わないと、ペナルティが課されることがあるため注意しましょう。
できる施術内容や広告の出し方
資格がなくても整体師になることはできますが、施術内容によっては、資格が必要なものもあります。
例えば、次のような施術は国家資格の「柔道整復師」や「あん摩マッサージ指圧師」を取得していないとできません。
- 柔道整復術(手技を用いた応急的・医療補助的方法によるケガの治療)は「柔道整復師」の資格が必須。
- あん摩、マッサージ、指圧は「あん摩マッサージ指圧師」の資格が必須。
他にも、柔道整復師が行わない施術に関して、「ほねつぎ」や「接骨」という言葉を使った看板や広告を出せないなど、広告に関する決まりがあります。
尚、現在、厚生労働省は、検討会を設けて広告に関するガイドラインを作成しています。開業する場合は、現行の法令や厚生労働省の今後の動きを確認して、ルールに沿って運営しましょう。
怪しい求人に注意
副業を始める方が増えている一方で、副業に関する詐欺の被害が報告されています。怪しい求人情報に注意して、詐欺に遭わないよう対策しましょう。
注意が必要な求人情報
- 「楽して稼げる」「高額時給」など過度に条件が良い。
- 登録料などの初期費用を請求する。
- 会社や運営元の実態がない。
副業を紹介する手数料という名目でお金をだまし取る詐欺や、副業に必要と偽って情報商品を売りつける詐欺が起きています。もしもトラブルに遭ってしまったときには、国民生活センターや消費生活センター、警察などに相談しましょう。
個人情報の取り扱いに注意
整体師として働く際は、個人情報の取り扱いに注意しましょう。国家資格の「柔道整復師」や「あん摩マッサージ指圧師」には守秘義務が課されています。そのため、業務の中で知った秘密や個人情報を正当な理由なく他に漏らしてはいけません。
国家資格を持っていない場合も、個人情報の扱いには注意が必要です。施術の際に、お客さまの既往歴や持病について知ることもあるでしょう。また、雑談の中で、プライベートな情報を知る機会もあります。
正当な理由がないのに、他に情報を漏らしてしまうとお客さまの不利益につながる恐れがあります。特に、個人で開業する場合は、サロンカルテやお客さまの記録などを自分で保管することになるため、取り扱いに十分注意しましょう。
個人情報の取り扱いは、整体師の仕事を辞めた後も同様に勝手に漏らしてはいけません。情報の漏えいは、自身の信用失墜やトラブルにもつながるため注意しましょう。
まとめ
整体師は資格がなくても始められる職業ですが、知識やスキルが求められる仕事でもあります。そのため、未経験で働きたい方は、資格取得やスクールでの勉強、研修制度が整った職場での就職などがおすすめです。
通信講座での学習は、自分のペースで学習できるため、本業の仕事をしながらでもスキルを身につけられます。自分に合った方法で、整体師の仕事に挑戦してみてください。