そもそも心理学とは?
人間の内面・行動に関わる幅広い内容の学問
心理学の定義は「人がおこなうことであれば、ほぼすべてが研究の対象となる」といわれ、一般的には非常に幅広い内容とされています。
イメージされやすい人間の内面はもちろん、会話、記憶、コミュニケーション、反応、五感など、ありとあらゆる現象が学問に含まれているのが特徴かもしれません。
ここではわかりやすく説明するべく、6つの代表的な心理学の分野を紹介します。
それぞれの内容を通して、心理学がどのようなものか確認していきましょう。
参考 心理学とは?意味や定義、資格の取得方法、身近な活用例を解説
(1)発達心理学
人間の心理の発達に注目した分野になります。
幼児期から青年期にかけての成長、または発達段階における心理状況はどのようなものなのかを追求する内容です。
発達をメインに据えている分野ですので、特に子育て中の方や教育系の仕事に携わる方にとって興味深い内容かもしれません。
赤ちゃんと大人における知覚の差や思春期の子ども特有の心理状況などがテーマとなっており、誰もが経験したことがある内容といえます。
(2)社会心理学
一人ひとりの個人が社会からどのような影響を受けているのかを考える分野です。
ここで想定される社会は、国や世界などの大きな枠組みのものから、家庭や学校、会社や友人グループなどの小規模な集団まで含まれています。
現代でいうと、少子高齢化社会や情報化社会が個人にどのような影響を与えるのかといった内容がテーマになるでしょう。
社会の変化により人々の生活も変わります。
そのなかで、考え方や人間関係にどのような影響を与えるのか、心理学の観点から追求するのが社会心理学となります。
(3)教育心理学
子どもや生徒に対して、教育効果を高める方法を探求する分野になります。
教育方法を学ぶよりも、子どもたちの視点にたって心理状況を理解することがテーマです。
生徒たちはどのような目で指導者を見ているのか、授業中何を考えているのか、そこから理想のコミュニケーションを探します。
この分野も教育関係者や子どもを持つ親に深く関わりがあり、大学の教育学部などでは必修とされることも多いようです。
(4)犯罪心理学
ニュース番組などで事件の解説に大学教授などが呼ばれていることを見たことはありませんか。
犯人の心理状況から事件の足取り、手がかりを推察する人たちです。
犯罪心理学は、犯罪者の内面や動機を研究するのがテーマになります。
この分野から得られた知見は事件の解明はもちろん、犯罪の予防や犯罪者たちの更生に役立てられているようです。
(5)認知心理学
物や音に対して人がどのような認知をしているのかを考える分野です。
例えば、文字などは人により癖や字体が大きく異なりますが、私たちは見分けることが可能です。
人間の心は知識、感情、意志によって構成されているといわれますが、認知心理学は知識がメインテーマになります。
脳の知識は認知のどのような影響を与えているのか、興味ある方はぜひ調べてみてください。
(6)臨床心理学
心理学に関わる代表的な仕事の臨床心理士や心理カウンセラーと深く関係している分野です。
患者の心理的な問題を解決するアプローチ方法を研究するのが目的となっており、非常に幅広い知識が求められます。
上記で紹介した分野はもちろん、患者が抱える内容によっては心理学以外の知識も求められるかもしれません。
医学分野の大脳生理学も臨床心理学の範囲に含まれているほどで、実際に臨床心理士になる場合は膨大な学習が必要になるでしょう。
臨床心理学は患者などのクライアントの治療を目的としている分、他の分野に比べて実践的な学問といえます。
参考 心理学の種類はどのようなものがある?わかりやすく一覧で紹介!
心理学を学ぶメリットは?
心理学を学ぶメリットはさまざまあります。
大きく3つを紹介します。
メリット(1):仕事で役立つ
心理学で得られた知見は職業問わず仕事で活かすことができるでしょう。
例えば、営業の仕事に就いている方などは、お客様との取引で心理学を活用できます。
相手の話を受け止め、共感し、信頼関係を築き上げるというのは、まさに心理学の基本。
相手が求める人物像を把握し、自然な流れで自分の主張を通すコミュニケーション術を身につければ、営業成績を伸ばせるでしょう。
心理学を応用した交渉術
有名なテクニックとしては「ドア・イン・ザ・フェイス」というものが存在します。
心理学を応用した交渉術の1つで、最初に無謀な要求を伝えることで、本来の要求が承諾されやすくなるというものです。
自身の仕事、地位に求められるテクニックを身につけることで、仕事のやり方も大きく変えられるのではないでしょうか。
メリット(2):自身のメンタルケアにつながる
職場、人間関係など、私たちはあらゆる場面でストレスにさらされています。
もちろん、ストレスを受けないよう工夫することも大事ですが、自分のなかで上手に消化する方法もあります。
「仕事でミスをした、友人と喧嘩をした、勉強がはかどらない」など、そのようなときに心理学の知識があれば、心の内面を客観的にとらえてストレスをうまく対処することが可能です。
メリット(3):他人からの印象を改善できる
心理学の内容として、上記で認知心理学を紹介しました。
人はどのようにとらえて認知するのか、これを理解することで自分の見せ方を改善できるでしょう。
漠然と「印象がよい」といわれる人が周りにいないでしょうか。
そういった人たちの行動をたどってみると、表情が明るかったり、常にポジティブだったり、気配りが上手だったりします。
心理学用語の1つに「連合の原理」があり、人間は無意識に別々のものを結び付けて記憶するという内容です。
常にニコニコしている人はポジティブな印象がつく一方で、下ばかり向いて暗い人にはネガティブなイメージをもつといった感じになります。行動が与える影響を理解することで、意図的に自身のイメージを改善できるようになるかもしれません。
相互の理解が深められる
また、他人に対する偏見や思い込みなどから解放されるきっかけにもなるでしょう。
人によって価値観や物のとらえ方は異なりますが、そのせいでお互い本質を理解できない場合もあります。
心理学を学んでいれば、相手の内面を読み解く力が身につくので、より相互の理解が深められることでしょう。
心理学の勉強をするにはどのような方法がある?
本で自主学習するか、心理学が学べる大学・短大に通学するのがオススメ
最近の日本では、心理学に対する注目が高まりつつあります。
職場でのストレス、将来への不安などの悩みを抱えている方、または、人間関係を良好にしたい、心理学を日常生活・仕事で活かしたいと考えている方も多いようです。
学生からお年寄りまで多くの人たちが関心を寄せている心理学が、実際にどのような方法で勉強を進めていけばよいのでしょうか。
学ぶ目的、活用したい場面を明確にする
一般的な資格の勉強であれば、参考書を購入したり講座受講などが挙げられます。
しかし、一言で心理学といってもジャンルは多岐に渡ります。
ただ漠然と勉強を始めると『想像していたのと違う』という事態にもなりかねません。
まず、心理学の学習を始める際には「目的」と「場面」を明確にすることをおすすめします。
どういった分野の心理学を学びたいのか、資格習得を考えているのか、学んだ心理学の知識をどのように活用したいのかなどをはっきりさせると、勉強の道筋も定めやすくなります。
大学・短大などへ通学する
特に、公認心理師などの国家資格には受験資格として「大学、大学院で定められたカリキュラムを修了」が必須となっています。
その点を知らないと、勉強法以前に資格取得の目的を果たすことができません。
勉強した知識を活かす場面においても、実践的な技術が必要ということもあり得ます。
その場合、独学で参考書の内容を暗記するよりも、専門講師が開講している講座で勉強した方がより効果的だと考えられます。
独学で勉強を始められる環境が整っている
仕事が忙しくて時間が取れない方、興味関心が沸いたので軽く入門から始めたい方は、独学から始めてみるのもよいでしょう。
書籍だけでなく、インターネット上でも心理学に関する情報源は数多く存在しており、誰でも気軽に勉強を始められる環境が整っています。
取りたい心理学の資格がある場合の勉強法
大学・短大への進学、もしくは指定講座の受講!
心理学の資格取得を目指す場合、独学での取得は難しいでしょう。
それは、心理学の主要資格である「臨床心理士」「公認心理師」「認定心理士」は資格取得において試験が実施されていて、その試験の受験資格に「大学または大学院で特定の科目の修了」が必要とされています。
また、民間資格でも「産業カウンセラー」「メンタル心理カウンセラー」などは専門のスクールで講座を受講しなければ取得できないようになっています。
これは、メンタルに問題を抱える人が増えているなかで、心理関係の職場は診療所のみならず企業や学校でも用意されています。
多くの人をケアする仕事だけに、確かな知識を有していることが必要とされているためです。
取りたい資格が明確な場合、通信制大学や講座を活用するのがおすすめです。実績豊富な講師が、心理学におけるあなたの目標達成をサポートしてくれます。
BrushUP学びは心理学の通信制大学・講座の情報を幅広く掲載しており、一括資料請求を活用することで講座同士を比較できます。
無料で利用できるため、ぜひご活用ください。
臨床心理士の受験資格
具体的な例だと、臨床心理士の場合は主な受験資格として以下4つの条件が設けられています。
(1)指定大学院を修了し所定の条件を満たしている人
(2)指定の専門職大学院を修了した人
(3)指定大学院と同等以上の学習を受けて、なおかつ実務経験を有する人
(4)医師免許拾得者かつ、習得後に2年以上の心理臨床経験を持つ人
心理関連の資格のなかでも権威あるため、厳しい条件が課せられています。
産業カウンセラーの受験資格
次は民間資格の産業カウンセラー。
こちらも試験が実施されていて、受験資格に条件が設けられています。
(1)産業カウンセラー養成講座を修了した人
(2)大学院で指定の専攻・科目を修了した人
産業間セラー養成講座は20歳以上の人であれば誰でも受講が可能となっており、通学だけでなくeラーニングも用意されているようです。
臨床心理士に比べると、受験資格をクリアしやすい資格といえるでしょう。
職場・家庭環境で心理学を活かす場合の勉強法
セミナーや1日体験レッスンへ参加する
心理学の知識を、日常生活や職場でのコミュニケーションで活かしたいと考えている方は、セミナーやワークショップなど気軽に参加できる1日体験がおすすめです。
固い文章で説明されていることが多い心理学の書籍は、人によっては読みづらく感じてしまい挫折につながることもあるでしょう。
日々の生活を向上させたい場合、必要なのは知識の暗記よりも実践力ではないでしょうか。
この場合、「どのように心理学を人とのコミュニケーションに活かすのか」を専門講師が丁寧に楽しく教えてくれるセミナーは最適です。
モチベーション維持や費用を抑えられるメリットがある
同じ志を持った参加者とともに学習でき、モチベーションの維持も期待できるでしょう。
1日の体験コースなので、費用も安価に抑えることが可能で、合わなければ続ける必要もありません。
全国各地でセミナー・ワークショップは開催されているので、自身にあったものを選べるのもメリットです。
参考 マーケティングに役立つ心理学 実務に活かせる8つのテクニック
一般的な知識として心理学を習得したい場合の勉強法
本やアプリを活用する【オススメも紹介】
特に心理学を活用したい訳でなく、単純に知識を吸収したい・興味があるという方は書籍やアプリがおすすめです。
ジャンルや心理学のレベルに応じて、膨大な量の書籍が販売されているので、欲しい情報が見つからないことはないでしょう。初心者の方であれば、「マンガでわかる! 心理学超入門」が理解しやすくおすすめです。
ただし、やはりこの場合も大雑把で構いませんので、どういった方向性の心理学を学びたいのかは決めておいた方がスムーズでしょう。
注意すべき点
書籍やアプリを選ぶ際に、気をつけたい点も紹介します。
1つ目は、自身のレベルに合ったものを選ぶこと。
初心者の方が高度な専門書を購入すると、理解できない専門用語の多さについていけない可能性があります。
モチベーションが削がれると勉強が進みませんので、まずは楽しく読み進められるものを選びましょう。
これはアプリも同様です。
2つ目は、本の質です。
良書か悪書か、表紙やアプリのデザインを見ただけでは確認できません。
レビューを参考にするか、試しに数ページ立ち読み・インストールして検討してみましょう。
Webサイトを利用する
心理学を勉強する際にはWebサイトは大きく役立ちます。
インターネット上には書籍と変わらない情報量の知識が並び、手早くアクセス可能で、無料で手に入る情報もあるでしょう。
初心者はもちろん、心理学を専門的に学習した人にもおすすめできる勉強方法です。
注意すべき点
注意点としては、参考書などの教材と異なり、執筆者が不明なケースや情報源が怪しい場合もある点です。
信ぴょう性が疑わしい内容も多々あるので、正確な情報を掲載する公的なサイトや書籍と見比べて確認する必要があるかもしれません。
おすすめのWebサイト
心理学を勉強する際におすすめのWebサイトを2つ紹介します。
◎公益社団法人 日本心理学会の公式ホームページ
1927年に設立されて以来、心理学の研究や普及に尽力しており、日本における心理学の代表的な組織といえるでしょう。
公式ホームページでは、心理学の研究結果やイベントの告知などのほかに、心理学入門者向けの学習コンテンツも豊富に用意されています。
なかでも「心理学ミュージアム」というコンテンツでは、子どもから大人まで興味が持てる一般的なテーマについて解説がされています。
「スポーツファンはなぜ熱狂するのか」「なぜ加害者に厳しくなるのか」など、日頃の生活に深く関係している題材が取り扱われているので、心理学の勉強を始める際には一読しておくとよいかもしれません。
◎大学の心理学部のホームページ
各大学では学部・学科ごとにページが用意されていることが多く、研究者のコメントや研究報告などが誰でも閲覧できるようになっています。
大学により掲載内容は異なりますが、心理学部の講義内容の紹介や取得可能な資格がリスト化されていることが多いので、興味ある方はチェックしておくとよいでしょう。
参考 独学で心理学の資格を取得するには?独学でも心理カウンセラーになれる?
心理学の勉強を進める際のポイント
心理学の勉強を進める際のポイントをまとめました。
知識習得や資格取得など、勉強する目的を明確にする
勉強を始める際に大切なのは「目的」を定めておくことです。
心理学は幅広い分野に内容が渡るため、目的が明確でないと勉強する時間が無駄になってしまう恐れがあります。
心理学を学ぼうと考えた背景に、
- コミュニケーション能力を身につけたい
- 仕事で活かしたい
- 誰かの助けになりたい
- 資格を習得したい
上記のような目的がないか今一度考えてみましょう。
目的から逆算して心理学の勉強スケジュールを立てれば、効率的に勉強を進められるでしょう。
毎日10分だけでもコツコツ勉強して習慣化する
心理学以外にも当てはまることですが、勉強を成功させるには毎日コツコツ勉強することが重要です。
毎日10分勉強するだけでも問題ありません。重要なのは勉強を習慣にして、日々知識を磨き上げていくことです。
心理学の情報量は膨大なため、1日まとまった時間をとって勉強してもなかなか知識を定着させるのが難しい傾向にあります。また1日8時間勉強するというようなハードルが高い目標を立てても、挫折につながりやすく、心理学の勉強を諦めてしまうでしょう。
1日10分だけでも勉強する習慣を身につければ、ちょっとずつではあるものの知識を習得できます。目標達成もしやすく、自己肯定感の向上につながり勉強を継続しやすくなります。
4月は毎日10分心理学の単語を覚える勉強をするなど、最初からハードルの高い目標を掲げないようにするのが成功の秘訣です。まずは短時間でもいいので勉強する習慣を作りましょう。
心理学の勉強に関するよくある質問
心理学の勉強に関する質問をまとめました。
心理学に向いているのはどんな人?
心理学は下記の項目に当てはまる人が向いている傾向です。
- 人と関わるのが好きな人
- 研究したい心理学の分野がある人
- 包容力がある人
上記はあくまで一部です。また項目に当てはまらないからと言って心理学が向いていないとは限りません。
大事なのは心理学を学んで何をしたいかです。目的意識がはっきりしている人は、心理学があなたの力になることは間違いないでしょう。
心理学の資格を取りたいけど何を目指せばいい?
どの心理学の資格を取るか決まっていない場合、まずは簡単な難易度の資格から習得してみるのがおすすめです。
難易度が低いとはいえ、心理学の基礎知識を習得できます。次の資格取得にチャレンジする際に、習得した基礎知識は必ず役に立ってくれるため、合格につながりやすくなるでしょう。
またとりあえず簡単な資格を取得してから、次に取りたい資格が明確になるケースもあります。難易度が低い資格を取得するのは、それまでの準備段階と捉えるとよいでしょう。
取りたい資格が決まっていなくてもまったく問題ありません。下記の記事を参考に、仮で目標を決めてみてください。
参考 【心理学資格】社会人におすすめランキング!すべて取得した資格ソムリエ林さんと比較
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