そもそも心理学とは?
行動の科学といわれている
人間の在り方や原理を追求する学問
心理学ですが、一般的には行動の科学といわれています。
例えるなら、人間の在り方や原理を追求する学問といえるでしょう。
人間の行動や言動、考え方から心の奥底に眠っている深層心理まで関わるのが特徴です。
深層心理の理解が可能になる
実は、人間の行動は自身では認識できていないものがほとんどであるといわれています。
認識しながら行動できている部分はわずか2割程度で、残りの8割は無意識におこなわれているそうです。
しかし、人間も動物の一種ですので、行動パターンも分析されていて、しぐさや特徴で無意識の部分、つまり深層心理が表面上で読み取れることもあります。
心理学を勉強することで、この無意識の行動を読み取り、深層心理の理解が可能になるのではないでしょうか。
心理学には基礎心理学と応用心理学の2種類の分野がある
冒頭で心理学にはいくつもの種類があることをお話ししましたが、それらは大きく分類すると『基礎心理学』と『応用心理学』の2つに分かれます。
基礎心理学
『基礎心理学』とは「生物(生理)心理学、認知心理学、発達心理学、学習心理学、社会心理学、パーソナリティ心理学」などを含むもので、人間が全員等しく持っている心の仕組みを一般法則として理論的に研究、解明していくものです。
応用心理学
一方、『応用心理学』とは、基礎心理学および基礎心理学で得られたデータをもとに、実際の生活や商業場面、スポーツ、恋愛などに多岐にわたる分野・場面など特定の分野で応用するものとなります。
つまり、基礎心理学を踏まえて、具体的な分野で活用することを目的に発達した心理学が応用心理学です。
この応用心理学には「臨床心理学、産業心理学、教育心理学、認知心理学、災害心理学、犯罪心理学、スポーツ心理学」などがあります。
【基礎心理学】心理学の種類(分野)一覧
基礎心理学の分類のなかでも代表的なものを5つ取り上げ、それぞれの概要を説明していきます。
生物(生理)心理学
生物(生理)心理学とは、脳波や心電図などを用いて、心理状態と身体の反応の関係を研究するものになります。例えば嘘をついているときには心拍数が上がったり、手に汗をかいたりすることがあります。
このように心の変化に応じて脳のどの部分が働いているか、身体がどう反応するかなどを研究するのが生物心理学です。人間の感情は形として認識ができないため、脳から各部への電気信号を測定することにより、心と身体の関係性を研究します。
発達心理学
人が生まれてから成長するにしたがって、どのような心の変化が生じるかを研究する心理学です。生まれたての赤ちゃんは心も身体も未熟ですが、心と身体はとても密接な関係にあり、身体が成長・発達するのと同じように心も発達します。心の成長は目には見えなくても発達心理学の研究者たちによって構築された「心の発達段階」により、その成長の過程が分かりやすくされています。
この心理学は「人間とは何か」を理解し、人間の心を明らかにするための大きな役割を持ちます。
学習心理学
人や動物が生きる上での経験を通じて学ぶことで、行動が変化していく過程を研究する心理学です。「パブロフの犬」という実験をご存知でしょうか。餌をやる前に必ずベルの音を聞かされていた犬が、餌がなくてもベルの音を聞くだけで唾液を多く出すようになったというものです。これを条件反射と言いますが、このように経験から学ぶことで心理的、身体的にどのような変化が出るのかを研究するのが学習心理学です。
人格心理学
生物学の上では同じ人間でも、明るい人、短気な人、優しい人、ポジティブな人、ネガティブな人、人を妬みやすい人など、人はそれぞれ人格や性格を持っています。これらは「パーソナリティ」と呼ばれ、この複雑なパーソナリティを理解するために研究されているのが人格心理学です。
どのような人がどのような行動を取るか、性格と行動の関係性を法則化し、明らかにします。そのため、人格心理学はパーソナリティ心理学と呼ばれることもあります。
社会心理学
社会心理学とは、社会での集団生活における人の心理に関する心理学です。社会構造や集団行動だけでなく、集団心理なども対象とされ、社会的な要素が個人に与える影響などを研究します。
また、集団内における人間関係などもこれに含まれます。近年目覚ましい発達を遂げているSNSなどでの人間関係やその影響などにも対応している分野になります。社会心理学はとても幅広い領域を担っているため、時には応用心理学の一端を担うこともあります。
【応用心理学】心理学の種類(分野)一覧
次に、応用心理学についての分類です。
応用心理学も基本心理学と同様にさまざまな分野があり、それぞれ役割があります。
応用心理学の代表的な分野7つを取り上げ、それぞれの概要をお話しします。
臨床心理学
医療の現場などにおいて利用されるため、よく耳にする心理学が臨床心理学です。特にストレス社会と言われる現代では重要視される分野になります。
うつや精神疾患などの精神疾患で苦しむ人に対し、カウンセリングや心理療法をおこなうための研究をする分野で、精神医学と似た領域にはなりますが、臨床心理学を専門とする臨床心理士は、カウンセリングや心理療法はおこなっても処方薬を扱えないなどの違いがあります。
認知心理学
1960年代以降勢力を伸ばし始めた認知心理学。
人は何かに対面したとき、目や耳などの五感で得た情報を脳に送ることによって、その物が何であるかを理解します。外界にあるものを絶えず知覚し、理解し、状況を知るこの働きを認知と言い、認知心理学は行動のコントロールを含む認知の過程、つまり人間の情報処理の過程を研究するものです。
特に記憶に関する研究にはこの認知心理学が主に用いられます。
教育心理学
教育心理学とは、教育の分野において心理学を応用し、より効率的な教育を追及する分野です。
教育課程における人の学習、成長、人格形成、評価なども含め、集団生活における子ども同士、または子どもと教師の関係性やコミュニケーションなどの基礎心理学を教育の場という特定の場面で応用していくものになります。
子どもたちの健全な成長を促すための方法や技術を学ぶものであり、教師には必要不可欠な知識であるといえます。
犯罪心理学
犯罪心理学は、犯罪および犯罪者について研究するものです。
年々犯罪が複雑化し、重度の犯罪被害に遭う被害者が増えていく現状を背景とし、その支援のために必要とされています。過去の犯罪者の人格やプロフィールなどから犯罪の傾向や特質を理解し、犯人逮捕に役立てるこの心理学は、まだ日本ではまだ主流ではありません。
しかし、アメリカなどではプロファイリングと呼ばれ、犯人確保に有力だと認識されて用いられています。また、犯罪者の更生に寄与するものでもあります。
産業心理学
産業心理学は、その言葉の通り「産業」のための心理学の分野です。
職業、労働、組織、集団、マーケティング、消費者行動などを軸とし、組織と人のあり方や、商売に携わるうえでの集団心理、労働者の心身のケアなどを対象とします。産業心理学を用いることによって生産と販売の拡大、個人の満足や対応の拡大、労使間の人間関係の調和などを目指すものになります。
具体的には適正・訓練・職場環境の改善や、疲労や災害の防止、ストレスのケアなど広範囲にわたって用いられます。
災害心理学
名前の通り「災害」に関する心理学ですが、ここでいう災害は自然災害だけではありません。
労働災害や交通災害、家庭内災害などもこれに含まれます。災害という非日常的な状況に陥ったときの人間の心理や行動を研究することによって、災害時の人的な二次災害を防止を目的とする分野です。災害発生時に適切な避難ができるかどうか、また災害に遭ったあとの個人や集団の精神状態なども対象とします。
スポーツ心理学
スポーツ心理学とは、心理学的側面からスポーツに関わる課題に携わり、明らかにしていく心理学です。それによってスポーツの実践や指導に科学的知識を提供し、スポーツをおこなう人がより高いパフォーマンスを目指すための分野になります。
スポーツ心理学はさまざまな領域に分かれていますが、どれもスポーツをおこなう上で欠かせないものであり、なかでもよく用いられるのが、競技の実践心理、スポーツメンタルトレーニング、スポーツ臨床などです。
心理学はどこで学べるの?
大学・短大などの心理関連学部(学科)で学習できる!
心理学は、大学・短大の心理関連の学部学科などで学ぶことができます。
大学・短大によって学科学部名だけではわかりづらい場合もあるため、どのような領域について学習できるかは確認するようにしましょう。
大学・短大によっては、通信制で学べる学校もあります。
働きながら学びたい方は検討してみるのもよいかもしれません。
参考 【2024年】心理学が学べるおすすめ通信制大学20校!社会人が行けるスクーリングなしの学校も紹介
参考 【地域別】心理学が学べるおすすめの大学11校厳選!就職事情も解説
民間スクールでも心理学は学べる!?
心理学について学べる環境は、大学・短大だけではありません。
学習内容や目指せる資格は異なりますが、民間スクールの開講講座でも学習可能です。
気軽に心理学を学びたい方は、チャレンジしてみるのもよいでしょう。
参考 【おすすめ】心理学の資格が取れる通信講座(オンライン)を一覧で比較!
まずは書籍で基礎知識を身につける手段もあります
「すぐに教育機関で学び始めるのは抵抗がある」「まずは本などで知識を深めたい」という方は、以下の書籍で学び始めてみるのはいかがでしょうか。
基本的な知識を身につけてから教育機関で学べば、より効率的に学習ができるでしょう。
図解 心理学用語大全:人物と用語でたどる心の学問
著者:田中 正人、監修:齊藤 勇
日常生活やビジネスで役立つ心理学の理論を豊富な図解でわかりやすく解説。
プラトンやユングなどの有名心理学者や、発達心理学や社会心理学といった心理学の種類について、初めて学ぶ方でも楽しく理解することができるでしょう。
心理学に興味を持ち始めた方におすすめの一冊です。
参考 Amazon 図解 心理学用語大全:人物と用語でたどる心の学問
参考 【社会人向け】心理学の勉強法を目的別で解説【働きながらでも実践できる】
参考 心理学は独学で十分?未経験から始める心理カウンセラーの目指し方
心理学を活用した仕事の種類と仕事内容
心理学を活用した仕事にはさまざまなものがあります。
最近では一般企業や学校でも心理カウンセラーが導入されるケースも増えており、心理学を学習中の方にとっては大きなチャンスではないでしょうか。
心理学の仕事には資格が求められるものと、無資格でもおこなえるものが存在します。
参考 心理学とは?意味や定義、資格の取得方法、身近な活用例を解説
国家資格が必要な仕事
まずは国家資格が必要な仕事から見ていきましょう。
公認心理師
初の心理職国家資格として2017年に施行されました。
心理学に関する専門的知識や技術を活用し、心の問題を抱える人のケアに勤める仕事です。
仕事内容は、対象者への助言や相談、指導や生活の援助など多岐にわたります。
勤務先も豊富で、医療から教育、福祉や司法など多くの場所で活躍が可能です。
精神科医
医学部など専門の学校で6年間学習し、国家試験を受けて医師免許を取得しなければいけません。
病院の精神科などに勤務し、精神の病を患う人や精神疾患の治療をおこないます。
現代社会では、ストレスが原因の精神病を患う社会人が多発しており、精神科医の需要が急増しています。
依存症患者の治療も担当する場合もあるでしょう。
臨床心理士や公認心理師と連携を取り、総合的な治療をおこなうこともあるようです。
精神保健福祉士
福祉系大学などで学習し、精神保健福祉士の国家試験に合格すると仕事に就くことができます。
精神の障害を抱える人や、その家族の相談を受けたり、社会活動の援助を行ったりするのが仕事です。
国家資格を必要としない仕事
次に、国家資格を必要としない仕事を見ていきましょう。
進路や働き方をカウンセリングする仕事です。
スクールカウンセラー
学校などの教育機関で、生徒の心のケアを担当する仕事です。
友人関係やイジメ問題、日常生活の悩みから進路相談まで幅広く対応します。
産業カウンセラー
こちらは社会人を対象としたカウンセラー業務です。
企業や団体で働く人のケアに努め、仕事に関係する悩みをケアする仕事になります。
昇進や転職、ハラスメント問題などの事柄に対処するケースもあり、より的確なケアが求められるでしょう。
キャリアカウンセラー
人生のキャリアに関する悩みをサポートする仕事です。
学校から企業、さらに定年退職後の生活まで、現代のキャリアは非常に幅広い定義となっています。
心の問題に対処する仕事
他にも多様な心の問題に対処する仕事があります。
さまざまな場所で、幅広い層を対象とした職業となっていて、より総合的な心理学の知識が求められるのが特徴です。
臨床心理士
臨床心理士資格は民間資格でありながら、信頼性が高いといわれているそうです。
医療や福祉、教育、司法や警察関連など、幅広い場所でカウンセリングやサポートをおこなう仕事です。
メンタルトレーナー
メンタル面、精神面をサポートする仕事です。
相談者の心の状態を向上させ、目的達成へとケアします。
参考 心理学を活かせる仕事は?職業別の仕事内容や収入について紹介!
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