食育基本法とは?
食育基本法の概要
食育基本法は食育を包括的に、また計画的に推進するために制定された、全33条から構成されている法律です。
2005年6月10日に同法は成立し、同年7月15日より施行されました。
食育の定義
食育は以下のように定義づけられています。
- 生きる上での基本であって、知育、徳育及び体育の基礎となるべきもの
- 様々な経験を通じて「食」に関する知識と「食」を選択する力を習得し、健全な食生活を実践することができる人間を育てること
食育基本法が制定された背景
食育基本法は、次のような食に関する問題が挙げられるようになったため、制定されました。
- 「食」を大切にする心の欠如
- 栄養バランスの偏った食事や不規則な食事の増加
- 肥満や生活習慣病(がん、糖尿病など)の増加
- 過度の痩身志向
- 「食」の安全上の問題の発生
- 「食」の海外への依存
- 伝統ある食文化の喪失
日本では、このようなさまざまな食の問題が生じている中、健全な食生活を取り戻していくことが必要と考えられ「食育基本法」が制定されました。
食育基本法の目的
食育基本法の最終目的は、食育によって生涯にわたって健康で文化的な生活を国民が享受し、結果として豊かで活力ある社会が実現することにあります。
そのためには食育を推進するための包括的な計画が必要になります。
食育基本法は計画の策定にあたっての基本理念を定めるとともに、中央政府・地方政府の責務を明確にしました。
食育基本法7つの基本理念
食育基本法では、食育に関する基本理念が定められています。
食育の基本理念
- 国民の心身の健康の増進と豊かな人間形成
- 食に関する感謝の念と理解の必要性
- 食育推進運動展開の必要性
- 子どもの食育における保護者・教育関係者等の役割
- 食に関する体験活動と食育推進活動の実践
- 伝統的な食文化、環境と調和した生産等への配意及び農産漁村の活性化と食料自給率の向上への貢献
- 食品の安全性確保
参考文献 農林水産省『食育基本法』
食育基本法7つの基本的施策
「食育基本法」の基本理念に基づき、国では以下の「7つの基本的施策」を定めています。
- 家庭における食育の推進 例えば、子どもが実際に自分で料理をつくる体験を増やしていくとともに、親子料理教室など食事に関する望ましい習慣を学びながら食を楽しむ機会を提供する活動を推進しています。
- 学校、保育所などにおける食育の推進 例えば、地場産物や国産食材の活用および日本の伝統的な食文化の理解を深める給食の普及・定着などに取組んでいます。
- 地域における食生活の改善のための取組みの推進 栄養バランスに優れた「日本型食生活」の実践、幅広い世代に対する農林漁業体験の機会の提供などを推進していきます。
- 食育推進運動の展開 食育を国民に浸透させていくために、国民の生活に密着したボランティア活動の活発化や環境整備をおこない、地域での食育推進の中核的役割を担うことができるよう支援していきます。
- 生産者と消費者との交流の促進、環境と調和のとれた農林漁業の活性化など 子どもを中心とした農林漁業体験活動を促進していきます。
- 食文化の継承のための活動への支援など 「和食:日本人の伝統的な食文化」に関する国民の関心と理解が深まるよう、学校給食や家庭での食べ方や作法も含めた「和食」の提供機会の拡大、「和食」の継承に向けた地域での食育活動をおこなう。
- 食品の安全性、栄養その他の食生活に関する調査、研究、情報の提供および国際交流の推進 食品の安全性、栄養、食習慣などの調査研究などを推進していきます。
参考文献 総務省『食育基本法の体系』
食育推進基本計画における重点課題
第3次食育推進基本計画
2016年度から2020年度までの5年間に「第3次食育推進基本計画」が進められました。
この第3次食育推進基本計画では、5つの重点課題を置き、取り組まれました。
第3次食育推進基本計画5つの重点課題
- 若い世代を中心とした食育の推進 20代から30代のような若い世代の食に関する課題は、健康であるために食の重要性や必要性を感じていないことから、食の情報や取り組みがその世代に届いていないことにあります。
- 多様な暮らしに対応した食育の推進 一人暮らしの高齢者や若い世代、ひとり親世帯などの増加により、世帯構造が変化した現代。
- 健康寿命の延伸につながる食育の推進 世界でも有数の長寿国である日本。
- 食の循環や環境を意識した食育の推進 「食品ロス」が問題になっている昨今、食品ロスがどのようにして起きているかご存知でしょうか。
- 食文化の継承に向けた食育の推進 食べ方や作法、郷土料理など、日本の食文化の魅力を次世代へと受け継いでいくために、日本の食を楽しく学ぶ機会づくりが重要です。
SNSを使った取り組みや、学校や飲食店のような若い世代に身近な場所で啓蒙するなど、若い世代が気軽に食に触れる環境づくりを目指します。
「孤食」に対する支援が重要視される一方、個人では解決が難しい課題となっています。
地域での新しいコミュニティーを生み、多くの人が気軽に参加できる「共食」の仕組みづくりを目指します。
平均寿命と、日常生活に制限なく生活できる「健康寿命」の差を縮めるために、健全な食生活はとても重要です。
企業や関係機関が連携を図りながら食育を推進し、一人ひとりが健康づくりを実践できるようになることが求められます。
食べ物の生産・製造段階から、消費者に届く循環の各段階で発生される食品ロスを減らすことは、事業者だけでなく消費者も取り組むべき課題の1つです。
子どもたちへ伝えるために、まずは一人ひとりが日本の食文化をあらためて見直し、感じていくことが大切です。
参考文献 農林水産省『第3次食育推進基本計画』
第4次食育推進基本計画
2021年3月31日に公表された「第4次食育推進基本計画」は、2021年度から2025年度までの5年間の計画です。
第3次食育推進基本計画に引き続き国民が健康的な食生活を過ごしていくことに加え、SDGsの考え方を踏まえた内容になっています。
持続可能な社会の実現を、食文化の面から推進していきます。
第4次食育推進基本計画3つの重点課題
- 生涯を通じた心身の健康を支える食育の推進 「人生100年時代」に向けて生涯にわたり健康に過ごすため、栄養バランスの整った食事や適正体重を維持するための意識が大切です。
- 持続可能な食を支える食育の推進 自然の恩恵を受けて食が成り立っていること、また食の循環が環境へどのような影響を与えるかを理解し、SDGsの目標の1つである「つくる責任・つかう責任」に関わっていくことが求められます。
- 「新たな日常」やデジタル化に対応した食育の推進 新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止のため、人との接触を控えるような「新しい生活様式」への対応が必要とされています。
そのためには子どもの頃から食事マナーや食文化を知り、正しい食習慣を身につけることが必要です。
体験することで学べることが多い食育では、オンラインでの料理教室や動画の配信、食育アプリの提供など、デジタル技術の有効活用を目指します。
参考文献 農林水産省『第4次食育推進基本計画』
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