カジノディーラーとは
どんな仕事?
カジノディーラーは、ブラックジャックやミニバカラ、ルーレットなどのカジノゲームで進行役を務めます。カードを配る、ルーレットを回す、配当金を瞬時に計算してチップを配るなどゲーム進行に欠かせない作業をスムーズに行うことに加え、それぞれのゲストが楽しい時間を過ごしてもらえるよう気を配ります。日本国内でもカジノ解禁に向けた議論が始まっており、合法化されれば人材不足が起きることが確実視されています。
必要な知識とスキル
カジノディーラーとして活躍するためには、カジノゲームに関する豊富な知識とスムーズにゲームを進行させる技術が必須です。
活躍の場
日本国内では現在カジノが合法化されていないため、豪華客船やホテルのゲームコーナー、ゲームセンターなどがカジノディーラーの主な活躍の場となります。また、パーティーやイベント会場へ派遣されてゲーム進行を担うという働き方もあります。技術力・語学力・人間力に優れた経験豊富なカジノディーラーの中には、海外の有名カジノで活躍する一流ディーラーも存在します。
また、様々なお客様と接する仕事でもあるため、基本的な接客マナーはもちろん、相手に不快感・不信感を与えないような身だしなみや態度、コミュニケーション力も求められます。以上のような知識や技術に加え、語学力も磨いておくと海外で活躍できる可能性も拓けてくるでしょう。
カジノディーラー講座・スクール比較カジノディーラーに資格は必要?
2023年5月時点では、カジノディーラーとして働くための必須の資格はありません。しかし、「カジノディーラー資格認定試験」という民間資格は存在します。日本カジノディーラーズ協会が運営するこの認定試験では、カジノディーラーに必要なカジノの歴史やマナーの知識、英会話、接客態度、ディーラー技術などが試されます。無資格でもカジノディーラーの採用試験や面接を受けることは可能ですが、こうした資格を持っていることにより、採用される確率が高まる可能性があるでしょう。
カジノディーラーの将来性は?
カジノディーラーは将来性のある職業です。2023年5月現在、日本ではカジノは合法化されていません。そのため、カジノディーラーの職場といえば、お金を賭けずに遊べるアミューズメントカジノやパーティー会場などごく限られた場所です。
しかし、2018年に「カジノ法案」とも呼ばれる「IR整備法(特定複合観光施設区域整備法)」が成立し、今後日本でもカジノが解禁されることが決まっています。日本に大型のカジノが誕生すれば、1つの施設で必要となるスタッフの数は1,000人から3,000人ともいわれています。日本におけるカジノディーラーの需要も高まることが期待できるでしょう。
カジノディーラー講座・スクール比較現状の日本における「カジノ事業」
IR整備法で認められたカジノ事業
IR整備法では、健全で公平なカジノ運営のために、カジノ施設内で行えるカジノ行為の種類やカジノ施設に入場できる人、カジノ施設のスペースなどに規制をかけた上で認めています。以下に詳しくご紹介します。
カジノ行為の種類
IR整備法で認められるカジノ行為は全部で「9種類21分類」です。具体的な種類は以下の通りです。
・バカラ(2分類)
・ポーカー(8分類)
・トゥエンティワン(4分類)
・ルーレット(2分類)
・シックボー
・クラップス
・カジノウォー
・マネーホイール
・パイゴウ(牌九)
上記のテーブルゲームの他、電子ゲーム機器によるゲームも認められています。尚、日本生まれの花札や丁半賭博、愛好家の多いパチンコ、麻雀などは認められていません。
入場できる人(入場管理)
IR整備法では、日本のカジノ施設に入場できる人も制限されています。まず、カジノに入場できるのは20歳以上の人と定められています。20歳以上であれば、日本人、在日外国人、外国人観光客のいずれに該当する人でも入場は可能です。ただし、反社会的勢力の関係者(元関係者も含みます)は入場できません。カジノの入場にあたっては、日本人と在日外国人にはマイナンバーカードの提示が、外国人観光客にはパスポートの提示が義務づけられる予定です。
カジノのスペースにも規制あり
IR整備法の「IR」とは、「Integrated Resort(統合型リゾート施設)」の頭文字です。統合型リゾートに入るのはカジノの施設だけではありません。ショッピングモールやレストラン、ホテル、映画館、劇場、国際会議場など、さまざまな施設が入ります。その中で、実際にカジノが行われる区域(ゲーミング区域)の床面積は、IR施設全体の床面積の3%以内に納めなければならないという規則があります。さらに、IRの区域数は3か所が上限とされていますが、これに関しては「最初の区域の認定から7年が経過した時点」で見直しが行われるということです。
カジノ規制の全体像
免許などによる参入規制
健全なカジノ運営を実現するために設けられた規制の1つが、「免許などによる参入規制」です。カジノの事業者や従業員はもちろんのこと、株主からゲーム機器メーカー、土地管理者などもすべて免許制度の対象となります。また、カジノ事業への参入要件は厳格に設定されており、「十分な社会的信用を持つ者」であることを調査されます。これは、反社会的勢力の排除などを目的として行われます。
カジノ施設・機器の規制
2つめの規制が、「カジノ施設・機器の規制」です。前述の、「カジノのゲーミングスペースはIR施設全体の3%以内でなければならない」、「IR区域数の上限は3か所」というのも、この規制に含まれます。その他、「カジノの施設数は各IR施設に1施設まで」という規制も存在します。また犯罪抑止のため、カジノ施設の見通しや明るさ、監視設備なども規制され、公平性の担保のためには、カジノ関連機器の規格や用途などにも基準が設けられています。
カジノ事業活動の規制
3つめの規制が、「カジノ事業活動の規制」です。上で述べた、「カジノで行えるゲームは9種類21分類に限定する」という決まりも、この中に含まれます。その他、監査人による業務の監査、財務報告書などの国への提出の義務付け、入場者の規制、広告や勧誘の制限など、さまざまな規制がかけられています。
なお、こうした規制をカジノ事業者などが守っているかどうかは全て、IR整備法に基づいて設置された「カジノ管理委員会」によって厳格に管理・監督されます。
カジノディーラー講座・スクール比較日本におけるカジノの法案整備のこれまでの流れ
2018年IR(統合型リゾート施設)の整備法が成立
IR整備法が成立したのは、2018年7月20日のことです。上で述べた通り、「IR」とは「Integrated Resort(統合型リゾート施設)」の頭文字です。統合型リゾート施設は、ショッピングモールや映画館、劇場、ホテル、プール、会議場など、さまざまな施設が入った大規模な複合施設。日本経済や地域を活性化させるため、こうした複合施設を日本国内で運営し、訪日外国人を誘致しようという目的で作られた法案です。日本国内で今まで禁止されていたカジノもこの統合型リゾート施設内に含まれており、合法的にカジノゲームがプレイできるようになる予定です。
日本ではもともと2016年12月に「IR推進法」が成立しており、IR整備法は推進法を具体的に推し進めていくために作られました。このIR整備法とIR推進法の通称が「カジノ法案」です。
2023年4月14日大阪のIR整備計画がはじめて認定
大阪府と大阪市は、「大阪・夢洲地区特定複合観光施設区域整備計画」を2022年4月に国に申請。この計画は、2023年4月14日に国土交通大臣により認定されました。大阪府と大阪市のIR整備計画が、国内ではじめて認められたというわけです。およそ1年かかった審査では、IR施設の経済効果やギャンブル依存症への対策、事業者の財務の安定性などの各項目が十分に審査されました。大阪の計画では、IR施設内に国内最大級の国際会議場(全室の総収容人数12,000人以上)の建設も予定されており、この点も高評価を受けたと報道されています。尚、大阪府の見込んでいる毎年の経済波及効果は、1兆1400億円といいます。
カジノディーラー講座・スクール比較日本でのカジノ開業までの今後の流れ
大阪は2029年の開業を目指して、さらに審査が続く
大阪は、「結びの水都」をコンセプトに、2029年のIR施設開業を目指して動いています。しかし、IR施設内でカジノを開業するためには、前述のカジノ管理委員会による審査をパスする必要があります。カジノ管理委員会の厳格な審査をクリアし、免許などの付与が行われることで、晴れてカジノが開業できるようになるのです。
尚、大阪府のIR施設開業の予定地は、大阪市此花区にある人工島「夢洲(ゆめしま)」。計画ではカジノ施設の他、国際会議場、各種ショーやイベントを行うシアター、日本や関西の文化を発信するパビリオン、エンターテイメントホテルなどが作られる予定です。
参考 大阪IRの施設|大阪府
長崎についてはIR整備計画の審査が継続
大阪府と同時期に、政府にIR整備計画を申請した県が長崎県です。大阪府の計画は2023年4月に認定されましたが、長崎県の整備計画については現在も審査が続けられています。長崎県の審査が継続している理由については公表されていません。長崎県は佐世保市にあるテーマパーク「ハウステンボス」に隣接した場所に、カジノを含むIR施設を作るという計画を立てており、2027年の開業を目指しています。
カジノディーラー講座・スクール比較日本におけるカジノ整備の今後の課題
「ギャンブル依存症」についての対策
日本にカジノ施設が誕生するにあたって懸念されることの1つが、「ギャンブル依存症」の患者の増加です。ギャンブル依存症とは、賭け事にのめり込むあまり掛け金が増えていったり、ギャンブル費用を捻出するために借金を重ねたり、賭け事をやめたくてもやめられなくなったり……といった症状が出る精神疾患の一種です。
こうした悪影響からカジノ利用客を守るために、このギャンブル依存症への徹底した対策も求められています。カジノ管理委員会では、カジノへの「依存防止対策」として、カジノの区域数やゲーミング区域の限定、入場者の本人確認の徹底、入場回数の制限、入場料の徴収、ATM設置の禁止などの対策を講じています。ちなみにカジノ施設への入場回数は、「1週間で3回」、「28日間で10回」まで、入場料は6,000円(ただし日本国内在住者に限ります)と設定される予定です。その他、本人や家族の申告により、カジノ施設の利用制限ができるといった対策も盛り込まれています。
地域との相談・交渉
カジノ施設ができた街は、国内だけではなく世界中から多くの観光客が集まり、大金が目まぐるしく動くようになります。カジノ施設の周囲には、消費者金融や居酒屋などが増える可能性もあるでしょう。これらによって懸念されるのが、地域の治安の悪化です。世界には、シンガポールやマカオのように安全にカジノが楽しめる国(地域)も存在しますが、フィリピンやアフリカ、韓国のカンウォンランドなど、カジノによって治安が悪化した例も少なくありません。
カジノ誘致を考えている地域の住民の中から、治安の悪化を心配する声が上がるのは当然ともいえるでしょう。これからIR誘致の計画を立てる自治体は、地域住民に安心・納得してもらえるように、相談や交渉を誠実に繰り返す対応が求められています。
カジノディーラー講座・スクール比較