SNSカウンセラーとは?
「SNSカウンセラー」とは、SNSカウンセリングを安心・安全に提供できるカウンセラーのことです。全国SNSカウンセリング協議会は、そのような人材を保証する認定登録制度を始め、「SNSカウンセラー」の資格を認定しています。
SNSカウンセリングでは、対面や電話などで話をするのではなく、「LINE」などのSNSやチャットを使って相談できます。対面や電話での相談に抵抗がある方にとって、利用のハードルを下げる効果が期待されています。
SNSカウンセラーの取得方法
登録までの流れ
全国SNSカウンセリング協議会が認定する「SNSカウンセラー」取得までの主な流れは次のとおりです。
- 1.「SNSカウンセラー認定登録要件」を確認して、該当する養成講座団体を確認する。
- 2.養成講座実施団体の担当者と受講講座を決定する。
- 3.養成講座を受講して修了証を受け取る。
- 4.認定制度の申し込みを行い、認定登録料や年会費を支払う。
- 5.登録番号と認定書が届いたら、登録完了。
SNSカウンセラー認定登録要件
自身が持っている資格に応じて、受講する養成講座の種類が変わります。次の3パターンのうち、どれに該当するか確認しましょう。
A.心理カウンセラー資格を持っている人
次のいずれかの資格を持っている人は、2日間の養成講座の受講が必要です。
- 公認心理師(国家資格)
- 認定心理カウンセラー(公益財団法人関西カウンセリングセンター)
- プロフェッショナル心理カウンセラー(一般社団法人全国心理業連合会)
- 産業カウンセラー(一般社団法人日本産業カウンセラー協会)
- 臨床心理士(一般社団法人⽇本臨床⼼理⼠会)
- ガイダンスカウンセラー(一般社団法人⽇本スクールカウンセリング推進協議会)
B.隣接国家資格を持っている人
Aの資格を持っていないけれど、次のいずれかの資格を持っている人は、50時間の講座と2日間の養成講座を受講する必要があります。
- 精神保健福祉士
- 社会福祉士
- キャリアコンサルタント
C.心理カウンセラー資格及び隣接国家資格を持っていない人
A、Bに該当しない方は、まずは心理カウンセラー資格か隣接国家資格を取得する必要があります。
JADP認定SNSカウンセラーとの違いは?
資格の概要
名前が似ている資格として、日本能力開発推進協会による「JADP認定SNSカウンセラー」という資格があります。「LINE」などのSNSを用いたカウンセリングに必要な知識・スキルを証明します。SNSカウンセリングに関する知識や実践スキルを学びたい方にとっておすすめの資格です。
取得方法
認定教育機関などが行う教育訓練で、カリキュラムを修了した後、随時行われる在宅試験に合格することで取得できます。資格や学歴といった条件はないため、誰でも資格取得を目指せます。
教育機関で学習する内容は次のとおりです。
- SNSカウンセラーとは
- SNSカウンセラーに求められる資質と必要な知識
- SNSカウンセリングに必要な心理学
- マイクロカウンセリング
- SNSカウンセリングの流れ
- SNSカウンセリングの実践方法と注意点
SNSカウンセラーの難易度は?
SNSカウンセラー
全国SNSカウンセリング協議会が認定する「SNSカウンセラー」は、資格試験がなく、養成講座の受講で資格を取得できます。すでに認定登録要件に該当する資格を持っている方にとっては、比較的取得しやすいと言えます。
ただし、認定登録要件に挙げられている資格は、大学・大学院などへの進学が必要なものや資格試験があるものなど、取得の難易度が高いものもあります。そのため、資格を持っていない方にとっては「SNSカウンセラー」の取得難易度が高くなってしまいます。
もちろん、認定登録要件に挙げられている資格は、カウンセラーとして働く上で役立つ資格です。そのため、カウンセラーとして長く働きたいと考える方は、この機会に挑戦することも一つの手です。
JADP認定SNSカウンセラー
日本能力開発推進協会が認定する「JADP認定SNSカウンセラー」は、受験資格に資格や学歴といった条件がないため、誰でも資格取得を目指せます。
また、資格試験は、随時在宅で行われるため、準備を整えてから試験にのぞむことができます。さらに、在宅試験のため、テキストを参照しながら試験を行えます。合格基準は得点率70パーセントであり、比較的難易度が易しいと言えます。
今後の需要は?
現代は、コミュニケーションツールとしてSNSが一般的になりました。対面や電話による窓口では悩みを相談しにくいという方にとって、SNSを使ったカウンセリングへのニーズが高まっています。
2017年には、「全国SNSカウンセリング協議会」が設立され、SNSカウンセリングへの需要に対応する動きが見られます。
また、総務省の「情報通信白書令和5年版」によると、日本のソーシャルメディア利用者数は1億200万人(2022年)もいると言われています。そして、今後も増加することが予想されています。
このような背景から、近年では、国や自治体でSNS相談の体制が整備されたり、企業などでSNS相談窓口の開設が増えたりしています。
SNSカウンセラーの仕事内容は?
SNSカウンセラーは、「LINE」などのSNSやチャットを使って、クライアントの相談にのるカウンセラーのことです。NPOや企業などがSNS相談に関する事業を行っており、深夜や早朝に実施しているところや24時間体制で相談を受けつけているところもあります。
年代や性別を問わずに誰でも利用できる相談窓口や、若者向け・女性向け・子ども向けといった特定の世代を対象にした窓口など、さまざまな体制が整えられています。
主な仕事内容は、SNSやチャットを使った相談対応です。対面や電話での相談と異なり、テキストを中心とした関わりという特徴があります。相談内容は多岐にわたり、自殺やいじめ、人間関係、ひきこもり、貧困など幅広い悩みに対して適切な対応が求められます。カウンセリングのほかにも、クライアントの支援計画の作成やデータの統計・集計処理などの事務作業を行うことがあります。
SNSカウンセラーの活用方法は?
「SNSカウンセラー」の資格取得を通じてスキルを身につけることは、SNSを活用したカウンセリングをする際に役立ちます。
SNSカウンセリングでは、チャット機能を活用した対応になるため、対面や電話でのカウンセリングと異なるスキルが求められます。対面や電話では、相手の表情や声色、会話のテンポなどからも情報を得られますが、テキスト中心のコミュニケーションでは情報量が限られます。そのため、クライアントの状況を想像したり限られた情報から現実吟味したりとSNSカウンセラーならではのスキルが求められます。
ほかにも、絵文字・スタンプの使い方、クライアントのテンポと文章量との波長の合わせ方、応答の行き違いやタイムラグの扱い方といったチャット機能ならではのカウンセリングスキルが必要です。
カウンセリングの技術向上を目指したい方、SNS相談のニーズに対応したい方は「SNSカウンセラー」の資格取得を検討してみてはいかがでしょうか。
まとめ
既に心理カウンセラー資格などを取得している方は、講座受講で「SNSカウンセラー」の資格を取得できます。興味のある方は、まずは自身が該当するかどうか、登録要件を確認しましょう。
要件に該当しなかった方も、この機会に登録要件を満たす資格を目指したり、「JADP認定SNSカウンセラー」に挑戦したりと、SNSを使ったカウンセリングについて学ぶ方法はあります。自分に合ったかたちで、ぜひ勉強を始めてみてください。