着付け技能士とは?
着付け技能検定の【学科試験・実技試験】の合格者に付与される称号!
着付け技能士とは、着付け技能検定に合格することで取得できる国家資格です。
2009年の政令改正で「着付け」が技能検定の対象に加えられ、厚生労働大臣より試験実施機関として指定を受けた全日本着付け技能センターが、2010年より着付け技能検定を実施しています。
尚、着付け技能検定は、以下の項目を目的とした技能検定となっています。
1. 他人に着物を着付ける(他装)業務に係る技能の向上
2. 他装業務に従事する者の経済的社会的地位の向上
3. 他装に関わる助言を与えることによる消費者利益の向上
4. 着付け技能の振興、発展に貢献する
着付け技能検定は技能検定制度の一種で、1級・2級があります。
着付け技能士(国家資格)を取得するためには、原則として学科試験と実技試験をクリアしなければなりません。
学科試験の受験資格については、実務経験年数が決められています。
2級は最大2年、1級は最大5年の実務経験が必要です。
(※実務経験とは、他装や着付け指導の業務に携わった経験のことです。)
一方で、実技試験は1級・2級ともに『学科試験に合格している』こととされていますが、職業訓練指導員免許取得者などは学科試験が免除されます。
学科試験で合格した場合、その資格は翌年度末まで維持できます。
要は、概ね2年以内に実施される実技試験で合格すれば、着付け技能士の資格を取得できるということになります。
着付け技能検定とはどんな試験?
学科・実技の試験に分かれていて、1級・2級で内容が異なる!
着付け技能検定は学科試験と実技試験とがあり、1級の試験は2級の試験に加えてより広範な知識・技能が求められます。
1. 出題方式・試験時間・合否基準
学科(筆記)試験:
記述、選択、択一方式で行われ、試験時間は60分です。
合格基準は、2級で60点以上(100点満点)、1級で70点以上(100点満点)となっています。
実技試験:
2時間30分〜3時間程度かけて行われ、合格基準は、2級で60点以上(100点満点)、1級で70点以上(100点満点)で合格になります。
2. 試験範囲
着付け技能検定2級:
2級の筆記試験で問われるのは、11の分野に関する詳細な知識です。
分野 | 内容 |
---|---|
着物の知識・名称 | 弥生時代以降の着物の歴史、着物(袷、羽織)の各部の名称・寸法、文様など |
男女の着物の違い | 着物の丈・袖付け・くりこし・衿(襟)の違い |
着物のたたみ方 | 着物(本だたみ・夜具たたみ)・長襦袢・羽織・コート・四つ身 |
着物と織物・染物 | 紬・大島・縮緬などの織物、友禅・藍染・絞り・小紋などの染物に関する知識 |
着物の着用時季 | 袷・単衣・薄物・浴衣の着用時季 |
着物の格 | 普段着・街着・準礼装・礼装・不祝儀の用途と柄づけによる格の違いや家紋 |
帯・織帯・染帯の種類 | 帯(袋帯、名古屋帯、喪帯など)・織帯(絽織、紗織、綴織など)・染帯(塩瀬、縮緬、紬、絽)に関する一般的な知識 |
着付小物・装身小物の種類・用途 | 着付小物(肌襦袢、腰紐、足袋など)・装身小物(帯留め、扇子、履物など)に関する一般的な知識 |
着物・帯・小物の合わせ方 | 色、柄、素材など格の調和 |
着付けの心得・作法・技法 | 年齢、体型、性別に応じた着装法と身だしなみ、立ち居振る舞い、言葉遣いなどに関する一般的知識 |
関係法規 | 美容師法関係法令のうち、着付けに関する部分についての知識 |
2級の実技試験では定められた時間内で浴衣、街着、付下げ、訪問着、付下げ訪問着の着付けができることが求められます。
着付け技能検定1級:
1級の筆記試験で問われるのは、12の分野に関する詳細な知識です。
2級と同じ11分野に加え、繊維の知識が問われます。
三原組織、変形組織、応用組織の繊維の一般的な知識を有することが求められます。
また、「着物の知識・名称」「着物のたたみ方」については、2級では問われなかった「袴」について知識も求められますので注意が必要です。
1級の実技試験でも決められた時間内で着付けをするのは同じですが、着物の種類が2級に比べて広くなります。
2級でも出題された5種の着物に、4種の着物(色留袖、黒留袖、中振袖、羽織・袴)が出題範囲に加わってきます。
着付け技能検定に合格しなければ着付けの仕事はできない?
合格しなくても着付けの仕事はできる!
『着付け技能検定に合格するのは難しそう』『資格がなくても着付けの仕事がしたい』という方はご安心ください。
着付け技能士の資格を持っていなくても、着付けの仕事はできます。
着物屋やホテル、フォトスタジオなどの求人をよく見ると、「経験者優遇・初心者歓迎」の求人がほとんどです。
そもそも着付け技能検定の受検資格には、2年(2級)もしくは5年(1級)の実務経験が必要とされています。
裏を返せば、着付け技能士の資格を持つ前から着付けの実務経験を積めるところがあるということです。
国家資格には有資格者しか業務ができないものと、無資格者でも業務ができるものがあります。
仕事をする上で資格が必ず必要とされるものを『業務独占資格』といいます。
医師、薬剤師、看護師、弁護士、行政書士、公認会計士などが業務独占資格であり、無資格者がその業務を行うと法律違反になります。
一方、着付け技能士は業務独占資格ではないため、無資格者でも着付けの業務がおこなえるのです。
とはいえ、着付け技能士の資格に意味がないわけではありません。
着付け技能士の資格は着付けに関する知識・技能が一定レベルであることを証明するものであり、着付けの仕事に就く上で有利であることは言うまでもありません。
また、着付け技能士の有資格者であることをお客様に示すことによって、その信頼を獲得できます。
また、「1級着付け技能士」「2級着付け技能士」は技能検定に合格している方以外は名乗れない「名称独占資格」です。
そのため、着付けの仕事をしているからといって、無資格の方が「着付け技能士」を名乗ると法律に反することとなってしまいます。
着付け技能検定と他の着付け資格試験での難易度の違いは?
他の着付け試験よりも、受験資格を得る難しさがある!
着付けに関する資格はいくつかありますが、着付け技能検定は受検資格があるという意味でハードルの高い試験といえるかもしれません。
2級の場合は最大で2年、1級の場合は最大で5年の実務経験が必要です。
「実務経験を積む前に、受検して自分の技能と知識を高めたい」という方には、特別な受検資格がなくても受検できる試験や講座をおすすめします。
ここで、着付け技能検定と着付けに関する主な資格の難易度について、比較をしていきたいと思います。
着物文化検定:
この検定は、受検者がきものを学ぶことを通して「きもの文化」への理解を深め、「きもの」の普及・振興を果たすことをその目的としています。
試験は全日本きもの振興会が実施しており、1級から5級まであります。
3級から5級までは受検資格がありません。
(2級の受検資格は3級の合格者、1級の受検資格は2級の合格者となっています。)
技能検定とは異なり、学科試験のみで実技試験はありません。
試験問題の70%~90%は公式教本から出題されることが明言されていますので、全日本きもの振興会が発行する公式教本をまんべんなく学習することが合格への近道です。
和装師
和装の基本技術を学ぶとともに、それを他者に伝達できる技能を手に入れ、着付け講師になることを目指します。
資格は日本伝統技術インストラクター協会が認定しており、1級から3級まであります。
3級は和装の基本(着物の名称、畳み方、着る時のポイント)と着物での基本礼儀作法を身に付けることを目標にしています。2級では着物の補正や他装の基本を、1級では他装全般の知識を身に付けることを目指します。
資格取得のための試験はありませんが、日本伝統技術インストラクター協会が認定する学校や教室で、所定のレッスン(初等科、専科、研究科)を受講する必要があります。
受講資格は問われません。
1級を修了すると「インストラクター」の称号が与えられ、和装インストラクターとしての技能を高めるためのより高度なレッスン(師範科、高等師範科)を受けることができます。
着付け技能士の資格取得を目指すなら
着付け技能検定の受験資格を得て、合格を目指しましょう!
着付け技能検定を受検するためには、まず学科試験の受検資格である実務経験をクリアしなければなりません。
実務経験年数は受検対象者の学歴(以下の学歴は、美容科、着付け科、和裁科、被服科等の着付け職種に関する学科・訓練科である必要があります)によって以下のように異なります。
受検対象者 | 必要実務経験年数 | ||
---|---|---|---|
1級 | 2級 | ||
実務経験のみ | 5年 | 2年 | |
専門高校卒業 | 4年 | - | |
大学・短大・高校専攻科卒業 | 3年 | - | |
専修学校又は各種学校卒業 | 800時間以上 | 4年 | - |
1,600時間以上 | 3年 | - | |
3,200時間以上 | 2 | 0 | |
短期課程の普通職業訓練修了 | 700時間以上 | 4年 | - |
普通課程の普通職業訓練修了 | 2,800時間未満 | 3年 | - |
2,800時間以上 | 2年 | - | |
美容師免許取得 | 2年 | - |
尚、2級合格者が1級の試験を受験する場合、2級合格後の実務経験は1年に短縮されます。
また、実技試験も『受検する級と同じ級かその上位級の学科試験合格者、もしくは学科試験免除者である』必要があります。
学科試験の合格した証明は翌年度末(合格日の翌日から起算して2年を経過する日の属する年度の末日)まで維持できます。
言い換えれば、学科試験に合格してから概ね2年以内に実技試験に合格する必要があるということです。
なお、特定の条件を満たせば、学科試験や実技試験が免除されます。
免除対象者は以下の通りです。
対象者 | 1級 | 2級 | ||
---|---|---|---|---|
学科 | 実技 | 学科 | 実技 | |
職業訓練指導員免許を取得した者 | 免除 | 要受検 | 免除 | 要受検 |
普通課程の普通職業訓練における技能照査に合格後2年(訓練時間が2,800時間以上なら1年)の実務経験のある者 | 要受検 | 要受検 | 免除 | 要受検 |
着付け職種技能検定に係る指定試験機関技能検定委員(問題作成)を2年以上務めた者 | 免除 | 免除 | 免除 | 免除 |
着付け職種技能検定に係る指定試験機関技能検定委員(実技採点)を2年以上務めた者 | 免除 | 免除 | 免除 | 免除 |
自分自身が必要な受験資格については、しっかりチェックして準備をしましょう。
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