心理学検定とは
心理学検定は、一般社団法人日本心理学諸学会連合が行っている検定試験です。
この検定は、大学卒業レベルの心理学の基礎知識・能力を認定するもので、心理学の基礎資格として活用されることを目的に作られました。
日本心理学諸学会連合には心理学に関連する主要56学会が加盟しており、検定試験は各分野の専門家によって作問・採点されています。
心理学検定は心理学に関する資格の中では認知度が高く、専門知識があると証明するのに最適の資格と言えるでしょう。
大学の心理学部や心理学科の卒業など関係なく受検可能!
心理学の資格の中には、「公認心理師」や「臨床心理士」のように、大学や大学院に通わなければ受験できないものもあります。
しかし、心理学検定は独学で受験が可能です。中学生・高校生はもちろん、心理学に興味がある人すべてが受験対象です。
試験勉強は、公式の問題集を解く方法が中心です。心理学を学んだことがない人や知識がない人は、心理学の本を購入して勉強するか、通信講座を受講するなどしましょう。
特1級~2級までのレベルがあり独学でも受験できる
心理学検定は、特1級・1級・2級に分かれています。試験はA領域5科目・B領域5科目という構成です。
級ごとに試験が分かれているわけではなく、下記のように、合格した科目数に応じて認定される級が決定します。
- 特1級:A領域5科目、B領域5科目の10科目すべてに合格
- 1級:A領域の4科目を含む計6科目に合格
- 2級:A領域の2科目を含む計3科目に合格
独学でも受験できる資格ですが、難易度は高めです。2022年の試験結果では特1級11.6%、1級28.2%、2級32.7%の合格率でした。
暗記問題も多いので、テキストをしっかり読み込み、公式の問題集を解いて試験対策を行いましょう。
心理学検定とはどのような試験?
心理学検定がどんな特徴を持つ試験なのか、詳しく説明します。
- 心理学の10科目(A領域5、B領域5)で実施!
- 合格科目には有効期間がある!
- 心理学検定を受検するまでの手順は?
心理学の10科目(A領域5、B領域5)で実施!
心理学検定試験は、心理学の10科目(A領域の5科目+B領域の5科目)について問われます。
具体的な出題領域は以下のとおりです。
【A領域】
- 原理・研究法・歴史
- 学習・認知・知覚
- 発達・教育
- 社会・感情・性格
- 臨床・障害
【B領域】
- 神経・生理
- 統計・測定・評価
- 産業・組織
- 健康・福祉
- 犯罪・非行
※試験問題は全科目合計200問で、すべて4択
試験はCBT(Computer Based Testing)方式で行われ、A領域・B領域とも試験時間は100分固定です。各科目の合否判定基準は、約6割の正答率が目安です。
合格科目には有効期間がある!
心理学検定には、合格科目5年間有効制度があります。当該年度の合格科目に加え、過去5年間の合格科目を合わせられる制度です。
必要な科目を同年度にすべて取得できなくても、合格科目の有効期限内なら心理学検定特1級・1級・2級を取得することも可能です
合格した科目を再度受験せずに済むため、残りの科目の勉強に集中できます。
また、「認定心理士」の資格を取得している人は、A領域の3科目以上に合格すると心理学検定1級を取得できる優遇措置があります。
「認定心理士」は公益社団法人 日本心理学会が主催し、大学で学ぶ標準的な心理学の基礎知識と基礎技術を習得していることを証明する資格です。優遇措置を利用したい人は、申請しましょう。
心理学検定を受検するまでの手順は?
心理学検定を受験するまでの手順は以下のとおりです。
(1)申し込みのために必要な情報を得る
- 全国の大学や専門学校、生涯学習センターなどで直接入手する
- 心理学検定ホームページで確認する
- 心理学検定局に、メール・FAXで直接問い合わせる
申込期間は、12月~3月と5月~8月です。申込期間が変更される可能性もあるので、必ず日本心理学諸学会連合の公式サイトで確認しましょう。
(2)試験の申し込みをする
Web上の「心理学検定 オンライン受付」で申し込みを行います。申込フォームに希望する級を書く必要はありません。検定試験で合格した科目数に応じて自動的に1級、2級が判定されます。
入金確認後5営業日以内に、心理学検定局より受検チケット(電子バウチャー)が届きます。受験予約ページで会場や試験時間を調べて受験予約を行いましょう。
団体で申し込む場合は、団体専用のフォームでの申し込みが必要です。
(3)心理学検定試験を受ける
検定試験の実施は、春季(2月中旬~3月末)と夏季(7月中旬~8月末)の年2回です。検定結果は試験開催期間終了月の翌月末までに届きます。
不合格の場合は3段階のレベル分けがされ、通知されます。また、過去に合格した科目を再受検して不合格となっても、合格科目有効期間内の合格が取り消されるわけではありません。
何度でも挑戦してみましょう。
心理学検定の難易度は?
心理学検定は大学卒業レベルの心理学の知識が問われるため、他の心理学の資格に比べると、難易度は高めです。
ここでは、心理学検定の難易度について、詳しく解説します。
- 合格率は約20~30%と難易度は高め!
- 未経験・初心者は難易度が低い資格のほうがおすすめ
合格率は約20~30%と難易度は高め!
学生から社会人まで多くの人が挑戦している心理学検定ですが、実は難易度が高いことで有名です。
合格ラインはすべての級で約6割の正答率となっており、半分以上の得点が必要となります。
2023年7月18日~8月31日の間に実施された第17回心理学検定の結果を見てみましょう。
【受験者数:2,409名】
- 特1級:合格者数 365名/合格率 15.16%
- 1級:合格者数 434名/合格率 18.02%
- 2級:合格者数 806名/合格率 33.47%
1級、2級の合格率は約20~30%で、半数以上の受験者が級位を取得できない状況です。
難易度が高い理由として、出題される分野が多岐にわたることが挙げられます。
心理学検定では10科目200問が出題されます。出題分野はA領域5科目、B領域5科目と分類され、合格には両方の勉強が必要です。
一番低い級位である2級でも、「A領域の2科目を含む合計3科目に合格」という条件で、1つだけ得意分野を作っても合格には至りません。
また、「統計」には計算問題が含まれていることもあり、10科目の中でも難しさが際立ちます。「統計」を選択しない受験生もいると言われているほどです。
心理学検定は、学習時間の多さと難易度の高い科目によって合格率が低くなっていると考えられます。
未経験・初心者は難易度が低い資格のほうがおすすめ
心理学検定は合格率20~30%で、級が上がるほど難易度が高くなります。心理学の初心者や未経験の人にはハードルの高い資格と言えるでしょう。
心理学に興味がある人は、いきなり心理学検定を受けるのではなく、難易度の低い資格から取得するのがおすすめです。
心理学の資格にはさまざまな種類があり、「メンタル心理カウンセラー」のように、講座の受講が受験資格となるケースもあります。
講座と聞くと「かなり費用がかかるのでは?」と心配になるかもしれません。しかし、目安は4~6万円なので大学に通うよりはるかに安く済みます。
受講すると正確な心理学の知識が身につけられる上に、資格が取得できるため、メリットは大きいと言えるでしょう。
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心理学検定を取得するメリット
心理学検定には次のようなメリットがあります。
- 心理学の知識をアピールしやすくなる
- 大学や大学院の単位取得で優遇されやすい
- 就職や転職活動で有利に働く
1級と特1級は難易度が高く、合格は容易ではありません。しかし、得られるメリットは大きく、時間をかけてでも取得する価値のある資格と言えるでしょう。
心理学の知識をアピールしやすくなる
心理学の資格は数多くありますが、心理学検定は他の資格に比べて難易度の高い試験内容です。
公式サイトでは、心理学検定を「大学・学部卒業レベルの心理学の知識・能力の客観的到達度を認定する検定試験」と定めています。
大学や専門機関で心理学を学んでいない人でも、合格すれば「心理学の基礎知識を網羅している」という証明になるのは、大きなメリットと言えるでしょう。
例えば、カウンセラーを目指す人が心理学検定を持っていた場合、「心理学の専門知識がある」というアピールにつながり、高い信頼を得られます。
心理学の資格の中には大学・大学院卒業が受験資格になっており、社会人には取得の難しいものもあります。心理学検定は誰でも受験可能ですが、難易度も信頼性も高いため、取得しておいて損はありません。
大学や大学院の単位取得で優遇されやすい
心理学検定は大学院の心理学部に進む予定の人にとって、大きなメリットがあります。
一例として、次のような優遇をご紹介します。
- 北海道大学大学院文学院:心理学検定の特1級または1級に合格している人は、修士課程入試の試験の一部が免除される
- 神戸学院大学大学院:心理学検定における成績が試験の成績に加味される
- 宮城学院女子大学学芸学部心理行動科学科:心理学検定の資格が所定の単位として認定される
心理学検定を取得した場合、表彰する制度を取っている大学もあり、各大学から高い評価を得ている資格と言えるでしょう。
大学院の入試免除や単位取得で優遇を得たい人には、心理学検定の取得がおすすめです。
就職や転職活動で有利に働く
心理学検定は履歴書に書ける資格です。公式サイトには「履歴書の書き方」も掲載されています。
カウンセラーを目指す人はもちろん、一般企業の総務や人事職でもメンタルヘルスは役立ちます。心理学検定があれば採用のアピールにつながるでしょう。
また、心理学検定を取得すると、日本カウンセリング学会や日本健康心理学会などへの入会資格が得られます。心理学の学びを深め、仕事につなげたいという人にとって、このような学会に入会できるのは大きなメリットです。
心理学検定合格に向けた勉強法
心理学検定の勉強方法には、次のようなものがあります。
- 参考書を読む
- 講座を利用する
- 問題集や過去問を解く
独学なら参考書や問題集を購入し、講座なら心理学の基礎が学べそうな種類を選ぶのがおすすめです。自分に合った方法で勉強しましょう。
参考書を読む
日本心理学諸学会連合では、次のような公式書籍を販売しています。心理学検定の試験勉強をするなら購入しておいたほうが良いでしょう。
- 心理学検定 公式問題集
- 心理学検定 専門用語&人名辞典
- 心理学検定 基本キーワード
- 心理学検定 一問一答問題集〔A領域編〕
- 心理学検定 一問一答問題集〔B領域編〕
しかし、心理学を初めて学ぶ人は、まず基礎的な知識を身に着けるのが先です。いきなり心理学検定の問題集から勉強を始めても、心理学の専門用語や歴史を知らないと、解きようがありません。
公式サイトでは、推薦書籍が掲載されています。また、初心者向けの心理学の本や参考書も市販されているので、どちらも活用しましょう。
講座を利用する
心理学検定の勉強には、講座を利用する方法もあります。
心理学に関する本は膨大に出版されており、初心者向けの本を選ぶだけでも大変です。自分で本を選び、独学で勉強するのが合わないと感じる人は、通信講座で基礎から学ぶのがおすすめです。
通信講座のメリットとしては、次の3つがあります。
- 質問ができるので、疑問がすぐ解消できる
- カリキュラムがあり、基礎から応用まで効率よく学べる
- 資格試験の合格までサポートしてくれる
講座によっては、心理学検定の合格を目指せるものもあります。
デメリットは独学よりお金がかかる点ですが、心理学について正確かつ効率的に学びたい人には最適の勉強方法です。
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問題集や過去問を解く
心理学検定合格を目指すなら、問題集を解くことが基本です。心理学検定の公式サイトでは、公式書籍の活用を進めています。
公式問題集には、過去の心理学検定試験で出題された問題や模擬問題、解説が掲載されています。問題集を解くことによって、試験の出題傾向を知ることが可能です。
問題集を解きつつ、わからない用語や事柄に関しては、キーワード集などで調べていくと効率のよい勉強になります。
心理学の知識がない方は、まずは心理学入門の本を読み、概要を理解してから問題集を解いてみましょう。
あまりにも難易度が高いと感じた場合は、別の資格取得を検討し、実力を身につけてから再挑戦するのがおすすめです。
心理学検定はどのような問題が出題される?過去問の例を紹介!
出題に対し4択から答えを選択する形式です。単語を一字一句正確に覚えていない場合でも回答が可能です。
公式のテキストや過去問題集には記載されていない内容が問われることもあります。過去問題集は、試験問題の傾向を知るために利用し、出題範囲をまんべんなく勉強しておきましょう。
過去問題の出題例
ここでは、過去に出題された問題を例題として紹介します。
●【A領域:原理・研究法・歴史】より出題例
問:調査票(質問紙)を用いた調査法による心理学研究において本調査の前に予備調査をおこなう目的として、最も妥当なものはなにか。
(1)予備調査と本調査の結果の相関に基づき、本調査が適切に行われたかを確認する
(2)本調査で用いる質問項目や質問の量・時間を決定する
(3)時間経過による回答の変化傾向を調べる
(4)本調査のサンプル回収数が予定より少ない場合、予備調査のサンプルで補う
●【B領域:神経・生理】より出題例
問:神経伝達物質に関する説明として適切なものはどれか。
(1)ノルアドレナリンの選択的再取り込み剤は主に認知症治療に用いられる
(2)グルタミン酸は興奮性の神経伝達物質である
(3)コカインはセロトニンの再取り込みを阻害することで強い快をもたらす
(4)アセチルコリンエステラーゼはアセチルコリンの前駆物質である
心理学検定以外でおすすめの資格
心理学検定以外にも心理関連の資格は数多くあります。
「何か心理の資格を取ってみたいけれど、独学だと不安」、「心理学の知識がゼロだから、心理学検定を受ける自信がない」という方は、通信講座の受講を検討しましょう。
例えば、次のような資格は心理学を初めて勉強する方におすすめです。
- メンタルケアカウンセラー®
- メンタルケア心理士
- メンタル心理カウンセラー
メンタルケアカウンセラー®
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メンタルケア心理士の上位資格として、「メンタルケア心理専門士」という資格もあります。
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心理学検定に関するよくある質問
ここでは、心理学検定についてよくある質問に対し、Q&A形式で解答します。
- 心理学検定の資格を取る意味はないの?
- 心理学検定は何に使える?
心理学検定の資格を取る意味はないの?
目的にマッチしているなら、心理学検定の資格を取得する意味はあります。
しかし、心理学を活用した仕事に就職したいという人なら、他の心理学の資格でも問題ありません。
心理学検定以外の資格について知りたいという人は、下記の記事を参考にしてみましょう。BrushUP学びでは、実績が豊富な心理学の資格を取得できる講座をまとめています。
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心理学検定は何に使える?
心理学検定は、次のようなことに使えます。
- 大学院入試で優遇措置を受ける
- 公認心理師などの上位資格を取得する際の模擬試験になる
- 大学・大学院で心理学を学んでいなくても同等の知識があると証明できる
これから大学院の心理学科に進む人や公認心理師の資格を目指している人は、資格を取得しておいて損はないでしょう。