理学療法士は開業や独立はできる?
理学療法士としての開業・独立はできない
理学療法士は法律上、「医師の指示の下に、理学療法を行うことを業とする者 」と定義されています。
つまり、医師の指示がなければ理学療法を提供できないという意味になるため、事実上、理学療法士には開業権がないことになります。
別の事業として起業する
どうしても独立開業したい場合、理学療法をおこなわない別の事業であれば起業することができます。
以下で、理学療法士の知識や経験が活かせる事業を4つご紹介します。
理学療法士が開業する具体的な方法は?
(1)デイサービスを立ち上げる
デイサービスは、高齢者が自宅で生活をしていけるよう、食事・排泄介助・入浴などの身体機能訓練や、コミュニケーションの場として活用する施設です。
理学療法士の知識を活かしたプログラムや、トレーニング方法を提供できるデイサービスを立ち上げれば、リハビリを重視したい利用者やご家族にとって嬉しい施設となるのではないでしょうか。
また、デイサービスの利用は介護保険サービスの1つのため、要介護認定を受けた方は介護保険が適用できます。
高齢化が進み、デイサービスの需要は年々高まっているので、集客にはあまり困らないかもしれません。
注意点
デイサービスを立ち上げる場合、初期費用が高額となるでしょう。
施設費はもちろん、人件費や利用者送迎のための車両購入が必要です。
また、介護保険の仕組みとして、最初3ヶ月は収入がないままサービスを提供していかなければなりません。
運営資金をしっかり計算し用意しておく必要があります。
(2)整体院・施術サロンとして開業する
理学療法を医療として用いることはできませんが、整体やエステ・マッサージなどのリラクゼーションサロンのような健康・美容分野での開業は可能です。
整体院
整体とは、手技を用いた民間療法全般のことを指します。
骨盤や背骨のゆがみを手技によって矯正し、調整を行います。
明確な定義はなく、医療行為とは異なるため、整体というかたちであれば開業することが可能です。
施術サロン
エステやマッサージサロンとしての開業も可能です。
肩こりや腰痛、ダイエット、足つぼ、姿勢改善、産後ケアなど、さまざまな施術内容があるため、選べる幅が広がります。
注意点
接骨院、鍼灸院、あん摩マッサージ指圧院などは開業できないので注意してください。
これらの施術を行うには、それぞれ別の国家資格が必要とされています。
整体院やサロンはライバル店が多く、リピーターを獲得するのに苦労するかもしれません。
立地はもちろん、学生・女性などのターゲット客層の設定、価格、営業時間を考慮して開業する必要があります。
(3)セミナーや研修の主催者となる
理学療法士は、情報の更新が必要な職業です。
新たな知識や技術を学ぶため、セミナーや勉強会が各地で開催されています。
そこで、ご自身でセミナーを主催するという方法もあります。
「自分が新人だったときどんな情報が欲しかったか?」「いま現場が必要としている知識や技術は?」など、実務経験を活かしたセミナーは需要が高いようです。
そのため、資格の取得のみで、実務経験がない場合は難しいかもしれません。
また、実践も踏まえた研修を企画・運営できれば、さらに活躍の場を広げることが可能です。
注意点
セミナーや研修は無料で開催されているものも多いため、有料のセミナーに参加者を集めるのは容易ではありません。
理学療法士として権威のある方や、著名人・プロスポーツ選手などと契約をしている方でない限り、セミナーや研修での参加費で生計を立てるのは難しいようです。
(4)フリーランスで活動する
最後にご紹介するのは、自身の店舗を持たずフリーランスとして働く方法です。
複数のフィットネスクラブやスポーツジムなどと契約を結びます。
フリーランスで働きながら、ほかの資格を取得してパーソナルトレーナーになるのもおすすめです。
パーソナルトレーニングはダイエットや身体改善を目的とした利用者が多く、効果も出やすいと人気があります。
マンツーマンでのトレーニング指導力が必須となりますが、利用者と良好な関係を築くことができれば、ジムなどを介さずに個人で契約を取れる可能性もあります。
最近はオンラインでパーソナルトレーニングを行うことも多いため、英語が得意という方は世界的に認知度が高い資格を取得すれば、幅広く活躍できるかもしれません。
中には理学療法士によって考案されたトレーナー資格もあるので、検討されてみてはいかがでしょうか。
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まとめ
理学療法士は、独立して理学療法をおこなうと違法になるため、開業に適した資格とはいえません。
ただし、理学療法士としての知識・技術・経験を活かせる他事業での開業ができます。
その場合は、高収入を得ることは難しいということを念頭に置いたほうが良いでしょう。
さらに、経営者としての手腕が問われます。
顧客の回復のほか、経営についても考えながら働かなくてはなりません。
ご自身のやりたい仕事や適正を、しっかりと見極める必要がありそうです。