SNSカウンセラーとは?
「SNSカウンセラー」は、「全国SNSカウンセリング協議会」による認定登録制度です。近年では、SNSを使ったコミュニケーションが一般的になり、SNSを用いたカウンセリングのニーズが高まっています。そこで、安心・安全なSNSカウンセリングの体制を整えるため、この資格が作られました。
「SNSカウンセラー」の資格では次のことを保証します。
- 広く社会に対して、安心・安全なSNSカウンセリングを提供できる人材を保証
- SNSカウンセラー能力要件に基づく、SNSカウンセラーの能力の担保
- SNSカウンセラー倫理綱領に基づく、SNSカウンセラーの禁止事項の明確化
また、具体的に「SNSカウンセラー」としての役割が次のように定められています。
- 1.相談者の心理状態を理解すること
- 2.相談者の置かれている状況を理解すること
- 3.理解に基づく適切な心理的ケアと助言を提供すること
- 4.心の健康に関する予防・啓発的情報を発信すること
SNSカウンセラーの需要は?
現代ではSNSの利用が一般的になり、コミュニケーションツールとして普及しています。しかし、従来の相談窓口は対面や電話によるものが多く、悩みを抱えた若者にとって相談しにくいという課題がありました。若者の需要とのミスマッチを受けて、2017年には「全国SNSカウンセリング協議会」が設立され、SNSを用いたカウンセリング需要に対応するようになりました。
また、2017年にはSNSでの自殺志願者の事件が発覚し、国としても「SNSを通じて誰もが相談しやすい窓口」の整備が進められています。
さらに、総務省の「情報通信白書令和5年版」によると、日本のSNS利用者数は1億200万人(2022年)にも上り、今後も増加すると予想されています。社会や行政、SNS関連事業者、カウンセリングの専門家などにとってSNSカウンセリング体制は喫緊の責務だと言われています。
このような状況を踏まえ、今後もSNSを活用したカウンセリングの需要は高く、「SNSカウンセラー」の活躍は期待されていると考えられます。
SNSカウンセラーになるには?
登録の流れは?
認定登録要件に従って必要な養成講座を受講し、認定制度の申し込みをすることで資格を取得できます。
ステップ1.「SNSカウンセラー認定登録要件」を確認しましょう。ご自身が取得している資格によって必要な養成講座が変わります。
ステップ2.認定登録要件に従って、該当する養成講座実施団体の担当者と相談して、受講する講座を決定しましょう。
ステップ3.必要な養成講座を受講しましょう。ご自身が現在取得している資格によって、研修時間が異なります。
ステップ4.講座を修了すると、養成講座実施団体から修了証が交付されます。
ステップ5.指定された「SNSカウンセラー認定制度のお申し込み」画面で登録を行います。あわせて、認定登録料・年会費を支払います。
ステップ6.全国SNSカウンセリング協議会から認定書・登録番号が送られて、登録完了となります。
ステップ7.「SNSカウンセラー」としての活動が始まります。
尚、初年度は登録費用と会費3年分の前納となります。また、「SNSカウンセラー」としての能力維持向上のため、更新の際は講習の実施が予定されています。
登録の要件は?
「SNSカウンセラー」の認定登録要件は大きく分けて3パターンです。
A. 心理カウンセラー資格を取得している人
次のいずれかの資格を取得している場合、2日間のSNSカウンセラー養成講座を受講した後、認定登録手続きを行うことで「SNSカウンセラー」の取得が可能です。
・公認心理師(国家資格)
専門的な知識・技術を用いて、相談者のカウンセリングや指導を行う公認心理師になる際に必須となる資格。資格取得のためには、基本的に大学・大学院で勉強し、試験に合格する必要がある。
・認定心理カウンセラー(公益財団法人関西カウンセリングセンター)
心理的困難を抱えた方に対するカウンセリングスキルを学べる資格。150時間分の「カウンセリング実践力養成コース」を修了後、認定審査に合格することで資格を取得できる。
・プロフェッショナル心理カウンセラー(一般社団法人全国心理業連合会)
プロの心理カウンセラーに必要な専門スキルを認定する資格。資格取得のためには、認定教育機関でカリキュラムを履修後、推薦を受けた上で試験に合格する必要がある。
・産業カウンセラー(一般社団法人日本産業カウンセラー協会)
働く人や組織が抱える課題を自ら解決できるよう心理的手法で支援を行う産業カウンセラーのスキルを学べる資格。資格取得には、「産業カウンセラー養成講座」を修了するなどして受験資格を得た後、試験に合格する必要がある。
・臨床心理士(一般社団法人⽇本臨床⼼理⼠会)
心の問題に取り組む「心理専門職」を証明する資格。資格取得のためには、基本的に大学院を修了し、試験に合格する必要がある。
・ガイダンスカウンセラー(一般社団法人⽇本スクールカウンセリング推進協議会)
学校などで子どもたちの発達課題を支援する心理・教育の専門家のスキルを学べる資格。資格取得には3つの方法があり、それぞれ受験資格が異なる。要件を満たした上で試験に合格する必要がある。
B. 心理カウンセラー資格は持っていないが、隣接国家資格を取得している人
Aの心理カウンセラー資格を持っていないが、次のいずれかの隣接国家資格を取得している場合、カウンセリング50時間講座を受講後、2日間のSNSカウンセラー養成講座を修了し、認定登録手続きを行うことで「SNSカウンセラー」を取得できます。
・精神保健福祉士
精神障がいを持つ方の支援を行う精神保健福祉士になる際に必須となる資格。資格取得のためには、基本的に大学や短期大学で勉強し、試験に合格する必要がある。
・社会福祉士
身体や精神上の障がい、環境などの理由から日常生活に困難がある方を支援する社会福祉士になる際に必須となる資格。資格取得のためには、基本的に大学や短期大学で勉強し、試験に合格する必要がある。
・キャリアコンサルタント
キャリアコンサルティングを行う専門家として必須となる資格。資格取得には、講習カリキュラムを修了するなどして受験資格を得た後、試験に合格する必要がある。
C. A・Bの資格を持っていない人
まずは、Aの心理カウンセラー資格かBの隣接国家資格を取得し、AまたはBの手順に沿って手続きを行う必要があります。
どんなスキルが必要?
相談者が安心・安全にSNSカウンセリングを利用できるよう、「SNSカウンセラー」は相談者の心理状態を理解したり適切な心理的ケアやアドバイスを行うことが求められます。
「SNSカウンセラー」に必要なスキルは次の通りです。
- SNS相談の社会的意義および役割の理解
- SNS相談を行うための基本知識の理解
- SNS相談を行うための基本スキル
- SNS相談を行う上で必要となる、現代の社会的・文化的問題とその他の関連領域に関する理解
チャット機能を用いた相談では、対面とは異なる形態でカウンセリングを行うため、例えば次のような相談スキルが求められます。
- 共感的で支持的なメッセージをはっきりと言葉で伝える。
- 「感情の反射」よりも対話をリードする「質問」を行う。
- 情報提供・心理教育を積極的に行う。
- 問題の取り組みへの相談者の動機づけを高める。
- 相談者のテンポと文章量に波長を合わせる。
- 応答の行き違いやタイムラグを適切に取り扱う。
- 絵文字・スタンプを適切に利用する。
SNSカウンセラーの仕事は?
仕事内容は?
主な仕事内容は、SNSやチャットを使って悩みを抱えた方の相談対応を行います。SNS相談は、「LINE」などのSNSやチャットを使って悩みを相談できる仕組みで、NPOや企業などが相談事業を行っています。年代や性別に関係なく誰でも利用できますが、団体によっては、若者向け・女性向け・子ども向けといった特定の年代を専門に扱うところもあります。相談時間は団体によって異なり、深夜や早朝にも相談を受けつけるところや24時間体制のところもあります。
相談内容としては、自殺に関する相談や、いじめ、人間関係、ひきこもり、貧困など幅広い悩みに対してSOSを受け止めて適切なカウンセリングを行います。支援計画や報告書の作成、統計・集計処理などを行うこともあります。
平均給与は?
「SNSカウンセラー」の平均給与のデータはないため、ここでは「求人ボックス 給料ナビ」の心理士の給与をご紹介します。心理士の平均年収は約368万円で、月給換算すると31万円と言われています。国税庁の「令和4年分 民間給与実態統計調査」では、日本の平均給与は458万円のため、日本の平均年収と比べると心理士の収入は低い傾向にあります。
SNSカウンセラーとして働くメリットは?
コミュニケーションツールとしてSNSが普及していることから、SNSによる相談の需要は高まっています。ストレス社会とも言われる現代において、ストレスや悩みを抱える人は少なくありません。
対面でのカウンセリングとなると、悩みを打ち明けるにはハードルが高いと感じてしまい、誰にも相談できずに苦しんでいる方も少なくありません。SNSを活用することで相談しやすくなり、より多くの方の手助けにつながります。
また、SNSを活用すれば、相談者・カウンセラー双方がどんな場所でもやり取りができます。在宅での業務が可能になるため働き方の自由度が広がります。
まとめ
「SNSカウンセラー」の資格は、心理カウンセラー資格や隣接国家資格の取得が必須となります。既に資格を持っているという方は、仕事の幅を広げるために「SNSカウンセラー」の取得を目指してみてはいかがでしょうか。
現在は資格を持っていないけれど、「SNSカウンセラー」に興味があるという方は、まずは心理カウンセラー資格や隣接国家資格について調べてみましょう。BrushUP学びでは、さまざまな資格についてご紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。