書道と習字の違いとは?
『書道』は文字の美しさを表現し、『習字』は美しい字を学ぶもの
書道は字を通じて行う自己表現が最大の目的。習字は字の正しい書き順や美しい字の書き方を習うという点から、両者の言葉の定義が異なります。書道は、字を用いた自己表現を行いたいという方が趣味として行っていることが多いため、主な対象者は限定されてはいませんが、教室や会派によってその教えが異なるなど、芸術的な側面もあります。一方で、習字は主に小学生、中学生が対象者で学校の国語の授業で学習し、一律の指導となるので、「学習」という側面が強いと言えます。『書道』『習字』の違いについては上記のように覚えておくとわかりやすいかもしれません。
書道の先生になるには?
資格がなくても書道の先生になれるものの、「師範」の資格があれば信頼度が増す
書道には、一般的に級位・段位といった実力を示す階級があり、その最上位には師範というものがありますが、意外かもしれませんが、書道教室の先生になるための専用資格などはありません。書道教室を開く場合にも、書道の免許や資格を問われることはありません。ただし「師範」の資格が無意味ということはなく、資格があることで実力を表すことができるため、書道教室の信頼性アップに繋がることも考えられます。
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書道の段位・階級について
段位・階級の統一の基準はなく、会派などによって異なる
書道の会派は数百、数千と存在しますが、独自で階級を設定しているため、意外なことに、統一した基準は存在しません。そのため、仮に同じ階級であっても実際の能力が異なる場合もあります。書道は対戦するような競技ではないので、比較対象がほぼないといえます。書道教室の先生の主観にもよりますが、実力があることを先生に認めてもらわなければ、階級は与えられないものと考えておくとよいでしょう。
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書道師範になるには?流派・団体について
流派に所属する書道教室で級や段位を取得し、師範試験に合格する!
書道師範を目指すには、どこかの流派に所属する書道教室や団体に所属することから始めましょう。通信講座もあります。お目当ての書道教室に入門し、カリキュラムに沿って受講を続ける必要がありますが、カリキュラムを受けるだけで資格認定される場合はごく少数で、一般的には級位・段位を取得するときと同様に師範認定試験が設けられています。また、書道教室によって師範になるための難易度、費用が大きく異なるため注意が必要です。
書道の流派・団体について
平安中期頃に「藤原行成」「小野道風」「藤原佐理」という3人の能書家により急激に書道の人気が高まりました。飛鳥時代に入ると様々な流派が誕生・確立していきました。主な流派は下記の通り9つ存在します。
最も古い書道流派の一つの「世尊寺流(せそんじりゅう)」、「世尊寺流」の流れを汲む流派で武家の公的文書として使用されることが多かった「尊円流(そんえんりゅう)」、鎌倉時代には隆盛を極め、時代を代表する流派となった「法性寺流(ほっしょうじりゅう)」、徳川家康により幕府の公文書の書法に採用された「持明院流(じみょういんりゅう)」、皇室家に代々継承されていき伝授されている「有栖川流(ありすがわりゅう)」、装飾性が高い書風が特徴で、江戸時代初期に活躍した本阿弥光悦により創設された「光悦流(こうえつりゅう)」、その他、「禅林墨跡(ぜんりんぼくせき)」、「尊朝流(そんちょうりゅう)」、「竹峰流(ちくほうりゅう)」といった流派が存在します。
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書道の独学には「臨書」が良い?
「臨書」=お手本(古典)を見ながら字を書くこと
「書は臨書で始まり、臨書で終わる」といった格言が存在するように、書道において臨書は重要な要素の一つといえます。臨書は、古典作品を中心としたお手本を見ながら書道を行うことを指します。教科書や参考書類を見て習字を行った人が多いと思いますので、皆さんも一度は体験したことがあるかと思います。臨書では、しっかりとお手本を観察し、全く同じように書き写し、模写する意識を強く持って行う書道が臨書に該当するといえます。
「臨書」の種類
「臨書」には、3つの種類があります。1つめは、お手本となる書道作品の字を形そのまま真似て書き写す「形臨(けいりん)」、2つめは、書き手の精神に着目する「意臨」、お手本を見て記憶し、お手本を使用せずに自身の記憶だけを頼りにして臨書を行う「背臨」の3つがあります。
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毛筆書写技能検定とは?
文部科学省が後援の毛筆に関する技術と知識を審査する書写技能検定試験のこと
毛筆書写技能検定は、文部科学省が後援し、一般財団法人 日本書写技能検定協会が主催している検定試験のことを指します。毛筆に関する技術と知識を審査する書写技能検定試験であり、年3回実施されています。
「毛筆書写技能検定」の受験者数・合格者数
平成28年では、
●受験者数:23,250人
●合格者数:17,163人
上記のような受験者数・合格者数となっています。
5級・4級ではほとんどが90%台の合格率で、1級ではいずれも11%を割り込んでいます。5級・4級の難易度は低く、3級以降で徐々に難しくなります。
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書道を活かした「筆耕」の仕事・資格とは?
筆を使って文字を書く仕事のこと
「筆耕」の仕事を具体的に説明すると、依頼を受け筆やペンを使用して、賞状や、結婚式の招待状の宛名を書いたり、座席札や賞状を書いたりなど文字を書くことを仕事で、筆耕を仕事にする人を「筆耕士」と呼びます。筆耕士になるためには特別な資格は不要で、何歳からでも始めることができます。
筆耕で活かせる資格としては「賞状書士」・「賞状技法士」などがある
取得していた方がよいと言われる資格に「賞状書士」や「賞状技法士」というものがあります。この賞状書士、賞状技法士は、さまざまな文書に毛筆で美しい文字を書くことを仕事としています。のしや箱書き、挨拶状、ご祝儀の名前、結婚式招待状の宛名など、活躍の場は多岐に渡ります。資格を取得した民間団体に認定書士として登録されることで、紹介を受けたり、受注件数が増えたりする可能性があります。
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