書道を活かせる「筆耕」ってなに?
筆を使って文字を書くことにより収入を得る仕事のこと!
まず、「筆耕」とは何なのかというお話をします。
「筆耕」を辞書で引いてみると、『写字や清書で報酬を得ること。または、その人』、『文筆によって生計を立てること』などと記されています。
具体的には、依頼を受け筆やペンを使用して、招待状の宛名を書いたり、座席札や賞状を書いたりなど文字を書くことを仕事とする方です。
この筆耕を仕事にする人を「筆耕士」と呼びますが、筆耕士になるためには特別な資格は不要で、何歳からでも始めることができます。
また、定年もないので長く仕事として活かすことができます。
別の本業を持ちながら副業で筆耕士として働く方も多くいます。
筆耕士になるためには特別な資格は不要だとお話ししましたが、何も学ばずいきなり仕事ができるわけではありません。
筆耕士として働きたいという場合、筆耕においての専門技術の習得は必須となります。
直接、筆耕書道を教えてもらえる教室や指導者と会えることがいちばんですが、最近では筆耕書道を学ぶための通信講座なども増えてきています。
当然個人差はありますが、約2年程度で技術を習得することがほとんどです。
また、独自の認定試験を設けているところもあります。
「筆耕」の具体的な仕事内容は?
■賞状、結婚式の招待状、宛名書き、式辞から垂れ幕や看板などさまざま
では、筆耕の仕事にはどのようなものがあるのでしょうか。
基本的には、賞状や結婚式の招待状、宛名書きなどのほかに、式辞、記章、のしなどの業務が挙げられます。
さらに詳細に例を上げると、卒業証書や目録、式次第、家系図、垂れ幕、遺書、表札、看板など大小さまざまな業務がたくさんあります。
パソコンやプリンターの普及により、簡単にできそうな仕事という印象はあるかもしれません。
しかし、結婚式の招待状や卒業証書などはやはり手書きの方がよりよく感じられます。
また、記章や胸章など印刷が困難なものでも手書きであれば問題なく字が書けます。
とくに卒業証書や永年勤続証の賞状などが多く必要になる1~3月は、筆耕士にとっての繁忙期になります。
「筆耕」の仕事をはじめるにはどうしたらよい?
■求人を探すか自営ではじめる
筆耕の仕事を始めるためには、どうすればよいのでしょうか。
まずは筆耕の仕事を必要としている依頼人を探すか、依頼人に見つけてもらうことが必要になります。
依頼人を探すということは、筆耕の求人を探すことです。
筆耕の求人を探す方法でいちばん手軽に着手できるのは、インターネットを活用することでしょう。
ハローワークや求人雑誌で筆耕士の仕事を見つけることはなかなか困難ですが、インターネットであればたくさんの求人を見つけることができます。
もう一つの方法は、自分で自営業としてスタートし、集客をして運営をしていくことです。
筆耕の仕事内容とどのような需要がどこにあるのかを知ることで、集客はもちろんのこと受注へとつなげることができます。
インターネットを利用してホームページを作成したり、SNSを利用したり、チラシを作ったりと集客には色々な方法があります。
「筆耕士」の給料・年収ってどのくらい?
例)日給約数千円~1万円!年約200~300万程度!(※単価をもとに計算した場合)
筆耕士として働き収入を得るためには、個人で働くほかにも専門の人材派遣会社に登録して仕事を受注するという方法があります。
しかし、筆耕士の仕事は副業として仕事にされることが多く、筆耕の専門として正社員になれることは少ないため、多くは派遣やアルバイトとなってしまいます。
そのため、社員としての安定した月給・年収ではなく、仕事の単価として考えることになるために収入も人によってずいぶん差が出ます。
単価で収入を見た場合、たとえば名入れでは1枚50円~数百円となり、ペンでの宛名書きでは1枚20~30円、毛筆の宛名書きでは40円~60円ほどです。
全文の筆耕では数千円~1万円となり、これが出張になると日給1万円ほどになります。
単価はいくらか、どのくらいの件数を受注できるかによって当然収入は異なりますが、これをあえて年収で換算すると、およそ200~300万円程度となります。
「筆耕」の仕事に必要な資格・知識とは?
「賞状書士」・「賞状技法士」などの資格があると活かすことができる!
先ほど、「筆耕」とは何なのかという項目の中で、筆耕士としての専門技術の習得は必須だとお話ししました。
筆耕を仕事にする以上、適切な筆記用具を用い、癖がなく同じ大きさに見えて中心がぶれていない文字を書ける、ということが絶対的な条件となります。
また、いつでも写したように同じ文字をきちんと書けなければなりません。
このような特性が芸術性の強い書道とは異なるところです。
筆耕士として働くためには、正確で読みやすく全く同じ形の文字を何度でも書くことができるように専門的な訓練が必要となります。
書道を習った経験があっても筆耕とまったく別物だと考えて最初から勉強するくらいの心持ちが必要でしょう。
このような条件を満たすために、取得していた方がよいと言われる資格に「賞状書士」や「賞状技法士」というものがあります。
資格の名前に「賞状」がついていますが、賞状書士や賞状技法士が書くのは賞状だけではありません。
賞状書士、賞状技法士は、さまざまな文書に毛筆で美しい文字を書くことを仕事としています。
のしや箱書き、挨拶状、ご祝儀の名前、結婚式招待状の宛名など、活躍の場は多岐に渡っています。
また、資格を取得した民間団体に認定書士として登録されることで、紹介を受けたり、受注件数が増えたりする可能性があります。
筆耕書道の訓練やレイアウト、書き方(名前・会社名・肩書など)の知識は必要!
筆耕士として働くことを志すきっかけになるものが、もともと書道を学んでいたとか、字を書くのが好きだからという方もいらっしゃるかと思います。
しかし、芸術書道ともいわれる一般的な書道と筆耕書道はまったく異なるものです。
まず、筆耕書道では、誰にでも見やすい楷書が書けることが大前提となり、個性を生かすこともある芸術書道の常識が通用しないことがあります。
もちろん、筆耕の仕事をしていく中で、書道で学んだ行書や草書、隷書などが役に立つ場面はあります。
しかし、筆耕として働くためには、楷書を、癖がなく読みやすい字で丁寧に美しく、かつ、いつも写したように同じ文字で書けることが多くの場面で必要とされるのです。
筆耕士になるために必須の資格というものはありませんが、いつでもこれらの条件を満たす字を書けるようになるためには、やはり訓練が必要です。
それまでに書道を学んだ経験がある場合でも、筆耕書道とは別物であると考えた方がいいでしょう。
筆耕士を目指すのであれば、まずは筆耕書道をしっかりと教えてくれる先生を見つけることをおすすめします。
または、最近では通信講座での筆耕講座も増えてきていますので、それを利用するのも良い方法です。
一部の通信講座では、受講するための条件として、これまでの書道経験を問うスクールもあります。
もちろん初心者歓迎の講座も多くありますので、自分に合った講座を選びましょう。
個人差はありますが、筆耕士として働くための技術習得には、大体2年程度かかるのが一般的です。
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