建築士になる方法とは
まずは建築士の資格取得が必要
建築士になるには、建築士の資格を取得し建築士名簿への登録をしてはじめて完了となり、業務が行えるようになります。そのため、建築士の資格をまだ持っていない方は資格取得が必要となります。建築士の資格には、一級建築士、二級建築士、木造建築士の3つがあり、扱える建物の規模や用途、構造なども異なります。また、一級建築士の資格取得には二級建築士の資格取得と実務経験が必要となります。
こんな人が向いています
クリエイター色が濃い職業なので、芸術的なセンスは重要。日頃からアートや文化に興味を持ち、オリジナルな感性を持っている人におすすめです。資格取得後も日々新しいものを取り入れ自分の感性を磨いていく事が大切。また、設計の側面だけでなく、クライアントとの折衝能力や建物のコンセプトを的確に説明するプレゼン能力なども必要です。将来、独立を目指すのであれば、経営の知識や運営ノウハウなどトータルな能力も身につけたほうがよいでしょう。
建築士資格の種類
資格取得後には免許の登録・申請が必要
試験に合格したら、免許の登録・申請をしましょう。無事に受理されると免許証が交付されます。ここでようやく建築士としての仕事ができるようになります。交付窓口は各都道府県建築士会が担っており、申請手続きも都道府県によって異なります。 住所地の建築士会に問い合わせて確認しましょう。
各建築士資格でできる業務内容の違い
建築士の業務としては、主に建築物の設計と工事監理があります。(※手続き業務等も含む)また、各建築士資格によって、取り扱える規模や構造も異なります。各資格で行える業務内容をまとめましたので、どの資格が必要なのか考える際の参考にしてみてください。
●一級建築士
設計できる建築物の制限がないので、木造の小さい戸建て家屋からコンクリート構造の大型商業施設など、全ての建築物を取り扱えるのが特徴です。その分、受験資格として二級建築士としての実務経験が求められるなど、条件面でも難易度が上がる資格でもあります。
●二級建築士
商業施設や病院などの業務に関わる建物の設計は一級建築士でないと設計できませんが、個人住宅程度の規模の木造・鉄筋・鉄骨の設計・工事監理を行うことができます。
●木造建築士
木造の建築物に関してのみ、設計や工事監理等の業務を行うことができます。
建築士資格の有効活用でキャリアアップも可能
建築士の活躍の場は不動産業界や建築業界が中心ですが、建築士資格を持っていることでご自身のキャリアアップにつなげることも可能です。資格手当がついたり、昇給や進級に影響することもあるでしょう。また、二級建築士で言えば、独立するという点では取り扱える建築物の制限はありますが、設計事務所や不動産会社などといった組織で役立てることもできます。 他の資格を取得する際、建築士の資格があることにより、土地家屋調査士やインテリアプランナーの試験で優遇措置を受けられたり、宅地建物取引主任者や行政書士などの他資格と組み合わることでプラスになる場合もあります。 建築士になれるだけではなく、ご自身のキャリアアップにもつなげることができる有効的な資格と言えるでしょう。
一級建築士の給料・年収分析
一級建築士の平均年収
厚生労働省「平成27年賃金構造基本統計調査」の結果、一級建築士の平均年齢は、正社員の場合で49.7歳で、勤続年数が15.2年であることがわかりました。そして、平均年収に関しては、644万5500円で、月収にすると42万2000円です。また年間ボーナスの平均は、138万1500円でした。この結果から、一級建築士は高い水準の年収を得ることが出来る仕事であるとわかります。さらにデータ上では、残業時間が10時間と少ないので、高所得でありながら、プライベートも充実させることが可能です。独立開業をしている一級建築士と比べると、安定した収入や残業時間の少なさは魅力的です。ただし、正社員であっても、事業所によって給与水準や待遇条件が異なります。
【正社員】
平均年齢 49.7歳
勤続年数 15.2年
労働時間 176時間/月
残業時間 10時間/月
平均月収 422,000円
賞与 1,381,500円
平均年収 6,445,500円
労働者数 21,260人
【パート】
平均年齢 64.1歳
勤続年数 6.8年
実労働日数 15.8日/月
1日の平均労働時間 6.6時間/日
平均時給 2,113円
出典:「平成27年賃金構造基本統計調査」(厚生労働省)
※平均年収については本統計データを加工して作成(きまって支給する現金給与額×12ヶ月+年間賞与その他特別給与額)
職場による違い
一級建築士は、企業によっては20代30代の内から、高収入が得られる仕事です。効率良くステップアップしていけば、中堅クラスで年収1000万円を超える可能性も充分にあります。さらに、大手の不動産会社やハウスメーカー、建設会社で一級建築士として勤務をすると、給与水準が高いだけではなく、福利厚生や各種手当も充実しています。ただし大手企業の場合、関連会社への出向や、全国的に転勤もあるので、柔軟な対応が求められます。中小規模の設計事務所であれば、全体的に水準は低くなってしまうのが現状です。 また、大きな事業や有名なプロジェクトに参画をして、一級建築士としてのスキルや経験が身に付けていくと、年収アップを目的とする転職や独立開業にも有利に働きます。一級建築士は、難関の国家資格であり、希少価値も高いのですが、年収を上げるには実力が求められます。
フリーランス・独立について
今まで日本では、有名な建築家が沢山、輩出されてきました。建築家として名をはせた場合、日本中、そしてグローバルに活躍することが出来ます。しかしながら、これは現実的に見ると、かなり難しいことは事実です。そもそも建築事務所を開業させて、経営を維持すること自体が簡単なことではありません。というのも、独立するまでの実績や経験は必須条件であり、それ以外にも経営者としての実力が必要とされるからです。つまり経営的なマネジメント能力や、仕事を継続的に受注する営業力などが、絶対的に求められます。 一級建築士が独立開業することは、決して簡単なことではありませんが、事業が軌道に乗れば、サラリーマン以上の収入が得られますし、個人の名前が有名になるメリットがあります。
試験データ
項目 | 内容 |
---|---|
資格・試験名 | 建築士 |
試験日 |
【2024年 二級試験(学科)】 【2024年 二級試験(設計製図)】 【2024年 一級試験(学科)】 【2024年 一級試験(設計製図)】 |
試験区分 | 国家資格 |
主催団体 | 国土交通省 |
受験資格 | 2級 ■学歴要件 国土交通大臣が指定する建築に関する科目を修めて卒業後、所定の期間の実務経験を有する者 (1)大学、短期大学、高等専門学校、高等学校、職業訓練校等:卒業後0年以上の建築実務の経験者 (2)建築整備士:0年 (3)建築に関する学歴なし:7年以上の建築実務の経験者 ■ほか 都道府県知事が上記と同等の知識および技能を有すると認める者 1級 ■学歴要件 (1)大学、短期大学、高等専門学校、専修学校等において指定科目を修めて卒業した者 (2)二級建築士 (3)建築整備士 ■ほか 国土交通大臣が上記と同等の知識および技能を有すると認める者 |
合格率 | 2級:学科 30~40%程度 / 製図 50~55%程度 1級:学科 15~20%程度 / 製図 40%程度 |
出題内容・形式 | ■2級 【学科試験】五肢択一式 1)学科I[建築計画] 2)学科II[建築法規] 3)学科III[建築構造] 4)学科IV[建築施工] 【実技試験】設計製図 ※課題は事前に公表される。 ■1級 【学科試験】四肢択一式 1)学科I[計画] 2)学科II[環境・設備] 3)学科III[法規] 4)学科IV[構造] 5)学科V[施行] 【実技試験】設計製図 ※課題は事前に公表される。 |
検定料 | 1級:17,000円 2級:18,500円 |
問い合わせ先 |
公益財団法人 建築技術教育普及センター http://www.jaeic.or.jp/ 〒104-0031 東京都中央区京橋2-14-1 【東京都の場合】 TEL:03-5524-3105 【その他の地域の場合】 各都道府県建築士会への問い合わせになりますので、詳しくはホームページをご確認ください。 |