電気工事施工管理技士とは?資格を取得するには?
電気工事施工管理技士とは、国土交通省管轄の国家資格。電気工事の計画や施工図の作成、工事の工程管理・品質管理・安全管理など、工事の監督や施工管理を行うのに必要な技術を有していると認められる方に授与される資格です。
資格を取得するには、学歴、保有資格、実務経験といった受験資格を満たしてから国家試験を受験する必要があります。
試験について
受験資格
電気工事施工管理技士の国家試験を受験するには、まず受験資格を満たす必要があります。学歴や保有資格により、必要となる実務経験年数が細かく分かれています。
【2級の受験資格】
学歴・資格 | 電気工事施工管理に関する実務経験年数 | |
---|---|---|
指定学科 | 指定学科以外 | |
・大学 ・専門学校の「高度専門士」 |
卒業後 1年以上 | 卒業後 1年6か月以上 |
・短期大学 ・5年制高等専門学校 ・専門学校の「専門士」 |
卒業後 1年以上 | 卒業後 3年以上 |
・高等学校 ・専門学校の専門課程 |
卒業後 3年以上 | 卒業後 4年6か月以上 |
その他(最終学歴を問わず) | 8年以上 | |
第一種、第二種、第三種いずれかの電気主任技術者免状の交付を受けた者 | 1年以上 (交付後ではなく、通算の実務経験年数) |
|
第一種電気工事士免状の交付を受けた者 | 実務経験年数は問いません | |
第二種電気工事士免状の交付を受けた者 (旧電気工事士も含む) |
1年以上 (交付後ではなく、通算の実務経験年数) |
【1級の受験資格】
学歴・資格 | 電気工事施工管理に関する実務経験年数 | ||
---|---|---|---|
指定学科 | 指定学科以外 | ||
・大学 ・専門学校の「高度専門士」 |
卒業後 3年以上 | 卒業後 4年6か月以上 | |
・短期大学 ・5年制高等専門学校 ・専門学校の「専門士」 |
卒業後 5年以上 | 卒業後 7年6か月以上 | |
・高等学校 ・専門学校の専門課程 |
卒業後 10年以上 (※1、※2) |
卒業後 11年6か月以上 (※2) |
|
その他(最終学歴を問わず) | 15年以上(※2) | ||
2級電気工事施工管理技術検定の合格者 | 合格後 5年以上(※1、※2) | ||
2級電気工事施工管理技術検定の合格後5年未満で右の学歴の者 | ・短期大学 ・5年制高等専門学校 ・専門学校の「専門士」 |
卒業後 5年以上 | 卒業後 9年以上 (※2) |
・高等学校 ・専門学校の専門課程 |
卒業後 9年以上 (※2) |
卒業後 10年6か月以上 (※2) |
|
その他(最終学歴を問わず) | 14年以上(※2) | ||
第一種、第二種、第三種いずれかの電気主任技術者免状の交付を受けた者 | 6年以上 (交付後ではなく、通算の実務経験年数) |
||
第一種電気工事士免状の交付を受けた者 | 実務経験年数は問いません |
[※1]主任技術者の要件を満たした後、専任の監理技術者の配置が必要な工事に配置され、監理技術者の指導を受けた2年以上の実務経験を有する方は、(※1)印がついている実務経験年数に限り2年短縮が可能です
[※2]指導監督的実務経験として「専任の主任技術者」を1年以上経験した方は、(※2印)がついている実務経験年数に限り2年短縮が可能です。
【指定学科】
土木科・農業土木科・森林土木科・鉱山土木科・砂防学科・治山学科・都市工学科・衛生工学科・交通工学科・建築科・緑地科・造園科など
電気工事施工管理技士講座・スクール比較試験概要
≪試験名称≫ 電気工事施工管理技術検定
【2級】
学科試験
・試験形式:四肢択一式(マークシート方式)
・問題数:出題64問の内、40問を選択して解答(※平成29年度実績)
・試験時間:2時間30分
実地試験
・試験形式:記述形式、全5問(※平成29年度実績)
・試験時間:3時間
【1級】
学科試験
・試験形式:四肢択一式(マークシート方式)
・問題数:出題92問の内、60問を選択して解答(※平成29年度実績)
・試験時間:午前の部 2時間30分/午後の部 2時間
実地試験
・試験形式:記述形式、全5問(※平成29年度実績)
・試験時間:2時間
合格率
【2級】学科試験:40~50%程度 実地試験:60~70%程度
【1級】学科試験:55~65%程度 実地試験:40~45%程度
電気工事施工管理技士の試験には受験資格があるため試験を受けるのは電気工事の施工に関わる実務経験のある方ばかりですが、学科試験・実地試験それぞれで受験者の半数ほどがふるい落とされています。電気工事を統括する立場を担うための資格とあって試験の難易度が高く、試験に臨むには十分な準備が必要です。
電気工事施工管理技士のメリット
電気は人の生活を支える重要なインフラ。電気関連の資格は需要が高く、電気設備工事や建設業の企業を中心に資格を持った人材は引く手あまたです。
建設業の営業所には必ず専任技術者を置く必要があり、電気工事施工管理技士の資格取得者は電気工事業の専任技術者になることができます。また、2級電気工事施工管理技士は工事の現場ごとに必ず配置する必要がある主任技術者に、1級電気工事施工管理技士は外注総額が高く規模の大きい工事の現場に必要な監理技術者として認められます。
2級 | 1級 | |
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一般建設業の営業所の専任技術者 | 〇 | 〇 |
特定建設業の営業所の専任技術者 | ― | 〇 |
主任技術者 | 〇 | 〇 |
監理技術者 | ― | 〇 |
電気工事士、電気主任技術者との違いや関連は?
電気工事施工管理技士のほか、電気に関する資格で知名度の高いものとして「電気工事士」「電気主任技術者(電験)」が挙げられます。
電気工事士は配線、コンセントの設置など電気工事の作業を行うために必要な資格です。一般用電気工作物や自家用電気工作物の工事を行うことができます。受験資格がなく、電気関連の資格の中でも挑戦しやすい資格と言えます。電気工事を実際に行うのが電気工事士、工事の監督を行うのが電気工事施工管理技士です。第二種電気工事士の資格取得者は実務経験1年以上で、第一種電気工事士の資格取得者は実務経験の年数を問わず、電気工事施工管理技士の2級試験を受けることができます。
電気主任技術者は事業用電気工作物の工事・維持・運用の保安監督者になるための資格です。発電所、変電所、工場、商業施設など、電気設備を設けているところには電気主任技術者の配置が必要になります。電気主任技術者の資格を取得していれば実務経験1年以上で電気工事施工管理技士の2級試験を受けることができます。