行政書士のバッジとは
行政書士のバッジは、国家資格を持つ行政書士であるという証です。正確にはバッジではなく、「徽章(きしょう)」と呼ばれます。他の士業と同様、行政書士にもバッジがあり、デザインや込められた想いは士業によって異なります。
では、行政書士のバッジにはどのような意味が込められているのでしょうか。
行政書士のバッジのデザイン
行政書士のバッジは、秋桜(コスモス)の花弁の中に篆書体の「行」の文字を配したものです。
篆書体は古代中国で使われていた書体で、上下左右の大きさのバランスが整っており、謹厳な印象を与える文字で、現在でも印章などに用いられています。
上下の区別が付きづらいですがカタカナの「コ」「ワ」に見える部分が上下に並んでおり、「ワ」に見えるほうが下部です。
直径は16mm、厚さ3mmで、材質は純銀製。表面は金張仕上げになっており、落ち着いた品のあるデザインで格式高いものになっています。
参考サイト: 行政書士カレッジ
バッジの意味と込められた想い
行政書士のバッジの「秋桜(コスモス)」の花言葉は「調和」と「真心」をあらわしています。
行政書士の使命は「社会調和を図り、誠意をもって公正・誠実に職務を行うこと」であり「国民と行政をつなぎ、国民の生活向上と社会の繁栄進歩に貢献すること」です。バッジにデザインされた秋桜の調和と真心は、行政書士の使命を象徴しているといえます。
他の士業のバッジ
行政書士以外の士業にも、バッジはあります。
例えば弁護士の徽章は「ひまわりと天秤」です。ひまわりは自由と正義を、天秤は公正と平等を表しています。
司法書士は「五三の桐」が描かれており、古代中国では神話に出てくる伝説の鳥、鳳凰の止まり木として神聖視されていることから「社会の秩序を維持し、国の繁栄をもたらす」職業であることを象徴しているのでしょう。
また、弁理士は「菊花」と「五三の桐花」が描かれており、「正義と国家繁栄」という意味を、税理士は「二重の円に桜」で「日(日本)を追ってどこまでも進行(隆昌)する」という意味が込められています。
バッジのデザインと意味を知ることで、士業それぞれが大切にしている想いや込められた意味がわかります。
行政書士のバッジはいつつける?
行政書士のバッジは、行政書士徽章等規則第3条第1項により、行政書士業務をおこなう際は常に着用しなければならないと定められています。
ただし、実際のところは、普段から着用している人もいれば、まったく着用しない人もいてさまざまなようです。
普段はつけておらず、式典や行事などの公の場では着用するという人も多いようです。
行政書士のルールとしてバッジの常時着用は定められていますが、法律ではないため破ったとしても罰則などはありません。ですが、バッジを付けると自然と周りの人の目に止まります。見られていることでバッジが表す通り、誠実に人と向き合う姿勢ができるのではないでしょうか。
残念ながらバッジから仕事につながることはそう多くはないようですが、独立開業した行政書士の場合は新しい縁をつなげるためにも、会合などに出席する時はバッジをつけていくと会話のきっかけになるかもしれません。そういった出会いの1つ1つから仕事が生まれていくものです。
また、行政書士になったばかりの新人であればバッジを付けることでモチベーションが上がる効果もあるので、ぜひ身につけてみてください。
行政書士のバッジの入手方法
行政書士のバッジは、試験に合格し、行政書士会に登録すれば無料でもらえるものではなく、自分で購入する必要があります。
バッジの購入方法と値段
行政書士のバッジは、行政書士会の入会後に行われる新入会員登録証交付式および説明会で販売が行われるので、そこで各自購入します。金額は約3,000円で、木箱の立派な箱に入れて渡されます。
オークションなどで売っているケースもありますが、オークションで売られているバッジは本物かどうかの保証がありません。行政書士会で購入する金額より安かったとしても、偽物のリスクを考えると、正規のルートで購入するのが無難でしょう。
破損・紛失した場合は?
破損や紛失があった場合は、行政書士会に再交付の申請をおこないます。再交付の際は会員証と行政書士徽章再交付申請書の提出が必要となります。費用は3000円です。
行政書士のバッジの種類
行政書士のバッジには通常のものとは別に、「特定行政書士バッジ」と「補助者バッジ」という二つのバッジがあります。
順番に解説します。
特定行政書士バッジ
特定行政書士バッジとは、特定行政書士が身につけることのできるバッジです。
特定行政書士とは、行政書士が作成した官公署に提出する書類が認可されなかった場合に、依頼者の代理で行政不服申し立ての手続きを行える行政書士のことです。日本行政書士会連合会が実施する法定研修の過程を修了し、認定試験に合格することで取得できます。合格率は現役の行政書士の約7割です。
特定行政書士のバッジのデザインは、行政書士のバッジと変わりありませんが、直系18mm、厚さ4mmと一回り大きくなり存在感が上がります。費用も行政書士バッジより高く6,300円です(原料価格の変動により金額が変更になる可能性があります)。また特定行政書士のバッジは、全行団ホームページで年1回の受注販売となっており、注文受付期間が決まっているので注意が必要です。
裏面にはシリアルナンバーが記載されており、破損・紛失した場合は会員専用サイト『連con』に掲載している届出書等の提出が必要になります。
補助者バッジ
補助者バッジとは、行政書士を補助する人がつけるバッジを指します。
行政書士補助者とは、行政書士の仕事をサポートする人のことで、行政書士資格は必要ありません。行政書士が依頼を受けた書類の作成や提出、官公庁への請求、顧客対応など、行政書士の監督の元で行政書士の業務をおこなうため、一般の事務とは仕事内容が異なります。
また補助者になるためには行政書士会への登録が必要です。前提として行政書士の監督下で働かなければならないので、行政書士の監督なしで補助者が依頼人の書類を作成したり、仕事の依頼を直接受けたりすることはできないので注意が必要です。また補助者の登録は行政書士がおこないます。
補助者バッジは、行政書士と同様秋桜(コスモス)のマークに、真ん中には補助者を示す「補」のマークが入っています。直径14.5mm、厚さ1.8mmと行政書士のバッジより一回り小さく、材質は合金製で、色は銀色です。補助者のバッジは、所属する都道府県の行政書士会に行政書士補助者登録の申請をおこなうと、補助者証と一緒に貰えます。登録手続きの費用が約2000円かかるので、ここにバッジ代も含まれているといえるでしょう。
まとめ
行政書士になるためには、行政書士試験を受けて合格し行政書士資格を取得することです。行政書士の資格取得を目指している場合は、ぜひ行政書士講座を受講し、試験に挑んでください。