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行政書士に英語は必要か?英語力を活かせる業務についても解説

行政書士に英語は必要か?英語力を活かせる業務についても解説

昨今グローバル化の影響により、多くの企業で語学力の必要性が叫ばれています。実際、日本でも海外からの移住者の数は年々増加傾向で推移しており、コンビニやファストフード店などの身近な場所でも英語力は必要とされています。では国家資格である行政書士にも英語は必要なのでしょうか。

この記事では、行政書士にとって英語は必要なのか、また英語力を活かせる業務はあるのかについて、具体的に解説していきます。

更新日:2024-06-13(公開日:2024-06-13)

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ACCEL JAPAN アンバサダー 岡田結実
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行政書士に英語は必要か?

行政書士は官公署に提出する書類の作成や提出などの手続きを代行する職業です。海外からの移住者が増加傾向にある近年では、確かに移住者向けの書類を作成する業務もあるでしょう。

ただ行政書士として仕事をするに当たって、英語が必ずしも必要かと言うとそうではありません。通常業務で英語が必要になる場面はそうないため、行政書士は基本的には英語が話せなくとも、問題なく仕事ができます。

行政書士の試験

行政書士になるには、定められた国家試験に合格する必要があります。

行政書士の試験は基本的には、憲法や行政法、民法などの法令科目、行政書士の業務に関して必要な一般知識が問われ、英語の問題は出てきません。試験はもちろん日本語です。

以上のことから、行政書士の試験合格には英語は必要ないといえます。

参考までに、行政書士の試験内容は以下の通りです。

「行政書士の業務に関し必要な法令等」(出題数46題) 憲法、行政法(行政法の一般的な法理論、行政手続法、行政不服審査法、行政事件訴訟法、国家賠償法及び地方自治法を中心とする。)、民法、商法及び基礎法学の中からそれぞれ出題し、法令については、試験を実施する日の属する年度の4月1日現在施行されている法令に関して出題します。
「行政書士の業務に関し必要な基礎知識(出題数14題)(令和6年度試験から適用) 一般知識、行政書士法等行政書士業務と密接に関連する諸法令、情報通信・個人情報保護及び文章理解の中からそれぞれ出題し、法令については、試験を実施する日の属する年度の4月1日現在施行されている法令に関して出題します。

(引用:一般財団法人行政書士試験研究センターホームページより)

行政書士の業務

行政書士の仕事は官公署に提出する書類の作成や提出などの手続き代行です。行政に提出する資料は基本的に日本語で記載される物であり、一般的な業務を引き受ける際に英語力が必要になることはないので、やはりここでも英語力は必要ないといえるでしょう。

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行政書士で英語力は活かせる?

では英語力のある行政書士に付加価値はないのか、と問われると、この場合答えは異なります。

10年前には年間210万を超えるほどだった在留外国人の数は、昨年(令和5年度)時点では年間320万人まで増加しています。コロナ禍でやや減少傾向に入ったものの、依然として増加傾向にあることは確かです。
(参考:出入国在留管理庁より『令和5年6月末現在における在留外国人数について』)

日本人よりも日本語に不慣れな外国人であれば、行政に提出する書類作成の難易度も上がるため、英語が話せる行政書士の需要は今後も増加すると考えられます。

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英語力を活かせる業務

では行政書士が英語力を生かして取り組むことのできる業務はどのようなものがあるでしょうか。いくつかの業務を具体的に説明します。

今後英語力を生かして行政書士をやっていきたいという方はぜひご参考ください。

入管業務

「入管」とは出入国在留管理局の略称であり、法務省の外局として位置づけられている期間です。以前は入国管理局と呼ばれていました。

入管業務は外国人の出入国の審査・確認や長期的に滞在できるようにするための手続きなどを行う業務であり、中でも行政書士が行えるのは外国人の在留資格(日本に滞在するために必要な資格)の手続きをする業務です。

原則、入管業務に関わる申請書類については本人による申請が必要です。行政書士がこれらの書類の申請を取り次ぐためには「申請取次行政書士」になる必要がありますが、こちらは後述します。

書類の作成にあたって、入国者へのヒアリングが必要になるため英語力はもちろん、入管法令などの専門的な知識が必要になります。その代わり一般的な行政書士の業務よりも報酬額が高いのも特徴です。

在留資格に係る業務

在留資格に係る申請は、入国時だけではなく在留期間の更新の際にも必要です。原則本人の申請が必要とはいえ、在留資格に係る申請のたびに入管まで足を運ぶのは大変です。

そんな時、「申請取次行政書士」の資格を持つ行政書士は、以下のような書類の作成・申請の取次を行えます。尚、入管業務に係る申請もここに含まれます。

  • 在留資格認定証明書交付申請
    海外に住んでいる外国人の方が、日本で何らかの活動を行うために入国前に行う申請

  • 在留期間更新許可申請
    日本に滞在している外国人の方が、期間満了後も引き続き日本に滞在するため、在留資格を延長するための申請

  • 在留資格変更許可申請
    現在の在留資格を別の在留資格へ変更するための申請
    例)留学ビザから就労ビザ

  • 永住許可申請
    外国人の方が日本の永住権を取得するための申請

  • 再入国許可申請
    日本に在留する外国人の方が、一時的に出国し日本に再入国しようとする際に、入国・上陸手続を簡略化するための申請

  • 資格外活動許可申請
    就労や留学等で日本に滞在する外国人の方が、現在の在留資格で許可された活動以外にアルバイトなど収入を伴う事業、または報酬を受ける活動を行うための申請

  • 就労資格証明書交付申請
    日本に在留する外国人の方が、就労する資格があると証明するための申請

  • 在留資格取得申請
    日本で子供が産まれた外国人の方が、60日以上滞在する場合に申請する書類

外国人の起業支援

外国人の起業は国も外国人起業活動促進事業として支援している分野です。

日本で起業するには様々な申請が必要であり、行政書士はこの申請をサポートすることができます。また日本で起業するためのビザの取得について、行政書士がサポートするケースもあります。

いずれの場合も英語をはじめとする依頼人の母国語でやりとりできれば、複雑な申請のコミュニケーションはスムーズに進むはずです。

国際結婚

外国人と結婚する場合、結婚相手が日本で過ごすためには「日本人配偶者等」というビザが必要となります。偽装結婚の防止の観点から、このビザの取得には厳しい審査が行われます。

確実に審査を通過するために、ビザの申請サポートとして行政書士に依頼するケースもあるようです。

帰化

帰化申請とは、外国人が日本国籍・身分を得るための手続きです。日本は重複して国籍を持つことができないため、この場合今持っている国籍は喪失することになります。

帰化申請は本人が法務局に足を運び直接行う必要がありますが、行政書士はこの際提出する書類の作成をサポートすることができます。

帰化申請手続きは、提出する書類の量が多く内容も複雑です。特に帰化したい本人が仕事をしている場合、仕事をしながらこれらの書類を完璧に作るのは難しく、行政書士がサポートに入ることが有益です。

帰化したいと思う依頼人であれば日本語が話せるケースも多いと思いますが、細部や複雑な説明などを英語で補足できれば、間違いなく書類の作成が進められるといえます。

特定技能ビザ

特定技能ビザとは在留資格「特定技能」を持った外国人が取得できるビザで、技能の種類によって「特定技能1号」と「特定技能2号」に分類されます。

「特定技能」の在留資格を得るためには、2号は技能水準試験、1号は技能及び日本語の試験にそれぞれ合格した上で、申請を行う必要があります。申請書類は英語でも記載されていますが、行政書士がサポートを行うことで、手戻りなしで確実に書類の作成を行えます。

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申請取次行政書士とは

申請取次行政書士とは、入管手続きの申請ができる行政書士のことを指します。

行政書士の資格を持つ人であれば、日本行政書士会連合会で出入国管理に関する研修の受講後、効果測定で合格すれば、申請取次行政書士の資格を得ることができます。

申請取次行政書士の資格がなくとも、行政書士は通業務の範囲で申請書類の作成は可能ですが、その場合入管に提出することはできません。サポートできるのは申請書類の作成までで、申請は本人が直接窓口まで向かう必要があります。

また、入管に係る申請についての行政書士の役割は「申請取次行政書士」という名前の通り、取次に限られます。申請を行うのは本人、もしくは申請代理人であり、行政書士は代理人となることはできません。あくまでも取次を行う役目なので、申請書の訂正や取り下げ、署名の代筆などはできないので注意しましょう。

行政書士以外にも弁護士が申請取次に係る業務を行うことはできますが、この場合も代理人ではなく取次に限られます。

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英語力のある行政書士の将来性

行政書士に英語力は必ずしも必要ではありませんが、英語力のある行政書士の需要は今後も高まると考えられるでしょう。

在留外国人の増加

前述の通り、経年で見た在留外国人の数は増加傾向にあります。出入国在留管理庁のデータでは、令和5年6月末の在留外国人数は322万3858人(前年末比14万8645人、4.8%増加)で、過去最高を更新しているとのことです。

在留外国人が増えれば増えるほど、それに係る申請は増加するので、英語が使えることは強みになると考えられます。顧客を増やすには情報を届ける必要があるので、開業している行政書士の方であれば、ホームページを多言語にしたり、在留外国人用のページを作成しても良いでしょう。

また在留外国人が増えているといっても、その数はやはり都市によって偏りがあります。自身の開業している都道府県によっても依頼の数は異なるので、英語力を武器にしたい方は事前に調べておくのも大切ですね。

在留外国人数の多い都道府県順位

順位 都道府県 在留外国人数※()内は前年増加率
1 東京都 627,183人(+31,035人)
2 愛知県 297,248人(+10,644人)
3 大阪府 285,272人(+12,823人)
4 神奈川県 256,738人(+10,948人)
5 埼玉県 221,835人(+9,211人)

(参考:出入国在留管理庁より『令和5年6月末現在における在留外国人数について』)

英語の使える行政書士の将来性は明るい

在留外国人が増加するということは、サポートを必要とする顧客が増えるということです。書類の申請を手伝ってもらいたい、と思った時に英語や母国語が堪能な行政書士がいれば心理的にも安心しますし、依頼先として選ばれる可能性も高まるでしょう。

また、入管業務に係る書類申請は報酬も高い傾向にあり、英語力によって対外国人向けの業務の依頼件数が増えれば全体的な収入アップも見込めます。

英語がなくとも行政書士の業務は可能ですが、英語ができれば受ける仕事の幅が広がり、先々として大きなビジネスチャンスを掴むこともできるのではないでしょうか。

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