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行政書士の相続業務とは?行政書士ができることや報酬・費用などを解説

行政書士の相続業務とは?行政書士ができることや報酬・費用などを解説

行政書士は、行政書士法に基づく国家資格者です。官公署に提出する許認可等の申請書類の作成や提出手続き代理など、行政に提出する書類を作成することが主な業務であり、中には相続に関する業務もあります。

この記事では、行政書士が行うことのできる相続業務について詳しく解説しています。

更新日:2024-06-12(公開日:2024-06-12)

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行政書士の相続業務とは?

そもそも相続とは、故人の財産や権利などを相続人に引き継ぐ手続きのことを指します。財産を引き継ぐ人のことを相続人と呼び、配偶者と順位が最も高い人を指します。

相続には様々な手続きが必要となり、これに関する業務を相続業務と呼びます。

行政書士の仕事は行政に提出する書類を作成することです。つまり行政書士にとっての相続業務とは、相続に当たって必要な書類を作成することが主な内容となります。

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行政書士ができる相続業務

では具体的に行政書士が行える相続業務というのは、どういった内容になるのでしょうか。主要な業務は書類の作成に関することですが、書類の関係以外にも行える業務はあります。

ここでは、具体的な業務内容を解説します。

遺言書の作成サポート

遺言書には、公正証書遺言・自筆証書遺言・秘密証書遺言の3種類があり、いずれも財産・権利を有する被相続人、公証人しか作成できません。

行政書士が遺言書を代わりに作成することはできないため、依頼として携わるのはあくまで遺言書作成のサポートになります。

遺言書の作成方法は細かなルールが定められており、特に「自筆証書遺言」については訂正の手順や方法も非常に厳格で、自分で作成すると後に紛争の火種になったり、遺言書自体が無効になってしまったりすることも有り得ます。そのため、作成段階から書類作成のプロである行政書士がサポートを行うことで有効な遺言書を作成する手助けができるのです。

また公正証書遺言の作成を依頼する時には、原則2名以上の承認が必要です。証人者は遺言者が手配できますが、未成年者・推定相続人・遺贈を受ける者・推定相続人および遺贈を受ける者の配偶者および直系血族等は証人になることができません。そんな時に行政書士が証人の役割を肩代わりすることができます。

遺言内容の執行

遺言内容の執行とは、被相続人の遺言の内容を実行する手続きをいいます。遺言の手続きを行う人物を遺言執行者と呼び、行政書士は遺言執行者になることで、遺言内容を執行することが可能です。

遺言執行者については、民法1012条1項には下記のように定められています。

(遺言執行者の権利義務)
第千十二条 遺言執行者は、遺言の内容を実現するため、相続財産の管理その他遺言の執行に必要な一切の行為をする権利義務を有する。

(引用:e-Gov法令検索『民法(明治二十九年法律第八十九号)』より)

行政書士に限らず、一定の要件を満たせば誰でも遺言執行者にはなれますが(但し未成年と破産者を除く)、遺言の執行は専門的且つ煩雑なものであり、また相続人を遺言執行者としてしまうとトラブルになる可能性もあるので、行政書士が遺言執行者を業務として請け負うのは妥当でしょう。

相続人の調査

行政書士は相続にあたっての法定相続人の調査を業務として引き受けることができます。

遺産相続では、誰が相続人であるのか、つまり法定相続人を確定する必要があります。相続人の調査には戸籍謄本が必要になりますが、被相続人が転籍を繰り返している場合、戸籍の取得だけでも膨大な時間がかかってしまいます。

行政書士は官公署に提出する許認可等の申請書類の作成など、公的な書類を扱うことが多い職業なので、職業柄戸籍謄本の読み解きにも慣れています。被相続人が本籍を何度か移転している場合などは取得箇所が増えるため、これらを引き受けると相続人の負担を減らすことができます。

遺産分割協議書の作成

遺産分割協議書とは、相続人のうち誰がどの遺産を相続するのかの内容を記載した書類を指します。この遺産分割協議書の作成も行政書士が請け負うことができる相続業務の一つです。

相続の発生後、相続人のあいだで行われる話し合いを遺産分割協議と呼び、遺産分割協議書は相続人全員が相続内容に合意したことの証明となります。遺産分割協議書は必ずしも作成は必須ではありませんが、相続内容の証明書類となりますので、相続手続き時には便利に活用できます。

協議書の内容には指定はないものの、遺言書と同様に訂正のルールがシビアであったり、要件を満たせていない場合銀行や法務局、税務署などに協議書として認められない可能性が出てきます。そのため、公的書類の専門家である行政書士が請け負うチャンスが多い業務であるといえます。

財産調査や遺産目録の作成

相続人の調査が終わったら、次は被相続人の財産調査を行う必要があります。行政書士は財産調査を請け負い、相続財産となる遺産の目録を作成することが可能です。

財産となるものには以下のような物があげられます。

  • 預貯金
  • 不動産
  • 自動車
  • 有価証券(株など)
  • 債務
  • 生命保険金
  • 死亡保険金

財産となるものは多岐に渡り、被相続人が遺言書を作成していたとしても、把握していなかった財産が後から見つかることも少なくありません。※このような場合は遺産分割協議書の作成が必要になります。

相続人が分割協議をスムーズに進められるよう、遺産目録を作成することも行政書士が請け負える代表的な相続業務の一つです。

預貯金・有価証券・自動車に関する相続手続き

相続財産に預貯金・有価証券・自動車がある場合、これらの相続手続きは全て行政書士が代行可能です。

預貯金

通常被相続人の口座は、金融機関が死亡を知ったタイミングで凍結されます。その際解約手続きが必要になりますが、行政書士は解約手続きを代行できます。

有価証券

株式の名義変更手続きを行政書士が代行できます。株式の名義変更は相続する株式が上場株式が非常上株式かによって手続きが異なるため、複数の株式を被相続人が所有している場合、変更を請け負うと相続人の負担が減るでしょう。

自動車

自動車であれば名義変更手続きの他に、自動車保険の契約更新手続きなどが必要となります。これらの業務も行政書士が代行可能です。

相続人が仕事で忙しく、上記の手続きができないケースは多くあるので、そんな時は相続業務として行政書士がこれらを一手に引き受けることができます。

相続関係図の作成

行政書士は、相続人の調査だけでなく、相続人関係説明図や法定相続情報一覧図などの作成も引き受けることができます。

相続人関係説明図は、被相続人と相続人の関係法定相続情報一覧図が一目で分かるようにまとまっている一覧表のことです。一般的には、「家系図」のようなものだといえばわかりやすいでしょうか。

また法定相続情報一覧図とは、中でも法務局の登記官により証明された「公的証明書」を指します。法廷相続情報一覧図を作成することで、不動産登記や有価証券の名義変更、自動車などの名義変更の手続きなどをスムーズに進めることができます。

相続関係が複雑になると、手続きが複雑になりトラブルになる可能性もあるため、相続関係図を作成することは重要な業務といえるでしょう。

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行政書士ができない相続業務

行政書士が行える相続業務がある一方で、行政書士が行ってはいけない相続業務も存在します。

簡単にいうと士業にはそれぞれ独占業務があり、他の士業の独占業務に関わることは行政書士にはできません。具体的にみていきましょう。

相続税に係るサポート

相続税の申告をはじめとした税務関係の業務は、税理士の独占業務のため、行政書士は引き受けることができません。

税理士の独占業務は「税務の代理」「税務書類の作成」「税務相談」であり、ここで注意しなければならないのは税務に関することは「相談」であっても、独占業務であるということです。

つまり相続税に係る内容については、行政書士は相談に乗ることも違反になりますので注意しましょう。

相続放棄

相続放棄は、放棄の旨を家庭裁判所に申述しなければなりません。つまり司法の係るところの業務となり、弁護士および司法書士の独占業務の範囲となります。相続税に係る業務と同様、行政書士は受けることができません。

なお、弁護士は法律に関する業務全般を独占業務として認められているため、相続放棄全般をサポートできますが、司法書士に許されるのは裁判所に提出する書類の作成のみとなるため、請け負うことのできる業務は申立書の作成までに限られます。

不動産の相続登記

自動車や有価証券などとは異なり、不動産に関する相続登記は法務局を介して行う手続きとなります。

そのため、不動産の相続登記に係ることができるのは弁護士と司法書士に限られ、行政書士が引き受けることはできません。

遺産分割協議に係る交渉

行政書士は遺産分割協議書の作成を請け負うことはできますが、遺産分割協議そのものの交渉や仲裁には関わることはできません。

遺産分割協議に関与できるのは弁護士のみとなり、関与すると弁護士法違反になるので注意が必要です。

法律の関わるサポート

その他、法律に関わるサポートについても、法律に関わる業務は弁護士の独占業務となっているため関与できません。法律に係る文書作成についてのみ司法書士が担当できますが、行政書士は関与できないので注意しましょう。

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行政書士の相続業務の報酬・費用

行政書士の報酬額は、行政書士が自由に定めることができます。ただ日本行政書士会連合会では、行政書士法第10条の2第2項に基づき、5年に1度全国的な報酬額統計調査を実施しており、業務の平均額が公開されています。

相続業務に係る報酬・料金の平均額・最低額・最高額をまとめました。

業務内容 平均報酬額 最低額 最高額
遺言書の起案及び作成指導 68,727 3,000 550,000
遺産分割協議書の作成 68,325 3,000 1,180,000
相続人及び相続財産の調査 63,747 1,100 1,630,000
相続分なきことの証明書作成 38,405 3,850 632,111
遺言執行手続 384,504 10,000 5,000,000

(引用:日本行政書士会連合会『令和2年度報酬額統計調査の結果』より)

ご覧の通り、最低額と最高額で大きく振れ幅があることがわかります。ただ多くの場合は平均報酬額の近似値で請け負っていることが多いようです。

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行政書士に相続手続きを依頼するメリット

最後に行政書士に相続手続きを依頼するメリットを紹介します。相続業務について相談された際に、顧客への説明の参考にご覧ください。

トラブルのリスクを減らせる

相続に関する手続きは書類が難解であり、トラブルがつきものです。

書類不備による遺言無効や、財産目録の不備、相続人の漏れなど、慣れていないと多くのトラブルが発生する可能性があります。書類作成や官公署への申請に精通した行政書士が業務を請け負うことで、相続手続きをスムーズに進める手助けをすることができ、トラブルのリスクを減らすことができます。

また遺言書が正しくない場合は、相続人同士のトラブルが発生しがちです。正しい遺言書を作成することで、遺言書は正しく効果を発揮します。また、遺言執行者に作成を依頼した行政書士を指定すれば、被相続人の意図通りに遺産相続を執行してくれるでしょう。

相続に係る手続きの負担を軽減できる

遺言書をはじめとした相続の手続きは一括で行える物ではなく、戸籍謄本の取得や銀行の名義変更など、各所への様々な手続きが必要になります。じっくりと腰を据えて相続手続きに関われる人であればともかく、日中仕事で忙しい方はなかなか時間が取れずにいることも多いでしょう。

そんな時代行できる作業を行政書士が請け負うことで、相続に係る顧客の手続きの負担を大きく軽減できます。

依頼主の費用を低コストで抑えられる

行政書士の依頼相場は、比較的安く設定されています。たとえば、はじめから弁護士に依頼することと比べれば、依頼主の費用を安く抑えることができるでしょう。

たとえば、遺言書の内容が決まっている場合であれば書類作成のみが必要となりますので、弁護士に相談するよりも、行政書士にお願いする方が低コストで済みます。もちろん遺言書を書くのに、親族間の討議が必要になる場合は弁護士にお願いする方が良いのでケースバイケースで、相談内容に応じて案内すると良いでしょう。

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まとめ

行政書士は、相続手続きにおいて重要な役割を果たす専門家です。
遺言書の作成・執行、相続に関する調査や書類作成など、幅広い業務を担っています。

しかし、行政書士には独占業務とそうでない業務があり、相続に関する全ての業務を扱えるわけではありません。
行政書士を目指す立場の方も、行政書士に依頼をしたい立場の方も、相続について行政書士がどの範囲まで対応できるのか理解をしておきましょう。

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