登録販売者ってぶっちゃけ必要な存在?
「薬剤師がいるのに、登録販売者って必要な存在なの?役に立つの?」という疑問を持つ方もいらっしゃるでしょう。
しかし、登録販売者は、医薬品の専門家として消費者の生活に欠かせない存在となっています。
以下にその理由を詳しく解説していきましょう。
登録販売者は世の中の役に立つ資格!
登録販売者は、第2類・第3類に分類される一般用医薬品(市販薬)を取り扱い、販売できる資格です。
軽微な体調不良やケガは自分で手当てをするというセルフメディケーションが推奨され、国民がいつでも市販薬を購入できる環境を整えるために、登録販売者の資格が誕生しました。
ドラッグストアやスーパーなどで手軽に薬が買えるようになったのは、登録販売者がいるからなのです。
仕事内容もレジ打ちばかりではない
「登録販売者はレジ打ちばかり……」という印象を抱いている方も多いのではないでしょうか。
確かに、登録販売者にはレジ打ちや品出し(在庫補充)など、医薬品以外の業務も担当しながら仕事をすることもあります。
しかし、登録販売者として雇用されている人は、レジ打ちや品出し業務の割合は2~3割程度であることが多い傾向です。
ほとんどの勤務時間を医薬品の接客販売や発注、売り場づくり(棚替え)といった医薬品に関連する仕事に費やしています。
無資格の一般従業員とは、一線を画した仕事内容であるのが特徴といえるでしょう。
登録販売者がいないと生活が不便になる
ドラッグストアなどの医薬品販売店舗を支えているのは登録販売者
日本にあるドラッグストアの数はおよそ2万店舗です。
医薬品を販売するスーパーマーケットやコンビニエンスストアなどを含めると、さらに多くの店舗数となります。
また、登録販売者は市販薬の90%以上を取り扱うことができるという観点からも、ドラッグストア等の医薬品販売店舗を支えているのは登録販売者であることがおわかりいただけるでしょう。
つまり、登録販売者がいなければ、消費者が市販薬を購入できる場は一気に減り、たちまち生活が不便になってしまうのです。
関連記事 登録販売者の資格が生まれた背景について
登録販売者は増えすぎて需要がない?
有資格者は増えたが、単独で医薬品を販売できる実務経験者は不足
資格保有者が全員登録販売者として働いているわけではない
登録販売者は増えすぎて需要がないという意見もよく目にすることがあります。実際のところはどうなのでしょうか?
登録販売者の有資格者が年々増加していることは事実です。
登録販売者試験の合格者は、2019年から2022年の3年間だけで約7万6千人にのぼります。
しかし登録販売者は、医薬品販売店舗や薬局などに就職し、販売従事登録をおこなわなければ、登録販売者としての仕事が開始できません。
資格保有者全員が、登録販売者として就職しているわけではないでしょう。
さらに、登録販売者が単独で医薬品を販売するためには、実務経験の要件を満たす必要があります。
この実務経験を積んだ登録販売者が不足している状況にあり、店舗は人材確保に苦戦しているのです。
関連記事 登録販売者として働くには、試験の合格と手続きが必要
医薬品販売店舗の増加により需要は年々高まっている
経済産業省が発表している「商業動態統計調査」によると、ドラッグストア店舗数は8年連続で増加しているという結果が出ています。
コンビニエンスストアのローソンなども医薬品を販売する店舗を増やしたい意向があり、今後も医薬品販売店舗は増加していく見込みです。
※商業動態統計調査(経済産業省)のデータを基にBrushUP学び作成
医薬品販売店舗の増加にともない、登録販売者の需要も年々高まっています。
需要がなくなるということは当面考えられず、登録販売者を目指す方は今が就職のチャンスであるといえるでしょう。
関連記事 登録販売者の需要について詳しく
登録販売者の試験って簡単すぎない?
受験者の約半数が落ちる、簡単とはいえない試験
都道府県によっては合格率が30%程度というケースも
「登録販売者の試験は簡単すぎるから、取得する価値がない。」と思われている方もいらっしゃるようです。
はたして本当に誰でも合格するような簡単な試験なのでしょうか?
登録販売者試験は全国平均合格率が44.4%(2022年度)という数字が表しているとおり、受験者の約半数が落ちる、決して簡単とはいえない試験です。
ちなみに、登録販売者試験は都道府県別に実施されており、高知県の2022年度登録販売者試験の合格率は29.8%という低さでした。
専門的な試験内容のため、勉強しないと合格できない
登録販売者試験は医薬品と医薬品に関連する専門的な知識を問うものです。
日常生活の一般常識で答えられるような問題はほとんどないため、しっかり勉強しないと合格は難しいといえるでしょう。
関連記事 登録販売者の都道府県別合格率と試験対策について詳しく
特に独学での試験合格は難しい傾向
通信講座などで試験対策をした人の合格率は80%以上
独学受験者のみの登録販売者試験合格率というものは公表されていませんが、直近2022年の全国平均合格率は44.4%という結果でした。
なお、試験対策を専門スクールにおける通信講座などでおこなった人の合格率は80%を超えています(※)。
つまり、全国平均合格率の44.4%という数字は、主に独学受験者が合格率を下げており、独学受験者に不合格者が多いという意味を示していることがおわかりいただけるでしょう。
(※)参考データ:ヒューマンアカデミー通信講座「登録販売者合格総合講座」2021年合格率85.1%、三幸医療カレッジ通信講座「登録販売者受験対策講座」2019年合格率82%
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登録販売者は食べていける仕事?
正社員であれば十分食べていける仕事
登録販売者の平均年収は380万円程度
登録販売者は給料が低くて食べていけないんじゃないの?という疑問についてもお答えしましょう。
登録販売者の平均年収は380万円程度(※)であり、正社員として就職する場合は、未経験者でも年収300万円程度からのスタートといわれています。
正社員であれば十分食べていける仕事といえるでしょう。
また、店長クラスになると年収が400~500万円以上となるケースが多く、キャリアと年収が比例する職種でもあります。
執筆者が勤務していたドラッグストアでは、店長が年収400~500万円台、ブロックマネージャー(エリア統括管理者)になると年収600万円以上という年収水準でした。
(※)indeedキャリアエクスプローラー調べ(2023年6月記事執筆時点)
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登録販売者の仕事ってぶっちゃけきつい?
大変なこともあるが、やりがいの大きな仕事
登録販売者の仕事はきつくて大変そうだから目指すのをためらっている……という方がいらっしゃるかもしれません。
登録販売者の資格が活かせる場は、趣味や遊びではなく「仕事」の場となりますので、もちろん大変なこともあります。
しかし、それ以上にやりがいもある仕事というのは、ぜひ認識していただきたいことでもあります。
きつい・大変だと思うこと
体力を使う作業がある
まずは、きつかったり大変だったりする部分を挙げていきましょう。
登録販売者の仕事のなかには、体力を使う作業があります。
特に医薬品販売店舗で働く登録販売者は、基本的に立ち仕事であり、医薬品や健康食品、ヘルスケア商品は、ダンボールやオリコン(折りたたみコンテナ)に入れられて納品されます。
瓶詰の医薬品や栄養ドリンク類など重量物が入っていることもあり、品出しの際は体力を使います。
重たいケースをそのまま運ぶのではなく、小分けにして運ぶなど、体力を消耗しない方法を考えながら作業すると、つらさが軽減されます。
お客様からのクレームを受けることがある
登録販売者は接客業でもあります。
お客様からのクレームを受けることもゼロではなく、時には自分以外のスタッフが対応した内容のクレームを受けてしまうこともあるでしょう。
クレームのなかには理不尽なものもありますが、クレームをつけるお客様には「もっとよい店になってほしい」という改善を願う気持ちがあります。
真摯にお客様の話をお伺いし、対応を改善することで、自分の接客スキル向上や店舗全体の品質向上につながっていくものです。
マイナス面ばかりではないということは覚えておきたいことの1つです。
人から必要とされることが多く、やりがいがある
医薬品のことについて詳しくないお客様は、登録販売者を頼りに医薬品を購入します。
- 昨晩から熱が出て下がらない
- 2~3日前から咳が止まらない
- 家族が疲れたといって寝込んでいる
- 転んでケガをした
- 虫に刺されてかゆい
以上のように、あらゆる症状を訴えるお客様が多数いらっしゃいます。
登録販売者はそういったお客様の不安を少しでも軽減する役割を担っています。
人から必要とされる機会が多く、やりがいはとても大きな仕事といえるでしょう。
お客様からの感謝の言葉がやりがいにつながる
医薬品販売店舗や薬局に来店するお客様は、基本的に何かに困って来店されます。
登録販売者のアドバイスによって困りごとが解消された時には、「ありがとう」「助かりました」の言葉をいただくことが多いのも、登録販売者の仕事ならではといえるかもしれません。
お客様からの感謝の言葉は、何ものにも代えがたく、登録販売者のやりがいや仕事の支えとなるでしょう。
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登録販売者は将来性がある狙い目の資格
セルフメディケーションの推進により、登録販売者の存在意義が大きくなった
セルフメディケーションとは?
セルフメディケーションとは、軽度の体調不良やケガについては、自分で市販薬を用いたり、健康管理をおこなったりしながら改善していくという考えです。
WHO(世界保健機関)が定義し、現在日本でもセルフメディケーションを推進しています。
医薬品は消費者が自分で選ぶ時代に
セルフメディケーションのさらなる推進のため、国は2017年1月より「セルフメディケーション税制」を導入しました。
これは、セルフメディケーション税制対象の市販薬を年間一定額以上購入した場合、所得控除が受けられるという制度です。
医薬品は消費者が自分で選ぶ時代に入ってきた象徴ともいえる制度でしょう。
参考 厚生労働省/セルフメディケーション税制(特定の医薬品購入額の所得控除制度)について
消費者にとって登録販売者は身近な薬の専門家
セルフメディケーションにより、消費者が自分で医薬品を選ぶといっても、医薬品に精通した一般消費者はかなり少ないでしょう。
そこで、消費者の医薬品選びをサポートする存在こそが、登録販売者なのです。
消費者にとって登録販売者は身近な薬の専門家といっても過言ではありません。
消費者が安心して薬を選び、購入するためにも、登録販売者がしっかり医薬品の知識を持つことが重要といえるでしょう。
年齢や学歴関係なく取得できる公的な資格
登録販売者は年齢や学歴関係なく取得できる公的な資格というのも大きな特徴です。
医薬品を販売できる資格には国家資格の薬剤師もありますが、薬剤師はまず6年制の薬学部のある大学を卒業しなければなりません。
例えば、30歳から薬剤師を目指す場合、薬剤師になれるのは最短でも36歳を過ぎてしまいます。
しかし、登録販売者を目指すのであれば、31歳になる前に資格取得を目指すこともできるという利点があります。
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登録販売者試験を受けるのに受験資格は必要?
登録販売者と薬剤師の違いについて
登録販売者の資格は有効期限がなく生涯使える
また、登録販売者の資格自体については有効期限がなく、資格更新制度もないため、一度資格を取得してしまえば生涯使えるというメリットがあります。
ただし、単独で医薬品販売ができる実務経験についてはブランク期間により失効しますのでご注意ください。
関連記事 登録販売者の資格に期限はある?
資格と経験を活かして別の仕事に就くこともできる
ドラッグストア以外でも働ける!
登録販売者は、医薬品の成分の知識や接客販売スキルを活かし、別の仕事につくことも可能です。
比較的就職しやすい、関連性の高い仕事としては、医薬品業界であれば、製薬会社の営業(MR)、美容業界であれば、ビューティーアドバイザー(美容部員)やエステティシャンなどが挙げられるでしょう。
執筆者はWebライターの仕事へ転身!
執筆者は、登録販売者の実務経験を活かし、Webライターの仕事に転身しました。
別途Webライターとしてのスキルを身につける必要がありましたが、登録販売者としての実体験は執筆に活かせることが多く、今回の記事のように、登録販売者について詳しく知りたい皆様に情報を発信しています。
医薬品を販売するだけにとどまらない登録販売者の資格は、さまざまな可能性を秘めているといえるでしょう。
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