建築士として独立・開業するために必要な手順とは?
ステップ1:建築士試験に合格をする
まずは、建築士の資格取得を目指しましょう。
建築士の資格は国家資格で、試験合格には専門知識の勉強が必要です。
運営元は、公益財団法人建築技術教育普及センターで、資格は一級建築士、二級建築士、木造建築士に分けられています。
受験資格は、建築設備士の資格取得者、建築に関わる学校を卒業している方、建築関係の現場で実務経験がある方なら、二級建築士や木造建築士の資格取得が目指せるでしょう。一級建築士の受験資格は、上記の内容に加えて、二級建築士資格取得者にも与えられます。
試験は、筆記の学科試験と実際に図面作成をする実技試験に分類されて、別々の日に実施となります。
年に1回行われており、受験手数料はそれぞれ、一級建築士17,000円(非課税)、二級建築士と木造建築士は18,500円(非課税)が必要です。
建築士は国家資格として、安全に設計された建物を創るプロとして、専門的な知識や技術が問われます。
そのため、試験の難易度も高くはありますが、講座などを利用しながら勉強に取り組むことで、資格を取得することができるでしょう。
ステップ2:建築士として就職する
資格取得後、ゼネコンや設計事務所などの就職先で技術を学びましょう。
他にも、工務店やハウスメーカーなどの就職先があります。
また、二級建築士や木造建築士を取得した方なら、現場で技術を学びながらスキルアップに一級建築士を目指されるとよいでしょう。
級の種類によって、建築できる建物の種類や規模、高さが変わります。
例えば、一級建築士の資格があれば、ビルなどの建築が可能です。
二級建築士の場合、住宅建築などを中心に建築が可能です。
木造建築士に関しては、木造建築の住宅を扱うことができます。
建築士として就職先で働く中で、将来独立した際、どのような建物を扱いたいのか、どのような方を取り引き先として働くかなど、具体的なイメージをしましょう。
就職先では、独立するための技術も学べます。
納期までに仕事を終えるノウハウ、取り引き先とのやり取りの仕方、顧客との接し方、建築業界の経験、業界の案件価格相場など、現場でしか分からないことがたくさんあるでしょう。
ステップ3:経験を活かし、独立・開業をする
就職時代の下積み期間の経験を活かして、いよいよ独立・開業の準備をしていきます。
営業をする際には、過去に自分がどんな案件に携わってきたのか実績をアピールしていくとよいでしょう。
実績は、独立した際の信頼に繋がるため、営業先や顧客がどんな設計や建物を創れる人か判断材料になるでしょう。
独立前は、設計事務所に勤めている方が多く、雇用されて給料が安定している間に、建築関連のコンペや企画に応募して、実績づくりをする方法も良いかもしれません。
木造や鉄筋など、さまざまな種類の建築物に関わった経験が、独立後にも活きていきます。技術力はもちろん、建築士としての自信に繋がるためです。
また、就職先では、仕事上のトラブルを経験することもあります。
独立した後は、仕事上のトラブルを一人で解決する必要も出てくるため、ここで経験が活きてくる可能性があります。
建築士の独立・開業にはどれくらいの費用が必要?
約500万円程度の費用が必要になる
独立して開業するためには、事務所の立ち上げや仕事道具、登記申請などに、資金が500万円程度かかるでしょう。事務所の規模や従業員を雇う数により、必要な資金が変わってきます。
従業員を雇う際は、人数や雇用形態にもよりますが、毎月給料の支払いも必要になります。正社員を雇用する場合は、保険料や残業代の支給などの経費を考えていく必要もあるでしょう。
事務所を開くためには、まず仕事場にできるオフィスや店舗など、場所を借りる必要があります。また、仕事に必要なデスク、パソコン、CADなどの設計ソフト、電話回線など、オフィスのような設備も必要です。
営業用の名刺づくりや事務作業に必要な印刷機、備品など、さまざまな費用がかかるでしょう。
また、事務所の登録手続きをする際も登録手数料が必要で、一級建築士は18,500円、二級建築士と木造建築士は13,500円かかります。
建築士の独立・開業・フリーランスのメリット・デメリットは?
独立・開業・フリーランスのメリット
仕事の裁量権が大きい点は独立のメリットといえます。
どのくらい残業をするか、明日の仕事をどのくらい残しておくかは自分次第で決めることができます。
また、仕事の案件を一ヵ月でどれくらい引き受けるかなど、受注する量を調整できるメリットもあるでしょう。
ご自身の都合やタイミングで仕事の調整ができるため、お子様のいる家庭では、参観日や送り迎えなども自由に行くことができるため、親子の時間を大切にできます。
また、働いた分だけ稼げるメリットがあるでしょう。
個人のやり方次第で、仕事を制限なく受注できるからです。
フリーランスの場合は、自宅や外出先でも仕事が可能で、場所に捉われず自由な働き方ができます。
そして、建築士として設計したい建物に関われる可能性も上がるでしょう。
特化して作りたい建築物があれば、それを専門にすることも可能です。
このように、独立すると、仕事の内容や働く時間を自分の決定で自由にできる点が大きな魅力であるといえるでしょう。
独立・開業・フリーランスのデメリット
建築の仕事だけでなく、経営面を考える必要があります。毎年の確定申告なども必要です。
確定申告を外注できない場合は、自分でやり方を調べる必要があるため、慣れるまでは手間と時間がかかるでしょう。
定期的な案件が受注できないと、収入が減る可能性もあるでしょう。
企業として開業した場合は、社員の給料を毎月支払う必要もあります。
上手く仕事が回せれば、好きな建築物の設計に関われますが、最初の間は、選り好みをせず、規模や種類に関わらず、どのような仕事でも受注する気持ちが必要となるかもしれません。
経営が上手く回り始めるまでは、資金のやりくりをしながら、経営者として運営を上手くをまわす工夫が必要です。
また、フリーランスの場合、締め切りまでに一人で仕事を仕上げる管理力、意志力が問われます。
独立する前には、建築士として将来どのようなビジョンを実現させたいか、就職先で事前におおまかな計画を立てておきましょう。
まとめ
建築として開業・独立するための手順や必要なもの、開業資金、メリットやデメリットについてご紹介をしてきました。
開業・独立をすると、自由に仕事がコントロールできるメリットがあるでしょう。
ただ、就職しているときのように、収入が安定できるかは、技術力や営業力により変化するため、先を見据えながら計画的に仕事を受注する必要もでてくるでしょう。
開業するまでに、就職先で学べることはたくさんあり、そこで得た人脈を使えば、独立の際にそれが縁で仕事がもらえることもあるでしょう。
ゼネコンや設計事務所などで技術を磨きながら、まずは、開業にかかる資金作りを始めてみると良いかもしれません。