建築士の平均年収はどのくらい?
建築士の平均年収は約701万円!
厚生労働省の令和元年賃金構造基本統計調査によれば、雇用されている一級建築士の平均年収(10人以上の規模・男女計)は、約701万円となっています。
詳細は、給料(基本給)と各種手当額(職務手当・精皆勤手当・通勤手当・家族手当など手当額)の合計で月約41万円(超過労働給与を加えた月収は約46万円)、年間賞与・その他の特別給与額が約149万円です。
上記のデータは、平均年齢が約49歳、勤続年数は約13年、所定内実労働時間が165時間、超過実労働時間は17時間という条件のもと算出されています。
企業規模別の年収情報の詳細は以下のとおりです。
【1,000人以上の企業の場合】
・給料と各種手当額を足して月約50万円(月収約56万円)
・年間賞与、その他の特別給与額約232万円
[年収約904万円]
【100~999人の企業の場合】
・給料と各種手当額の合計が月約40万円(月収約49万円)
・年間賞与、その他の特別給与額約156万円
[年収約744万円]
【10~99人の企業の場合】
・給料と各種手当額を足して月約38万円(月収約39万円)
・年間賞与、その他の特別給与額約105万円
[年収約573万円]
企業規模が大きい程年収が高くなる傾向があり、1,000人以上の企業と10~99人の企業の年収差は約331万円となっています。
令和元年賃金構造基本統計調査のデータによると、
男性の一級建築士の給料と各種手当を足すと月約42万円(月収約47万円)、年間賞与・その他の特別給与額約151万円、年収715万円です。一級建築士でも女性ですと給料と各種手当の合計が月約35万円(月収約39万円)、年間賞与・その他の特別給与額138万円、年収606万円のようです。
一級建築士は女性より男性の方が年収や給料・各種手当額は多いのは、男性の方が「年齢が高い(男性約50歳・女性約42歳」「勤続年数が長い(男性約14年・女性約9年)」「月の労働時間が長い(男性182時間・女性176時間)などの理由があるようです。
二級建築士の平均年収は、一級建築士の年収より180万円程度少なくなります(一級建築士の平均年収などが0.74がけ相当になる)。そのため、二級建築士は、給料と各種手当額を足すと月約30万円(月収約34万円)、年間賞与・その他の特別給与額は約110万円、平均年収が521万円です。
一級建築士の方が二級建築士より傾向として収入が多いのは、「一級の方が設計できる規模が二級より広く、受注金額が高くなる」という理由があります(※一級建築士は設計できる建築物に制限がないため)。
また、「資格を取得する年齢が一級の方が高い」というのもその理由の一つかもしれません。資格を取得した年齢が高いと一級建築士の登録をする際の年齢が高くなり、年齢が高い人は勤続年数が長いのため、収入も多くなりやすいということも考えられます。
ちなみに、建築士試験は「学科の試験」と「設計製図の試験」があり、「設計製図の試験」は「学科の試験」に合格された方のみが受験できます。令和元年試験の場合だと、二級の「設計製図の試験」の合格者平均年齢は27歳、一級の「設計製図の試験」の合格者平均年齢32歳でした。
傾向としては、一級建築士の方が二級建築士よりも年収が高いようです。ですが、二級建築士の方でも、受注金額を高くできたりする場合や大企業に勤務していたりする場合だと、一級建築士より収入が多いということもあるかもしれません。
建築士として独立・開業した場合の年収はどのくらい?
独立・開業した場合はさらに年収が上がる可能性アリ
建築士として活躍する方法として、会社勤めをする以外にも、独立・開業をするという選択股もあります。
独立・開業した場合の年収の目安は、数百万円~数億円といわれており、会社勤めと比較すると年収差は大きいといえます。年収200~300万円の建築士の方もいらっしゃいますし、大規模展開して社員を大勢雇用し、年収が1億円越えの建築士の方もいます。
年収が数億円を超える建築士の方はごく一部の方であると思われますが、建築士への依頼料は高額で、たとえば設計料は100万円を超えることは珍しくありません。そのため、一般的な高収入の目安となる年収1,000万円を目指すことはできるかもしれません。
100万円を超えることが珍しくない建築士への報酬を、独立・開業をすることでご自身の収入にすることができるでしょう。
独立・開業をされる場合は、集客力抜群のインターネットを駆使した集客・宣伝を行うことで、企業(建築事務所、建設会社など)に就業されている建築士の平均年収より多くの収入を得られる可能性はあるといえます。
独立・開業をされることで、決定権を持てるというメリットもあります。例えば、「お客様ひとりひとりの理想を叶える注文住宅を設計する」などの業務内容や、「建設コスト削減しつつも基本性能の高い家を設計する」などといった設計の方針などを自由に決めることができます。どの地域で営業するのか、一日何時間働くのといったことなども、ご自身で決めることができます。
ただし、先に説明した勤務型と独立・開業した場合の想定平均年収・給料を見ていただくとおわかりいただけるかと思いますが、企業で勤務される場合よりも年収・月収(会社員の給料に相当分)が下がることもあります。
建築士として独立・開業して働く場合には、500~1,000万円の開業資金、従業員の給料、事務所の家賃、コンサルティング費用などの支出が必要となるためです。
建築関連の法改正情報(たとえば、2019年に全面施行された改正建築基準法に関する情報など)を含めた最新情報の提供やネットワーク構築に役に立つ支部の活動に参加できるなどのメリットがある建築士会への入会した際の年会費(たとえば東京建築士会だと18,000円)などの支出がかかります。
独立・開業は決定権が増えますが、収入より支出が上回ってしまうことがあるかもしれません。経営がままならくなってしまうということがないように、経営ノウハウを学んだり、培ってきた人脈を大切にするなどして、独立・開業をされるとよいでしょう。
まとめ
勤務型の建築士は、日本人の平均的な年収以上の収入を得られることが期待できる職業です。
日本人の平均年収は約441万円ですが、約701万円~521万円の年収が期待できる勤務型の建築士の方が稼ぐことができる可能性があります。
勤務型の建築士より多く収入を得ることができる可能性がある独立・開業型の建築士の場合でも、日本人の平均年収以上の収入を得ることは不可能ではないでしょう。
建築士試験に合格するためには、時間がかかります。一級建築士より合格しやすい二級建築士でも、学習時間の目安は初学者で700時間、経験者で500時間といわれています。そのため、学習をされるのであれば、お早めの行動をされると良いかもしれません。