税理士の資格取得・税理士になるには
税理士になるには、条件を満たした上で日本税理士会連合会の税理士名簿に登録、税理士会に入会することで業務ができるようになります。税理士試験に合格して資格取得するルートが最も一般的ですが、税理士として認められる条件は以下となっています。
(1)税理士試験に合格した方(※)
(2)税理士試験を免除された方(※)
(3)弁護士資格取得した方
(4)公認会計士資格取得した方
※(1),(2)については、租税に関する事務、または会計に関する事務で2年以上の実務経験も必要です。
税理士試験について
受験資格
税理士試験を受けるには、学歴・資格・職歴などいずれかの受験資格をクリアする必要があります。
主な条件として、大卒の方で法律学もしくは経済学に関する科目を1科目以上履修している方には受験資格があります。法学部・経済学部・商学部・経営学部などを卒業した方のほか、文学部や理工学部を卒業した方も、該当の科目を1科目でも履修していれば受験資格があります。
そのほかにも税理士試験の受験資格には細かい指定はありますが、主な受験資格は下記のようになっています。
学歴について
・大学、短大または高等専門学校で、法律学または経済学に属する科目を1科目以上履修し卒業した方
・大学3年次以上の学生で、法律学または経済学に属する科目を含め62単位以上を取得した方など
資格などについて
・司法試験に合格した方
・公認会計士試験短答式試験に合格した方
・日商簿記1級に合格した方など
職歴について
※下記の事務または業務に通算2年以上従事した方
・銀行・信託会社・保険会社などで、資金の貸付・運用に関する事務
・法人又は事業を営む個人の会計に関する事務
・税理士、弁護士、公認会計士等の業務補助の事務など
上記いずれかの条件を満たしていれば税理士試験の受験が可能です。
高卒で税理士になるには
高卒の方が税理士になるためには、まず税理士試験の受験資格を得なければなりません。受験資格を得るには、企業の会計・経理事務や税理士業務の補助事務に2年以上従事するなどして、受験資格の職歴の要件を満たすか、日商簿記1級を取得するなど資格についての要件を満たす必要があります。もしくは、通信制の短大などで簿記・会計について学習しながら単位を取得し、短大卒業資格を得ることで税理士の受験資格を満たすのも一つの方法です。卒業までに最短で2年かかりますが、簿記・会計についての知識を身につけることができ、税理士試験にも役立ちます。
税理士資格の試験概要
税理士資格の試験は科目選択制です。 必須科目は「会計学に属する科目(簿記論・財務諸表論)」の2科目と、選択科目は「税法に属する科目(所得税法・法人税法・相続税法・消費税法又は酒税法・国税徴収法・住民税又は事業税・固定資産税)」のうち3科目、計5科目となっています。 選択科目については、所得税法・法人税法のいずれかしなければいけません。また、「消費税法と酒税法」、「住民税と事業税」はそれぞれ両方選択することはできませんので注意しましょう。1科目を必ず選択 一度に5科目を受験せず1科目ずつ受験することが可能です。科目ごとに合否判定され、合格科目に有効期限はありません。合格すれば一生涯有効ですので、時間をかけて税理士合格を目指すことができます。
活躍の場
活躍の場
法人・個人の確定申告などの税務代理を行う、税務業務は税理士の独占業務です。税理士の資格取得後は、ほとんどの人が独立開業を果たしています。最近では税務コンサルタント、企業内税理士、国際派税理士などとして活躍する人も増えています。試験にさまざまな科目があるように、同じ税理士でも、法人税に強い人、所得税に強い人など専門分野は異なります。そのため、複数の税理士が提携して仕事を引き受ける例も目立ちます。また、企業によっては試験に合格すると報奨金が出る会社もあり、社内評価が高くなることもあります。
こんな人が向いています
計算や記帳など、地道な仕事でも苦にならない堅実で細かい作業ができる人におすすめです。また、税理士は他人の帳簿を扱うので、公平で責任感が強い事も要求されます。独立開業においては、古参の税理士事務所が多くの企業をすでに顧客としているので、顧客の新規開拓がかなり困難になっているのが現状。ですが、顧客が望むコンサルティング業務を行なっている税理士が少ないのも事実なので、丁寧な仕事を続けていれば、まだまだ顧客を開拓できるチャンスもあるでしょう。
税理士の給料・年収分析
税理士の平均年収
厚生労働省「平成27年賃金構造基本統計調査」の結果、税理士の平均年齢は、正社員の場合で40.7歳で、勤続年数が11年であることがわかりました。そして給与に関しては、月収は47万5800円となりました。さらに平均年収は718万8000円で、年間ボーナスの平均が、147万8400円です。国税庁の「平成26年分民間給与実態統計調査結果」によると、給与所得者の平均年収は415万円だったので、税理士の年収は、かなり高い水準であることがわかります。日本では、資格別に見ると医師、弁護士に次ぐトップレベルの収入が得られる仕事です。または税理士と同レベルの所得である資格には、公認会計士や不動産鑑定士などが挙げられます。
【正社員】
平均年齢 40.7歳
勤続年数 11年
労働時間 156時間/月
残業時間 15時間/月
平均月収 475,800円
賞与 1,478,400円
平均年収 7,188,000円
【パート】
平均年齢 39.1歳
勤続年数 11.8年
実労働日数 20.1日/月
1日の平均労働時間 6.4時間/日
平均時給 2,500円
出典:「平成27年賃金構造基本統計調査」(厚生労働省)
※平均年収については本統計データを加工して作成(きまって支給する現金給与額×12ヶ月+年間賞与その他特別給与額)
パートで税理士として働く
税理士としてパート勤務する場合、時給は2500円です。平成28年3月度の時点で、三大都市圏(首都圏・東海・関西)の平均時給は977円でした。時給が最も高い首都圏でも1019円なので、公認会計士のパート勤務は、一般的な水準よりも約2.5倍の時給が得られる仕事です。 パート勤務の税理士の場合、1日の平均勤務時間が6.4時間で、1か月の平均勤務日数は20.1日です。平均的な勤務日数・時間で働いたとすると、32万1600円の月収になります。ボーナスの115万600円を含めると、年収は500万9800円になります。家事や子育て、親の介護など、ワークライフバランスを保ちながら働きたい税理士にとっては、魅力な働き方です。収入は正社員より低いものの、残業はなく、自分のペースで働き続けることが出来ます。
独立・フリーランスについて
税理士は、士業の中でもステイタスの高い資格です。正社員やパート勤務として働くこともメリットはありますが、やはり独立・フリーランスとして活躍することも魅力的です。開業をして成功をすれば、正社員以上の年収を得ることが出来ます。人によっては、数千万円の高所得者もいます。ただし、場合によっては期待する収入が得られない可能性もあります。というのも、税理士の登録者数が増えており、ライバル同士での競争も激化していっています。そこで大切なのは、新規顧客の獲得と、継続的な顧客との関係性を構築することです。最近では、インターネットやSNSを活用して営業活動をするケースも増えていますが、税理士の業務だけではなく、地道な営業活動を出来る方が独立・フリーランスに向いています。
試験データ
項目 | 内容 |
---|---|
資格・試験名 | 税理士 |
試験日 |
【[第74回]令和6年度 税理士試験】 |
試験区分 | 国家資格 |
主催団体 | 国税庁国税審議会 |
受験資格 | (1)大学、短大又は高等専門学校を卒業した者で、法律学又は経済学に属する科目を1科目以上履修した者 (2)大学3年次以上の学生で法律学又は経済学に属する科目を含め62単位以上を取得した者 (3)専修学校の専門課程(①修業年限が2年以上かつ②課程の修了に必要な総授業時数が1,700時間以上に限る。)を修了した者等で、法律学又は経済学に属する科目を1科目以上履修した者 (4)司法試験に合格した者 (5)旧司法試験法の規定による司法試験の第二次試験又は旧司法試験の第二次試験に合格した者 (6)公認会計士試験短答式試験合格者(平成18年度以降の合格者に限る。) (7)公認会計士試験短答式試験全科目免除者 (8)日本商工会議所主催簿記検定試験1級合格者 (9)公益社団法人全国経理教育協会主催簿記能力検定試験上級合格者(昭和58年度以降の合格者に限る。) (10)会計士補 (11)会計士補となる資格を有する者 (12)以下の事務又は業務に通算2年以上従事した者 ・弁護士・司法書士・行政書士・社会保険労務士・不動産鑑定士の業務 ・法人又は事業を営む個人の会計に関する事務 ・税理士・弁護士・公認会計士等の業務の補助の事務 ・税務官公署における事務又はその他の官公署における国税若しくは地方税に関する事務 ・行政機関における会計検査等に関する事務 ・銀行等における貸付け等に関する事務 (13)国税審議会より受験資格に関して個別認定を受けた者 |
合格率 | 15.3% (平成30年度・第68回) |
出題内容・形式 | ・試験科目: 会計学に属する科目(簿記論及び財務諸表論)の2科目と税法に属する科目(所得税法、法人税法、相続税法、消費税法又は酒税法、国税徴収法、住民税又は事業税、固定資産税)のうち受験者の選択する3科目(所得税法又は法人税法のいずれか1科目は必ず選択しなければなりません。)について行われます。 なお、税理士試験は科目合格制をとっており、受験者は一度に5科目を受験する必要はなく、1科目ずつ受験してもよいことになっています。 ・出題範囲: 1.簿記論(複式簿記の原理、その記帳・計算及び帳簿組織、商業簿記のほか工業簿記を含む。ただし、原価計算を除く) 2.財務諸表論(会計原理、企業会計原則、企業会計の諸基準、会社法中計算等に関する規定、会社計算規則(だたし、特定の事業を行う会社についての特例を除く。)、財務諸表等の用語・様式及び作成方法に関する規則、連結財務諸表の用語・様式及び作成方法に関する規則) 3.消費税法又は酒税法(①当該科目に係る法令に関する事項のほか、租税特別措置法、国税通則法など当該科目に関連する他の法令に定める関係事項を含む。) 4.法人税法(①と同じ。) 5.相続税法(①と同じ。) 6.所得税法(①と同じ。) 7.固定資産税(②当該科目に係る地方税法、同施行令、施行規則に関する事項のほか、地方税法総則に定める関係事項及び当該科目に関連する他の法令に定める関係事項を含む。) 8.国税徴収法(①と同じ。) 9.住民税又は事業税(②と同じ。) |
検定料 | 1科目:4,000円 2科目:5,500円 3科目:7,000円 4科目:8,500円 5科目:10,000円 |
問い合わせ先 |
東京の場合:東京国税局 人事第二課 http://www.nta.go.jp/ 〒104-8449 東京都中央区築地5丁目3番1号 TEL:03-3542-2111 |