簿記とは?どのような資格?
企業や個人事業者の日々の営業取引を記録する家計簿のようなもの!
そもそも簿記とは「お金や財産に関する営業取引を帳簿に記録すること」をいいます。
どのような企業であっても、必ず何らかのお金の出し入れはあるのではないでしょうか。
たとえば、商品の仕入や販売などが挙げられるでしょう。
誰が見てもわかる記録が必要
私たちが家計簿をつける際には、自分または家族が理解していればそれで済むかもしれませんが、企業の場合はそうもいきません。
お金の出し入れが頻繁に行われる企業では、誰が見てもわかる書き方で記録しなければならないのです。
その誰でもわかる書き方で記録するためには、簿記の知識・スキルが必要になるでしょう。
簿記の資格を取得するメリットは?
メリット(1): 就職・転職に活かせる!
簿記を学ぶことによって、決算書を読む力はもちろん、ビジネスの基本ともいえるコスト感覚が身につきます。
コストを意識した仕事ができるようになるので、すべての社会人の方にとって役立つ資格といっても過言ではないでしょう。
会社の規模や業界、業種に関係なく、企業である限りは必ずお金の流れを記録する業務が発生するはずです。
そのような時、簿記資格を持っていることで、有利になる可能性があります。
2級以上は就職・転職時に有利
日商簿記の初級と3級は、それぞれ入門レベルと基本レベルになります。
資格取得しても、知識・スキルをメインとした業務にすぐ活かすことは難しいかもしれません。
就職や転職に効力を発揮するのは2級からなので、就職や転職時に役立てたい方は簿記2級の資格取得を目指しましょう。
簿記の資格は、特に経理や財務の仕事に就きたい方におすすめですが、直接は関係ない仕事でも、簿記資格取得者ということで面接時などに有利に働くこともあるようです。
また、簿記の資格を取るために努力したことや、簿記の資格をどのように業務に活かしていきたいかを自己アピールすることで、さらに説得力が生まれるでしょう。
メリット(2):独立や起業の際に活かせる!
簿記の資格取得により、独立や起業の際にも役立てることができます。
独立や起業をした際には、会社員の時には必要がなかった確定申告をしたり、決算書を作成するための帳簿をつけなければなりません。
また、会社を経営するにあたって必要な資金計画や事業計画書を作成することになります。
そのような時に、簿記の知識は役に立つでしょう。
簿記の知識を身につけることで、起業活動に必要になってくるさまざまな費用を把握しやすくなりますし、起業後の予算計画書の作成や決算作業もスムーズにいくはずです。
経営者には簿記の知識が役立つ
会社経営者は、会社経営を成り立たせるために企業の業績や財政状態を客観的に分析する必要があります。
それに一役買ってくれるのが簿記の知識なのです。
他にも、金融機関などから融資を受ける時、簿記の知識を活かして融資の事業計画書を作成したり、簿記の資格取得者ということで審査時に有利に働くこともあるようです。
このようにな利点がありますので、これから独立や起業をする方は、ぜひ簿記の資格取得を目指すことをおすすめします。
メリット(3):他の資格取得への足がかりになる!
簿記の資格取得により、他の資格を取得する時の足がかりにすることができます。
例えば、日商簿記1級の資格を取得すれば、税理士試験の受験資格を得ることができます。
同じく、会計系の資格として最難関といわれている公認会計士の試験でも、簿記は必須科目となっています。
公認会計士を目指している方は、簿記の資格を取得しておくと後々役に立つことでしょう。
金融系の資格取得にもおすすめ
簿記2級・3級の資格取得後に、会計の知識が求められる販売士や中小企業診断士などの資格を取得するといったケースもあるようです。
また、ファイナンシャルプランナーも金融や税金、不動産などお金に関するさまざまな事柄を扱うので、簿記の資格を取得をした方にはおすすめの資格です。
簿記の資格は1つではない?簿記資格の種類について
簿記の資格は主催団体によって異なる!
簿記の資格は、1つではなく複数の資格が存在します。
主な資格としては3つあり、主催団体や特徴が異なります。
▼日商簿記(1級・2級・3級・簿記初級)
主催団体:日本商工会議所
簿記のなかで最もメジャーな検定で、受験者は社会人の方が多い。
▼全経簿記(上級・1級・2級・3級・基礎)
主催団体:全国経理教育協会
経理の専門学校に通う学生の方が多く受験している。
▼全商簿記(1級・2級・3級)
主催団体:全国商業高等学校協会
商業高校に通う高校生(または卒業者)の方が受ける場合が多い。
このように簿記は検定によって主催団体や級、特徴などが異なりますので、ご自身に合った資格勉強が必要になります。
簿記講座・スクール比較日商・全商・全経簿記 難易度比較
日商簿記と全商簿記の比較
日商簿記と全商簿記の難易度は下記になります。
- 全商簿記1級=日商簿記2級
- 全商簿記2級=日商簿記3級
全商簿記を持っているなら、同じレベルの日商簿記を取得しなくてもよいわけではありません。
全商の1級に合格する力がある方は、ぜひ日商簿記2級の受験をおすすめします。
なぜなら、全商簿記の知識ではきちんとした評価を受けることができない可能性もあるためです。
日商簿記2級と全経1級の比較
日商簿記2級と全経1級では、商業簿記の難易度はほぼ同等、工業簿記は日商2級のほうが難しいといわれています。
その理由を説明しましょう。
全経1級では、科目合格というシステムを採用しています(注:有効期限あり)。
会計学・工業簿記それぞれ別々に受験でき、合格率も別々に算出されています。
全経1級の会計学の合格率は20%程度、工業簿記の合格率は60%程度という結果からもわかるとおり、工業簿記は高い確率で合格しています。
科目合格制度はない
一方、日商簿記は科目合格という制度はありません。
通常、大問が5問あり、問1~問3(約60点分)が商業簿記で、問4および問5(約40点分)が工業簿記です。
そのなかで70%正解しなければいけません。
日商簿記2級の合格率は9~30%程度です。
この仕組みの違いからか、日商簿記2級は全経1級より難しくなっているのです。
受験生のレベルが高い
日商簿記の知名度が高く、企業からも評価が高いといわれているためか、受験生のレベルとしても日商簿記が高くなっている可能性があります。
さらに、日商簿記1級受験生のなかには、毎回一定数、公認会計士試験の受験生の方もいるようです。
日商簿記の試験日や申し込み方法は?
当ページでは、最も知名度が高く、社会人の方が受けることが多い日商簿記について詳しくご紹介します。
どの級も受験資格はないので、どなたでも気軽に受験することができます。
日商簿記検定3級・2級合格に向けたスケジュール例
日商簿記検定を受検するまで、3級・2級とふたつのモデルスケジュールを例に勉強時間などを動画で紹介します。
また、講座を受講する場合の費用も紹介しています。
関連記事:
簿記試験(日商簿記検定)の試験日、試験時間、申し込み方法、試験科目などを解説!ネット試験についても紹介します
日商簿記初級について
2017年に日商簿記4級が廃止され、初級試験がスタートしました。
初級は簿記初学者向けの入門級となっていて、初級試験では簿記の基本知識が問われます。
簿記の基本用語や複式簿記の仕組みを理解し、業務に活用することを目的としています。
▼試験概要
試験時間 | 40分 |
---|---|
試験会場 | 各地の商工会議所、または商工会議所が認定した機関 |
試験日程 | 各インターネット試験会場により決定 |
試験形式 | インターネット上で試験の実施から採点、合否判定までをおこなうインターネット試験 |
合格ライン | 100点満点中70点以上 |
試験範囲 |
【簿記の基本原理】 基礎概念、取引、勘定、帳簿、証ひょうと伝票 【期中取引の処理】 現金預金、売掛金と買掛金、その他の債権と債務、手形、商品、固定資産、純資産(資本)、収益と費用、税金 【月次の集計】 試算表(残高・合計・合計残高)による月次集計、また資産総額や負債総額などの金額の読み取り |
受験料 | 2,200円(税込) |
合格率 | 61.5%(2022年4月1日~2023年3月31日) |
関連記事:
簿記初級(旧簿記4級)とは?合格率・難易度、3級との違いについても紹介!
日商簿記3級について
日商簿記3級は、仕事の業種や職種にかかわらず社会人が身につけておくべき「必須の基本知識」として、多くの企業から評価されています。
基本的な商業簿記(商品を仕入れて販売する活動を記録・計算し、適切な決算書の作成をおこなうためのもの)を習得し、小規模の会社の企業活動や会計実務を踏まえ、経理関連書類の適切な処理をおこなうことを目的としています。
2019年度から、出題範囲が変更になりました。
主な変更点は学習対象で、従来は「個人商店」を対象にしていたのに対し、改定後は「小規模の株式会社」が対象になります。
また、従来の統一試験方式に加え、2020年12月よりネット試験方式が導入されました。
ネット試験方式では、受験停止期間を除き希望の日時で予約が可能です。試験結果は即時判定されるので、すぐに結果を知りたい方にもおすすめです。
▼試験概要
試験時間 | 60分 |
---|---|
試験会場 | 商工会議所が設けた高校・大学・専門学校などの教育施設 |
試験日程 | ●統一試験方式: ・6月:第2日曜日 ・11月:第3日曜日 ・2月:第4日曜日 ●ネット試験方式: 随時実施、日程は試験会場が定める |
試験形式 | ●統一試験方式:ペーパーによる記述式 ●ネット試験方式:パソコンによるインターネット回答式 |
合格ライン | 100点満点中70点以上 |
試験科目 | 商業簿記 |
受験料 | 2,850円(税込) |
合格率 | ●統一試験方式:34.0%(第164回・2023年6月実施) ●ネット試験方式:42.3%(2023年4月~2023年6月) |
※試験時間について※
以前は120分試験でしたが、2021年度より試験時間が変更になりました。
日商簿記2級について
日商簿記2級では、3級の内容に加えて商業簿記の範囲はさらに広くなります。
商業簿記の他にも工業簿記(商品を自社で製造して販売する活動を記録・計算するためのもの)の知識が問われます。
会社の規模が大きくなるにつれ、取引の幅も広がるので帳簿も複雑化します。
この複雑化した帳簿を整理し、経営成績や財務状態を関係者にわかるようにしたものを財務諸表といいます。
日常用語としては決算書と呼ばれています。
日商簿記2級の資格取得をして財務諸表を理解できるようになると、経理や財務の即戦力として高評価を得ることができるかもしれません。
また、従来の統一試験方式に加え、2020年12月よりネット試験方式が導入されるなど、試験内容に変更があります。
詳細については公式ホームページをご覧ください。
▼試験概要
試験時間 | 90分 |
---|---|
試験会場 | 商工会議所が設けた高校・大学・専門学校などの教育施設 |
試験日程 | ●統一試験方式: ・6月:第2日曜日 ・11月:第3日曜日 ・2月:第4日曜日 ●ネット試験方式: 随時実施、日程は試験会場が定める |
試験形式 | ●統一試験方式:ペーパーによる記述式 ●ネット試験方式:パソコンによるインターネット回答式 |
合格ライン | 2科目合計70点以上 (商業簿記60点満点・工業簿記40点満点) |
試験科目 | 商業簿記+工業簿記 |
受験料 | 4,720円(税込) |
合格率 | ●統一試験方式:21.1%(第163回・2023年6月実施) ●ネット試験方式:39.5%(2023年4月~2023年6月) |
※試験時間について※
以前は120分試験でしたが、2021年度より試験時間が変更になりました。
日商簿記1級について
日商簿記1級では、商業簿記や工業簿記などの3級・2級の内容に加え、会計学や原価計算などの知識が問われます。
1級を資格取得することで、会計基準や会社法など企業の会計についての法律を踏まえ、経営的視点での管理や分析ができるようになります。
極めて難易度の高い資格なので、就職や転職時にも高評価となる可能性があります。
また、1級の資格試験に合格すると税理士試験の受験資格が得られますので、税理士や公認会計士の登竜門ともなっている資格です。
▼試験概要
試験時間 | 180分 (商業簿記・会計学:90分、工業簿記・原価計算:90分) |
---|---|
試験会場 | 商工会議所が設けた高校・大学・専門学校などの教育施設 |
試験日程 | ・6月:第2日曜日 ・11月:第3日曜日 ※3・2級とは異なり、年2回の実施です |
試験形式 | ペーパーによる記述式 ※3・2級とは異なり、ネット試験方式は導入されていません。 |
合格ライン | 合計70点以上 ※ただし1科目ごとの得点が40%を上回ることが条件 |
試験科目 | 商業簿記・会計学・工業簿記・原価計算 |
受験料 | 7,850円(税込) |
合格率 | 12.5%(第164回・2023年6月実施) |
具体的な試験日や申し込み方法については、公式ホームページに掲載されていますのでご参考にしてください。
■参考:日本商工会議所「簿記検定試験」
簿記の資格取得に向いている人は?
経営管理・経営分析など企業経営のスペシャリストを目指す方!
簿記の知識・スキルを必要とする経理・財務の仕事は、景気に関係なく常に需要があります。
会社の基盤に関わる重要な仕事を任せられる資格なので、経理や会計処理に直接関わる部門の在籍者に限らず、経営管理・経営分析など企業経営のスペシャリストを目指されている方は資格の取得をおすすめします。
初級から1級まで順番に取得する必要はないので、ご自身の目的にあった級を目指しましょう。
簿記の資格取得に必要な勉強時間について
勉強時間の目安:簿記3級で約100時間程度!
結論からいうと、簿記3級の場合は目安として100時間程度です。
ただし、当然のことながら、その人の勉強を始める時点での知識レベルや、ライフスタイルなどでこの必要時間は異なります。
簿記の資格は未取得、きちんと勉強するのは初めてという初学者の方でも、仕事で経理業務などの経験がある場合は理解が早く、学習時間が短縮できる可能性は大いにあります。
学習時間をどのように確保して学ぶか
また、1日数時間まとめて勉強する時間が取れるのか、通学・通勤時間や休憩時間、寝る前の時間などの時間を活用して勉強するのかによっても進み方は異なるでしょう。
さらに、自分が短期間詰込みの方が向いているのか、じっくり時間をかけてコツコツと積み上げる方が得意なのかをしっかりと考えましょう。
日商簿記3級の勉強時間が約100時間というのはあくまで目安です。
自分の生活や経験、性格まで考慮して学習スケジュールを立てることが必要です。
勉強時間の目安:簿記2級で200時間程度!
簿記2級になると必要な学習時間の目安は200時間程度だといわれます。
こちらももちろん、3級でお話ししたように経験、ライフスタイル、性格などによって必要時間は異なります。
約200~400時間が必要となる可能性もあるでしょう。
3級の復習も必要
2級では3級でも学習した商業簿記に、連結会計や本支店会計、税効果会計、外貨建取引、リース、各種引当金などと新しい項目が追加され、より実務的な内容になっていきます。
3級の知識が完全に身についていることが前提としての出題になりますので、学習を進め、何回問題集を解いても正解率が低い場合は、新しいものばかりでなく、3級の復習にも力を入れましょう。
工業簿記の学習
また、2級から新たに「工業簿記」が試験の範囲に加わります。
初めて勉強する範囲になりますので、これまで聞いたことのない言葉や知識も多く出題されます。
すんなり学習が進むとは限りませんので、こちらにもきちんと時間を割く必要があります。
2級の簿記試験に向けての学習時間は、どの項目にどれだけ時間を割り当てるかの学習計画がとても大切になります。
余裕のある計画が大切
3級、2級、どちらにもいえることではありますが、学習計画を立てるときには若干の余裕を持って計画することが必要です。
その理由は、想像よりも難しく、学習がうまく進まないこともあるかもしれませんし、急用や体調不良、残業など、計画通りに勉強ができない日が発生する可能性もあるためです。
時間が余れば復習の時間に充てることも、休息をとることもできます。
実際の試験に間に合わないということがないように、やや余裕を持った計画を立てましょう。
独学で簿記を学ぶ際の勉強方法は?おすすめのテキストや問題集を紹介
独学で簿記を学ぶ人におすすめの参考書(テキスト)・問題集
独学で簿記試験に合格するには、参考書や問題集の選択が重要となります。
最新のものを選ぶ!
最初に注目すべき点は「最新のものであること」です。
簿記は出題傾向や扱う論点が頻繁に変わる試験です。
試験対策としてなるべく新しい情報を手に入れるために、最新の教材を選ぶようにしましょう。
自分に合ったものを選ぶ!
もうひとつ重要なのが、「自分に合ったものを選ぶこと」です。
勉強する内容は同じでも、人によって色の数が多いもの、イラストや図解が多いものが好きな場合もあれば、その逆もあります。
文章量、見た目のバランスで自分が使いやすいかどうかを、できれば実際に手に取って確認してみましょう。
では、独学で簿記を勉強する際におすすめの参考書・問題集を以下にご紹介します。
おすすめの参考書・問題集
簿記3級におすすめの参考書・問題集
▶スッキリわかる 日商簿記3級 第14版 [簿記検定 Webアプリ仕訳猛特訓+模擬試験プログラム+解き方講義動画&ワンポイントWeb解説]
書店売上ランキング14年連続NO.1、初心者にもわかりやすい簿記3級王道の1冊。
出版社:TAC出版
著者:滝澤 ななみ
▶究極の仕訳集 日商簿記3級 第6版 [新試験完全対応(ネット試験・統一試験) 仕訳Webアプリ 赤シートつき]
徹底して仕訳をマスターしたい方におすすめの問題集です。
出版社:TAC出版
著者:TAC簿記検定講座
簿記2級におすすめの参考書・問題集
▶イメージで攻略 わかる! 受かる‼ 日商簿記2級商業簿記 テキスト&問題集2023年度版[問題集、模擬試験もネット試験対応+スマートフォンアプリで仕訳攻略!]
ネット試験の出題傾向をしっかり対策したテキストです。商業簿記と工業簿記の2巻でシリーズ化されています。
出版社:TAC出版
著者:滝澤 ななみ
▶日商簿記2級 みんなが欲しかった やさしすぎる解き方の本 第5版 [統一試験もネット試験も、誰でも解ける]
簿記2級試験の合格を後押ししてくれるテキストです。
出版社:TAC出版
著者:滝澤 ななみ
簿記1級におすすめの参考書・問題集
▶いちばんわかる日商簿記1級シリーズ
いちばんわかる日商簿記1級 商業簿記・会計学の教科書 第Ⅰ部
2023年5月に出版されたばかりの最新テキスト。独学で簿記1級の合格を目指すなら、「いちばんわかる日商簿記1級シリーズ」がおすすめです。
商業簿記全3巻・工業簿記全2巻の計5巻で構成されています。
出版社:サンクチュアリ・パブリッシング
著者:CPA会計学院
簿記試験対策おすすめアプリ
パブロフ簿記
実際に簿記を勉強された方が開発した学習アプリで「仕訳」に特化したものです。
公認会計士が具体的に解説しているのが特徴で、間違えた問題だけをピックアップしての復習・回答が可能です。
独学で簿記を学ぶ際に初心者がやりがちな失敗とは
独学で簿記を学ぼうとするとき、初心者がやりがちな失敗というのがいくつかあります。
ここでは、その具体例を6つ取り上げます。
(1)簿記の基礎を理解しないで問題を解こうとする
3級など受験級によっては学生でも挑戦しやすい内容ですが、初心者が突然問題を解こうとすると見慣れない会計の専門用語でつまずくことになります。
用語や流れを理解していないと解答はおろか、問題を理解することすらできないかもしれません。
簿記を学ぼうとするなら、まずはテキストを読み、専門用語を調べて、基礎や流れを理解することが大切です。
(2)値段で教材を決める
簿記検定のテキストは数多くあります。
中古本を買うなど値段だけで決めてしまうと法改正など最新の情報に対応していないことがあります。
テキストは内容を確認し、最新情報が掲載されていて、自分がわかりやすいと思うものを選びましょう。
(3)機能性のみで電卓を選ぶ
簿記検定には電卓やそろばんの持ち込みが可能です。
しかし、持ち込める物には決まりがあり、関数電卓などの多機能な電卓は不可とされています。
簿記検定では四則演算ができれば十分なので、多機能の物よりも自分の使いやすい物、使い慣れた物を使用しましょう。
(4)休日だけまとめて勉強する
簿記の勉強で大切なのは、流れを理解することです。
平日は手をつけず、一週間に一度などまとめて勉強しようとするとその流れを忘れてしまい、これまでの勉強が台無しになることもあります。
特に簿記に馴染みのない初心者の場合、平日は1時間、休日にまとまった時間勉強するなど、短時間でもこつこつと毎日勉強を続けることが大切です。
(5)複数のテキストを買う
試験前の不安感から複数のテキストを買う方がいます。
しかし、あれこれと読んで集中できないよりも一冊を最後までしっかりと学ぶほうが効率的です。
また、学習ノートに手をかけすぎるのもあまりよくありません。
ノート作ることに集中して、最後までテキストを読めずに試験日を迎えては意味がないからです。
(6)出題傾向の低い問題に力を入れる
簿記は、基本をしっかりと学ぶことが必要です。
出題傾向が低い問題よりも基本的な問題、頻出問題を繰り返し解いて、解答力を身につけましょう。
間違えた問題をきちんと確認することも大切です。
監修者プロフィール
有限責任あずさ監査法人のパートナー(2018年退任)
さくま会計事務所の所長(現任)
監査法人MMPGエーマック代表社員(現任)
フェリス女学院の監事(現任)
神奈川大学の非常勤講師(現任)
さくま式簿記講座の講師(現任)
>> 【さくま式 簿記講座】のホームページはこちらから
日商簿記の試験を実施している日本商工会議所は、各級のレベルを以下のように示しています。
資格名 | 特徴 |
---|---|
日商簿記初級 | ビジネスパーソンが業種・職種にかかわらず日常業務をこなすための必須知識。 簿記の基本用語や複式簿記の仕組みを理解し、業務に利活用できる。 |
日商簿記3級 | ビジネスパーソンに必須の基礎知識。 経理・財務担当以外でも、職種にかかわらず評価する企業が多い。 基本的な商業簿記を習得し、経理関連書類の適切な処理や青色申告書類の作成など、初歩的な実務がある程度できる。 中小企業や個人商店の経理事務に役立つ。 |
日商簿記2級 | 経営管理に役立つ知識として、最も企業に求められる資格の1つ。 企業の財務担当者に必須。 高度な商業簿記・工業簿記(原価計算を含む)を習得し、財務諸表の数字から経営内容を把握できる。 高校(商業高校)において習得を期待するレベル。 |
日商簿記1級 | 公認会計士、税理士などの国家資格への登竜門。 合格すると税理士試験の受験資格が得られる。 極めて高度な商業簿記・会計学・工業簿記・原価計算を習得し、会計基準や会社法、財務諸表等規則などの企業会計に関する法規を踏まえて、経営管理や経営分析ができる。 大学などで専門に学ぶ者に期待するレベル。 |
簿記試験合格を目指せるおすすめスクール
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よくある質問
-
A.
企業や個人事業者の日々の営業取引を記録する日記のようなものです。
具体的には「お金や財産に関する営業取引を帳簿に記録すること」をいいます。
簿記は帳簿に営業取引を記録する以外に、帳簿を整理して会社の資産・売上・利益などを明らかにするという目的があります。関連記事:
簿記とは?どんな資格?どう役に立つの? -
A.
主に3つの簿記試験があり、主催団体によって特徴が異なります。
●日商簿記(1級・2級・3級・簿記初級)
主催団体:日本商工会議所
簿記のなかで最もメジャーな検定で、受験者は社会人の方が多い。
●全経簿記(上級・1級・2級・3級・基礎)
主催団体:全国経理教育協会
経理の専門学校に通う学生の方が多く受験している。
●全商簿記(1級・2級・3級)
主催団体:全国商業高等学校協会
商業高校に通う高校生(または卒業者)の方が受ける場合が多い。
-
A.
●(1)就転職に活かせる!
簿記を学ぶことによって、決算書を読む力はもちろん、ビジネスの基本ともいえるコスト感覚が身につきます。
コストを意識した仕事ができるようになるので、すべての社会人の方にとって役立つ資格といっても過言ではないでしょう。
●(2)独立や起業の際に活かせる!
簿記の知識を身につけることで、起業活動に必要になってくるさまざまな費用を把握しやすくなりますし、起業後の予算計画書の作成や決算作業もスムーズにいくはずです。
●(3)他の資格を取得への足掛かりになる!
例えば、日商簿記1級の資格を取得すれば、税理士試験の受験資格を得ることができます。
同じく、会計系の資格として最難関と言われている公認会計士の試験でも、簿記は必須科目となっています。
公認会計士を目指している方は、簿記の資格を取得しておくと後々役に立つことでしょう。関連記事:
簿記の資格を取得するメリットは? -
A.
簿記3級で約100時間程度。
2級で200時間程度です。
ライフスタイルによっても勉強時間は異なってきますので、あくまで目安としてお考えください。関連記事:
簿記の資格取得に必要な勉強時間について
試験データ
項目 | 内容 |
---|---|
資格・試験名 | 日商簿記検定 |
試験日 |
【[第168回]2024年度11月検定試験(1~3級)】 【[第169回]2025年度2月検定試験(2~3級)】 【初級試験】 |
試験区分 | 公的資格 |
主催団体 | 日本商工会議所 業務部検定課 |
受験資格 | 誰でも受験することができます。 |
合格率 | ■2024年2月実施・第165回統一試験 2級:15.5% 3級:36.3% ■2023年11月実施・第165回統一試験 1級:16.8% 2級:11.9% 3級:33.6% ■2023年6月実施・第164回統一試験 1級:12.5% 2級:21.1% 3級:34.0% ■2023年2月実施・第163回統一試験 2級:24.8% 3級:36.5% ■2023年4月~2023年12月累計・ネット試験 2級:37.0% 3級:38.6% ■2022年4月~2023年3月累計・ネット試験 2級:37.1% 3級:41.2% ■2021年4月~2022年3月累計・ネット試験 2級:38.1% 3級:41.0% |
出題内容・形式 | 【3級】 制限時間:60分 合格基準:70%以上 試験科目:商業簿記(基礎的な商業簿記原理および記帳・決算などに関する初歩的実務など) 【2級】 制限時間:90分 合格基準:70%以上 試験科目:商業簿記と高卒程度の工業簿記(初歩的な原価計算を含む) 【1級】 制限時間:180分 合格基準:70%以上ただし、1科目ごとの得点は40%以上 試験科目:商業簿記、工業簿記に加えて会計学と原価計算について出題されます。 |
検定料 | ■統一試験 1級:8,800円(税込) 2級:5,500円(税込) 3級:3,300円(税込) ■ネット試験 2級:5,500円(税込) 3級:3,300円(税込) |
問い合わせ先 |
日本商工会議所 業務部検定課 https://www.kentei.ne.jp/ 〒100-0005 東京都千代田区丸の内3-2-2 TEL:03-5777-8600(受付時間8:00~22:00 年中無休) |