リンパマッサージ・リンパドレナージュで独立・開業について
(1)開業する場所の選び方
リンパマッサージ・リンパドレナージュで独立・開業するには複数の方法があります。
たとえば、これまでサロンなどで働いて経験を積んできた方が出張セラピストとしてフリーランスで働く方法もありますし、自分で店舗を借りて開業する方法もあります。
自宅開業がおすすめ
しかし、店舗を借りて開業となると建物や水道、電気などさまざまな契約が必要になり、月々の賃料やその店舗の大きさに見合うスタッフの人件費などが発生してしまうため、開業費用を安く抑えたいという場合は自宅でのサロン開業がおすすめです。
自宅に空いている部屋があればそこで開業ができるため、賃料が不要になります。
また、個人で始める場合には人件費もかからないので、開業資金が大幅に抑えられます。
ここでは、自宅でサロン開業する場合の準備や資金についてお話しします。
開業の準備
まずは自宅でサロンを開業するために必要な準備についてです。
サロンとして開業するためには、当然サロン用のスペースの準備が必要です。
しかし、人を雇わず一人で施術する前提の場合、そう大きなスペースは必要ありません。
最低限必要になるのは施術用のベッドです。
まずは、ベッドを設置するスペースを確保しましょう。
もし、余裕があれば、カウンセリングなどを行う部屋や、待合室として使えるスペースも用意します。
この他に、オイルやアロマを使用する場合はそれらを揃えます。
シーツやタオルなどを収納するスペースも必要になります。
予約を受けたり、売り上げや顧客情報を管理したりするための電話やパソコン、カルテ用紙や施術着の準備も必要です。
また、お客様に心地よく過ごしてもらうためのインテリアやBGM、アロマを導入するのも良いでしょう。
(2)開業届・申告書・事業計画書など
開業準備を終えたあとは、書類の提出に取り掛かりましょう。
開業届を提出する
新たに事業を起こす時や、事務所や店舗を立ち上げる時には、事業所在地を管轄する税務署に開業届を提出しなければいけません。
それと同時に、毎年の確定申告書類の提出も必要です。
確定申告書は2種類ある
確定申告書は青色申告と白色申告の2種類が存在し、提出する際の必要書類も異なります。
青色申告の場合
青色申告では、事業主による帳簿付けや提出書類の量が多いものの、税金面で65万円の特別控除と青色10万円控除税の優遇措置が受けられます。
また、事業の赤字を3年間繰り越すことも可能というメリットもあります。
白色申告の場合
一方、白色申告は簡易帳簿という比較的簡単な書類で済ませられるものの、税の優遇措置はありません。
どちらのメリットを取るか考えたうえで申告方法を決めると良いでしょう。
計画の策定
書類を提出したあとは実際に事業が開始できるわけですが、計画の策定は万全なものにしておくことをおすすめします。
まず、どのようなスタイルの店を目指すのか、営業方法から事業の強みまで、具体的な方針を立てておきましょう。
店舗の場所や広さによって運営費用も異なり、宣伝費やその他の費用も定まっていきます。
事業計画書を用意する
もし、銀行から借り入れをする際には事業計画書が必要になりますので、あらかじめ考えておくと良いでしょう。
(3)施術に必要な用品
施術にあたり必要な用品と費用感などについては以下の通りです。
●ベッド:10,000円~
●マッサージオイル、ジェル等:5,000円~
●バスタオル類やシーツ:20,000円~
●アロマ製油:1,500円~
●アロマディフューザー:5,000円~(無くても可)
●間接照明:5,000円~
●チラシ、料金表:3,000円~
●タオルウォーマー:5,000円~
●スリッパ、ティーカップ:1,000円~(新品に準ずる物があれば購入しなくてよい)
●足湯バケツ:1,000円~(無くても可)
●紙ショーツ:1,000円~(無くても可)
●セラピストウエア:5,000円~(無くても可)
合計:約60,000円~
(※上記はあくまでも参考価格です。
準備する数量や製品、品質等により価格が異なりますのであらかじめご了承ください。)
このように自宅の空き部屋を利用し、自分一人で始める場合は、10万円未満と案外リーズナブルに開業することも可能です。
予算に余裕があるのなら絵画やBGM、マット、お花など、自分のサロンのイメージに合ったものを用意することで明るい雰囲気を演出したり、お客様がリラックスできる空間を演出したりする工夫ができます。
こだわりたいポイントに予算を充てることも
その他にもベッドやオイル、インテリアなど自分がこだわりたいポイントに多めに予算を回すことも考えられます。
こうして少ない資金で開業できるのは自宅サロンの強みです。
(4)集客などについて
自宅でサロン開業すれば、色々な費用が抑えられるというお話しをしましたが、ただ開業して待っているだけではなかなかお客様は来てくれません。インターネットやSNSをはじめ、チラシのポスティングなど、お客様を呼び込む工夫も必要です。
インターネット・SNSなどを活用する
自分のサロンを知ってもらうためにフリーペーパーに広告を掲載したり、チラシの新聞折り込みをしたりという集客方法もありますが、実は、掲載料・折り込み料は案外高額ですし、集客の保証もありません。
あまりお金をかけず、すぐに始められる方法として、インターネットを使った集客もおすすめです。
ホームページやチラシを用意するほか、InstagramやFacebookなどSNSを活用することで、写真や動画でサロンの雰囲気や施術の様子などを伝えることもできます。
また、お客様が手軽に予約することができるようにLINEの公式アカウントを作ることも効果的です。
割引券つきのチラシ
そのほかにもポスティング用のチラシを作成し、初回限定割引などをつけて投函していくことでお客様の初来店につながります。
競合分析も必要
常に同業他社がどのように活用しているのか研究することで、営業や集客のヒントを得られることもあります。
このようにして、自分のサロンを知ってもらい、予約を受けられる体制を整えたら、来てくださったお客様の顧客管理を徹底して行います。
一人ひとりを大切にする
感謝と反省を真摯に行い、たくさんのお客様を集めようと考えるよりも、お客様一人ひとりを大切にし、口コミで評判を高めていくことが良いでしょう。
さらに、健康や美容、リンパなどの知識を深め、お客様へ適切なアドバイスができれば、より信頼感が増します。
(5)開業後に売上を伸ばすための施策
集客に力を入れて、お客様が来てくれたとしても、一通り施術して終わりではなかなか次につながらなかったり、売り上げが伸びなかったりということもあるかもしれません。
独立・開業した後は、リピーターを増やす、業績を上げるための施策が必要です。
データを蓄積していく
具体的には、毎日、営業日誌をつけて一日の業務の流れを把握し、改善すべき点、良かった点などを書き出すことでデータを集めていきます。
目に見える形で書き出し、アウトプットすることで自分の中に明確な意識として定着していきます。
こうして積み重ねてデータを集めることで、些細な変化にも敏感になっていくことができます。
アンケートの回答を参考にする
また、来店してくれたお客様にアンケートを取って、雰囲気や施術に対する感想、解決したい悩み、意見などを聞き取ります。
そうすることで、来店されたお客様の生の声をもとにして、さまざまな改善策を打ち出し、実行することが可能になっていきます。
もし、リンパマッサージ(リンパドレナージュ)だけでなく、他にエステやネイルなどの資格を持っている場合は、それらを活かしたメニューを増やすのも集客を増やすための施策になります。
無料モニターを導入する
最初は、あまりお客様が来店しない、または少人数しか集まらない場合もあるでしょう。
多くの方が現状だけを見て落ち込んでしまいがちですが、無料モニターを選定し、必要に応じて実行することも1つの手段です。
お客様が少ないうちは少しでも売り上げを上げたいものですが、あえてこれを早い段階で行うことで効果的な集客につながることもあります。
一人ひとりを大切にする
来店されたお客様には、感謝の気持ちを伝えるアフターメールの送信なども積極的に行いましょう。
特に、一度来店しただけのお客様にいきなりセールスを行うようなことはせず、来店へのお礼を述べ、時期を見てお客様の役に立つ豆知識や有益な情報を送るなどに留めます。
事務的で画一的なメール送信ではなく、お客様一人ひとりに応じたメッセージを送ることで、自分のサロンの存在やサービス、商品を印象付けることができます。
リンパマッサージ・リンパドレナージュの代表的な資格
独立開業するには資格は必要?
リンパマッサージ・リンパドレナージュのサロンを開業するためには、特別な資格は必要ありません。しかし、お客様からの信頼を得たり、自信を持って施術を行うためには資格を取得することがおすすめです。
「マッサージ」を行うには国家資格が必要
「リンパマッサージの資格」と、ここではわかりやすく表記しておりますが、実際に他人に施術するために、「マッサージ」という名称を使用するには「医師」もしくは「あん摩マッサージ指圧師」の国家資格が必要となります。
セラピストになった際は、「リンパトリートメントサロン」「リンパケアサロン」などの表記を使用し、マッサージ師以外の方は表記に注意しましょう。
医療用とエステ用の資格の違いに注意
リンパマッサージ・リンパドレナージュの資格は、医療用とエステ用に分かれています。
医療用の資格としては、「リンパ浮腫療法士」、「医療リンパドレナージセラピスト」があります。
エステ用の資格は「リンパケアセラピスト」、「リンパケアスペシャリスト」などが挙げられます。
エステ用の資格を保持しているだけでは医療行為を行うことができないため、資格を取得する際、仕事を始める際には、双方が施術を行える範囲や違いをしっかりと認識しておく必要があります。
医療用の資格の種類
医療用資格の多くは、医師や看護師、作業療法士などの医療従事者を対象にしています。
目指す場合は、受講資格に注意しましょう。
ICAA リンパドレナージセラピスト
●認定団体:一般社団法人 ICAA(インターメディアリー・クリニカルアロマテラピーアソシエーション)
医療現場でのリンパケアの専門知識・実技を証明できます。
医師・看護師・理学療法士・作業療法士のいずれかの国家資格を持つ方のみが取得できる資格です。
対応講座 アロマスクールラヴァーレ『ICAA認定リンパ浮腫専門医療従事者資格取得コース』
医療リンパドレナージセラピスト
●認定団体:特定非営利活動法人 日本医療リンパドレナージ協会
医師、正看護師、理学療法士、作業療法士、あん摩マッサージ指圧師の国家資格を有している方が対象であり、日本医療リンパドレナージ協会の講習会を修了すると資格を取得できます。
MLD認定ベーシックセラピスト
●認定団体:ドクターボダーアカデミー
エミール・ボッダー博士が生み出したボッダー式MLD(マニュアルリンパドレナージュ)の基本的な知識・スキルを認定する資格です。
ヨーロッパを中心に医療分野でも使用されている技術、オイルやパウダーを使わず、軽いタッチで行うのが特徴です。
リンパ浮腫セラピスト
●認定団体:特定非営利活動法人 日本リンパドレナージスト協会
「医師」「正看護師」「理学療法士」「作業療法士」の有資格者を対象としており、実技実習コースのみ「あん摩マッサージ指圧師も対象となっています。
座学と実習の片方もしくは両方を受講することにより取得することができる資格です。
リンパ浮腫療法士 (Lymphedema Therapist:LT)<
●認定団体:一般社団法人 日本リンパ浮腫治療学会(JSLT)
医師・看護師・理学療法士・作業療法士・あん摩マッサージ指圧師・柔道整復師のいずれかの有資格者が、認定試験に合格することで取得することができる資格です。
認定登録時には、リンパ浮腫治療学会会員への登録が必要となります。
関連記事: 医療用リンパドレナージュの資格と種類
美容系の資格の種類
美容系の資格は通信講座で取得できるものもあり、働きながらスキルを身に付けたい方にもおすすめです。「小顔」「美脚」など、パーツにあわせたケアを学ぶことが可能です。
リンパスペシャリスト®
●認定団体:一般社団法人 日本リンパ協会
自分自身向けの若返りと健康を目的とした「セルフケリンパケア3級(初級)、2級(上級)」や、家族や身の回りの方のケアを目的とした「ホームリンパケア準2級、2級、準1級、1級」、プロのハンドリンパスペシャリストとして認定をしてもらうことができ、開業も目指すことができる「ハンドリンパスペシャリスト資格認定講座」などがあります。
オリエンタルリンパドレナージュセラピスト
●認定団体:インターナショナル美容鍼灸協会
ヒューマンアカデミーの通信講座「オリエンタルリンパドレナージュ」を修了した方に発行される資格です。
資格は、「フルボディケア」「小顔リフトアップケア」「美脚ヒップアップケア」の3種類があります。
JBTA認定リンパドレナージュセラピスト
●認定団体:一般社団法人 日本美容セラピスト協会
ベリーナチュラルセラピースクールの通信講座「リンパドレナージュ4WD 講座」を修了後、在宅試験に合格する事で資格を取得することができます。
リンパケアセラピスト
●認定団体:一般財団法人 日本能力開発推進協会(JADP)
キャリアカレッジジャパンの通信講座「リンパケアセラピスト資格取得講座」を修了後、在宅試験に合格することで取得することができます。
「オイルリンパトリートメント」の技術を学ぶことができます。
リンパリファインセラピスト
●認定団体:一般社団法人 国際セラピスト支援振興協会・グローバルボディケア総合学院
グローバルボディケア総合学院の通信講座「リンパリファインセラピー講座(リンパ再生ドレナージュ)」を修了することで取得することができる資格です。
東洋医学の技術と理論を取り入れたツボ押しや、デトックス、骨格矯正といった技術を学ぶことができます。
リンパマッサージ・リンパドレナージュの需要について
デトックスやリラクゼーション効果があり、代替医療として需要が高まってきています
ここまで、リンパマッサージ(リンパドレナージュ)で独立・開業するために必要な準備や集客、施策などについてお話ししてきました。
しかし、実際のところ、仕事としてのリンパマッサージ(リンパドレナージュ)の需要はあるのでしょうか。
リンパマッサージ(リンパドレナージュ)の需要は高まっている
一昔前までは、リンパマッサージ(リンパドレナージュ)は、リンパ浮腫の方を対象に、医療機関で行う生活指導の一環として用いられてきました。
それが近年、リンパマッサージを行いリンパの循環を良くすることで、リラクゼーションやデトックスの効果がある点が注目され、民間のエステサロンなどでも取り入れられるようになりました。
こうした理由から、ストレス社会といわれる現代日本において、代替医療としてのリンパマッサージやリンパドレナージュの需要が高くなってきており、市場は年々増加傾向にあります。
リンパマッサージ(リンパドレナージュ)で期待される効果
(1)むくみ・ダイエット効果、肌質の改善
リンパを流すことで身体を温めて代謝を高める効果が期待できます。
また、毒素等を体外に排出することで肌質が良くなったといった報告も多くみられます。
(2)肩こりや冷え性の改善
ストレスや疲労でもリンパの流れは停滞します。
血液やリンパの流れがよくなることで肩こりや冷え性が改善する方が多いようです。
(3)リラクゼーション効果
仕事や人付き合い、家事に育児にと現代人は多忙を極め、緊張感が長く続く方が増えています。
そうした緊張感により、交感神経が常に活性化しすぎてしまい、リラックスできない方がうまく多くいらっしゃるようです。
リンパマッサージ(リンパドレナージュ)は、ゆっくりと行う手技という点と、受け手にとって非常に気持ちが良くなるので、副交感神経が優位になり、リラクゼーション効果が期待できます。
関連記事: リンパマッサージ・リンパドレナージュの効果とは?好転反応などについて紹介します!
リンパドレナージュ(マッサージ)のおすすめスクール
ヒューマンアカデミー / 通信講座
通学しなくてもセラピストの資格が取れる!
自分の都合に合わせて学べる!「実技動画添削サポート」で通信でも安心して技術を身につけられます。
スクールホームページ:
ヒューマンアカデミー / 通信講座
グローバルボディケア総合学院(通信)
国内トップクラスの講座数と合格者数実績で安心して資格取得◎
ひとり一人が目標に合わせた最適なコースを選択できます。就職&開業サポートも万全!
スクールホームページ:
グローバルボディケア総合学院
ビーエリートエステティックスクール(通学/関東)
基礎から自宅サロン開業まで徹底サポートするエステスクール!
スクールホームページ:
ビーエリートエステティックスクール
アロマスクールラヴァーレ(通学/関東)
ココがポイント!メディカルアロマをベースにした独自のリンパドレナージュ技術を学ぶ!
スクールホームページ:
>>アロマスクールラヴァーレ
Utataneyaリラクゼーションカレッジ(通学/関西)
学んだ人から笑顔になれる!3ヶ月後には「手に職」のセラピスト
初心者でも楽しく技術の習得ができる◎独自カリキュラムや安心のアフターサービスで開業も目指せます!
スクールホームページ:
Utataneyaリラクゼーションカレッジ
メディックス・ボディバランスアカデミー(通学/東京御茶ノ水)
【初心者歓迎・経験者歓迎】1日で資格取得できる講座を開講中!
直営サロン仕込みで身に付けた技術はそのままサロンメニューとして活用可能!
スクールホームページ:
メディックス・ボディバランスアカデミー
東京MTC学院(通学/関東・関西・福岡)
セルフケアから開業まで、多様なコースが特徴!
少人数制のこだわり指導!納得するまで学べる「無料延長受講制度」で確かな技術が身につきます。
スクールホームページ:
東京MTC学院
サンテ・五行・バランスボディ・スクール(通学/九州)
【久留米】身近な人のケアから現役セラピストの強みプラスまで☆
スクールホームページ:
サンテ・五行・バランスボディ・スクール
監修者プロフィール
2004年 リンパ講師始動
2006年 日本リンパ協会設立
一般社団法人日本リンパ協会 代表理事
リンパスペシャリスト® 美容家
リンパケアグランドマスター
「リンパケア検定」発起人
-7歳若返る筋肉ほぐしリンパ・オリジナルメソッド開発者
2万人以上の人にリンパケアを直接指導。
6月30日を「リンパの日」と設定。
日本記念日協会に登録される。
年300回のリンパ講師を7年行い「日本一講座数が多いリンパ講師」と呼ばれている。
リンパケアを通して、リンパケアによって、いくつになってもあきらめない女性を応援している。
●著書
「池田ことみのリンパビューティーブック」「リンパケア検定1級」「リンパケア検定2級」