動物取扱業登録とは?
ペットシッターとして独立・開業に必要な登録!
ペットシッターとして独立開業するにあたり、動物取扱業の登録が法律や条例で定められています。
これはペットシッターに限らず動物を取り扱う仕事全般に適用されており、ペットシッターは「第一種動物取扱業者」としての登録が必要です。業種によって更に動物取扱業登録は分類され、ペットシッターは「保管」に分類されます。
保管の定義としては、飼い主の動物を預かる業務とされています。
ペットシッターとして訓練やしつけもサービスに導入するという場合は保管だけではなく「訓練」の申請もしなければいけません。
他にも展示や老犬、貸出・販売など事業内容によって細かく種別が分かれているのが特徴です。
まず独立開業をする際には仕事の範囲をしっかりと定めてから始めるのが良いでしょう。
登録申請を自治体に行い、無事に通過するとペットシッターとして開業することができます。
この際に、登録をせずにペットシッター業を行ってしまうと動物愛護法に違反となってしまいます。
罰金が科せられてしまいますので、しっかりと正式な手続きを行いましょう。
動物取扱業の登録方法は?
(1)登録の条件について
動物取扱業の登録には条件が課せられています。
施設条件と併せて、事業所ごとに動物取扱責任者をおく必要があります。
申請すれば誰でも認可されるというわけではありませんので注意してください。
動物取扱責任者になるための条件は、以下のいずれかを満たしていることです。
(1)獣医師の免許を取得していること
(2)愛玩動物看護師の免許を取得していること
(3)種別にかかわる半年以上の実務経験、または実務経験と同等の1年間以上の飼養経験+種別にかかわる知識および技術について1年以上教育する学校などを卒業していること
(4)種別にかかわる半年以上の実務経験、または実務経験と同等の1年間以上の飼養経験+公平性、専門性のある団体が行った試験により資格などを得ていること
獣医師や愛玩動物看護師の免許は分かりやすいですが、実務経験や資格についてはもう少し詳細を見る必要があります。
まず、実務経験ですがペットシッターの場合は種別が保管に分類されるため、認められる関連種別は「販売、保管、貸出し、訓練および展示」となります。これらの分類がされている動物取扱業の事業所にて常勤の職員として半年以上の実務経験があれば条件を満たすことになります。
ただし、老犬の飼養施設を併設したいと考える場合は、実務経験においても同様に飼養施設が設置されている事業所でなければいけません。
そして「実務経験と同等の1年間以上の飼養経験」については、申請前に認定されるか確認が必要です。事前に動物愛護相談センターに連絡して確認する方が良いでしょう。
次に教育機関を見ていきましょう。
こちらは開業しようとする事業にかかわる知識および技術について1年以上教育する学校法人か、その他教育機関を卒業していることが条件と言われています。
大まかな例としては以下のとおりになります。
(1)高等学校:畜産学専攻の学科、または動物の生理生態等に関して教育する学科
(2)大学:獣医学・畜産学の正規過程に関して教育する学科、または動物の生理生態等に関して教育する学科
(3)短期大学:動物の看護を専攻する学科、または動物の生理生態等に関して教育する学科
(4)専修学校:動物の生理生態等に関して教育する学科
(5)各種学校:動物の生理生態等に関して教育する学科
続いて、資格についても詳しく見ていきましょう。
資格は公平性および専門性を持った団体による、営もうとする第一種動物取扱業の種別に関する知識や技術が習得されたことを証明するものが条件です。
該当資格が非常に数が多いので一例を紹介します。
・愛玩動物飼養管理士(1級・2級)
・愛犬飼育管理士
・愛護動物取扱管理士
・家庭犬訓練士(初級、中級、上級、教師)
・家庭動物管理士
・公認訓練士
・小動物飼養販売管理士
・調教師
・認定ペットシッター
・動物看護師(初級、中級、上級、教師)
・トリマー(初級、中級、上級、教師)
上記のとおり、競馬関連の資格からペットシッターに関わる資格まで幅広いものが対象となっているようです。
そこまで難易度が高くないと言われる資格が多いので、自身が取得できるものを選ぶと良いでしょう。
注意事項として、いくつかの事項に該当する場合は条件を満たしていても登録がされないケースもあるようです。
「破産手続き開始の決定を受けて復権を得ない者」「禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者」など、こちらも複数定められていますので確認しておいた方が良いでしょう。
(2)登録の流れ・必要書類
ここからは、実際の登録の流れや必要書類などを見ていきましょう。
まず、登録の流れは以下のとおりです。
(1)自身の居住地、もしくは事業を始める地域を管轄している動物愛護センターを調べて、電話にて必要書類を確認する。
・各都道府県、管轄施設により申請要件・必要書類が異なります。
(2)必要書類を準備して、施設にて申請を行う。
・申請には手数料が必要で、1種別15,000円が一般的と言われています。複数の種別をまとめて申請する場合は手数料が安くなりますので、同時申請を行う方が良いでしょう。
(3)動物愛護センター職員、もしくは自治体職員による施設への立ち入り検査を受ける。
・申請後に施設の立ち入り検査日時を設定します。ペットシッターの事業所として自宅を設定している場合は、自宅に職員が訪問して検査が行われます。
(4)都道府県、管轄施設によっては講習の受講が必要。
(5)以上、全ての作業が終わり問題が無ければ「動物取扱業登録証」が発行される。
(6)登録完了後は、年1回動物取扱責任者研修の受講が必要。
(7)登録は5年ごとに更新作業が必要。
次に、必要書類についてですが、例として、東京都動物愛護相談センターの手続きを見てみましょう。
ペットシッターの種別「保管」に該当する書類は以下のとおりです。
・第一種動物取扱業登録申請書
・「動物の愛護及び管理に関する法律」第12条第1項第1号から第6号までに該当しないことを示す書類
・飼養施設の平面図及び飼養施設の付近の見取図(飼養施設を有する場合)
・登記事項証明書、役員の氏名及び住所(申請者が法人の場合)
・事業所及び飼養施設の土地及び建物について事業の実施に必要な権原を有することを示す書類
・動物取扱責任者研修の修了証の写し
・犬猫等健康安全計画(犬猫等販売業者に限る)
申請手数料は紹介した金額と同様の15,000円です。
東京都の場合、2種別同時申請25,000円、3種別同時申請35,000円と割引がなされています。
東京都では初回の動物取扱業登録時には講習は行われませんが、年1回以上動物取扱責任者研修の受講が義務付けられています。標識・識別証の提示や基準等の遵守が確認されています。
注意事項ですが、交付された第一種動物取扱業登録証は法律に基づき、事業所にて分かりやすく提示しなければいけません。
動物の愛護および管理に関する法律では、第一種動物取扱業者の氏名、事業所の名称および所在地、登録にかかわる第一種動物取扱業の種別、登録番号などの提示が義務付けられているようです。
まとめ
ペットシッターとして独立開業する際に必要となる動物取扱業登録ですが、申請から登録までは順序だてて行わなければいけません。事業内容によって必要とされる種別も異なりますので、事前の確認が大切です。登録条件は学校の卒業や実務経験、資格の有無が考慮されています。
各自治体により詳細が異なりますので、こちらも事前の確認が必要になるでしょう。
申請は各都道府県の施設にて行われ、講習や立ち入り検査がありますので、時間に余裕をもって行うと良いでしょう。