動物介護士はやめとけと言われる理由
体力がいる
動物の体の大きさによっては、体力を要する仕事と言えます。
大きな動物が寝たきりの場合、体位を変えたり散歩やリハビリのサポートをしたりと体を安全に支えるために、動物介護士の体力が求められます。
介護は日々の積み重ねであり、介護士自身の健康管理が重要です。
疲労が積み重なってくると、自分の問題だけでなく介護の質までも低下してしまいます。
健康管理ができる動物介護士であれば、ペットだけでなく飼い主さんに対してもサポートでき、信頼される存在となるでしょう。
気疲れする
動物介護士は飼い主さんとのコミュニケーションがうまくいかず、気疲れするかもしれません。
単に動物のお世話をするだけでなく、ペットのサポートについて飼い主さんへのアドバイスも重要な役割です。
時には飼い主さんと意見が合わないこともありますが、動物介護士の専門的な知識とスキルがペットを守るために不可欠です。
コミュニケーションの積み重ねがペットと飼い主さん、動物介護士の絆をより深められるでしょう。
動物の苦しむ姿を見なくてはならない
動物介護士は、年を重ねて介護が必要なペットの姿を見ることもあるでしょう。
共感性の高い介護士ほど、動物の気持ちを理解しているがゆえに心が痛みます。
知識と経験を積み重ねていくと、苦しんでいるペットの姿を見るつらさを乗り越え、より強い気持ちで「サポートしたい」という気持ちに変わってきます。
動物介護士の仕事は感情的に厳しい面もありますが、同時に動物が楽しく生活できるように支える役割も果たしているのです。
緊急の対応も多い
動物介護士は、急な対応をしなければならないこともあります。
動物の容体の変化や予期せぬ行動に、ストレスを感じるかもしれません。
最初は「どうしよう」と感じますが、経験を積むと状況を正しく判断し、適切に対応できる能力が養われてきます。
動物介護士としての経験は、専門的なスキルを通して精神的な強さも育てられるでしょう。
動物介護士とは?
動物介護士の仕事内容
動物介護士は、ペットの健康を守るための見張り役です。
ペットは言葉で体調を伝えられないので、動物介護士が微妙な行動の変化に注意を払い、できるだけ早く病気のサインに気付かなければなりません。
特に高齢のペットは、日常のケアが難しくなるため、定期的な手入れが必要です。
ブラッシングや爪切り、アロマテラピーなどを行って、ペットが快適に暮らせるよう環境を整えます。
動物介護士は、高齢であったり体が不自由であったりするペットの生活と健康を守るための、大切な役割を担っていると言えるでしょう。
動物介護士の年収
動物介護士の給料は13万円から15万円ぐらいで、年収は約180万円と言われています。
国税庁による「令和4年分民間給与実態統計調査」では、日本人の平均年収は458万円と動物介護士の方が低いのが現状です。
しかし日本のペット産業は成長を続けており、2021年のペット関連総市場規模推移と予測では、前年比が1.8%増の1兆7,000億円に達しました。
ペットの健康管理に関する製品の需要が高まっており、増加傾向です。
このように市場の動向をみると、動物介護士の給料は今後増加する可能性があります。
市場の成長とともに動物介護士の需要も高まり、将来的には給料の増加も期待できるでしょう。
動物介護士のやりがいとは?
家族から感謝の言葉をかけられる
仕事を通して感謝の言葉をかけられるのは、何ものにも代え難い充実感を味わえます。
動物介護士の仕事は、高齢化したペットの毎日をサポートすることです。
飼い主さんだけでなく、病気や高齢で介護が必要になったペットにとっても心強い存在です。
時には、ペットの死という悲しい現実に直面し、動物介護士は悲しみ無力感を感じるでしょう。
しかし困難を乗り越えた時、飼い主さんから「ありがとう」と言われると、喜びややりがいにもなります。
スキルが役に立つ
自身のスキルを仕事に活かせるのも、やりがいの1つとして挙げられます。
動物介護士のスキルや経験の積み重ねが、ペットの生活への質を向上させることにつながるからです。
ペットや飼い主さんとの関係を築きながらサポートする中で、自分のスキルを活かしていることを実感できるのです。
勉強することはたくさんあり日々努力も欠かせませんが、仕事の中で動物介護士としての力量を感じられるでしょう。
動物が信頼してくれる
ペットは動物介護士が気持ちを理解しサポートを続けていると、心を開いてくれます。
信頼関係が深まってくると、職業に対して自信と誇りが生まれます。
ペットが示す進歩や小さな変化を見逃さず、サポートすることでさらに仕事としての腕が磨かれていくのです。
恐怖心を克服して新しい環境になれたり、食事が進むようになって健康を取り戻したりすれば、動物介護士にとって大きな喜びです。
動物介護士として働くことは、仕事をする以上の生きがいとも言えるでしょう。
動物介護士に向いている人とは?
動物を思いやれる人
動物介護士は、ペットを思いやれる人にとって理想的な職業と言えます。
動物介護士は、ペットが快適な生活を送れるようサポートする仕事です。
ペットの感情に敏感な人は、痛みや不安を抱える犬や猫に対して、温かいケアと心配りで関われます。
日々の業務では、排せつ物で床の後始末をしたり、感情の起伏から威嚇されたりすることもあります。
動物介護士は、ペットがどのような状況であっても、心地よく暮らせるように努めることが大切です。
動物への愛情が深い人にとって、動物介護士はまさに天職と言えるでしょう。
動物からのサインを理解できる人
動物介護士は、ペットからのちょっとしたサインを察知できることが求められます。
話ができない動物のサインを読み取って、異変に気付くことが重要です。
犬が震えていたりしていつもと違うようであれば、何か問題があるかもしれないという重要な手がかりです。
動物介護士が小さな異変に気付けると、病気の早期発見により早期治療を行えます。
最初は見落としてしまうような変化であっても、経験を積み重ねていくと敏感になり、動物のサインも理解できるようになるでしょう。
動物が好きな人
動物介護士は、動物好きの人にとっては理想の仕事と言えます。
介護を必要とする動物たち、特に高齢の犬や病気のペットなどと関わります。
動物好きであれば、触れ合いはとても楽しく大切な時間です。
またペットの目線で愛情を注ぎ、幸せに過ごせるよう考えるでしょう。
動物への愛情を持っている人は、この仕事に向いていると言えます。
動物介護士の将来は?
動物愛護法改正の理由
2012年に動物愛護管理法が改正され、飼い主はペットを最期まで飼い続ける責任があると定められました。
その結果、自治体はペットの引き取りを拒否できるようになりました。
同時に、ペットの介護に必要な知識や心構えを持って飼う必要性も求められています。
これからも動物愛護への関心は、ますます高まるでしょう。
動物介護士も、これからの社会の中で、ますます重要な役割を果たす資格として注目されると見込まれます。
動物介護士の将来性
日本におけるペットの高齢化により、介護サービスへの需要が増加するでしょう。
医療技術の進歩によりペットも長生きするようになりました。
一般社団法人ペットフード協会「令和5年全国犬猫飼育実態調査」によると、ペットの2023年時点では犬の平均寿命は14.62歳、猫が15.79歳と2010年より伸びているのがわかります。
ペットの高齢化が進んでおり、ますます介護の需要も伸びると言えるでしょう。
ペットは、人間のように言葉で不調を訴えられません。
高齢のペットになると、飼い主さんが気づくまで視力低下や味覚喪失などの変化が起こる場合もあります。
老化が進んでいくペットのケアも見直していかなければなりませんが、飼い主さんが対応するとなると簡単ではありません。
飼い主さんだけでは高齢になったペットのサポートが難しい場合、動物介護士の存在は大きいと言えます。
高齢化が進むペット社会において、ますます需要が伸びていくでしょう。
動物介護士のスキルを身につけるためには?
動物介護士になるために国家資格はありませんが、知識やスキルの証明になるため資格は有効と言えます。ここでは民間資格を3つ紹介します。
動物介護士
「動物介護士」は、日本能力開発推進協会が認定する資格です。
老犬や老猫などシニア期の動物に関する基礎知識をはじめ、介護や病気についての専門的な知識の証明です。
動物介護士は、獣医師からの指導を受けて知識を身につけたい方や、資格取得を考えてはいるが試験が不安な方におすすめの資格と言えます。
詳細 | |
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受験資格 | 一般財団法人日本能力開発推進協会が認定する 教育機関を受講した者 |
資格取得にかかる 目安期間 |
4ヶ月 |
学習内容 | ・シニア期の基礎知識 ・シニア期の介護に関する基礎知識 ・シニア期の病気の基礎知識 |
通信・通学 | 通信 |
ペット介護インストラクター
「ペット介護インストラクター」は、日本インストラクター技術協会が認定する資格で、犬や猫の介護に関する知識を身につけていている証明です。
ペットへの適切な介護は老犬や老猫、病気で介護が必要になったペットのQOL(生活の質)の向上に役立ちます。
ペット介護インストラクターは、動物介護士として働くだけでなく、講師として活躍を考えている方にもおすすめです。
詳細 | |
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受験資格 | なし |
資格取得にかかる 目安期間 |
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試験内容 | ・小型~大型犬の基本 ・猫における介護の基本 ・下肢麻痺に必要な介護 ・ワクチン接種と狂犬病予防注射 ・犬や猫の排泄について ・食事の選び方 ・嘔吐をした際の対応方法など |
通信・通学 | 通信講座を受講する方法もあり |
犬猫介護アドバイザー
日本生活環境支援協会が認定の「犬猫介護アドバイザー」は、犬と猫の介護に関する専門知識を持っている証明になる資格です。
この資格では小型犬や大型犬など犬の種類や、大きさによる介護の注意点や猫における介護の基本から飼い主のケアまで、幅広い知識が求められます。
また、生活環境の整え方や流動食の与え方、寝たきりになった場合の注意点やケアの方法など知識を持っている資格です。
資格取得後は動物介護の相談役として専門施設で老犬や老猫の介護士として活躍できます。
詳細 | |
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受験資格 | なし |
資格取得にかかる 目安期間 |
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試験内容 | ・寝たきり状態の対応 ・水分補給方法 ・排泄介助 ・オムツについて ・介護マッサージ方法 |
通信・通学 | 通信講座を受講する方法もあり |
まとめ
今回は、動物介護士をやめとけ言われる理由について解説しました。
動物介護士は、高齢化や病気になって介護が必要な動物の生活をサポートする、重要な役目を担っています。
動物介護士をやめとけと言われる一方で、やりがいもたくさんあります。
動物介護士に興味のある方は、まず情報収集から始めてみてはいかがでしょうか。