アニマルセラピーとは?
仕事内容
- 動物介在活動
- ・参加者の精神安定を図るために行う
・動物との活動を通じて心に安らぎを与える
・高齢者施設や介護施設 - 動物介在療法
- ・医師や作業療法士などのもと治療の一環として行う
・病院やリハビリテーション施設 - 動物介在教育
- ・学校で行われる教育活動で、動物との交流を通じて心の成長を促す
・幼稚園や小学校
アニマルセラピーの仕事内容は3つに分類されます。これらの活動は、動物との触れ合いを通して人々の心を癒やすことを目的としていますが、それぞれにアプローチ方法が違います。
アニマルセラピーの主な業務になる動物介在活動は、主にレクリエーションとして行われ、参加者による生活の質の向上が目的です。
一方動物介在療法は医療従事者が関わり、認知症やうつ病の治療を目的として実施されるものです。
そして動物介在教育は動物愛護や命の尊さについて学ぶなど、教育的な観点から行います。
アニマルセラピーはこれらの活動のほかに、動物の管理やトレーニングを行い、安全に活動できるようにサポートします。
1日の仕事の流れ
アニマルセラピーはセラピードッグとともに施設に訪問するだけでなく、他にも業務が多岐にわたります。
ここではアニマルセラピーとして働いている方の、1日の流れを紹介します。
- 午前7:00~
- 犬の身の回りの清掃
餌やり
ブラッシング - 訪問先により
出発時間に違いあり - 訪問先へ移動
- 午後1:00~2:00
- 犬とのセラピー活動
- 午後2:00~3:00
- 訪問先より移動
- 午後3:00~4:00
- 餌やり
- 午後4:00~8:00
- 犬の身の回りの清掃
犬の飲み水の確認
犬の訓練 - 午後8:00~
- 帰宅
参考:アニマルセラピーの1日
活躍の場
介護施設
アニマルセラピーは、介護施設も活躍する場の1つです。
老人ホームやデイサービスなどの介護施設では、生活の質の向上を目指してアニマルセラピーを活用します。
利用者へのモチベーション向上につながることが、期待されているのです。
障害者施設でも、引きこもりや対人恐怖への軽減を目指して、アニマルセラピーが活用されています。
とくに心のケアが求められている福祉の現場では、アニマルセラピーの役割は大きいです。
アニマルセラピーは、動物との交流を通して人々がより良い生活を送るためにサポートします。
自分の興味や専門性から、活動の場を選択してみてはいかがでしょうか。
医療施設
アニマルセラピーは、介護施設だけでなく医療施設でも盛んに行われています。
患者の心と体に寄り添い、ホスピスや精神科を中心に癒やしを届けるために、アニマルセラピーが活用されています。
末期がん患者などに、心身の苦痛を和らげることを目的としたホスピスでは、アニマルセラピーを緩和ケアの一環として取り入れるところもあります。
また小児科病棟では長期入院している子どもたちの心のケアの一環としてアニマルセラピーを実施することがありました。
アニマルセラピーは医療施設において、動物を介して患者の心をサポートする重要な立場と言えます。
働き方
アニマルセラピーの勤務時間は、雇用体系によって異なります。
正社員の場合通常は7時ごろに出勤し、夕方20時ぐらいに帰宅します。
地域や雇用先によっても違いがありますが、朝はセラピードッグのペースもあり、早くから出勤になる場合もあるでしょう。
アルバイト・パートは、正社員と比べると働く時間が3~5時間と勤務の日によって差があります。
また休日は、就業先によって土日であったり平日であったりと違いがあります。
土日を希望するのであれば求人をリサーチする段階でチェックする必要があるでしょう。
アニマルセラピーの勤務は正社員からアルバイト・パートまでさまざまな働き方が可能です。
自分のライフスタイルに合わせて希望の勤務時間や休日の就業先を探してみましょう。
アニマルセラピーのやりがいとは
アニマルセラピーの最大のやりがいは、お客様に良い変化がみられることです。
アニマルセラピーは「動物介在活動」「動物介在療法」「動物介在教育」を通して、すべてのお客様に対して心身ともに良好な状態であるよう働きかけます。
たとえばうつ病や認知症、発達障害の症状緩和に効果があるとされているのが動物介在療法です。
アニマルセラピーの体験では、動物に触ったり話しかけたりします。
お客様が動物と触れ合っていく中で次第に笑顔が見えたり運動量が増えたりと、さまざまな効果が期待できます。
アニマルセラピーは、動物との交流を通じてお客様が明るい兆しを見せると、その瞬間に「この仕事を選んで良かった」と喜びを感じるでしょう。
アニマルセラピーの仕事に就いた場合の年収
アニマルセラピーの年収は、勤務形態や経験によって大きく異なってきます。
企業に勤めるアニマルセラピーの場合、年収は250~350万円が一般的です。
国税庁の令和4年分「令和4年分民間給与実態統計調査」によれば、日本の平均年収は458万円であり、アニマルセラピーの職種が低いことが示されています。
しかし、独立すると収入を増やすことが可能になります。
アニマルセラピーのキャリアを考える際、自分のライフスタイルを考慮に入れ、就職と独立のどちらを選択するかを慎重に検討する必要があるでしょう。
アニマルセラピー資格は必要か?
アニマルセラピーの職種に就くために、必要な公的資格はありません。
しかし、資格取得によって専門的な知識やスキルを持っている証明になるので、就職に役立つでしょう。
資格取得のために独学も可能ですが、モチベーション維持を考慮すると、専門学校や通信講座が効果的と言えます。
通信講座や専門学校であれば必要な知識を体系的に学べ、独学よりも学びやすい環境が整っています。
費用や通学の距離、ライフスタイルを考慮し、自分に合った学習方法を選んでみましょう。
アニマルセラピーの資格にはどんなものがある?
アニマルセラピスト資格
日本アニマルセラピー協会は、アニマルセラピスト資格を認定している機関です。
アニマルセラピーに興味がある方ならどなたでも受けられます。
犬の行動パターンや習性、人との社会性などアニマルセラピーに関する幅広い知識を学べます。
カリキュラムを修了すると、資格試験を受けることが可能です。
- 詳細
- 発行団体
- NPO法人日本アニマルセラピー協会
- 受験資格
- 既定のカリキュラムを修了した者
- 受講期間
- ・通信:1年間
・オンライン:3ヶ月 - 勉強方法
- テキスト
- 学習内容
- ・動物介在活動
・動物介在教育
・動物介在療法 - 通信・通学
- 通信・オンライン
セラピードッグトレーナー
セラピードッグトレーナーの資格は、日本ペット技能検定協会に認定されている機関です。
英国式における犬のしつけの基礎から始め、アニマルセラピーの効果を理解し、トレーニング方法を学びます。
また、ペットロスの理解を深め、実際に相談を受けた場合の応対スキルも習得します。
添削課題に合格し日本ペット技能検定協会へ申請すると「セラピードッグトレーナー」「家庭犬トレーナー 1級/2級」「ペットロスケアアドバイザー」「ペット防災管理士」といった資格取得が可能です。
- 詳細
- 発行団体
- 日本ペット技能検定協会
- 受験資格
- 既定のカリキュラムを修了した者
- 勉強方法
- ・テキスト
・DVDかインターネット - 学習内容
- ・トレーニング学
・犬種標準学
・ペット社会学(アニマルセラピー、ペットロス含む) - 通信・通学
- 通信
アニマルセラピーに合わせて有効な資格
アニマルセラピーを仕事にしたいと考えるのであれば、介護系の資格が有効です。
「介護職員初任者研修」「介護福祉士」などは実践的なスキルを身に付けられて、短期間での資格取得が可能です。
医療系の資格はアニマルセラピーの資格を合わせて取るには難易度が高く、介護系が現実的な選択と言えるでしょう。
医療系の資格取得している、もしくはこれから資格取得を考慮している方であれば、医療の専門性を生かしたアニマルセラピーもおすすめです。
アニマルセラピーの将来性
アニマルセラピーは、将来性があると言える職業の一つです。
アメリカやイギリスでは、治療として公に認められており、ペットと暮らすことを勧める処方もあります。
またドイツの病院では、動物介在療法が一般診療に取り入れられているという報告もあります。
日本ではまだアニマルセラピーの導入が遅れていますが、先進国に追いつくよう研究が進められており今後の進展が期待できる状況です。
さらに内閣府が発表している「令和5年高齢社会白書」では、65歳以上の人口比率は令和4年で29.0%、令和52年には38.7%に達すると日本の高齢化の進行を予測しています。
高齢化の進行に伴い、在宅医療や訪問介護とともにアニマルセラピーの需要も高まると予想されており、アニマルセラピーとしての役割も重要視されるようになるでしょう。
アニマルセラピーに向いている人は?
動物が好きな人
アニマルセラピーの資質として、動物好きであることが挙げられます。
アニマルセラピーの役割は、ケアを必要としている人と動物との橋渡しです。
そのためには、人だけでなく動物とのコミュニケーションが大切になります。
セラピー犬が福祉施設で高齢者と触れ合う時には、動物の反応を見ながら楽しく交流できるよう働きかけます。
高齢者が犬と触れ合うことで心身に改善がみられるなど、アニマルセラピーの効果を引き出すためのポイントともいえるのです。
そのため動物に対する愛情は、アニマルセラピーにとって欠かせない資質と言えるでしょう。
温厚で辛抱強い人
温厚で辛抱強いのも、アニマルセラピーとしての大きな資質と言えます。
動物は予測できない行動をとることがあり、計画通りにならないこともよくあることです。
そのような時でも、冷静で穏やかに判断できれば、セラピーとしての活動をスムーズに行えます。
高齢者施設を訪問する際に、セラピー犬が予期せぬ行動をとることもあります。
そのような時でもまずは受け止めて対応できれば犬も落ち着き、高齢者にも安心感を与えられるでしょう。
おおらかに接すれば、動物もスタッフを信頼しリラックスしてアニマルセラピーを行えます。
アニマルセラピーの効果を最大限に引き出すためにも、動物好きであるだけでなく温厚で辛抱強いことも重要な資質と言えます。
まとめ
今回はアニマルセラピーの仕事内容や1日の流れ、将来性などについて詳しく解説しました。
アニマルセラピーについて知ることで自分に適しているか、ライフスタイルに合った働き方ができるかが見えてきます。
動物が好きで性格的に向いていると思うのであれば、ぜひ資格にトライして専門性を高めるところから始めてみませんか。