発達障がい支援におすすめの資格とは?
発達障がいは様々な特性を有しており、支援には専門的な知識も必要になります。資格を取得することで実際の支援場面で必要な知識を得られ、また就職の時にも役立つでしょう。
発達障がい支援の資格は、基本的には民間資格となります。民間資格は、各団体が独自に設定した基準をクリアすることで取得できる資格で、種類も豊富です。
ここでは、発達障害支援の現場で特に人気の高い民間資格8つをご紹介します。
大人発達障害対応スペシャリスト
大人発達障害対応スペシャリストは、大人の発達障がい支援に特化した資格です。主に発達障害を持つ人を雇用する企業の人事労務担当者の方、職場で上司になる中間管理職以上の方等、大人発達障害の方のキャリアに関わる方に推奨されています。
発達障がいを持つ大人の対応について知識やノウハウを身につけ、社会生活を送る上で直面する課題や、職場での支援方法などを学び、職場での社会生活を支援します。
一般社団法人日本能力開発推進協会 (JADP)指定の認定教育機関等が行う教育訓練において、全カリキュラムを修了した人が受験することができます。受験を希望する方は、協会ホームページの『検定試験申し込み』にて必要記載事項を入力し申し込みましょう。試験はカリキュラムが終わり次第、自宅で随時受けることができるので時間の都合もつけやすいでしょう。
検定料は5,600円(税込)で、カリキュラムの受講料は別途必要です。得点率70%以上で合格となり、合否結果は答案受付後1ヶ月で送付されます。
大人発達障害対応スペシャリスト(R)資格取得講座は、資格のキャリカレで受講できます。
発達障害支援アドバイザー
発達障害支援アドバイザーは、発達障がいを持つ子どもたちや大人が、学校や地域社会でより良く生きていくための適切な支援について学ぶことができる資格です。
発達障がいのある子どもや大人の特性について学び、必要な知識や支援についてを習得します。他にも「根拠のある支援」に必要な専門知識と関連知識や「寄り添い考えるスタイルを学ぶ」ための必要な知識と支援を学ぶことができます。
資格制度にはステップがあり「発達障害支援アドバイザー」「発達障害シニアアドバイザー」「発達障害支援インストラクター」とレベルに合わせて段階的に資格のステップアップができます。また、eラーニングで学ぶことができるため、ご自身のペースに応じた学習ができるのも魅力的でしょう。受講後試験に合格することで修了証が発行されます。合格率は90%ほどで、真面目に勉強して受験すれば合格できるといえます。
発達障害支援アドバイザー講座は、ヒューマンアカデミーの通信講座で受講できます。
児童発達支援士
児童発達支援士とは、一般社団法人「人間力認定協会」が認定している民間資格で、発達障がい支援の中でも知名度の高い資格です。
自閉症スペクトラム症などの発達障がいを持つ子どもたちへの療育を行う専門家の知見を学ぶ事ができ、発達障がいの子供達への根本的なアプローチ方法を学ぶ事ができます。
児童発達支援士になるためには、認定講座を受講し、オンライン試験に合格する必要があります。合格率は90%程度で、受験料は4,070円(税込)です。これとは別に受講料がかかりますが、万が一試験に落ちても、受験料のみ支払えば再受験が可能です。
発達障害児支援士
発達障害児支援士は四谷学院の通信講座を受講し、試験に合格する事で認定される民間資格です。発達障がいを持つ子供達への支援に関する知識やノウハウを学ぶ事ができ、児童発達支援士と比べて中上級者向けの内容となっています。
受験資格はありませんが、保育園・幼稚園・小学校・放課後等デイサービス・児童発達支援事業で発達障がいのある子どもたちの支援にあたっている指導者の方におすすめとされています。
講座を受講し、オンライン試験に合格することで認定を受ける事ができます。受講期間は約6ヶ月ほどで、認定試験はレポート課題・ケーススタディ課題の提出により行われます。
受講費用は受験料込みで99,800円 (税込 109,780円)です。
早期発達支援士
早期発達支援士は「一般社団法人こども家族早期発達支援学会」が認定する民間資格です。子どもの発達とその支援に関する基本的な知識があること、子どもの発達および家族の支援を一定期間行っている方に対して同学会より認定される資格です。
講座自体は誰でも受講することができますが、資格を取得するためには実務経験が必要です。実務経験の要件は以下の通りです。
以下のいずれかに該当し、過去5年間で400時間以上の実践(原則として有償勤務)を有すること。
- 学校(幼稚園・小・中・高・大・専修学校など)の教員(非常勤を含む)経験のある方
- 公的な児童相談関係の職員(非常勤を含む)経験のある方
- 保育園や児童福祉施設の職員(非常勤を含む)経験のある方
- その他子どもや家族の発達支援に関連する医療機関や療育機関の職員(非常勤を含む)経験のある方
- 保育園、学校、学童クラブなどで支援の経験のある方
- 学校心理士、特別支援教育士、臨床心理士、臨床発達心理士などの関連資格を有する方
- 大学・大学院の学生などで、現在子どもの発達に関する臨床や研究に携わっている方
- その他本学会が過去の実績を認めた方
また、資格申請時までに一般社団法人こども家族早期発達支援学会に入会する必要があります。入会するためには、入会金10,000円と年会費8,000円が必要となります。また資格審査料として、書類選考申込時に22,000円、資格認定料として資格申請時に33,000円が必要です。資格は5年ごとの更新が必要で、資格更新手数料は11,000円となっています。
発達障害コミュニケーションサポーター
発達障害コミュニケーションサポーターは「一般社団法人人間力認定教育」が認定する民間資格です。発達障がい児の二次障がいを防ぐことを目的に、学童期のコミュニケーションと青年期のコミュニケーションについてそれぞれの方法を学ぶ事ができます。
保護者や支援者が取得する事で、発達障がいの特性に応じたアプローチ方法を学び、子供達の自立を目指します。
平均受講期間は1ヶ月程度と短期間で学べるカリキュラムが設計されており、自宅学習が可能です。受講期限(試験を受けられる期間)は8カ月です。受講料は税込34,100円で、試験料は税込4,070円となります。また、DVDを購入する場合は、受講料にプラス税込1,100円がかかります。
発達障害学習支援サポーター認定
発達障害学習支援サポーターは「一般社団法人子ども・青少年育成支援協会」が主催する民間資格で、発達障がいを持つ子供達を学習面からサポートするための資格です。発達障がいの子どもたちの様々な学び(知識や技能の習得)を促進するために必要な支援ノウハウを学ぶことを目的としています。
資格制度はレベル別となっており、「発達障害学習支援サポーター」「発達障害学習支援シニアサポーター」「発達障害学習支援エキスパートサポーター」とレベルに合わせてステップアップができます。取得費用は前から順にそれぞれ、29,700円、39,600円、55,000円です。年度ごとに更新料7,000円が必要となります。
発達障害基礎理解講座Ⅰ・Ⅱと発達障害学習支援サポーター養成講座を修了し、試験に合格する事で資格が取得できます。また、以下のいずれかの資格を取得している場合は、基礎理解講座の受講が免除されます。
臨床心理士、公認心理師、臨床発達心理士、社会福祉士、精神保健福祉士、教員免許、保育士、幼稚園教諭、医師、看護師(准看護師)、言語聴覚士、作業療法士、理学療法士、児童発達支援管理責任者
発達障がい支援に関する他の資格
ここまでおすすめの資格を紹介しましたが、他にも発達障がい支援に関わる資格はあります。いくつかご紹介します。
チャイルドカウンセラー
チャイルドカウンセラーは、現代社会で様々な悩みを持つ子どもたちをカウンセリングで支援する資格です。発達障がいに特化した資格ではありませんが、子どもたちへの関わりや真理を専門的に学ぶ事ができます。
「一般財団法人日本能力開発推進協会」による認定資格で、子どもの心理のスペシャリストといえるでしょう。
協会指定の認定教育機関等が行う教育訓練において、全カリキュラムを修了し、試験に合格すれば資格を取得する事ができます。
自閉症スペクトラム支援士
「NPO法人日本自閉症スペクトラム支援協会」が認定する、自閉症スペクトラム障がいを持つ人々のサポートに特化した資格です。資格取得には、保育士・幼稚園教諭・学校教諭・児童福祉施設職員・心理士などの資格が必要となります。
STANDARD、ADVANCED、EXPERTの三つの種類に分かれており、資格認定講座の受講だけではなく研究会への参加や実務経験が必要であり、難易度の高い認定資格であるといえます。
運動療育支援員
「NPO法人運動保育士会」が認定する資格で、運動に特化した発達障がい支援や療育の方法を学びます。子どもの発達段階に合わせて、運動や遊びを実践するためのスキルを身につけることを目的にしています。
実技を中心に体を動かす「運動遊び実践」と脳機能や発育発達を学ぶ「発達障がい支援」の2種類を学び、それぞれ初級・中級・上級に分かれています。
発達障がい支援の国家資格はある?
発達障がい支援に関わる資格は、民間の企業や団体が主催する認定資格がほとんどで国家資格はありません。そのため認定資格でも十分に知識を有していることをアピールすることができるでしょう。
また発達障がい支援に関する専門的な国家資格はありませんが、以下の国家資格については発達障害支援の現場で活かすことができるでしょう。一部の資格では、以下のような国家資格を有していることでカリキュラムの一部が免除されるケースもあります。
- 保育士
- 幼稚園教諭
- 学校教員
- 精神保健福祉士
- 社会福祉士
- 公認心理士
独学での取得はできる?
これまでおすすめした資格については、カリキュラムの受講と試験がセットになっている資格がほとんどです。
受験したい資格を決めたらホームページで一度確認することがおすすめです。
発達障がい支援の資格を取得するメリット
発達障がい支援の資格を取得することで、以下のようなメリットが得られます。
正しい知識で発達障がいに関わることができる
発達障がい支援の資格を取得する際は、講座などを通して発達障がいや療育に関する正しい知識を身につける事ができます。
発達障がいは特性も様々で、人によって症状が異なります。資格講座を通して体系的に学ぶことで、現場で役立つ知識が身につき、現場に入ってもスムーズに実践に入る事ができるでしょう。すでに実際に現場で働いている人にとっても、これまでの実務経験が知識と結びつくことによって、より深く発達障がいについて知る事ができるようになります。
保護者に安心感を持ってもらえる
発達障がい支援や療育に関する資格を持っている事で、ある一定専門知識があることを証明できるようになります。子どもを預ける保護者にとっても、専門的な知識がある人間がついていることは安心感や信頼につながるでしょう。
またそれぞれ異なる発達障がいの特性を持っている子たちに、適切な支援を行うことで、保護者の方の不安を取り除き、信頼関係を構築することにも繋がります。全くの素人であるより、資格保有者であることで、保護者の方も安心感を持って相談しやすくなるかもしれません。
転職の時に活用できる
発達障がい支援に関する資格を保有していることで、療育や発達障がい支援の現場に就職する際は、転職活動で有利になる事が考えられます。また求人によっては資格を必須としている求人もあるため、転職の際の選択肢が広がります。
資格を取れば、未経験でもある一定の知識があることの証明になりますので、先方も判断材料としやすいでしょう。また資格を取得しているということは、本人が意欲的に学習していることの証拠になります。転職の際にはぜひアピールするのを忘れないようにしましょう。