リスキリングとは、主に企業の従業員が、成長分野の仕事へ就労移行するために学び直すことを指します。
現在、世界中で急速にDX(※1)やGX(※2 )の動きが進んでいます。
今後、企業が成長していくためには、これらの成長分野への事業参入や最新デジタル技術の導入・運用が必須といわれています。
また、日本は、成長分野のスキルを持つ人材が大きく不足しているという深刻な問題に直面しています。
つまり、それまで別の業務を担当していた従業員に新しいスキル習得の再教育を施し、新分野での活躍を促すというのがリスキリングの狙いといえるでしょう。
※1:DX(デジタルトランスフォーメーション)…AIやビッグデータなどの最新デジタル技術を用いて、業務プロセスの効率化や新ビジネスを創出すること
※2:GX(グリーントランスフォーメーション)…脱炭素社会の実現に向け、再生エネルギーなどへ構造転換を図り、経済と環境を好循環させること
海外では数年前からリスキリングの提唱が始まっており、世界経済フォーラム(World Economic Forum)では、2018年からリスキリングの必要性を訴えています。
2020年1月の世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)では、2030年までに世界で10億人をリスキルすることを目標に掲げ、「リスキル革命プラットフォーム」の構築が宣言されました。
2021年2月26日に開催された経済産業省「第2回 デジタル時代の人材政策に関する検討会」において、リスキリング(Reskilling)は下記のように定義されています。
新しい職業に就くために、あるいは、今の職業で必要とされるスキルの大幅な変化に適応するために、必要なスキルを獲得する/させること
出典 経済産業省/第2回 デジタル時代の人材政策に関する検討会
リスキリングは新たな時代を生き抜くために、企業・個人が一丸となって取り組むべきことともいえるでしょう。
企業で働く従業員および成長分野の業界・職種への転職を考えている人が対象です。
対象者が絞られている理由としては以下が挙げられます。
・企業内における成長分野人材の育成=従業員をリスキリング
・成長分野人材の雇用=転職希望者をリスキリング
企業のDX推進は、企業の業務構造や価値創造の抜本的改革といえる取り組みです。
これは日本の経済成長のためにも重要な取り組みといえるでしょう。
改革実現のための最大のポイントは、「DX人材の確保」です。
企業のみならず国全体でリスキリングによるDX人材育成をおこなう必要性があります。
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社会人の学び直しとして、共通した意味を持つのが「リカレント教育」です。
リカレント教育は、個人が主体的に学び直しをおこない、新たな仕事のスキルや知識を習得することをいいます。
個人のタイミングで教育を受けるため、就労しながら、または、離職中に学習することが想定されています。
一方のリスキリングは、企業が事業戦略の一環として従業員に学びの機会を与えることが特徴です。
基本的に企業に在籍しながら学び直しをおこないますので、離職せずに学習することが一般的です。
企業における従業員教育ということで混同されやすいのがOJT(On The Job Training)です。
OJTは職場でおこなう教育訓練のことで、既存の業務を実践しながら必要なスキルや知識を学びます。
教育を担当するのは、配属された部署の上司や先輩であることが一般的です。
リスキリングは、DXへの適応や新規事業の立ち上げなど、既存業務から新しい業務へ従業員を配置転換するために、スキルチェンジすることを目的としています。
新たな価値創造のための学びという意義が大きく、社内に必要なスキルを教えられる人材がいないケースもあるため、教育担当は外部の講師や有識者も想定されています。
近年、デジタル新技術の発展が急激に進み、グローバル社会での企業間競争が始まっています。
すでに海外では、最新のデジタル技術を取り入れたこれまでにない新しい事業や製品・サービスが生み出されています。
日本も早急なDX推進が望まれます。新たなデジタル技術を導入し、業務の効率化、生産性や正確性の向上をおこなうことが、企業成長に必要不可欠です。
DX推進のためには、デジタルスキルを保有した人材確保が必要です。デジタル人材が不足している日本では、企業自ら人材育成することが求められるでしょう。
デジタル化により新しく作り出された業務や職種が増加しつつあります。
また、新型コロナウイルスの流行によって、リモートワークの拡大・オンラインでの会議や商談など、働き方や労働環境の変化が大きく進みました。
このような変化によって、これまでの働き方では対応できない仕事が増加しました。そのため、従業員の新たなスキルの習得や労働環境の見直しに迫られている企業が多くあります。
中には、DX推進よる業務の機械化・自動化などの影響で、人員が削減となった職種もあります。
企業が雇用を維持するためには、従業員の新たな能力を開発していく必要性が出てきました。
これらの変化に適応するためにも、リスキリングによるスキルアップやキャリア形成の重要性がますます高まってくるといえるでしょう。
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企業がリスキリングを実施することで得られる4つのメリットを紹介します。
企業はDX推進のためのデジタルスキルを持った人材を育成することで、新たな技術を導入できるようになり、以下のような業務効率化のメリットを享受することができます。
リスキリングで従業員がスキルや知識をアップデートすることは、時流に合わせた最新の知識・技術の獲得につながり、新たなアイディアが生まれやすくなります。
新しいアイディアの創出は、変化の激しい時代にも対応でき、新規事業の立ちあげや事業拡大による売上の向上、既存事業のマンネリ化の抑制が可能になります。
リスキリングによる従業員の学び直しは、企業に新風を吹き込み、企業を成長させることにつながるのです。
業務に必要なスキルを保有した人材を新たに採用すると、採用コストが大きくかかるというデメリットがあります。
しかし、社内の従業員をリスキリングすることができれば、社内異動で充足させることができます。つまり、採用コストを削減することも可能になります。
リスキリングを活用し、既存の従業員を新しい事業のために戦力化することが、企業の利益を生み出す1つの方法といえるでしょう。
企業の文化や社風を継承したまま成長できることもリスキリングのメリットといえます。
例えば新規事業を立ち上げる際に、新しく採用した人材だけを配属してしまうと、その事業においてはこれまで築き上げてきた企業のノウハウや伝承されてきた企業精神の継続ができなくなるおそれがあります。
企業のことを熟知した人材をリスキリングすれば、企業文化と社風を継承し、自社の強みを生かした事業展開を目指すことができます。
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富士通株式会社は、2020年度経営方針説明で、社内DXの更なる推進のため、従業員のDX人材への進化と生産性の向上という目標を掲げています。
社員13万人をDX人材とするために、リスキリングを導入し、デザイン思考(※1)やアジャイル(※2)強化の施策を打ち出しました。
社会や顧客への提供価値の創造と富士通自身のDX企業への変革のために、内部強化としてリスキリングや社内システム整備などに5年間で5,000~6,000億円を投資すると発表しています。
※1:デザイン思考…デザイナーやクリエイターが業務で使う思考プロセスを活用し、ビジネス上の課題解決のために解決策を見出すこと
※2:アジャイル…「迅速」「俊敏」「素早い」という意味の英単語。システム構築やソフトウェア開発における開発用語や、オープンで俊敏性のある新しい組織を表すビジネス用語として使われている
株式会社日立製作所は、2018中期経営計画で、デジタル技術を活用した社会イノベーション事業を推進することを掲げました。
事業推進のためのDX化をけん引できる人材が不足していることを課題とし、企業独自でDX人材を育成していく方針です。
そのためリスキリングを積極導入し、日立製作所グループの全従業員16万人を対象とした教育・研修制度の確立をおこなっています。
具体的事例として、DXを基礎から学ぶため、子会社の日立アカデミーと連携し、「デジタルリテラシーエクササイズ」という教育プログラムを作成。
2020年4月より、eラーニングによる社内教育を開始しました。
大阪ガス株式会社は、誰もがデータを正しく活用できるリテラシーを持つことを重要視し、従業員のデータ力を高めるために、2011年から「データ分析講習」をスタートさせています。
2019年時点で講習受講者はグループ社員延べ1900人となり、データ分析の知識を習得しています。
また、習得した知識を実践で活用することが大事であると考え、業務でのスキル活用のほか、すぐに業務で活用することが難しい場合は、 気になるテーマや日常シーンでスキルを使用してみることを推奨するなど、実践機会を与えることでスキルの定着を目指しています。
通信事業をおこなう米国企業のAT&Tでは、2008年の社内調査において、自社の従業員25万人のうち、業務上の必要スキルであるサイエンスやエンジニアリングのスキルを持つ従業員は約半数に過ぎず、 約10万人の従業員は将来的に事業縮小や廃止が見込まれる業務に従事しているという結果が出ました。
その結果を受け、当時としては先進的だったリスキリング導入に着手し、2020年までにどのようなスキルが必要になるのかを制定。
10億ドルを投じ、2013年から「ワークフォース2020」と呼ばれる従業員の教育プログラムを開始しました。
AT&Tのリスキリングは、企業に強制されて学習するものではありません。
社内の新たな業務ポジションや必要スキルについての情報を提示し、適切な学びの機会を与え、従業員が自律したキャリア形成のもと、学び直すことが特徴です。
現在、社内の技術職の8割は社内異動により充足することができ、教育プログラムに参加した従業員の昇進率は、参加していない従業員よりも高い状況です。
退職率を抑えることにも成功するなど、リスキリングの成果が表れています。
Amazonは、2025年までに、米国アマゾンの従業員10万人をリスキリングするという計画を発表しました。
従業員1人あたりに約75万円を投資し、非技術系の人材を技術職に移行させる「アマゾン・テクニカル・アカデミー(Amazon Technical Academy ※技術アカデミー)」や、
IT系エンジニアがAIなど高度スキルを習得するための「マシン・ラーニング・ユニバーシティ(Machine Learning University ※機械学習大学)」などの各種プログラムを準備。
デジタルスキルの全体的な底上げを目指しています。
世界最大のスーパーマーケットチェーンであるウォルマートは、VR(バーチャルリアリティ)を用いた社内研修制度を導入しています。
具体的には、店舗内にいる状態で、特別な販売イベントや災害対応の疑似体験ができるなど、経験のない従業員でもVRにより実践的なスキルを身につけられることが特徴です。
小売業もDX化が進みはじめており、業務に必要な新しいスキルをテクノロジーを活用して従業員に習得させる支援を拡充しています。
社外にリスキリングを提供しているのが、世界最大手のソフトウェア開発事業をおこなうマイクロソフトです。
コロナ禍による影響で失業した人々に向け、全世界でリスキリングを無償支援しています。
「グローバル・スキルズ・イニシティブ(Global Skills Initiative)」と呼ばれるリスキリング・再就職プログラムにおいて、マイクロソフトがグループ企業や他社と協業。
スキルアップ・就労支援や、ICTスキルを中心としたeラーニングによる学習機会を提供しています。
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■リスキリング内容:全従業員がIoTを活用することで業務効率化を図る
老舗旅館を営む株式会社陣屋では、顧客満足度を向上させるための取り組みとして、IoT活用による業務効率化を推進しています。
全従業員がデジタルツールを使いこなすことを目標とし、
・従業員の不安や抵抗感の払拭(IoTの必要性を説き、わかりやすい例を示す)
・手書きによる帳票記入を禁止し、実践による学習を徹底
・デジタル操作ミスを許容、失敗から学ぶことを奨励
・すべてをデータ化し、情報共有することで、従業員の自律した判断を促進
以上の取り組みを実施しました。
結果、従業員のマルチタスク化やオペレーション改善につながり、サービスの質が向上。リピーター客が増加しています。
■リスキリング内容:ビジネスモデル転換にともなう従業員のスキルチェンジ
西川コミュニケーションズ株式会社は、従来の紙媒体印刷業からAIソリューションや3DCGによるビジュアル制作などの最新デジタル技術を用いた新ビジネスへの転換を決定。
それにともない、従業員の大幅なスキルチェンジを実施しています。
・経営陣がディープラーニング(※)の知識を習得し、従業員に新たなスキル習得の必要性を説く
・今後必要になるスキルを明示(スキルマップや推奨資格でわかりやすく示す)
・従業員個々に合わせた学習機会を提供
・学習意欲を高めるため、学習チームや表彰制度を設立
・学習時間確保のため、働き方に柔軟性を持たせる
以上の施策を進め、印刷技術者や紙面デザイナーをプログラマーや営業職に配置転換することに成功しています。
※ディープラーニング(深層学習):コンピュータシステムに大量のデータを学習させる機械学習のこと。人工知能(AI)の開発ベースになる
まずは従業員の既存スキルの見える化をおこないます。
講座内容は、ビジネスどの従業員がどのようなスキルを保有し、どのような仕事に適性があるのかを確認した上で、今後習得すべきスキルを決定することが重要です。
現在のスキルと新たに身につけるべきスキルにどの程度のギャップがあるか把握でき、教育スケジュールの管理もしやすくなります。
また、従業員のスキルに関しては、スキルマップやスキルデータベースを構築し、データ管理することが望ましいでしょう。
データ管理により社内共有がしやすくなることで、従業員を最適な仕事へ配置することができ、従業員自身も自分のスキルをキャッチアップできるメリットがあります。
リスキリング導入時に重要なのが、教育カリキュラムの選定です。
今後の業務に必要となる新たなスキルの見極めと、そのスキルにマッチした教育カリキュラムの選定が大切です。
日本の企業は教育カリキュラムも自社開発しようとする傾向にありますが、リスキリングでの学習内容はより専門性が求められるものが多く、実践的な教育が望まれます。
外部の専門家への相談や、外部教育コンテンツの利用も視野に入れるとよいでしょう。
リスキリングは基本的に働きながら学習することを想定しているため、リスキリングも業務の一環として就業時間内に組み込むなど、従業員の負荷になりすぎない学習時間の確保が必要です。
また、従業員が離脱せずに学習に取り組めるように、企業が伴走することも大切です。
学習に取りかかりやすくするための工夫として、普段業務で使用しているアプリケーションから学習プログラムへアクセスできる仕組みづくりや、スムーズな進捗管理のために、従業員個々の理解度や獲得スキルが確認できる学習管理システムの導入が推奨されます。
より取り組みやすくさせるためにも、企業が従業員に寄り添った学習環境を整えることが求められるでしょう。
リスキリングで習得したスキルを定着させるためには、実践できる場を提供することが大切です。
業務の中でスキルを活用できるに越したことはありませんが、スキル習得を先行し、まだそのスキルを使用する新しい業務が社内にないケースも考えられます。
すぐに業務で実践できる環境が無い場合は、今後想定している事業をトライアルで実践したり、新規事業のフィージビリティスタディ(※)をしたりするなど、実践に近い環境の中、
早い段階で経験を積むことが重要です。
※フィージビリティスタディ:「実行可能性調査「企業化調査」などと同義の言葉で、計画された新しい事業やサービスが実現可能か事前に調査・検証すること
リスキリングは全社において目的や旨趣を理解してもらう必要があり、社内のサポート体制を構築することで導入・実施の成功へとつながります。
リスキリングの導入や実施を担当する部署のみが単独で動くだけでは、効率よくリスキリング施策を進めるのは難しいでしょう。
社内でのリスキリング認知度向上のためにも経営者が率先して啓発活動をおこなうなど、リスキリングをサポートする体制づくりが大切です。
リスキリングは継続していくことに意義があり、リスキリングで再教育を受ける従業員のモチベーションの維持が大きなポイントとなります。
今後どのようなスキルを得て、どのような仕事をしてもらいたいと考えているか、また、その従業員のキャリアにどのような影響を与えるのかというビジョンの明確化が必要です。
ほかにも、
・公平な評価制度による昇給・昇格の基準設定をおこなう
・資格手当などでスキルを習得するメリットを持たせる
・リスキリングに取り組む従業員のコミュニティを作る
など、従業員が前向きに取り組める環境づくりが重要です。
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ドイツは、リスキリングについて手厚い支援制度を展開しています。
ドイツ企業の99.5%が中小企業であることから、政府は中小企業に向けたデジタル技術活用にかかわる政策に注力。
デジタルスキル再開発の補助金・助成金制度や、企業のDX推進にともなうリスキリングを強化する法整備など、中小企業が自社のニーズに合わせた従業員教育を実施できる制度を広めています。
イギリスでは2021年4月に、プログラマーやエンジニアを育成するための「ライフタイム・スキルズ・ギャランティ(生涯技能保障)」を始動させました。ライフタイム・スキルズ・ギャランティでは、IT領域の専門教育を無料で提供しています。
そのほか、デジタル格差の是正やデジタル人材育成のために、政府の各省が地域別デジタルスキルパートナーシップ(DSP)の構築を推進してしています。
シンガポールでは、「スキルズフューチャーシンガポール」という政府によるキャリアサポート制度があり、国民のデジタルスキル習得を推進しています。
国民1人当たりの生産性を高めるための政策で、2万5千種類以上の訓練コースがあり、25歳以上の全国民に500S$(約4万円)の給付金を支給しています。
また、企業に対する補助金支援もあり、最大90%の研修費補助や研修期間中の賃金を補助しています。
日本でのリスキリング推進の取り組みはまだ着手したばかりであり、2019年10月~2020年9月に開催された厚生労働省の「今後の人材開発政策の在り方に関する研究会」や、2021年2月~6月に開催された経済産業省の「デジタル時代の人材政策に関する検討会」において、具体的な政策を検討しはじめたところです。
また2022年10月、岸田内閣総理大臣が、国会所信表明演説内でリスキリング支援について取り上げ、人への投資策を「5年で1兆円」に拡充すると明言しました。
出典
厚生労働省/今後の人材開発政策の在り方に関する研究会報告書
経済産業省/デジタル時代の人材政策に関する検討会
首相官邸/第二百十回国会における岸田内閣総理大臣所信表明演説
リスキリングに特化した支援制度はこれから具体策が提示されていく見込みです。
すでにリスキリング導入の検討が進んでいる企業は、既存制度の人材開発支援助成金など、人材育成のための各種支援制度を代替活用するとよいでしょう。
厚生労働省による助成金制度です。
従業員のキャリア形成促進のために、職務に関連した専門知識や技能を習得させるための職業訓練の計画実施や、教育訓練休暇制度を適用した企業に助成金を支給します。
従業員の職業能力の開発やスキルアップを段階的かつ組織的におこなうための計画のことです。
厚生労働省が推進し、計画作成を支援しています。
「職業能力開発促進法」第11条に基づいた企業の努力義務であり、人材開発支援助成金の一部コースでは支給要件となるため、企業は積極的に取り組む必要があります。
従業員の職業能力開発の取り組みを社内で積極的に推進するキーマンが「職業能力開発推進者」です。
また、職業能力開発推進者の選任は「職業能力開発促進法」第12条における企業の努力義務でもあり、企業は選任の検討が必要です。
2022年6月、グーグル合同会社が主幹事となり、官民一体であらゆる人材の育成を推進する共同体「日本リスキリングコンソーシアム」を発足しました。
総務省、経済産業省のほか、地方自治体も後援として参画しており、国としてもこの共同体の動きを支援しています。
「日本リスキリングコンソーシアム」では、イノベーション人材の育成を目的に、マーケティング、データ分析、AI、デザインなどの幅広いトレーニングプログラムを紹介しています。
また、これらのプログラムの受講で身につけたスキルを就業に活用できる支援サービスも併せて実施されています。
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日本は海外に比べると、リスキリングという言葉自体の認知度が低い状態です。
日本でリスキリングが浸透していない理由としては、
上記の理由が考えられます。
2021年に独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が実施した調査では、リスキリングを実施している米国企業は82.1%、日本企業は33%にとどまっています。
また、リスキリングの実施も導入も検討していないという日本企業は46.9%という結果が出ており、日本ではリスキリングの必要性の認知度が低いことが伺えます。
リスキリングにネガティブな印象を持ち、抵抗を覚える人も少なくありません。
学び直しの必要性やメリットを実感しづらい日本の社会的構造が、抵抗感が出る要因の1つです。
現状、従業員がリスキリングの必要性を理解しておらず、教育の途中で離脱してしまうことがあります。
しかし現在従事する業務によっては、これからの時代に必要とされ続ける人材であるために、リスキリングが不可欠な方も少なくないでしょう。
リスキリング導入のためには、「新たな職務で活躍するメリットや具体的なビジョンを企業が従業員に対してしっかり伝えられるか」がこの課題を解決するためのポイントといえます。